新潟県中越沖地震[第11報]

皆様
浦野です。お疲れ様です。
現地入りしております松田が一旦名古屋に戻りました。遅くなりましたが、7.26(木)現在のご報告を致します。
また、松田と入れ替わりで昨日午後より活動を引きついだ、神奈川・宇田川氏より本日7.27(金)現在の報告が届きましたので、あわせてお知らせ致します。
□7月26日(木)の活動 松田報告
■避難所内の活動
[課題と対応]
・今日の移動茶の間で初めて熱いお茶を出したところ、「熱いお茶が出るのなら」と喜ばれる高齢者が沢山いらした。また、参加者のなかには「コーヒーもあったらいいなあ」という声が聞かれた。熱い飲み物に対するニーズは高いようだ。また、お茶の用意があることで人が自然に集まってくるのではないかという報告もあった。
→お茶会だけでなく、各避難所にも急須、湯のみを置けないか検討した。置くことは可能だが、健康状態、季節を考えると、その衛生をどう保つかが課題。お茶会の食器に関してはボラセンスタッフが持ち帰って洗っているが、避難所ではまだお湯がでないところも多いのでどうするか話し合う。またお茶請けにお菓子より漬物が喜ばれる様子。
・お茶会と一緒に足湯を開いた。合わせて多くの人に来ていただこうと目論んでいたが、どうやら足湯は一日の疲れがたまる夕方にするほうがいいようだ。
・今日の育児ルーム(カンガルーム)にはボランティアの保育士さんにいていただいた。育児ルームが開かれていることを周知してほしいという声が役場に寄せられた。
→「預かる場所ではありませんが、○日と○日には保育士がいます」という広報を流す予定でいる。


・避難所でお年寄りの見守りのニーズが高まっている。福祉避難所に入るほど介護のニーズがあるわけではないが(どのみち福祉避難所はすでにいっぱい)家族が残して出かけるには不安なお年寄りが何人かいる。
→特定の方からニーズがなくても、2箇所の避難所に看護職のボランティアさんを常駐させることで対応する。ただし、看護職の方がいつまでいられるかはわからないので、役場との協議が必要。
[松田所感]
・被災後だからこそ、ふだんの生活、ふだんのコミュニケーション、ふだんの文化を意識して被災者の方に接することがボランティアには求められると思いました。自衛隊のお風呂に入りたがらない子どもがその理由を「あの色が怖い」と言っていたそうです。ボランティアさんでも軍服のような格好で現れる人がいますが、被災者の方がどういう人に助けてもらいたいかを少し想像することができれば、格好にも気を使うことができるのになと。災害ボランティアの課題はまだまだ山積みですね。
・震つな顧問であり、被災地NGO恊働センター代表の村井さんや、NPO法人阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長の黒田さんなどが、数々の被災地経験で体得した知恵を凝縮された知恵として学んできたからこそ、今回の活動ができたのだと感じております。
・先人の知恵が、良い形の形式知として世間に広がれば、私程度の役割を被災地で担える人はたくさんいるということ。軍服ボランティアが歩き回る今の日本社会にどうすれば「地域主体」「被災者本位」の経験知を広めることができるか、自分なりに考えたいと思います。
□7月27日(金)の活動 宇田川報告
■避難所内の活動
[課題と対応]
○高齢者の入浴について
・高齢者の多い地域での被災で、お年寄りの健康への影響は早くから危惧するところだったが、福祉避難所に入らない方への支援で困難が出たのが入浴だった。健康状態や身体状況をどう判断し、安全に入浴してもらうかが、看護師ボランティアから提起された。バイタル(体温、血圧)のチェックや体調観察をボラが適切に行えるだろうか、その判断に誤りがあって体調を崩したらどうすれば良いか、という問題だった。
入浴は楽しみでもあるが、高齢者にとっては結構体力を使う事であり、慎重に対応したいとのプロからの意見。
※一般避難所での看護師配置体制は、常駐型から巡回型へ移行しており、これらのチェックを専門職がタイミングよくできる体制が常に整っていない。
※平常の健康管理のためにも前述のバイタルチェックをボランティアでもできるようにすると良いのでは、とも提案されたが、これも血圧測定はデジタルの家庭用血圧計でも計り方で相当違ってくるので専門家の指導があった方がよい、と意見が出た。
※行政から派遣されている看護・保健師などの専門職の常駐は福祉避難所のみで適応。
→災害ボランティアセンターで介護福祉士やヘルパーへ積極的な募集を呼びかけ補完する方向で検討中。
[被災者のつぶやき(特に高齢者)]
・働きたい。家に行けば畑があり、そろそろ収穫の時期なので、畑仕事がしたい。しかし、家まで行く足もないし、収穫しても食べてくれる人もいないし、避難所には自分たちで調理する道具もないから無駄になってしまう。
→避難所に簡易調理場を作ったらどうか。カセットコンロ、包丁、まな板、なべ、調味料ぐらいを用意すれば、十分調理スペースが確保できないか。また、簡単に加工できる漬物づくりなどを、被災者の方の中でできる動きを作れるとよいのではないか。
また、炊き出しなどは住民の人達と一緒に調理から行うという取り組み方も喜ばれると思う。(宇田川所感)
2.子どもへの対応について
○こどもピカピカ隊
・活動の幅を広げるには一般ボランティアの他に教員や教育系大学の学生に呼びかけたい、との意見が出た。
・ゲームに熱中する子どもが多い。また、外で思いきり遊びたいのに遊べない不満がたまっているようだ。
■地域での活動
○梅干隊
・活動は地域で大歓迎だそうで、1トンの梅干しも明日にははけそうな勢い。その勢いにつれて避難家族へのこちらの思いも浸透していくようで、ボランティアと地域住民の信頼関係のきっかけづくりには、大きな成果を生んでいる。
・住民の具体的なニーズの掘り起こしや、ボランティアが地域へ入って活動できる環境が整うのはこれからであろうと思う。