皆様
お疲れ様です。浦野です。
岡崎市での支援の状況について、以下の通りご報告します。
名古屋市同様、床上・床下浸水1000世帯以上を超えた岡崎市では、個別のニーズ
対応・お手伝い隊の派遣・被害集中地区でのサテライト設置などを中心に行って
おります。泥出しなどの大がかりな作業は大分落ち着いておりますが、お手伝い
隊として丁寧にまちを歩いてみると、水害発生から1週間経って初めて床板を上
げて、床下の泥だしをしたというお宅もありました。件数的にはそれほど多くは
ありませんが、数の問題ではなく、いまだ取り残されている方々の存在があるこ
とを認識し、引き続き個別訪問等の必要性を感じております。
また、住民の皆さんの中には相当な疲れが見られ始めています。これからは、畳
を入れたり、一旦外に出した家具や生活用品を家の中に納めたりと、細かい作業
が残っています。「自分たちのペースでぼちぼちやっていきます」とのことです
が、今まで家族やご近所で頑張られていた方々も、蓄積された疲れで、自助・共
助が一時的に機能しなくなる可能性もあります。
一部では「ボランティアに依存しすぎる傾向にあるのではないか?ボランティア
が自立の妨げになっているのではないか?」との声もあるようですが、この時期
にその様な判断をすることは、被災された方にとっては酷なのではないかと感じ
ます。むしろこのような時期こそ、そばで寄り添い、ゆっくりとしたペースで対
応できるボランティアの存在が重要になるのではないかと思います。
また、一人暮らしの方の中には、「みんなが大変な時に頼めない」「誰に相談し
たらよいか分からない」と、自分で何とかしようとするがあまり、畳もなく消毒
もしていないぬれた床の上という、劣悪な環境で寝食されていた方もいらっしゃ
いました。食事についてもおにぎりや菓子パンで簡単にすませており、不眠が続
き、このまま発見されなければ、生命の危機に直結する問題になっていたであろ
うと恐怖感を抱きました。
この方については、天理教・ひのきしん隊さんのご協力により、畳を入れ、湿気
防止のシートを引き、当座をしのぐ環境が整いました。また市の福祉課・保健師
につなぎました。
しかし、このような実態は、30分~1時間程度、落ち着いた雰囲気の中で、何気
ない会話を重ねていくうちにようやく見えてくることです。
数分の声かけだけでは、この状況までを汲み取ることはなかなか難しいのではな
いかと感じます。
「自分たちのペースでやります」という言葉の中には、疲れや遠慮の背景がある
ことを理解し、この時期は、「何かあった時にはいつでもお声がけくださいね」
という距離感で見守っていく必要性を感じます。現に、そのような言葉かけに対
して、住民の方々はホッとした表情を見せることが多々ありました。
前述の通り、被害が集中した地域についてはサテライトを設置し、その場でニー
ズを掘り起こして対応していくというスタンスをとっています。もともとは総代
さんが「この場所にボランティアの拠点を作って欲しい」という要望を出された
ことがきっかけでした。そこは、困った時にすぐに相談しにいける場所として
も、住民の方の安心できる場所になりつつあります。
また、本日より「炊き出しミニ喫茶」を開設し、被災された方がホッと一息つき
ながら、休憩がてらお話ができるスペースも用意する予定です。鈴鹿市から「災
害ボランティアネットワーク鈴鹿」、神戸市から「すたあと長田」の皆さんが、
おにぎりやトン汁、あんみつを作りに来てくださいます。また、これらの材料の
一部を、2004年新潟県中越地震で被災した、川口町田麦山地区の皆さんから提供
して頂けることになりました。
遠くからも応援したいという気持ち、被災者という同じ経験を持つ立場に立って
接することができる方々がの存在が、皆さんの安心や元気につながれば、そして
何よりも炊き出しを通じて会話を交わす中で、被災された方の「生の声」を聞
き、片付けの進行具合や健康状態、不安などについても状況が把握できればと思
います。
現在サテライトを設置している地域以外でも、被害が集中している箇所がいくつ
かあります。その地域からも、このような拠点づくりの依頼があるようです。
このように、大掛かりな作業ボランティアは終息にむかいつつあります。
しかし、それに代わり、今後は被災された方のペースにあわせながら、困った時
にはすぐに相談できる、ちょっと休憩にこれる、見守ってもらえていると安心で
きるようなミニサロン的な機能が求められるのではないかと思っています。