【第17報】8月28日からの大雨洪水について(名古屋市)

松田です。昨日(8日)の中川区での活動について、RSY新スタッフ関口さんの報告をお送りします。
 中川区役所講堂の災害ボラセンには市社協の職員を含め14人が集合。前日7日にようやく状況が把握できた長屋のお宅と、片付けに苦労されている独居のお年寄りが最低2人はいらっしゃる木造アパート、の2手に分かれました。
 長屋には午前中、奥さん1人がおり、あいさつはできましたが引越しをするかしないかなどはご主人次第で、それまでは手をつけないでほしい、とのこと。台所は見させてもらったものの、途中で知人の家に行くと言って外出してしまったりとまだ気持ちも不安定なようすで、ボランティアも長時間待ちぼうけ状態となってしまいました。
 その後、区役所を通して息子さんと連絡が取れ、「洗濯機をごみとして出してほしい」との話を受けて裏庭に。ここに数十年前からのものとみられる洗濯機が3台も放置されており、トタンの塀を一部こじ開けるような形で何とか外に移動させました。 午後、その息子さんが戻ってきてから作業は急展開。市営住宅への入居が決まり、きょう中に引越しをしたいという話になり、とりあえず出せるものは出し、より分けるものはより分けようと、別グループのボランティアも加わって10人ほどの態勢で一気に作業をしました。
 直接大雨の被害とはいえない、雑然とした暮らし方で、整理するにも奥さんの意見と息子さんの意見が食い違ったりして非常に難儀はしました。しかし、息子さんのしっかりした態度と作業の進展を見て奥さんも落ち着きを取り戻したようすで、「何にも手をつけないで」という当初のかたくなな姿勢は次第になくなっていきました。
 最終的に時間切れとなってしまったことと、今後の家族の方針がまだはっきりしないことから、とりあえず今夜いるものだけを社協の車を借りて市営住宅へ、その他のものは隣家に一時的に保管するという形を整えて、本日の作業を終了しました。
 都会の真ん中で、うまく地域に溶け込めないまま大きな災害に巻き込まれてしまい、茫然自失してしまった家族の悲劇をみてしまったような気がします。こうした家庭状況にボランティアがどこまでかかわり続けるべきなのか、今後も判断は非常に難しいと思いますが、やはり「1点突破」で現状を把握でき、実際に新生活へ導いたという意味は大きいと思います。最後に奥さんが複雑ながらも安心したように見せてくださった笑顔と、被災10日後とは思えぬほどうずたかく積み上げられた被災ごみの山が、そのことを象徴していたように思えます。