RSY令和6年能登半島地震への対応(第17報)

みなさま

RSY穴水事務局です。1月1日能登半島地震からもうすぐ7か月が経ちます。RSYは1月3日から石川県穴水町に拠点を置き、現在も支援活動を継続しています。

穴水町では2月29日から応急仮設住宅への入居が始まり、最終的には20か所・532戸の仮設住宅の建設が予定されていましたが、最初の入居から約6カ月後の8月3日に、ようやく最後の鍵渡しが完了します。

応急仮設住宅の入居にあたり、今回特徴的だったのは、従来仮設住宅の入居対象外となっていた「準半壊」の方でも、応急修理制度を利用することを前提に、修繕完了までの間一時入居が認められるという点です。石川県の弾力性のある対応で穴水町でも該当するケースが複数ありました。

当初は修繕しながら生活を継続できると見込んでいた方々も、工事の遅れや余震、雨等で徐々に家の損傷が広がったり、井戸や宅内配管の業者が見つからずトイレや入浴、調理等において深刻な生活課題が改善しないという状況が散見されました。結果心身の健康に不調が生じ、ようやく申請を検討するというケースも少なくありません。

6月2日、RSY新拠点「ボラまち亭」(穴水陸上競技場管理棟内)がオープンして以来、仮設住宅・在宅問わず、毎回70名~100名の方が利用されていますが、これらの相談もその際に寄せられたものでした。

そこで、仮設住宅を管轄する町地域整備課に確認したところ、「現在は仮設も町営住宅も空室がないため、要望があっても断わらざるを得ない」との回答があり、公的支援による住まいの確保は打つ手がない状況であることが分かりました。

これら深刻な個別ケースについては、穴水町(住民福祉課、子育て健康課、復興復旧支援室)、穴水町社協(災害ボランティアセンター、ささえあいセンター穴水)、穴水総合病院リハビリテーション部、RSYらで構成される「災害ケース検討会議」で随時共有・検討がされています。また、共に穴水町で活動し、技術系支援の窓口となっているADRA Japanなどとも情報交換しながら、外部の専門業者の招致や自宅の簡易修繕などの協力を頂いています。

制度適用のための一律な線引きが、もともとの生活困窮世帯や、状況の理解や判断が難しい、または介護等の支援が必要となる福祉ニーズの高い世帯の生活環境の悪化に拍車をかけているようにも見えます。地域資源が乏しい中、多くの課題はすぐに解決できないものばかりで、関係者も日々頭を悩ませながらこれらの問題と対峙しています。家屋被害と一人ひとりが抱える生活課題(お金や健康など)、この2つを判断基準にした支援制度の見直しが急務の課題であると感じています。

(被災者の声/主にボラまち亭来訪者ヒアリングより)
・60代・男性
罹災証明書の被災区分は「準半壊」。納得いかなかったので再申請したが判定は変わらなかった。水は井戸から引いているが、地中の土管が複数個所でズレているのか、泥が混じった水しか出ないので、洗濯や入浴、調理全てに困っている。水は公共の給水場まで取りにいき、洗濯は避難所の洗濯機を借り、食事はボラまち亭からもらったレトルトや総菜で済ませている。屋根を業者に修繕してもらったが、応急修理制度のことを知らず申請前に支払いをしてしまい、適用外となってしまった。震災後から動きどおしで疲労が蓄積し、あんな家の環境では身体も心も休まらない。

・60代・男性
震災前に妻が脳梗塞で倒れその後認知症に。ギリギリまで避難所にいたが、閉所されることになり、準半壊で仮設住宅にも入れないため被災した自宅に戻るしかない。簡易水道だが破損し水が出ない。支払える修繕費もない。公共の水道場まで取りにいき何とか対処しているがその生活ももう限界。
・40代・男性
母親と二人暮らし。自分も母も持病がある。築約40年の家だったが全壊判定を受けた。この事実を受け入れられず、修繕すれば何とか住めるのではないかと思い、DIYでトイレなども直したが、日を追うごとに家が傾き、雨漏りもひどくなり、きたない水が2階から染み出るようになってきた。それを見て「もう本当にだめなんだ・・・」と現実が目の前に迫ってきた。ずっと割り切れない気持ちをひきずっていたが、区切りをつけてようやく最近仮設への引っ越しを決意。先日入居したところ。8月に解体を決めたが、気力がなくなってとにかく何をしても疲れるようになった。もう動く力が残っていない。でも今日話を聞いてもらえてよかった。ここに来れば受け止めてくれる人たちがいるということが分かっただけで安心だ。

★ボラまち亭・スタッフのご紹介

ボラまち亭では、地元採用者も含め、現在8人のスタッフが働いています。改めてご紹介致しますので、来訪された際はお気軽にお声がけ下さいね!

ボラまち亭は、孤立・孤独を防ぎ、一人ひとりに向き合いながら、被災者のペースでそれぞれの豊かな暮らしを取り戻して頂くための『みんなの居場所』づくりを目指して運営しています。

 

・全体統括
栗田暢之(RSY代表理事)

・現地責任者
浦野愛(RSY常務理事)

・専従スタッフ
稲垣早律、長田富美子、西井春華(看護師)

・棚取り付けプロジェクトリーダー
中村豊(左から2番目)

・ボラまち亭アルバイト
白藤真紀子(由比ヶ丘団地住民)
仕幸諒俊(穴水高校3年生)
牛上綾那(穴水高校3年生)
※高校生は学校の規定で夏休みの間のみ雇用

★8月もRSYボランティアカーを運行します!詳細・申し込みはコチラまで!

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この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラムのために活用致します。【クレジットカード決済】
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