新潟県中越沖地震[第8報]

皆様
浦野です。お疲れ様です。
現地入りしております松田からの報告をもとに、事務局で取りまとめたものをレポートします。(2007.7.23現在)
[ボランティアセンターでの活動の様子]
■住民主体の活動
○ボランティア「友の会」移動茶の間
・地元ボランティア「友の会」が移動茶の間ボランティアを順調に継続中。回数を重ねる度に、被災された方の小さな変化に気づくようになったり、会話が深まるにつれ、ご本人も今まで我慢していたことを、少しずつボランティアに話せるようになるという関係が育ちつつある。早い段階からの住民の方の介入により、ご本人が安心できる環境が整い、本当に必要なニーズを拾って支援が届けられる仕組みが少しずつ整ってきた。
○避難所での子どもによるボランティア活動
・避難所こども班の積極的な動きもあり、被災した子どもが、避難所内の掃除、炊き出しの配膳、足湯などのお手伝いも始めている。
・掃除の時間も決め、同じ取り組みを続けていく事を子供達が望んでおり、メーリングリストを作って情報共有するなど、継続的な活動に向けて本人たちも主体的になって関わろうという雰囲気が見て取れる。
・地元の大学生(夏休みで帰省)や高校生がこどもボランティア活動の中心的役割を担っている。
・村内には小学校も中学校もひとつだけで、子どもはみな同窓生のため、「高校生から幼稚園児まで皆で遊ぶことができる」(地元っ子談)とのこと。
(浦野主観)
・住民の中には、自らが被災者でありながらも「できることがあればみんなのために何かしたい」という思いを持った方が必ずいる。その思いを掘り起こし、具体的な活動につなげることで、その人が本来持っている「生きる力」やその地域の本来持っている「復興への意欲・踏ん張り」も一緒に引き出されていくのではないかと思う。災害ボランティアセンターには、早い段階から、このような地域の芽をいち早く見つけ、その力を信じて一緒に育て、支えていくという視点を取り入れるということが重要なのではないかと感じた。
・今後の課題として、これらの動きを一部の住民だけのものにするのではなく、なるべく多くの人々と共有する機会が住民同士で必要だと思う。地元の社会福祉協議会などが中心となり、主たる地域資源(たとえば地元のサークル、民生委員、ライオンズクラブなど・・)が集まり、活動に関わった住民が状況報告を行い、全体で現在の被災者の状況、ボランティアの活動の様子など共有することで、「自分たちだけでなく一緒に考える仲間がいる」という安心感と、「できる人ができることをやろう、地元もがんばろう」というモチベーションの維持にもつながるのではないか。それが今後の継続的かつ多様な取り組みの展開につながっていくのではないかと思う。しかし、一方で被災家屋が多いことから、活動に参加していないことに引け目を感じたり、その人が攻められたりするようではいけないので、十分な配慮が必要だと思う。


■今後の課題と対応策
○家の再建について
[課題]
・恐らく今後不安ごとの一番として浮上してくるであろう。(体力のないお年寄りほど「今はまだあまり考えたくない」というつぶやきを聞く。)
・仮設移住まで家財を預かってくれる場所があるとよい。
○コミュニティーに関すること
[課題]
・避難所以外に地区の集会所に避難している方が相当数おり、そのような集落は5つ6つある。集会所では皆さん元気に畑仕事をしたりしており、避難所のお年寄りよりよっぽど元気。今後仮設に移住などした時に、このようなコミュニティ間の格差は復興のスピードの差を生むのではないか。
○子どもケア
[課題]
・うめき声を上げる子どもなども避難所では見受けられ、特別なケアが必要。
・夏休みのため、避難生活を送る働く母親は子どもを預かってくれる場所が必要。
(ただし、一日預かるには専門家支援が必要。)
・また、もっと幼い子を持つ母親は、問題を共有し悩みを発散する場がない。
[改善策]
→最大の避難所(ラピカ)の使われなくなったスペースを仕切って、授乳室にする。
→この場所で、新潟県内の子育てサークルのお母さん方による子育て相談会を企画中。
○ニーズ把握に関すること
[課題]
・活動の中から上がった被災者の声を「つぶやきカード」に記録してもらっているが、会話の中から直接支援につなげる必要性の高いニーズを見つけたり引き出したりして、ペーパーに上げるという作業が、ボランティアにとっては少し難しい様子。(ご本人との信頼関係やニーズの捉え方、技術的な問題もあり。)
[改善策]
→「つぶやきを拾うことの意義」を朝のミーティングで伝える。
→長期には、「声かけ」の専門ボランティア(その意義を理解している足湯や被災経験のある能登穴水町の人々など)に聞いてもらうことも必要かもしれない。
○ボランティア、コーディネーターに関すること
[課題]
・平日に活動できるボランティアの確保
・中長期的な見通しを持って、センターの活動メニューを展開できるコーディネーターの確保 など。
※上記問題については、センター内で調整中。