宮城県七ヶ浜町支援報告【第15 報】「たべさいん」プロジェクト

皆さま
RSY浦野です。
宮城県七ヶ浜町に今月23日に「ボランティアきずな館」をオープンしてから、約10日が経ちました。RSYボランティアバスを含め、毎日50名~60名近くの宿泊者が利用しています。
また、毎日オープンしているお茶のみ喫茶には「毎日来るわね~」という言葉通り、常連さんもできました。毎日15名程の方々が立ち寄って下さいます。
KISSA1.JPG
さて、今回は「たべさいん」プロジェクトのご紹介です。
この取り組みは、七ヶ浜町在住の地元ボランティアKさんの発案により始まりました。
避難所生活が始まって間もなく、独自で傾聴ボランティアとして活動されていたKさんは、80歳を超えるお年寄りが、「他に食べるものがないから仕方が無い・・」といいながら、カップラーメンをすする姿を見て、大きな衝撃を受けました。「せめて今まで毎日食べていたであろう漬物やおひたしを食べさせてあげることはできないのだろうか」と考え、近所の協力を得て野菜を集め、週に数回、サラダやおひたし、お漬物、果物などを持って避難所に届けていらっしゃいました。
避難所の食事は、朝と夕方の2回。基本的には当番制で、避難所で生活されている住民が協力し合いながら作ります。しかし、一回の食事は約400食もあるため、あまり手のかかる料理をつくることはできません。また、当番制とは言え毎日の食事作りは相当な負担もかかります。
しかし、最近は炊き出しボランティアが多く現地に入っているため、昼食を中心に、たまの夕食も外部の炊き出しボランティアが賄うこともあります。
メニューは多岐にわたりますが、ここ最近で私が覚えているのは以下の料理です。
・唐揚げ弁当
・韓国料理(チヂミ・プルコギなど)
・ラーメン
・インドカレー
・きりたんぽ
・焼きそば・ソーセージ・カンガルーの肉
・たこ焼き・やきそば
炊き出しにはいつも行列ができ、子どもや若者、働き盛りの方々には大人気ですが、70代以上の高齢者はかなりキツイ内容です。喫茶に来るお年寄りも「いつも魚や野菜ばっかり食べてたからねぇ。脂っぽいものは食わんね(たべられない)。」と口々におっしゃっていました。きずな館には厨房もあるので、何とかしたい・・と考えていたところ、たまたまKさんがきずな館を訪ねて下さいました。Kさんの「野菜と調理をするところさえあればもっとちゃんと続けられるのに・・・」という最後の一言で、今後の連携のイメージがすぐに頭に浮かびました。
まず第一に、これまでRSYも支援してきた宮崎県・新燃岳噴火災害で、被災した農家さんから「私たちも東北の方々に何かしたい」とご提供頂いた食材の一部を、この活動に提供する。第2に、Kさんの所属する『七ヶ浜婦人とくらしを考える会』ともう一つの地元ボランティア団体『ゆいの会』さんがきずな館の厨房で料理を作り、地元と外部ボランティアで一緒に避難所にお届けする。
この構想をKさんにお話ししたところ、「すぐやってみよう!」と、その日のうちに4~5名のボランティアさんが集まり、新玉ねぎと人参のマリネやキュウリと大根などの漬物などがあっと言う間にできました。
TABENSAI2.JPGTUKEMONO.JPG

その後、地元ボランティアさんが避難所のお年寄りに届けたところ、涙ながらに「嬉しい」と喜ばれたそうです。
また、まだ新燃岳の新鮮な野菜が沢山あったため、避難所である中央公民館(生涯学習センター)におすそ分けをしたところ「こんなに新鮮な野菜は本当にありがたい」と、食事を作っていた方々の表情が一瞬でパッと明るくなりました。
SHINMOE.JPG
七ヶ浜町では、町としての物資の受け付けは終了となっているため、なかなか新鮮な野菜が入りにくくなっているとのこと。それだけに、新燃岳の野菜は「とってもありがたい」と大変喜ばれました。今後も安定的な提供ができるよう、調整する予定です。
そんなわけで、ボランティアきずな館での新しいプロジェクトとして、「たべさいんプロジェクト」が立ちあがりました。「たべさいん」という方言は、「どうぞ召し上がって下さい」という意味だそうです。
避難所にいるお年寄りにとって、この活動は生命線と言っても言い過ぎではないと思います。健康を維持するための食事はもちろんのこと、それ以上にお料理に込められた「まごころ」と、配る方々の「笑顔」は、間違いなく沢山のお年寄りの心の支え・救いとなっていることでしょう。