新燃岳噴火・あれからまもなく1年

みなさま
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RSY加藤です。
1月7日~9日まで、昨年、震災がつなぐ全国ネットワークの加盟団体のメンバーがお世話になった宮崎県高原町のみなさんにお会いしてきました。
新燃岳が爆発的噴火をした2011年1月26日から間もなく1年が経とうとしています。現在は小康状態が続いていますが、火山の専門家からも「間もなくまた噴火するであろう」と言われいて、実際にマグマが溜まり、その量は昨年の噴火前のような状態になっているそうです。毎日のように桜島が噴火をしていて、その爆発音が聞こえ、空振も感じるそうです。こんな状況だから、「霧島連山のどこが噴火してもおかしくないらしい」ということを多くの方が口にしていました。
「わたしたちは山とともに生きていく」
1月7日、晴れ渡る空の下、美しい霧島連山を眺めることができました。今年は地熱の影響もあって山の雪が少ないんだと教えてもらいました。お話に聞いていたとおり、噴煙を上げている山の姿を近くに感じました。ここに住むみなさんの日常には山があり、久々にお会いしたみなさんとのお話の中には必ず山の話がでてきます。1年前の新燃岳噴火当時のお話はもちろん、昔の思い出話の中にも山の話は欠かせません。「私たちは山とともに生きていくんだ」という力強い言葉がでてくるのは、ずっと山と暮らし、噴火も経験し、これからもここで生きていくことを心に決めているからこそなんだということをお話の端々から感じました。
「そろそろまた噴火する!」
皆さん口をそろえてそうおっしゃっていました。今度は2回目、「自分の身は自分で守らないといけないと実感した。みんなで声かけあって避難しないと。」と言う方は、「たとえ東京やなんかの会議で『あの避難指示の判断は早すぎたのでは?』と指摘されたとしても、あの稲妻が走る噴火と夜通し家がガタガタ揺れた体験をした住民は早すぎたなんて思ってないんだよ。」と言っていました。町内では10世帯以下の単位で組がわかれているそうですが、その組ごとで声を掛け合って避難するということを、改めて住民に呼びかけているそうです。
ただし、中には「避難しない」と言っている人もいて、理由をよく聞いてみると「避難場所が不安だから」ということをおっしゃいました。別の避難場所だったら?の問いには、しばらく沈黙していました。それだけが理由ではなさそうですが、きちんとした検証や説明がもっと必要だということを感じました。
高原町では、火山を専門としている大学の先生が学校を回って火山のおそろしさや対策の重要性など、防災についてのお話を子どもたちにしたり、大人向けの講演会も町が主導で行っているようです。それが火山についての知識を学んだり、防災について考える機会になったりしている方もいらっしゃるようです。
しかし、なかなか話し合いがスムーズに進んでいないこともあって、前回の噴火の時に課題になったボランティアの受け入れ体制や行政と民間の協働について、まだまだこれから進めていかなければならない段階にあるようでした。
「噴火がなければこんな風にのんびり過ごしてるんだよ」
みなさん日常を取り戻し、それぞれのペースで過ごしているんだと感じました。噴火災害は、こうして元気になっていこうという段階でも終息したわけではないという緊張感が常に存在するという厳しさがあるなあ、と私は感じますが、毎日山を眺めて、その日その日の山の表情を見て、違いを見ながら暮らしている皆さんの強さや覚悟、時に楽観的になるということは、そこに暮らす者だからこそできることなんじゃないかと思いました。
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「灰干しをなんとか形にしたいんだよね」
桜島で1年間に降る量の灰があの3日間に降った、という程の降灰に苦しんだ高原町。現在、灰干しプロジェクトがゆっくりでも進んでいて、灰干しによって人がつながり始めているようです。最初は興味を持った人たちがやっていたことが、町内の精肉店や販売店が協力を始めています。イベント出店での「美味しい!」という反応は、出店に協力した人たちにとってのパワーになり「またやろうかな」という想いにつながるそうです。生産量が追い付かない・きれいな灰の確保が難しいなど、課題もあるようですが、地元のペースで前進していました。
短い期間で多くの方のお話をすべて聞くことは難しいですが、たとえ少しずつでも、新燃岳の噴火がご縁で出会ったみなさんと高原町の”いま”を紹介していきたいと思います。
※空振とは?
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201101_shinmoe/#oscillation
※灰干しとは?
火山灰を敷き詰めた上に新聞紙・セロハンを敷き、その上に野菜や肉・魚をのせます。さらにセロハン・新聞紙をのせたものを冷蔵庫で一昼夜ねかせます。そうすることで食材がなぜか柔らかく、クセがなくなります。さらに炭火で焼くと美味しさがアップします。
三宅島でも他地域とのネットワークを利用した灰干しプロジェクトによる地域再生の取り組みを行っています。

【ご案内】名古屋環境大学共育講座「近自然を考える~これからの川づくり、まちづくり」

皆さま
 お世話になっております。レスキューストックヤードの関口です。
 RSYが日ごろから大変お世話になっている
名古屋建設業協会の山田会長から、
以下のようなお知らせをいただきました。
 ご都合のつくかたはぜひご参加ください。
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  <なごや環境大学・第4回共育講座のおしらせと受講のお勧め>
来る1月21日土曜日午後に「<近自然を考える~これからの川づくり、 まちづくり~>第4回共育講座」を下記の通り、開催します。
この機会に、ぜひご聴講いただきますようご案内します。
演題 『近自然と防災の関係を学ぼう』
講師 佐々木 寧氏(埼玉大学教授)
日時 平成24年1月21日(土)13:30~15:30
場所 ウィルあいち セミナールーム4
定員 30名
会費 300円
申込み 事務局・山田までメールで
    お申し込みください
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 上記講座の内容と大いにかかわりますが、
RSYとしても2010年度に「川づくりと防災」を考える事業
(通称”そだ”事業)を行いました。
報告書↓
http://localhost/~hayashimasaki/wordpRSY/2011/05/2010-2.html
 2011年度も「あいちモリコロ基金」の助成金を得て
“続編”となるプロジェクトを実施中です(震災の影響で
当初の4月スタートから11月スタートなっています)。
 地震、津波はもちろんですがこの地域を毎年襲う水害に対して、
日常の「川づくり、山づくり」も大事な防災活動だという
考えです。
 こちらの事業についても随時ご報告していきますので
よろしくお願いいたします。