記憶の手作り表札

みなさま

お世話になっております。RSYきずな館 飯田です。

昨年5月からの「まごころ表札プロジェクト」。応急仮設住宅にお住まいの方以外で、ご要望をいただいた方々への配布が終了しました。

先日お渡ししたSさんの声をご紹介します。

「家は直して住んでるし、家族はみんな無事だったんだけど、被災したことは忘れたくないし、(表札で)あの時のことを思い出すきっかけにしたいんだ。助け合ったり、思いやったりした、日本の心みたいなもんを取り戻したような気がしたんだよねぇ。今は物も買えるし、水も水道から出るからいっぱい使ってしまうんだけど…。慣れてしまうから、戒めじゃないけど、こういったものはいつも見えるとこに飾っておきたいね。(仮設ではない)私たちのことを忘れないでいてくれて、ありがとう。」

Sさんは震災当初避難所だった国際村にて、炊き出しのお手伝いをされたり、仮設住宅が建設された後も、地域の力を取り戻すため、集会所にて健康体操のチームで活動を続けていらっしゃいました。そして今年2月、コミュニティが安定し、ボランティアがいなくても自立した活動が続けられるとの判断で、健康体操の活動は終了となりました。

「必要なくなれば終わりになることは当たり前。だから寂しくないのよ。七ヶ浜に住んでるけど、遠くから来てくれるボランティアさんのように役に立つことがしたかったから、役割が果たせたかなーと思うよ。」

お話の中で、被害が小さかったから誰にも話せなかった。と、震災当初の話をポツリポツリとつぶやかれました。それぞれが大地震を体験していて、忘れることができない現実は拭い去ることはできませんが、Sさんはその記憶の中に、震災がなければ出逢えなかった大切な人や、大切な想いを見つけていました。

Sさんは現在も地域を見守る活動を続けており、私たちにも「何かできることがあったら、声をかけてねー」と元気におっしゃってくださいました。