宮城県七ヶ浜町報告【第48報】七ヶ浜・紀宝町つながる輪

みなさま
RSY浦野です。
11月5日、台風12号・15号で甚大な被害を受けた三重県・紀宝町へ、浦野・清水(七ヶ浜出身・RSY七ヶ浜きずな館スタッフ・足湯担当)で、七ヶ浜からの応援グッズを届けてまいりました。
○紀宝町足湯チームとの交流
9月中旬にRSYが紀宝町に現地入りした際、避難所の方々が心身ともに相当な疲れを抱えていらっしゃる姿を目の当たりにしました。七ヶ浜で継続していた「足湯」が、きっとここでも喜ばれるのではと考え、災害ボランティアセンター副センター長のHさん、スタッフのTさんに相談しました。するとすぐに地元ボランティア「女性の会」の方々が集まり、「力はないけれど、できることがあればぜひやらせてもらいたい」と、9月22日~10月11日まで、避難所の足湯ボランティアとして活動されました。
今回は「女性の会」の役員さん4名がお集まり下さり、意見交換をさせて頂きました。
初めて足湯をした時の緊張感、印象的だった住民の方の言葉、活動の中での工夫などを体験報告をしながら、七ヶ浜・紀宝町で、お互いの知恵と想いを共有しました。
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(紀宝町足湯チームのコメント)
・最初はなんと言葉かけしていいのかわからず、冷たくなった手をただ握ることしかできなかった。でも、80歳前後のお年寄りが「こんなことをしてもらったのは生まれて初めて」と涙をながして感謝の気持ちばかりをおっしゃられていた。このような活動ができて本当によかったと思えた。また、自分の家も大変な状況の中、人に対してこのような言葉がかけられるのはすごいことだと思った。
・何度か通っていても、発災直後の話を初めて話すように何度もされていたのが印象的だった。命からがら避難された方が多かったことに驚いた。
・足湯をさせて頂いた方と、避難所を出てからもお付き合いがある。足湯がなければ繋がらなかった縁。他の方に対しても「あの人、今どうされているかなぁ」と気にかかる。
・足湯は人と人とが触れ合うためのきっかけづくりなのだと思う。
○避難所の訪問
現在3か所・約30名の方が避難所生活を送っています。その多くは、家屋が全壊し居住地を探している、又は改修が終わるまで待機している方々です。当日はお仕事やおうちの片づけなどで出かけている方が多かったのですが、清水から残っていたみなさんに「宮城から応援しています。」という言葉と共に、カエルちゃん人形と桜の木メッセージキーホルダーを手渡し、想いを託しました。
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(避難所の方のコメント)
・東北の災害に比べたらこっち(紀宝町)の被害なんか大したことないよ。でも今回の水害では2階まで水に浸かってしまった。台風当日は仕事をしていて、かなり遠回りして自宅に戻った。車も水没しながら何とか家までたどりついた。大工さんに改修してもらってるけど、大工さんも一人で10軒ぐらい受け持ってるみたいでなかなか進まない。一部屋だけでも寝れるようにしてもらえるといいんだけど。いつそれが叶うか、いつまで避難所生活が続くかわからない。(最初はとても疲れたお顔をされていましたが、カエルちゃん人形を手渡すと、表情が和らぎ、お見送りもして下さいました)
・私の家は流されちゃって、帰るところがないの。でも今度アパートに引っ越すよ。2階付のアパートを紹介されたけど、上り下りが大変だと思って断ったの。私の家は150年前のものだから、おっきかったんだよ。5,6世代続いてるんじゃないかな。家の周辺がほとんど親戚でね。それが土砂崩れで全部ダメになってしまった。おばちゃん心が折れたわ。立ち直れんわ。でも私がみんなを助けたようなもんなんよ。家に水が入り始めて、すぐにダムの放水だってわかったの。すぐに家族を起こして車に乗って山の方へ逃げてね。山にいる時は舌を噛むほど(土砂くずれで)すごく揺れたのよ。でもある意味私たちは「水」で助かったようなもんやわ。もし気づかなければ、土砂崩れに巻き込まれていただろうから。何もかも無くなったけど、文箱だけは奇跡的に見つかったの。れなちゃん(清水の名前)、お手紙書くから住所教えて。あなたがお家に着く前に手紙がついているようにしたいの。れなちゃん、おばちゃんは大丈夫だから心配しなくていいのよ。
