【第11報】平成28年熊本地震に関わるRSYの支​援活動について(5月12日)

みなさま

平成28年熊本地震において、RSYでは御船町を中心に活動を継続しています。
また、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD準備会)では、熊本県内で活動するNPO団体と県、国らと共に頻繁に情報交換を行い、県内避難所の実態調査や環境改善、その他、支援の過不足を補い合うべく活動しています。以下、現地スタッフからの報告です。
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▼スタッフ・RSYボランティアの活動状況
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・浦野(御船町支援・県内避難所改善/社会福祉士)/4月20日~5月8日、5月13日~
・松永(JVOAD準備会事務局支援)/4月20日~
・中西(御船町支援)/4月20日~5月9日、5月13日~
・松山(震つな/県内避難所改善)/5月1日~5月7日
※栗田は週に2日間のペースで熊本入り。国・県・市町村との調整、JVOAD準備会事務局全体総括など

・岡田雅美さん(御船町災害VC支援・なごや防災ボラネット/看護師)/4月26日~5月10日
・加藤都さん(御船町避難所支援・なごや防災ボラネット/看護師)/4月26日~5月6日

★JVOAD準備会・県内避難所改善チーム(RSY職能ボランティアチーム)
・佐々木裕子さん(愛知医科大准教授/看護師・保健師)/4月27日~29日、5月3日~5月6日
・堀田眞弥さん(柊訪問看護ステーション/言語聴覚士)/4月27日~29日
・阪本真理子さん(愛知医科大学教授/保健師)/5月3日~5日
・森田貞子さん(すみれ訪問看護ステーション/看護師)/5月5日~5月8日
・神田夏美さん(看護師)/5月14日~17日

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▼現地でのRSYの活動を支えて下さっている皆さん
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・中部土木株式会社(トイレカー5台・キャンピングカーの貸し出し・物資提供)
・みやざきSVC(炊き出し)
・どこでも足湯隊(足湯)
・大分大学学生有志(炊き出し・足湯・子どもの遊び場)
・笑顔の熊本会(炊き出し・足湯・子どもの遊び場)
・日本災害復興学会(車座トーク)

(今後活動予定)
・新井直樹さん、ほか7名(御船町災害VC支援)
・ラッシュジャパン(ハンドマッサージ・スキンケアセット500パックの提供)
・刈羽村農業を推進する会(米・284㎏)
・鈴鹿災害ボランティアネットワーク(梅干500パック、ぜんざいの炊き出し)

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▼JVOAD準備会事務局:報告/松永
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全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が開催する「熊本地震・支援団体火の国会議(略:火の国会議)」の事務局として活動。毎日19時より県青年会館にて火の国会議を実施し、毎日20~30団体50名の県内外のNPO・NGOが集まり情報共有を行い、現在までに約150団体が参加した。現在の状況は以下の通り。・JVOADの熊本市担当として活動していて、現在は市より依頼のあった拠点避難所の環境整備等を行っている。拠点避難所は、緊急時の避難所とは異なり、仮設住宅建設やみなし仮設の入居などに向けて中長期的な避難とになるため、日常の生活が送れるよう配慮された環境が求められている。具体的には、子ども達の勉強スペース、洗濯機・モノ干し場、食事・談話スペース等で、女性専用の更衣室など、子ども・女性や要支援者へ配慮された環境を整えていく必要がある。
・熊本県域での情報共有会議として、火の国会議があるが、市町村域では西原村を始め、数地区では災害対策本部・災害ボランティアセンター・支援者(NPO)等での情報共有会議が行われている。
・熊本市では、8日に拠点避難所が21ヵ所(当初は市内18ヵ所に集約予定)できたが、自宅から拠点避難所までが遠いことやコミュニティーを崩したくないとの理由から既存の避難所に残る方も多く出ている。
・JVOADの市担当として市内の拠点避難所を巡回している。8日の拠点避難所開所に伴い、受け入れが万全でなく、シャワーや洗濯機等、環境整備が追い付いていない。
・ゴールデンウイークを明けて、災害ボランティアセンター等の運営者も少なくなり、受け入れ側の人員が不足している。
建物自体に大きな被害が出ていない飲食店等は徐々に通常営業に戻っている。

