RSY事務局・清野です。
被災地NGO協働センターから、 「中越・KOBE足湯隊」レポートが入りましたので、ご紹介します。
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能登半島地震救援学生ネットワーク事務局
第2次足湯隊に参加した神戸大学の村川さんの感想をお届けします。
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被災地のお年寄りの姿
神戸大学学生震災救援隊 村川奈津美
私は普段、神戸の復興住宅でお年寄りを対象にした活動をしています。避難所にはお年寄りが多いということで、被災地のお年寄りの様子を見てみたいと思い、能登派遣に同行しました。
能登の地で私が出会ったお年寄りには、いろいろな方がいらっしゃいました。積極的に話してくださる方、口数がちょっと少ない方…でもどの方も、人と接したいという思いがあることが感じ取れました。まぁそもそも、足湯に来てくださるという時点で、人との関わりを求めておられるのでしょうけど。 その中でも、特に印象に残っている方がいます。
その方とは足湯でお話ししたわけではなく、お手洗いで出会いました。うがい薬でひたすらのどを洗っておられたので、「体調悪いんですか?」と聞いたら、「ここ(避難所)に来てからずっと体調が悪くて、今日お医者さんに診てもらったら、家ではベッドだったのが畳になったせいで、起き上がるときに頭に血が上ったりして、体中しんどい」とのことでした。それを聞いた私は「そうなんですか、お大事にしてくださいね。早く帰れるといいですね。」と深く考えずに言ったら、「もう帰れないんよ。」と寂しそうに言われました。 それから詳しく話を聞くと、「建て直したってあと残り少ない人生だし、仮設住宅は今使ってるベッドを置いたら狭くてとても生活しにくいと聞いてるけど、どうせあと2、3年の命やろうから…」と寂しそうに言われました。私は、「とにかく体だけはお大事にしてください」としか言えず、フラフラしながらお部屋に帰られる後ろ姿をただただ見送っていました。
神戸でもこういうふうにお年寄りが、歳を取るのとともに自信を失い、意気消沈していかれる姿をよく見ます。私はお年寄りと接していて、それが一番嫌です。それを能登でも見たことで、ますますこのままの状況ではいけないと、焦燥感に駆られました。
また、お年寄りは自分の意に反して、住む場所を奪われることが多いことに気付きました。認知症で住み慣れた家での生活が困難になり、本当は帰りたいのに入院せざるを得ない方が私たちの接しているお年寄りの中におられるのですが、その方と能登で出会ったあの方の姿が重なりました。
誰もが迎える老い。当たり前のことのはずなのに、何かが起こればいつも、老いているがために不利になることが多い。災害時などは尚更です。老いに伴う問題やお年寄りのQOLの向上に、本気で取組もうと思ったら、やるべきことは山積み、そんなことを痛感した能登での2日間でした。