宮城県七ヶ浜町報告【第30報】地元の人との絆、メンバーとの絆

皆さま
お世話になっております。RSY浦野です。
ボランティアバス第26陣(7月12日―7月18日)からの活動報告をご紹介いたします。
今回の報告では、初対面のメンバー同士が絆を深めていく様子をうかがい知ることができます。
◆7月12日(火)~13日(水)
名古屋からマイクロバス(ボランティア運転手は、市バスの現役運転手さん)に乗って11時間、無事に七ヶ浜町に到着しました。睡眠中の深夜に震度4の余震が起こり、さっそく身が引き締まりました…。
まず、朝一番に町の被害の様子を見に行きました。震災から3カ月が過ぎた今でも、浜辺には打ち上げられた大型コンテナ、海水で変色した樹木、朽ち果てた家屋などの光景が広がっており、ここでたくさんの方が亡くなられたり、大変な思いをされたりしたことを実感しました。
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朝食後は二手に分かれて活動開始。ボランティアセンターには、手袋や長靴等の作業道具、飲み物や塩飴などが豊富に用意されており、ボランティアが円滑に活動できるように配慮されていたことが印象的でした。
この日は昼から夜まで幕僚長率いる炊き出し軍団による炊き出しが行われ、牛タン丼、親子丼、焼肉、冷奴、お茶などがふるまわれました。ミニライブもあり、お子さんからお年寄りまでたくさんの方がボランティアセンター前で笑顔を見せ、お祭りさながらの終始賑やかな1日となりました。
活動後には、NARUTOのエンディングを歌っているハンサム判治さんが我々の激励に来られ、ド迫力ライブを披露してくださいました。
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 夜のミーティングでは、掃除場所ごとに当番を決めるかどうかについて意見がぶつかり合いました。
効率良くやるには決めた方が良いという意見と、あえて決めずに全員が積極的に協力しながらやった方が良いという意見に分かれ、その結果、とりあえず後者の意見を試してみることになりました。
(翌朝やってみると思った以上にうまく掃除が進み、このような方法もありなんだということが実感でき、最終日までこの方法でやりました)
◆7月14日(木)
今日は、①菖蒲田浜の清掃、②足湯、③仮設住宅へのイベントチラシ配り、④喫茶、の4グループに分かれて活動しました。
菖蒲田浜の清掃では、人の力では動かせない大きなゴミが多く、また日差しが強いこともあり、撤去作業は大変でした。浜辺の清掃は、十分な休憩、水分と塩分の補給、厚手のゴム手袋と安全長靴が不可欠ですので、今後ボランティアに参加される方は十分気をつけてください。
仮設住宅へのイベントチラシ配りでは、仮設住宅にお住まいの年配の被災者から「お椀が壊れたので、お椀をいただけないか」との依頼がありました。そこでボランティアセンターに確認をしたところ、「個別に物品をお渡ししないでほしい。もし全員に個別対応を求められたら対応できない。仮設住宅の方は自立を目指しているので、自分で買いに行ったり別の食器を代用するなどしてもらいたい」との返答でした。この返答に疑問を感じたメンバーもいましたが、さて貴方が同じ状況に遭遇したらどう対応しますか?
◆7月15日(金)
午前中、メンバーの上田君が仮設住宅の表札取り付けに行きました。大工が得意な被災者のAさんが、大工の素人だった上田君に電動ドライバーの使い方を教えてくださいました。
上田君があえて手伝わなくても自分で取り付けられるのですが、Aさんは上田君の手をとりながら、自分の息子か孫と接するように親身になって指導されました。
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上田君が、自分が緊張していることを伝えると、Aさんは大笑いしながら「何事もはじめがあるから大丈夫」と元気づけてくれました。そこで「師匠と呼ばせて下さい」と冗談を言ったら、Aさんは心から大笑いをしてくれたように見えたそうです。また上田君は、自分が住んでいる住宅に穴をあけ、表札をつけるという重要な役割を素人の自分に任せてくれたことにも感激し、ボランティアは与えるものではなく、支えあうものだということをこの際に痛感されたそうです。
作業を終え、現場から離れる際には、Aさんはお礼としてポプリやゴルフのパターをプレゼントしてくれました。
被災者の中には、大工、料理、編み物など、さまざまな技術をお持ちの方がたくさんいらっしゃるのかもしれません。被災者の方々に「イベントをやるから来てください」だけでなく、「~が得意な方、ぜひお力をお貸しください」という視点で交流することも今後必要になるのではないかと感じました。
午後からは、地域交流会として、被災された3名の方をきずな館にお招きし、お話を聞かせていただきました。
ある方は、買い物帰りの車中で地震が発生し、津波第一波の時に逃げ切れず町営住宅3階にある自宅も波をかぶってしまったそうです。第2波前に”ここで死んでたまるか”と奮い立ち逃げることができたことや、ボランティアが明るく挨拶をしてくれたり、気さくに声をかけたりしてくれることで元気をもらっているとおっしゃって下さいました。
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また別の方は、病院帰りのバスを降りたところで地震が起こり、まず近所のおばあさんを助けに向かわれたそうで、大変やさしい心の方でした。震災以前は毎日海に出かけていたが、震災以降は海を1度も見ていないこと、今後の厳しい生活を考えると、津波に飲み込まれていた方がよかったかも、との言葉もありました。
もうひとりの方は、地震発生直後には、ガソリンと灯油が足らなくて大変だったことや、年に一回の避難訓練をもっと真剣にやっておくべきだったのではないかという指摘もされていました。
辛い体験をどの方も明るく気丈にお話しされ、その姿を見て、我々ボランティアもさらに頑張って応援し続けなければとの思いを強くしました。
話は変わり、今日は26陣メンバーのひとりが誕生日ということで、寄せ書き入りのTシャツと扇子をプレゼントしてお祝い会をしました。
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今回力を合わせて過ごしたメンバーとは、この縁を大切に今後も良い形で交流を続けられればと考えています。
(報告者: 犬飼智子、西本綾子、槙哲也、伊藤雄一郎)