皆様、お世話になります。
オープニングイベントとして11/8(日)に今回展覧会にご協力いただいた画家古山拓さんをお招きしてのトークイベントを開催しました。
今回お呼びするきっかけにもなった1冊の画集、「七ヶ浜小さな旅ー灯台のある町」を作った経緯、七ヶ浜出身の大学生との出会い、七ヶ浜への想いなどをおはなししていただきました。
古山さんがはじめて七ヶ浜町にスケッチで訪れたのは2008年。
ある時期、仕事が立ち行かなくなった時に「灯台をモチーフにスケッチ紀行を描いてみようか…。そういえば隣町の七ヶ浜に灯台があったはずだ。道がそこから開けるかもな…。」と、思ったところから始まったそう。
なぜ、七ヶ浜だったのか?
「海水浴で馴染みがあったことと、住まう仙台から一番近い灯台がある町、という、いたって単純な理由。ところが、訪れると七ヶ浜は、描くのが楽しくてたまらない、そんな港があちこちにある町だった」と古山さん。
そして2011年の東日本大震災、七ヶ浜町の港や浜は津波にのまれました。
古山さん自身も震災でお仕事も打撃を受け、立て直しに奮闘されていた時、ご友人が出品を促してくれたのが全国のアーティストに「自分の好きな町」を「手作り本」で紹介してもらおう、というアートプロジェクト。その時に製作したのが「七ヶ浜小さな旅-灯台のある町」でした。
のちに700冊限定で自費出版され、七ヶ浜の方々や、震災復興支援で七ヶ浜入りされたボランティアの方々の手に渡りました。その中の一冊が私たちの手元にも届き、本展覧会への実現に結びつきました。
更にこの1冊が、学校の課題のために資料を探していた七ヶ浜出身の建築を学ぶ大学生の手元にも渡りました。
「今は地元を離れているけど、地元のことを想う面白い子だよ」とのことだったのでご紹介いただいて実行委員会に入ってもらい、古山さんの作品に合わせた優しい雰囲気にするための照明のしつらえなど、空間コーディネートをしてもらいました。
そんな素敵なつながりについて、そして来場者の方と作品を眺めながらポロポロとこぼれる思い出話も聞くことができました。
「画集の役割も終わったのかな、と思っていた。」とおっしゃっていましたが、出版されてから3年経った今、この1冊と出会い、そのおかげで私たちは七ヶ浜を想う地元の若者にも出会うことができ、町民の方々と一緒にこの展覧会を開催することができました。
古山さんは「旅をするのが好き。」「絵を描くのは旅をするのと似ていてスイッチを切り替えて、町や見慣れた風景を見直せる」とおっしゃっていましたが、絵を見る方も同じように自分たちの町を少し違う角度から見て、思い返してもらえたら・・・
菖蒲田浜の漁港の灯台、吉田浜の風景の2点はきずなハウスに飾ってありますので、ぜひみにいらしてください。
《来場者の声》
・こんな風に七ヶ浜の良さを残してくれて、嬉しい(70代女性)
・今はもうなくなってしまって観られない景色をこうやって見られると思わなかった(70代女性)
・昔この海岸で貝や海草を取って遊んだけど、堤防ができてしまったからね(80代女性)
・地元じゃなくても思い入れがあって、七ヶ浜のためにこうやって動いてくれている人がいることが嬉しい。もっとたくさんの人に見てもらいたい。どこかいつも飾って観られる場所があればいいのに。(50代男性)