東北地方太平洋沖地震について【第8報】

みなさま
13日より現地入りしているスタッフ・関口からの現地レポートをお伝えします。
◇3月17日(木)
【山形県内】
 原発事故の拡大で、福島県に住む人たちが避難勧告を受けたり、自主的に避難したりして隣接県に移動してきている。山形県にもすでに2000人近くが流れ込み、その数は日に日に増えているという。県内全市町村に避難所が開設され、その運営や支援が大きな課題になりつつあるということで、県社協や地元NPOの状況視察に同行させてもらった。
 山形県南部の市町を回ると、それぞれ2、3カ所の避難所が設けられ、刻一刻と増える福島県からの避難者を受け入れていた。ただし、地震や津波で家を失った被災者とは違い、家自体はまだ原発周辺に残っていて、ある程度の食料や毛布などをもって家族単位で逃げてきている人が大半。原発事故が不安で西に向かって車で退避してきたのはいいが、途中でガソリンがなくなって動けなくなり、その町の避難所に駆け込んだ人もいるという。
 避難所での対応は各市町によってまちまち。ある町は災害対策本部と社会福祉協議会が連携し、避難者の体調や要介護度を調べて深刻な状態の人はバリアフリーのある施設に移すなどの配慮をし、食事も婦人会らが炊き出しをして提供している。
 一方、別の町は社会福祉協議会は関与せず、食事も避難者自身に確保してもらうことを前提として一切提供していない。夜間も避難所となっている公民館の職員はそのまま帰宅させ、避難者だけを残している。
「冷たい対応」だと非難することもできようが、帰る家がまだある人たちに対して過剰に支援しすぎると、その環境に依存してしまうという理屈にも一理ある。
あえて一時的な避難場所を提供するだけだと割り切ることも必要なのだという。
 どちらにしてもこれだけ大規模な原発災害は日本では初めての事態であり、すべての住民や自治体がまったく未知の対応を迫られている。
ボランティアセンターも各市町に開設されつつあるが、実際はまだ具体的な対応はしていない。長引く燃料難もあって、住民自身も思うように動けない中で、受け入れ市町村からは戸惑いや苦悩の声が聞こえてくる。
 この混乱が広がっていけば、山形県内のNPOやボランティアが地元の対応に追われ、宮城県などの被災地支援にまで手が回らなくなってしまう可能性もある。山形県を拠点に動こうとしているわれわれにも大きな不安要素、不確定要素だ。
 原発という究極の文明の利器が、自然の力によって破滅的な被害を受け、電気というインフラによる快適さを享受してきた都市住民が地方へ大移動する。
事態がどう収束するのかはまったくわからないが、この震災が突き付けているのは日本という国のあり方、日本人のライフスタイルの見直しを迫る大問題だ。これを単に避難所やボランティアセンターの形づくりに矮小化してしまってよいのだろうか。腰を据え、先を見据えた議論がなされたうえで、地域ごとの対応が施されてほしいと願う。そのための時間は、まだ猶予があるはずだ、と感じた。
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