・私は一人暮らしで、水害の時犬を連れて山に避難したの。雨でずぶぬれで夜中で真っ暗だったから怖かった。でも犬がいたからよかった。避難所では一緒にいられないから、犬は今家にいるの。家の修理をお願いしているんだけど、大分進んできて、あとは天井を貼るだけになったよ。カエル、みんな喜ぶわ~
○在宅避難者の方への訪問
紀宝町には応急仮設住宅は建設されず、町は、民間アパートを借り上げ、半年間家賃を無料にするという措置をとりました。住み慣れた地域を離れ、新しい環境で新生活を始めたみなさん。社協さんのはからいで、これらの方々のお宅を訪問させて頂き、カエルちゃん人形をお届けしました。
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(在宅避難者の方のコメント)
・遠いところからありがとう。(カエルを見て)私もこういうの作るの好きなのよ。水害で家がだめになっちゃって、ここへ来たの。以前は「なれ寿司」っていう郷土料理を作っててね。取材も来たのよ。その時の記事が奇跡的に残ってて。ほんとにうれしかった。「なれ寿司」はさんまやあゆを塩に漬けて、ご飯を柔らかく炊いて作るのよ。でも桶や道具が全部だめになってね。だけど周囲の人たちは「作ってほしい」って待ってくれているの。だから作るよ。今は前の地域を離れちゃったけど、同じ地域の人があと二人お隣さんで一緒だから安心。買い物はこっちの方が楽。ずっといてもいいくらいよ。
・わざわざ遠いところありがとう。かわいいねぇ、このカエル。鍵も入るの?玄関に下げておくといいかな。みんな良く考えて作ってくれてるのね。ありがたいねぇ。
・え~!宮城から来てくれたの?ありがとう。お家は大丈夫だった?あちらのみなさんの方が大変でしょ?でも、津波も台風も、水の被害は大変よね。今はようやく引っ越しが終わったところ。前住んでいた場所よりも高いところの家に入れたから、水は心配ないけど、土砂崩れが心配。やっぱり雨がふると不安になるね。ボランティアさんに泥かきとかやってもらったけど、本当にありがたかった。ボランティアの力はすごい。まさかこんな所にまで水が来るとは思わなかったからね。お互いに体に気を付けてやってきましょうね。
・親戚縁者で何とか片付きました。100年以上たっていた家が泥だらけになったけど、何とか少しずつ片付いているかな。でも住めないからここへ来たの。カエルかわいいわ~。ありがとうね。
■RSY清水より
被災者の方々は、「東北の被害に比べたらここは何ともない」とおっしゃていたのですが、災害の規模の大きさなど関係なく、「お互いに頑張っていきましょう!」という気持ちが大切だと思いました。紀宝町は本当にやさしくて、思いやりにあふれた素敵な町だと思いました。みなさんもカエルちゃん人形を見て「かわいい」と喜んで下さったので、直接手渡しでお渡しで来てよかったなぁと思いました。台風12号・15号の水害情報は東北ではあまり放送されなくなりました。今回実際に紀宝町に来ることができて、また貴重なお話も聞けたのでとてもよい経験になりました。
台風から2か月。紀宝町は七ヶ浜町と同様に復興の途中にあります。しかし、お互いを心配し合い、気遣いあう想いをカエルちゃん人形が繋いでくれ、紀宝町のみなさんに一瞬でも笑顔を運んでくれたことを、七ヶ浜町のみなさんもきっと喜んでくれるであろうと思います。今後も継続的にこの繋がりを育てていけるよう、RSYも応援していきたいと思います。
この取り組みについて、多大なるご協力を頂いた七ヶ浜町災害ボランティアセンター、住民のみなさん、紀宝町社会福祉協議会のみなさん、タオルを提供していただいたコープあいちさん、会員・ボランティアのみなさんに心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。