(住民の声)
・余震が本当に怖い。自宅は片づけて戻れるようになったけど、揺れが収まらないと不安。避難所は友達もいて安心できる。ガスはまだ使えないから冷凍食品をレンジで温めて食べている。[70代・女性]
・不動産を何度も回っているけど、借家は全然空いていない。探すのに疲れたよ、本当に。家はようやく片付いてきたから、自宅に戻ろうと思っている[80代女性]
・被災直後は、段ボールに薄い毛布を敷いて寝ていた。腰が痛い。今はマットが届きゆっくり寝れるようになったけど、余震が怖い。[40代女性]

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▼御船町・JVOAD避難所支援チーム:報告/浦野
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(御船町の現状)
避難所数:22箇所→18箇所に減。

最終的には公的大型施設2箇所(400人~500人)に集約される。仮設住宅は400戸程度建設予定。完成まで数ヶ月かかる見込み。地すべりの避難勧告は解かれるも、避難指示は継続中(中原住宅付近)。車中泊の方もいるが人数は把握できていない。町が公園にテント村を建設。車中泊・子どもがいる世帯などに斡旋中。10人未満の避難所が山間地に広く点在しているため、情報・物資・支援プログラムが充分に届けられないことが課題。近隣入浴施設が再開したこともあり、自衛隊の風呂は9日をもって打ち切り。
(災害VCの様子)
1日のボランティア数が100名未満と人手不足。本日5月11日(水)から募集範囲を全国に拡大して支援を呼び掛けている。
◆御船町社会福祉協議会ホームページ
http://www.shakyo.or.jp/hp/1664/
◆御船町災害ボランティアセンターFacebook
http://urx2.nu/trPq

【御船町小坂小学校での車座トークの開催】(栗田:調整・参加)
足湯や実態調査で訪れた小坂小学校の避難者より、「先の見通しが立たないことが不安」「これから具体的にどんな支援を受けられるのか」「り災証明書は何で必要なのか」などの疑問の声が上がった。そこでで5月6日、日本災害復興学会の協力のもと、車座トーク「これらの生活再建を考えるミニ相談会」を開催。一人暮らしの高齢者や要配慮者を抱える家族、親子ら10名が参加した。同学会が作成した冊子「被災したときに」を元に、過去の災害で支援経験のある専門家が素朴な疑問に丁寧に応えてくださり、参加者にもホッとした表情が見られた。学会員の「次の生活への一歩を踏み出せるように、みんなで避難所から元気で出ましょうね」という声かけに、力強くうなづく姿が印象的だった。今後は14日~15日にかけて、御船町内3箇所(玉虫住宅、田代地区)でも開催予定。
【熊本市総合体育館の被災者受け入れ】
熊本市では避難所縮小のため、18箇所の避難所に集約されることとなった。市からJVOADへの要請のもと、400名と受け入れ人数の多い「熊本市総合体育館」の環境整備や運営をサポート。5月6日~8日にかけてRSY職能チーム、チーム中越、長岡市役所応援チームらと共に、パーテーションの設置、乳児室・幼児プレイルーム・女性用下着干し場・救護所・感染症対応ルーム・談話室・中高生勉強スペース・福祉避難スペースの設置と、トイレの衛生環境の整備を行った。また、受け入れ当日は要配慮者のサポートとしてダンボールベッドの設置、トイレに近い居住場所への移動支援、医師・看護師への繋ぎ、福祉避難スペースへの移動支援などを行った。住民自治による運営体勢づくりについては、チーム中越・長岡市役所応援チームらが引き続きサポートする。

※御船町内の避難所の実態調査を実施。個別ケースは救護班に繋ぎ、現状と課題を一覧表にして役場総務課・救護班・社協らと共有。

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▼御船町・生活支援プログラムコーディネート(報告:中西)
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御船町にて、主に避難所・集落との連絡調整、ボランティア受け入れコーディネート、生活支援プログラムの企画・運営、3者会議(町・社協・NPO)への参加を担当。

