「お茶のみ喫茶」始動!

皆さま
RSY浦野です。
4月26日(火)より、ボランティアきずな館の1階共有スペースにて、「お茶のみ喫茶」を開店しました。
この喫茶は、避難所の足湯ボランティアで拾ったつぶやきの「避難所にいると体を全然動かさない」「日中何もすることがない」「集団生活がしんどくなってきた」などの声から、少しでも気分転換できたり、ホッと一息つける場が必要だと感じて始めることにしました。
どのタイミングでスタートしたらよいかと考えていたところ、ちょうど26日から1カ月間、きずな館の前で、災害ボランティアセンター主催の常設フリーマーケットが開催されることになり、それに合わせてオープンしようと考えました。
避難所になっている生涯学習センター(中央公民館)からボランティアきずな館まではゆっくり歩いて2~3分です。コーヒー、紅茶、緑茶のいずれか1杯+お茶菓子のセットで50円で提供することにしました。
26日午後1時、開店。
「警戒心もあるだろうし、この建物の中に地域の皆さんが足を踏み入れて下さるまでには、結構時間がかかるかもしれないなぁ~、今日は1人でも来てくれればよしとしよう・・」と自分に言い聞かせていました。「お茶でも一杯飲んでいきませんか?喫茶店やってます!」と、あるご婦人に声をかけたところ、「あら、そう?じゃぁ行くわ~」とお友達二人を連れて、何の躊躇も無く中に入って下さいました。
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それから数珠つなぎのように、一人、二人と足を運んで下さり、初日の最終集計では、15名の方がご利用下さいました。以下、昨日、今日の二日間でいらっしゃった皆さんがお話されて行かれた言葉です。
「私の家は海のすぐそば。津波で基礎しか残ってないよ。家にいた時に地震があって、隣の家が地面ごと横にゆらゆら揺れるのを見た。ほんっとに怖かったよ。忘れらない。最初にぐらぐら~っと揺れて、屋根瓦がガシャンっと落ちて、それが3回も続いたんだ。車で高台に逃げたけど、波が家をどんどん飲み込んで行くのをみた。潮が引いてから見に行ったけど、なぁ~んにも残ってなかったよ。どこに流れて行ったのかさえも、何も分からないよ。」
「まさかこんな目に会うとは思わなかった。五十数年前のチリ地震も体験してるけど、今回のは本当に大きかった。船が私の家めがけて勢いよく流れてきたんだよ。家の窓から見た。もうダメかと思った。ここで終わりだと思った。でも家の前ギリギリで止まったんだよ。運がよかったんだなぁ」
「津波のこと、流された家のこと、仮設住宅入居の抽選のこと・・考えることが沢山ありすぎて、今は何もする気になれないよ。こんな風なら、死んだ方が楽だったかもしれないね。毎晩変な夢をみるの。何かに追われている夢。火が迫ってきて自分を飲み込もうとしたり。夜中怖くてハッと目が覚める。だからあんまり眠れないね」
「津波の映像が鮮明に目の裏に残ってるよ。ふとんに入って目をつむっても、頭にその映像がよみがえるから、パッと目が覚めちゃうの」
「津波はとにかく引く力が強かった。一波が来て波が引いた時は、海底が見えた。一旦2階に避難したけど、それを見てもうダメだと思って逃げたのよ。一歩遅かったら死んでいたと思う」
津波の恐怖、家を失った悲しみ、先の将来(当面は仮設が当たらなかったらどうしよう・・・)への不安が、どの方々からも聞かれました。しかし、大体の方が「毎日開店してるなら、毎日来るよ。避難所でもコーヒー飲むけど、ここにくれば気分転換になるからね」「沢山来れるように、お金貯めるわ~」と、笑顔で帰って行かれました。
この喫茶は、現場で活動するボランティアさんにもご利用頂いています。地元のボランティアさんはもちろんのこと、静岡、名古屋、豊橋、京都・・・様々な場所から来た人たちがおいで下さいました。地震の話や名物自慢など、情報交換や交流の場にもなりました。
また、今日は子連れのお母さんたちもおいで下さいました。
「震災後しばらくは妹の家に世話になっていたの。何とかアパートを見つけたけど、4月の大きな余震で水漏れがして、衣類もぐちゃぐちゃ。地震の影響で業者もすぐに来てくれなかったの。子どもも「怖い、ここはイヤだ」って言って。だからと言って避難所は子どもが小さいから無理だと思ったの。そしたら、たまたま運よくアパートが空いたので今はそこに入ってる。でも家は全部流されちゃった。ただ、だんなも働いてるし、まだこれから頑張ればいいかなって思って。私はアウトレットモールで働いてたけど、企業が撤退してしまったので職を失ったのよ。でも私の友達は子どもが生まれたばっかりだったのに、旦那さんが亡くなったの。本当に気の毒で仕方がない」
町内の給食センターが被災しているため、1年~3年生は当分午前中授業が続くことのことでした。そのせいか、小さな子どもの姿が目立ちました。今日は約25人の子どもたちがきずな館に遊びに来てくれました。
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読み聞かせが得意という地元のボランティアさんとの出会いもあり、大学生たちも沢山来てくれているので、喫茶併設のキッズルームのオープンも近いうちに実現できそうな気がしています。
喫茶に集まってきた人たちと、ボチボチ話をしていると、命以外の全てを失った人たちは、生きるか死ぬかのギリギリのところをかいくぐって来られた方がほとんどであるということが分かりました。
相当な怖い思いをして、全てを失い、仮設に当たるかどうかの不安にさいなまれている姿が見えました。だからこそ、日常化した避難所生活の場を少し離れて、50円のコーヒー代を支払い、被災者という立場だけではなく、お客さんとしてここにきて、外から来る人たちと話をし、安心して笑ったり弱音を吐いたりすることができる場が、今のタイミングで求められていたのかも知れません。
コーヒー(インスタントではないもの)、紅茶、緑茶、抹茶(抹茶茶わんやお手前のセットも含む)などの飲み物、クリープ、ガムシロップに、おいしいお茶菓子(その土地の名物がいい)などの詰め合わせを送って下さる方も募集中です!