支援物資等を提供する
被災地では、さまざまなモノが不足します。ただ物資の提供による支援には様々な問題が伴います。
ここでは過去の災害事例から、その際に知って頂きたいことをまとめました。
ご支援を検討されるにあたって、事前にご一読頂けると幸いです。
物資による支援をする前に
- 1. ものが不足するのは、ものが無いからではない
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日本国内の場合、現状、災害で直ちにものがなくなるということはありません。
交通やライフラインが断たれて、一時的に品不足が起こるだけです。被災地のす ぐ外では、企業も自治体も、たくさんの商品や備蓄品を持っています。
供給ルートが立ち直ればすぐに大量の物資が被災地に届きます。逆に被災地へのルート、 被災地内のルートが寸断されている限り、個人で物資を送っても、被災者には届きません。
- 2. 届いた時には必要とする物が変わっている
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水が足りない、毛布が足りない......と、TVや新聞で訴える被災者。
でもそれから物資を送っても、被災地に届くまでに数日かかります。その間に被災地で必要なものは変わってしまいます。
受け取り手がいなくなった物資は、被災地で不良在庫になります。
- 3. 個人の物資支援はむずかしい
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個人で送れる物資は、量も質もバラバラです。特に面倒なのは、同じ箱に衣類や学用品や食料をまとめて詰め込んだもの。開封して仕分けないと配布も出来ない のですが、災害時にそんな人手はありません。
被災自治体は職員が総動員で被害の確認や避難所の運営に当たっています。
こうした人たちに一層の負担を強いる ことになりますし、結果的には有効に配布できないまま終わってしまうことになります。
- 4. 保管も処分もお金がかかる
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物資には保管料もかかります。最後の最後まで余った物資は廃棄処分することになりますが、阪神・淡路ではある自治体で物資の処分に2,300万円かかったそうです。
被災者の税金を使って処分しているのですから、こうなるともはや二次災害です。
- 5. 「まだ使える」ものと、「これなら使いたい」もの
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自分のタンスにあるもので「まだ着られる」と思う衣類と、フリーマーケットで「これなら着てみたい」と思う古着、品質にずいぶん差があります。
「まだ使える」と思って送ったものが、相手に「これなら使ってみたい」と思ってもらえるか、考えてみましょう。
「まだ使える」中古品を被災地に送って、そのぶん自分が新品を買うのなら、はじめから新品を買えるお金を被災地に送った方がいいですよね。救援物資は在庫処分ではないのです。
- 6. 送るときに注意したいもの
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- 古着......シミの付いた下着の仕分けをしたことがあります(>_<)。人によって基準が違うため、判断が難しい面があるので、なるべく新品を送るようにしましょう
- 食料......生鮮品は腐ります。保存食なら自治体に備蓄があったり、企業から提供があります
- 7. ものは金に替える
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ものを被災地に役立てたいのなら、フリーマーケットなどに出品して、お金に替えてしまうのも手です。
売り上げた金額は少ないかもしれませんが、だいたい宅 急便一箱送るのにもけっこうお金がかかるのです。その送料分を上乗せして被災地に送れば、それなりの金額になります。
- 8. それでもものを送る場合
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被災地支援をしているNGO/NPOやボランティアグループが物資の募集をしていることがあります。
これまでの経験を踏まえて、あらかじめ品目を絞った り、被災地の外で仕分けをして被災地に届けるしくみを考えたりしています。
いきなり被災地に届けるよりは多少は有効に使ってもらえる可能性が高いです。
ただ何日も前の新聞記事に乗っていたからといって、その後もずっと募集を続けているわけではありません。ウェブサイトで状況を確認したり、あるいは団体の事務所に電話をして確認することが必要です。
以下に参考となる資料や書籍をご紹介します。
支援物資セット化マニュアル 〜 被災者とモノを通じてココロを通わせる方法 〜
RSYではこれまで、多くのボランティアや企業の協力を得て、被災地に支援物資を送り届ける活動を続けてきました。これらの経験をまとめ、他の団体やボランティアにも活用していいただける「マニュアル」を、2012年競輪補助事業の助成を受け制作しました。
- 第一章 セット作業の考え方
- 第二章 支援物資セット化を計画する 第三章 セット作業を準備する
- 第四章 セット作業に取り掛かる
- 第五章 後かたづけも忘れずに
- 第六章 支援物資を発送する
- 第七章 セット化が難しい場合の工夫 第八章 個別ニーズに対応した物資の支援
中越発 救援物資はもういらない!? 〜 新しい善意(マゴコロ)の届け方 〜
「新しい善意(マゴコロ)の届け方」をテーマにまとめた冊子です。
RSYで販売しているものですが(税込630円)、下記より一部抜粋でご覧頂けます。
書籍のご購入はコチラよりお願いします。
- 「物資」を巡る長岡市の対応
- 「第2の災害」を振り返って
- 「救援物資はもういらない」というほど過激ではないが
~2004年 台風23号・豊岡水害~
- 災害時要援護者が人間らしく過ごすために必要なモノ
- マゴコロ~それは思いが伝わる、思いに寄り添うキュウエンブッシ~
- 提言for受ける側(特に行政へ)
- 提言for送る側(特に市民へ)
- 被災地の移り変わりと支援のあり方
物資が来たぞう!!考えたぞう!! 〜救援物資の送り方、受け方、配り方〜
KOBEの検証シリーズ:「物資」編
救援物資の送り方、受け方、配り方についての冊子です。
RSYで販売していたものですが、販売を完了しました。
下記より一部抜粋でご覧頂けます。
※この冊子では古着を扱うことを前提に考えられていますが、古着は非常にロスが多いため、基本的には送らないことを前提に考えてください。
- 物資よりはお金
- 何が必要か確かめてから送ろう
- 数量をまとめよう
- 段ボールに詰めるときに気をつけること
- 送るさいに品目リストをつけよう
- 不必要な物を事前に処分しよう
- 下着類は新品を
- 電池等、交換の必要な物は予備もつけよう
- 送った物資の使われ方は現地にまかせよう
- 送らないようにしたいもの
- 季節を考えよう
- 性別サイズなど箱に明記する
- 善意の古着ー困った!(神戸新聞記事)
- 必要としている物と数を明確に伝える
- どこに送ればいいのかを明確にする
- いつまで必要なのかを明確にする
- いらないものはいらないとはっきり言う
- 近隣の避難所などと過不足を補い合う
- 保管管理・流通はプロの方法を参考に
- 余った物はリサイクル店へ
- 送り主へのお礼は必要か?
- 平等に配布できない場合もある
- 災害弱者に対する考慮をしよう
- 必要な物資に関する正確な情報をまとめよう
- 物資の収集・仕分け場所を被災地外に設けよう
- ボランティアとの連携をしよう
- 給水車と同じ要領で物資も隅々まで配布しよう
- 必要な物を正確に報道しよう
- 自社製品の提供などを一層推進しよう
- 仕分け作業場の具体例
- 島原神戸方式の提案