【子どもの遊び場】
★御船中学校(5月4日10名参加)
※3人の幼児を抱えるママの一時託児。最初は切羽詰った表情だったが、子どもから手を離している間に洗濯物を干したり用事を済ませたりしていた。最後には「ありがとうございました」と晴れやかな表情に。学生ボランティアに子どもたちが大変慣れ、小学校低学年の子どもは「抱っこ」「おんぶ」と甘え、高学年の子どもたちは、大人ボラ持参のけん玉やボール遊び、中学生男子も子どもスペースに出てきて、おしゃべりしたり絵をかいたりした。

(子どもの声)
5月4日
・「次いつ来るの?」何度も聞く(中3女子)
・「秋に体育大会があるからみにきてほしいなぁ」(中2中3女子男子)
・「地震、またくる?」(余震の際に)(小2男子)
・(9日からの学校再開で)うちらがいなくなったら大変だよねー。しばらくは3時とか早く帰れるから来れますよ」(中3女子・ボランティア)
・「1か月早い!休みが長すぎたなぁー」(中1女子)
・「月曜から5時半起きで6時半のバスに乗らなきゃならないー。憂鬱」(高1女子)
・「あの子(小2男子)のお母さんやばい。あの子もやばいけどお母さんはあの子に蹴られれてもなんも注意もせん」(中3女子)

5月8日
・きのう水がやっときたんですよ。もう何週間ぶりで家のお風呂にはいったんです(嬉しそうに)(中3女子)
・明日から学校が始まる。市内の高校なので朝5時半起き。ゆううつ~。6時半のバスに乗るから。帰りは8時か9時ごろ。部活やったら9時過ぎるかな~。休みが長すぎた~」高1女子
・地震は怖いけど熊本の人はラッキー。津波の方がもっと大変(小6男子)
・墓、やばいよ。ぐちゃぐちゃで骨まで見えとるよ(中3女子)
・明日から学校だけど、3時には終わるから3時半には(避難所となっている体育館に)来れますよ(中3女子)
・家に帰っても誰もいないから一人じゃこわいけん、学校終わったらここ(避難所となっている)にきてもいい?みんないて安心。お母さんには仕事終わったらここに迎えに来てもらう(中3女子)

【足湯ボランティア】
★御船中学校(5月4日11名参加)(5月5日13名参加)
・この前のマッサージは腕をさするだけだったけど、今回のはうれしいよ。トイレ掃除を手伝うから言ってね(64歳女性)
・散歩はするけどあとは外に出て運動とかはしない(80歳男性)
・昨日まで自宅にいた。役所の方から移るように言われ、今日からこの避難所へ。脳震盪で腕にしびれがある。手もみは大丈夫(70代?男性)
・今は静かだけど夜は人がすごい来る。寝に来る。いびきかくひともいるから、俺が寝れるのは夜中も夜中。学校が始まるんで出て行かなきゃいけないけど行先はない。テントで野宿かなぁ(笑)(83歳男性)
★カルチャーセンター(5月5日6名参加)
・夜勤(介護職)から帰ってくると、ゆっくり眠れないし、

