宮城県七ヶ浜町報告【第81報】児童館の看板作り!

皆様

お世話になっております。ボランティアきずな館 郷古です。
4月以降も七ヶ浜町ボランティアきずな館のスタッフとして活動することとなりました。
今後とも宜しくお願いいたします。

今回は月1回行われている「親子支援プロジェクト」の「つながる遊び庭こどもアートしちがはま」とはまた別の子ども支援のイベントのご報告です。

七ヶ浜町子育て支援センターに一本の電話がかかってきました。
「はまぎく児童館です。4月からの新入生が快く生活して、遊んでもらえるようにきれいな児童館で迎えたいんです。まず看板を新調したいのですが、どなたか手伝ってくれる人はご存知ですか?」
というものでした。
※ここで予備知識としてはまぎく児童館の説明を簡単にします。
七ヶ浜町に3つある小学校には1年生から3年生までが利用できる児童館というものが必ず併設されています。
その中でも児童館の登録者数が最も多くそして最も賑わうのが汐見小学校の敷地内にある「はまぎく児童館」です。
震災当初も、他の2つの児童館の子どもたちをも受け入れ、3つの児童館の子どもたちをまとめ上げた先生たちのいる児童館でもあります。saisho.JPG
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sakusei.jpg電話を受けた支援センターの方が、仮設住宅の表札作りや仮設店舗商店街の看板作りなどを手がけている私たちレスキューストックヤードにその話を持ってきてくれて、企画が動き出しました。

外においてあった表札として掲げていた大看板の外見はとても古く、黒くなり字が見えなくなっていたのです。
しかし、地元七ヶ浜の子で今回の大工メインスタッフ、しかも「はまぎく児童館」で遊んだことがある卒業生の松浦くんが「木自体はしっかりしているから表面だけ削れば大丈夫。新調はするけど伝統は残したい。」と言ってくれて元の木で看板作成がスタートしました。
もう一人の「はまぎく児童館」卒業生、佐藤くんも一緒に行いました。
彼はボランティアセンターのスタッフでもあり、当日はボランティアセンターから4人連れてきてくれて一緒に企画を運営しました。

3月28日、当日は晴れたり曇ったりと怪しい天気でした。
子どもたちと顔合わせてすぐに「それじゃ、看板を作ろー!」と言っても「誰だろう?この人たち」と思わせるだけで子どもたちも「一緒にやる」のではなく、 「一緒にやらされる」と思うのではないかと考え、13:00からの看板作りより早めに到着してオリエンテーションと称し、お昼を一緒に食べて少し一緒に遊 びました。

するとどうでしょう。すぐに懐いてくれて「このお兄さんお姉さんと一緒にやったらなんでも楽しい!」と思ってもらえる雰囲気が出来上がりました!そ して子どもたちはみんな、ちゃんと言うことを聞いてくれてそして準備も手伝ってくれて、わくわくしながら看板作り企画がスタートできました。
内容はというと・・?
表札である大看板の字は松浦くんが書いてくれていました。、その周りを他の木を使い子どもたちで「はまぎく」を描きました。
「はまぎく」は児童館の名前でもあり、そして七ヶ浜町の町花でもあります。
ペンキで手はもちろん足や顔にまでついてしまう子もいましたが、5のチームに分かれて仲良く笑いながら絵を描いていました。

ペンキを乾かしている間、北海道からやってきた児童館の「つばさクラブ」の6人がはまぎく児童館を訪れ、「はまぎく児童館」のみんなにけん玉と独楽 の芸を披露をし、「はまぎく児童館」の子たちは縄跳びと一輪車のショーをお返しとしてしました。どちらもとても上手で大人顔負けの素晴らしいスキルでし た。
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その片隅、黙々と作業し続ける佐藤くんの姿が・・・
彼は児童館の看板新調のために行ってはもったいないと思い、一人で壊れている箇所の補修をしてくれていました。補修を終えると別の仕事があるのでその場を 去りましたが、先生方はちゃんと見てくれていて感謝の気持ちを彼に伝えて欲しいとの言葉を頂いています。子どもたちも邪魔をせず、「すごーい」と見守って いました。
外に掲げる看板であったので雨風に負けぬようにニス塗りが必要でした。それもあり、28日中には完成ができませんでした。
日を改めまた30日に訪れ、今度は小看板作り班と補修班に別れて作業をしました。小看板は30日来れなかった佐藤くんが作ってくれたもので自立式の何にで も使える看板です。先生たちはお知らせを貼る看板にしたいと言っていたので子どもたちに下地に絵を書いてもらうことにしました。どんな絵を書くのか、どん な風になるか・・わくわく反面どきどきでしたが・・・・
なんと!子どもたちは「ここに花を書いて~」、「それじゃあ、ここにおひさまを書くね」、「わたしちょうちょ書くね!」などと連携をしているではありませ んか。集団生活をしている子たちならではの仲良し具合を垣間見れた気がしました。とても嬉しかったです。補修班も普段使わないインパクトドライバーなどの 工具を使い、棚を修理をしました。
道具を用意する人、材料を切る人、ドライバーを持つ人、棚を抑える人、暗い箇所をライトで照らす人、みんなで一致団結してやりました。集中している姿はとてもかっこよかったです。
小看板作りも補習班もひと通り終わった後、松浦くんが大看板の設置を完了し、みんなで記念撮影をしました。。
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帰る時間となり、子どもたちは「帰らないで~」や「絶対また来て、一緒に遊んでよね」など、数時間一緒だっただけなのにとても名残惜しそうにしていましたが、「必ず、また来るからね」と言うと笑顔を浮かべてくれました。
大人になった時に「この看板はぼくが(わたしが)が作ったんだよ」と紹介できるくらいずっと掲げていられる看板が出来ました。
先生たちも可愛い看板が出来たと大喜び、子どもたちも満足気でした。

—–先生たちのつぶやき—–
「子どもと一緒に遊んでくれるボランティアさんがいないのが現状です。カウンセリングなどのどちらかというと大人向けの企画は昨年もありましたが、一緒に遊ぼう!などの企画は少なかったのです。」
「震災直後はとても先生も子どもたちも心から笑える状態ではありませんでした。今こうやってみんな笑って遊べているのは奇跡としか言いようがありません。支援物資やカウンセリングに来てくれた方、瓦礫を撤去してくれたボランティアさんに感謝しています。」
「津波ごっこや避難所ごっこなどやる子たちもいます。忘れてほしくはないですが、トラウマや足枷にならないようにしっかり見守っていきたいです。」
「是非また、子どもたちと「一緒に」やる企画をたてて欲しいです。」
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「一緒にいて、一緒にやる」このことがこんなにも人の心を動かすとは思いませんでしたが、今回の看板作りの企画はそのスタイルが子どもたちにとっても、良い支援になっているのではないかと思えるきっかけになりました。
先生たちのつぶやきや子どもたちの様子をみると児童館でのイベントも視野に入れつつ、
今後とも「子どもたちと一緒にいて、一緒にやる」というスタイルで支援プログラムを組んでいきたいと思います。

【主催】レスキューストックヤード
【共催】七ヶ浜町子育て支援センター、はまぎく児童館、七ヶ浜町復興支援ボランティアセンター