宮城県七ヶ浜町報告【第16報】浜のクリーン大作戦

皆さま
「海と共に生きる町」である七ヶ浜町は、その名の通り7つの浜から成り立っています。七ヶ浜という名は、明治9年(1876年)、「浦役場設置の条例(海辺の船が出入りする地に浦役場を置くことが義務付けされたこと)」で、それまでの浜の名で呼ばれていた「湊浜(みなとはま)」「松ヶ浜(まつがはま)」「菖蒲田浜(しょうぶたはま)」「花渕浜(はなぶちはま)」「吉田浜(よしだはま)」「代ヶ崎浜(よがさきはま)」「東宮浜(とうぐうはま)」の七つの浜を統合して『七ヶ浜』としました。
特に「菖蒲田浜地区」には、日本で3番目に古い海水浴場である「菖蒲田海水浴場」があります。年間10万人の観光客が来る人気スポットですが、今回の津波で漂流物が散乱し、大変荒れた状況になっています。他にもサーファーに人気の小豆浜海岸、外国人避暑地のある表浜海岸を始め、人々の憩いの場となっていた場所が大きな被害を受けてしまいました。
「浜の復興は町の復興に直結する」という町長の言葉にもあるように、町のシンボルである浜を蘇らせることが、町の元気に繋がると考え、5月1日、七ヶ浜町災害ボランティアセンターのプログラムとして『私たちのきれいな浜を蘇らせよう!浜のクリーン大作戦』が実施されました。
今回取り組んだのは、「小豆浜」。当日、このプログラムのリーダー役である地元ボランティアの方が、参加者に向けて以下のメッセージを伝えました。また、小豆浜の歴史や魅力についても合わせてお話下さいました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以下メッセージ
「うみ・ひと・まち」……これが七ヶ浜町。
この美しい景観の中で生活し、新鮮な魚介などを「ひと」は「うみ」から享受しつづけてきました。しかし、今回の大震災により海への恐怖から「もうこの町には住めない」と考える方も多くいます。「この町にまたとどまりたいという気持ちをよみがえらせたい」そんな想いがきっかけで、この取り組みが生まれました。ガレキの重なる無残な浜の一か所でもきれいになれば、七ヶ浜の美しい海を思い出してもらえるきっかけになるのではないかと考えたのです。
そして、今回の大震災がなければ訪れることがなかったかも知れない多くのボランティア(ひと)は、ボランティア活動を通じて、今日まで地元の方に関わってきました。関れば関わるほど、一緒に美しい町、美しい浜を取り戻したいと思いが強くなっていくのではないでしょうか。外部から来たボランティア(ひと)と町民(ひと)が一緒に七ヶ浜町について学び、協力し合う場を頻繁に持つことで、七ヶ浜町を息長く応援したいと思う「ひと」増やしていくための第一歩なることを願っています。
hama5 endosan.JPG

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大きな漂流物やガラスの破片など散乱している恐れもあり、砂浜に入ることはできませんでしたが、砂浜に隣接する歩道や公園の掃除を約70名で行いました。
★歩道:左・活動前→右・活動後
hama1.JPGhama3 kirei.JPG

皆さんの協力で、1日がかりですっかりきれいになりました。
★公園:左・活動前→右・活動後
hama2 koen.JPGhama4 koen kirei.JPG

お家の一部だったと思われる木の破片、生活用品など沢山の漂流物を見て、「ひとつひとつが、一人ひとりの財産だったんだなぁ・・」と思うと胸が痛みました。しかし、ボランティアの手によって、少しずつ一か所にまとめられ、きれいになっていく様子を見ながら、地元の方が「やっぱり人の力は本当にすごい!」と感無量の表情を見せて下さったのが印象的でした。
最後に今回、活動に参加された皆さんにアンケートを取りました。回収できた35人中、ほとんどが町外からの参加でした。
以下がアンケート結果の一部です。
○ボランティア活動に参加する前に感じていた七ヶ浜町のイメージ
・「七ヶ浜町」という場所自体を知らなかった。(多数)
・自然が豊かで静かなきれいな浜辺
・海の恵みのある地域
・サーフィンが盛ん、海産物がおいしい
・漁師の町
・津波のひどい被害を受けている地域
・想像もできなかった
・ガレキなどが散乱している
○浜のクリーン大作戦に参加しての感想
・公園に家が流れ着いていて驚くとともに、きわめて生活感のあるものが本当に沢山落ちていて、何だか悲しくなった。日常が壊される情景を目の当たりにしてショックを受けた。被災された方とお話をするにつけても、とても大変さが伝わった。
・「自然の脅威」という言葉があるが、その意味を初めて知った。
・想像以上にきれいな状態になったので、充実した。
・予想以上にがれきが散乱していて、家が津波で簡単に流されてしまったことが想像できて、すごく津波の恐ろしさを感じた。でも、自分一人の力は小さいけれど、みんなと協力して、少しでも片付いたのでよかった。
・正直、朝来た時はものすごく大きいがれきなどがあって片付けられるのか心配だったが、目につくところは大体きれいになったのでよかった。
・今日取り組んだ地域は、海岸のほんの一部でしかないので、これからも継続してボランティアしていきたいと思った。
・美しくなった七ヶ浜町を必ず見に来たいと思った。必ず元に戻れると感じた。
・作業中、公園の中に流された家の家主が通りがかり、ボランティアが見つけた写真をお渡しすると、大切そうに持ち帰られていたことがとても印象的だった。活動に参加する意義を改めて感じることができ、自分がお手伝いできる喜びとやりがいを実感した。
・とにかく、海と共に生きている町だと思うので、浜をきれいにできてよかった。
・人の力のすごさを感じた。今度サーフィンしに来たいと思う。
・1日の作業が終わる頃には、地震前の海浜公園の姿が目に浮かぶようだった。きれいになって、町が復興した時にはまた来たい。
など
○活動を通じて感じた七ヶ浜の良いところ、好きなところ
・海が近い
・人が温かい
・景色が良い
・範囲が狭い分、コミュニティが小さいのは一体感があってよい。これだけの範囲にこれだけの観光スポットがあるのはすごい
・町民がボランティアに協力している
・気軽にこれる
・桜、海、山が調和している
など
アンケートでは、活動を通じて地元の風景や地元の方々と触れることで、七ヶ浜の魅力を発見したという意見が多くありました。このような活動を通じて、七ヶ浜の応援団がもっと沢山広がっていけばと思います。次回は表浜海岸あたりを6月ぐらいにお掃除できたらいいなぁ・・という声も上がっています。今後も継続的にこのような活動を行っていく予定ですので、ぜひ皆さんもご参加下さい。