いちにち断水体験報告

 先日来、「水に感謝」事業でお世話になっております。告知をさせていただいております「いちにち断水体験」、実際にやってみないと分からない! というわけで、当法人代表理事に次ぐ年長、2人の子持ち(4歳長男、1歳長女)スタッフ関口が体験してみました。
 以下に簡単にご報告いたしますので参考にしてください。
 ■普段の半分以下の水を用意
 実施日は8月9日の日曜日。朝からどんよりとした天気で、暑さはそれほど厳しくありません。それでも日中の予想最高気温は32度。少し体を動かせば、すぐにのどが乾いて水をがぶ飲み…というのが普段の生活です。
 おおざっぱに計算したところ、わが家では普段1人あたり180リットル、4人で720リットルほどの水を使っています。今回、風呂水をたっぷりためて約200リットル、名古屋市上下水道局から提供していただいた5リットル入りの給水バッグやペットボトルの水などで合計約220リットルの水を用意。あまり無理もできないので、洗濯は当日までに済ませたことにしました。
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 ■8:00 起床、元栓をしめる!
 これで準備万端!? ついに元栓を閉めて、体験スタートです。
 起床はいつもりよりやや遅めの8時ごろ。すでに子どもらは朝からテレビの子ども番組に見入っていました。ちなみにこの夏の子どもたちの朝の日課はカブトムシの世話。毎日霧吹きでケースの中を湿らせていますが、微量なので使用量には入れませんでした。
 洗面所に置いた給水バッグで軽く顔を洗い、トイレはたまっているタンクの水を慎重に流します。
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 ■8:30 トイレはタンクに注ぎ足し
 減った分は風呂水をヒシャクですくい、トイレのタンクに注ぎ足すやり方にしました。念のため、凝固剤付きのトイレ袋も用意。ホームセンターで5枚入りが700円ほどで売っていました。
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 朝食はパンと目玉焼きなど、いつもの質素なメニュー。とりあえず普段通りに皿に盛り、コップには牛乳やお茶を入れて、いただきまーす。この時点でちびちびと給水バッグの水を使い、減りはそれほどではありません。しかし問題はそれから。いつも皿洗いは基本的に私の役割なのですが、給水バッグからちょろちょろと出る水では洗った気がしない。節約して使っているつもりでもみるみるバッグの水は減り、あっという間に5リットルが空っぽになってしまいました。皿をラップに包むなどの工夫をしておけばよかったと思っても、まさに覆水盆に返らず。泣く泣く予備の水を5リットル注ぎ足しました。
 ■9:30 「こらー!水使うなー!」
 それからは歯みがきや手洗いなどを超節水モード。飲み水は極力使わず、手洗いも風呂水で。子どもらは「何で水出ないの?」と最初は戸惑っていましたが、わかってくるといつもと違うのが面白いのか積極的に風呂場で手をチャプチャプ。しかし目を離していると、いつの間にか給水バッグの栓を開け閉めして遊んでる!
 「こらー! 貴重な水を使うなー」と慌てて飛んでいくことが何度かありました。
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 ■12:00 昼はこっそり外食
 実は日中、さすがに子どもらを水の出ない家に閉じ込めておくわけにもいかず、昼は外食、さらに夕方には近くのスーパー銭湯に行ってしまいました。
 しかし、1人留守番していた妻はトイレに入ってはヒシャクで風呂水をすくい、飲みたい水もぐっと我慢して過ごしていました。
 ■16:00 「もう終わりにしよう」
 ひとっ風呂浴び、さっぱりして帰ってきた夫に、妻はあからさまに不満顔。「水使えなきゃ大変って、もうわかったから終わりでいいでしょ?」。何とかなだめますが、「野菜も簡単に洗えない」と、かなりストレスがたまってきているようでした。
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 ■18:00 ラップ皿にカンパーイ
 そんな妻が苦労してつくってくれた夕食は教訓を生かして「ラップ皿」。晩酌のビールもコップに空けず、缶のままグビっと。ぷはぁー、いい仕事したなー、などと満足げな夫に妻は相変わらず冷たい視線。分かりましたよ。仕事はまだありますよ。食事後は入念にウェットティッシュで汚れを拭き取り、朝よりもさらにチビチビと給水バッグの水を使って食器を洗いました。
 ■21:00 ギリギリ足りた
 寝る前の歯磨きも、歯ブラシは風呂水でゆすぐなどして、何とか用意しておいた水がギリギリ余る程度に。最後にトイレの凝固剤も使ってみました。確かに一瞬で固まり、においも気にならず効果は抜群。ただし袋を便器にセットするのは結構難しく、しかもこのときは「小」だけ。「大」で試すのはかなり勇気がいりそうです。
 結局、家族全員では普段の3分の1の60リットルほど、私1人では30リットルほどの水を使った計算になりました。
 ■ストレスは想像以上
 少し「ズル」もしてしまいましたが、それでも「水が出ない」と考えるだけでストレスは相当感じました。
 家の中なのでまだよかったでしょうが、これが避難所でプライベートがなければさらにストレスはたまり、実際に水分を採らなくなったりトイレや風呂を我慢したりで、体調にも影響してくるでしょう。
 皮肉にも、この体験の日の夜には兵庫県を中心に大規模な水害が発生、2日後には静岡県で震度6弱の地震が起き、実際に断水となった地域もありました。
 被害にあわれた方の苦労を思いつつ、自らの「備え」の足りなさを自覚した体験でした。