岩手・宮城内陸地震[第6報]

皆様
栗田です。お世話になります。
引き続き現地派遣している浦野からレポートがあがりましたのでご報告いたします。
○本日(2008.6.18)の動き
・ニーズへのボランティア対応、ボランティア募集と受け入れ体制づくり・花山地区の個別訪問同行
○社会福祉協議会の動き
・重点地区の個別訪問によるニーズ把握
・自主避難所の環境整備、保健師等との情報共有
・ニーズ(3件)対応
○被災者の声(花山地区個別訪問より/NPO愛知ネット・南里さん報告)
・当日は家にいなかった。近所の人は家の外にいたときに地震にあって、必死に木につかまった。地震が発生した当初は無我夢中だったけど、今は恐怖感や疲れなどがきている。毎日消防の人など誰かが訪問してくるので、そのたびに家の片付けをやってもらっている。まだ片付けるところはあるけれど、お願いをしたものの自分が把握していないところにしまわれたりしたら・・ってことを考えると、自分でボチボチ片付けようと思う。来てくれて、本当にありがとう。(70代・女性)
・片付けはすべてやった。庭の木の剪定もすべて自分でやっている。庭にある搭を地震以来倒してあるが、近いうちに立てても良いかなと思っている。水がでるけれど濁っている。(70代男性)
・山の奥なのに、来てくれるなんてありがたい。自分は、東京に住んでいる。地震が発生したことを、友人から聞いた。近くにテレビがなかったので、あわてて妻に電話をして確認した。ひどい被害になっているようだったので、まわりも「おまえのところのお母さん大丈夫か」と心配してくれて、ここにくることができた。自分も長くはいられないし、こうやって気遣ってくれる人がいると嬉しい。母(80代女性)には、施設に入ってくれると自分も安心できる。でも本人の意見があるし、これまでこの家で生活してきたってことを思うと、本人を尊重したい。(80代女性の息子さん)
・何度も電話をかけて、その度に「来なくて大丈夫」と言われた。でも来てみて、家の中の状態を見てビックリした。それから片付けをして、この状態になった。2階の窓を、(80代男性)1人では無理だけれど、張り替えてくれたみたいで良かった。近所の人もなかなか忙しくて自分のことで精一杯だと思う。でも自分も仕事があるし、帰らなければならない。いつも様子を見に来てくれているボランティアさんも忙しそうだし、もしものときが心配。いつも薬をたくさん飲んでいて、その量が多いのが気になる。(80代男性は)ちょっと調子が良くないのでそれも心配。保健師さんが来てくれて、薬については、お医者さんと一回相談したらと言ってくれた。(80代男性に)施設に一時的でも入って、地震が落ち着いたらでてくるのでも良いのだけど・・・。(80代男性の息子のお嫁さん)


○今後の予定
・市内ボランティアへの募集の呼びかけ
・自主避難所を中心としたスタッフ派遣(社協の職員の常駐も検討)
・重点地区での訪問見守り活動の継続
・個別のニーズ対応とボランティア活動のメニュー検討
・行政区長から上がっているニーズ調査表への対応(重点地区以外)
○浦野所感
本日よりボランティア派遣を行った。ボランティアは主に、社会福祉協議会に登録している方々で、日ごろは福祉施設での活動や踊りの会、友の会などの面々。皆さん「何か自分にもできることがあれば」とこちらの要請にすぐにこたえてくれた。避難所支援、訪問活動、行政区長への協力などにより、少しずつ被災された方々の状況が見えてきたこともあり、社協でも2週間、1ヶ月程度先を見通した支援体制づくりが検討されつつある。
また、「社会福祉協議会」という名前が、被災された方にとって安心感を生んでいるところもあり、「社協さんが来てくれた。やっぱり心配してくれているんだと思うと嬉しかった」とおっしゃられる方もいる。
しかし、一方で「民生委員さんも誰もこない・・」と孤立していた高齢者も出てきている。また、80歳を過ぎた男性が、断水のため近くの沢に水を汲みに行っているという声もあった。(その沢の水位も上がっていることが気になる)さらに、不眠が続き、食欲が落ち、嘔吐された方もいる。被災者の方々も相当な疲れが見えてきた。
地域の自治会や民生委員の動きを尊重するのは大切だが、その機能が地域ごとにムラがあるため、(自らも被災して訪問できないなどの理由も含めて)それ以外のパイプをNPOやボランティアの協力を得つつ、早い段階から繋げる必要がある。
ここは、戦後、原生林を自ら開拓し、田畑や養殖・畜産など行ってきた方も多い。また、それらの世話をできないことが、収入減に直結することもあり、家や田畑から離れることが体の一部を失うくらいの不安や痛みを伴うのではないかと想像する。これらの背景を捉えた上で、行政による一時帰宅などが積極的に実施されているのではないかと思う。
栗原市は10町村が合併した地域ということもあり、地元ボランティアからは「旧町村の中で、ニーズとボランティアのマッチングをしてほしい」という要望もあった。あたりまえのことだが、従来の関係性を意識した体制づくりも重要な課題だ。