避難所からの通勤が大変。(60代男性)
・自分の管理している畑でテントに泊まっている。ごはんはカルチャーセンターにもらいに来る。(60歳男性)
・生もの(野菜・魚)がない。炭水化物が多くて自分で買って外で食べてる。足湯と言わず、ゆっくりお話ししてリラックスできるところ、って言った方がいいよ。(周りの方への配慮から)(60代男性)
・寝ている時間が増えた(97歳女性)
・膝が痛い。震災前より寝て過ごす時間が増えて、とても退屈。(92歳女性)
・自衛隊の風呂が暗くて足元が少し危ない。あまり見えないよ。時々華ほたるに行くけどタクシー代が高い。シャトルバスがああれば便利ですよね。(80代女性)
★御船中学校(5月8日10名参加)
・最近、食欲がなく、あまりご飯が食べられない。親戚が益城で被災したが家がつぶれてしまった(30代男性)
・地震で自宅が住めなくなって近くの避難所にいったが、そこも2度目の地震で使えなくなってしまった。避難所(体育館)にいても、地震が発生すると安心して眠れない。(80代男性)
・最初ここに来たときにねむれなかったけどやっと慣れた。今は大丈夫よ。地震の時ひとりだったから、こわかったよ。だんなが十何年前に亡くなったから、娘と孫は近くにいるからすぐ家に来られた(70代女性)
・地震があってこわかったよ。もう寝てたから。ベッドから落ちて左腕をちょっと痛めた。そして4日間孫5人と車の中で避難して車中泊してた。それが原因かわからないけど足に血栓ができた。明日また病院にいく。この間エコノミークラス症候群の検査でレントゲンを撮ってわかったよ。どこも痛くなかったし、震災前、何の問題もなかった。でも死ぬなら一瞬で亡くなりたいね。娘に迷惑をかけたくないからエンディングノートを書いたよ(70代女性)
・あさって自衛隊のお風呂が終わり。どうしよう?ないと困ります。温泉はあるけど坂之上ですよ。歩くのは無理です。家は中原団地だから帰れないところ。うちにねこ5匹、犬5匹。1回ここに連れてきたけど車の中にいるのが怖かったみたい。今は10匹家にいる。毎日バスで帰って餌をやる。大変です。明日仕事が始まるけどバスで行かなければならない。前は自転車で10分で行けた(60代女性)
【母の日プロジェクト】
御船中学校避難所には、開所直後に避難していた中学生が「ここにいるよ」「安全だよ」とLINEで仲間に発信し、避難している子も、自宅に戻った子も、学校再開まで毎日避難所に通い(中学校)避難所運営のボランティアを始めた。コアメンバーは小6~中3までの6人。それに3月に卒業したばかりの高1生がいて10名ぐらい。トイレ掃除、ゴミ捨て、物資搬入時の運び込み、食事時の配膳、配給係、小さい子供の遊び相手など、大人の手の足りないところをきちんと担っていた。9日からの学校再開に向けて大人たちが中学生がいなくなる不安を口にするのを聞いていた。「私たちがいなくなったら、どうなるんだろう?」彼らなりに大人を心配していた。RSYスタッフからリーダー格のAさんとB姉妹に「みんながいなくなると寂しくなるけど、母の日にみんなにあげられるものを何か作って一人一人にメッセージを伝えない?」と提案。すぐに反応し、スタッフ持参の折り紙でカーネーションを作ることに。7日~8日にかけて、子ども達がせっせと制作していた。「200個作る」という目標は彼女たちが立てた。その後、配布時に持つ看板、お花を入れる箱作り、体育館内をまわる段取り、配布する時にかける言葉のコメント決めた。

男女の別なく避難所に居る方すべてにひとりずつ手渡しした。配布し始めると、寝ていた高齢者などが起き上がって順番が来るのを待っていた。ほとんど接点がなかった人も「明日から学校なの?がんばってね」「ありがとうね」「大事にします」と感謝の言葉を口にしていた。涙ぐむ人、もらってすぐに花を飾る人、自分の所有しているレコードを中学校に寄附したいと申し出る人、一緒に写真を撮ろう、という人、さまざまな反応があった。その他派遣看護師、役場職員、町長にもカーネーションをお届けした。
【山間部集落への支援】
・田代地区、浄化槽被害宅へトイレカーを設置
・田代東部公民館、屋外シャワー環境の整備
・玉虫南住宅への炊き出し・足湯支援

(住民の声)
・役場からの広報が全戸に回っていない(在宅・70代男性)
・山の方はなんだか役場に見放されてる感じがしてしまう(在宅・60代女性)
・うちも自宅の片づけはまだ終わってないけど、ここ(店、弁当や野菜果物販売)を開けないと困る人がいるからがんばって店を開けてるの。大変だけどみんながんばってほしい(在宅・50代女性)