みなさま
お世話になります。RSY事務局です。
2018年北海道胆振東部地震から2年が経ちました。
この災害で亡くなられた44名の尊い命に、心から哀悼の意を表します。
今回は、発災当時の様子を振り返りつつ、2年経った被災地の今をお伝えしたいと思います。
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発災直後
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9月6日深夜3時07分頃、厚真町で震度7、安平町・むかわ町で震度6強の地震が発生。被災された方々に当時の様子を聞くと、「寝ていたベットから投げ出され、全身を打った」「すぐ外に逃げようとしたが、部屋も外も真っ暗で、懐中電灯も揺れで飛んで状況が分からず、本当に怖かった。ただ夜明けを待った」と話され、とてつもない衝撃と恐怖だったことが伝わってきます。中には、「夜3時になると毎日必ず目が覚めるの。その時、胸がキューと痛くて苦しくなる。」と話される方もおられ、大きな恐怖を植え付けました。
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RSYの動き
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発災1週間後、特に被害のひどかった厚真・安平・むかわ町にて、避難所の環境改善や生活支援の一環として足湯、サロン等を行いました。また、在宅避難者への支援として、厚真町ルーラル地区の在宅避難者支援拠点の整備や家の相談会を行いました。その過程で、長期的な支援を見据え、早い段階から地元の支援者やボランティアと連携したことで、「北海道足湯隊」が結成されました。結成当初、RSYはアドバイザーとして関わり、現地での活動をサポートしました。定期的に通う形で現地入りし、現在は、地元が主体的に運営を担い、コロナ禍での生活支援をいかに進めていくか、RSYも一緒に悩みながら取り組んでいます。
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被災地の今
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現在、特に被害のひどかった厚真・安平・むかわ町では、約250世帯が仮設住宅(建設型・みなし・トレーラーハウス等)で暮らしておられます。10月末には閉所が予定されており、引越しの時期に入りつつあります。
これまでの被災地では引っ越しボランティアの活躍が見られましたが、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、基本的に各町内のボランティアで対処せざるを得ない状況です。
一方で、地元行政・社協・NPO等の道内支援者が集まる情報共有会議(北の国会議)では、引っ越し先での新しいコミュニティづくりに向けた対策を考えていこうと動きも見られています。
~被災された方々の声~
・次の住むところ決まったよ。ようやくだ。11月には引っ越せそうで、当日お手伝いを知り合いにお願いたりして、少しずつ準備を始めているよ。この2年は、あっという間だった気がするけど、コロナもあってか、ぐちゃぐちゃで、あまり実感が湧かない。離れて暮らす子ども家族に会えてないから、寂しい。コロナが下火になったら、新しい部屋を見に来てほしい。(70代・男性・仮設)
・今ね、お世話になった人へお礼の手紙書いてたんだ。この間、仮設を出て、新しい場所に引っ越したんだ。病気の麻痺もあって、住み始めた最初の頃は玄関が使いにくかったけど、少しいじったら、だいぶ住み良くなったよ。それで、ようやっと落ち着いてきたから、手紙を書きたくなったんだ。会って直接言えたらいいけど、コロナの今は難しいね。地震からそんなに経つんだね、過ぎるのが早くてびっくりだ。まさか自分が被災するなんてな…今でも不思議だ。(70代・男性・元仮設)
・コロナの影響でお客さんは減ってはいるけど、小さい町だから、町外のお客さんがほとんどなんだ。地震に遭ってから、手続きとか次の住まいとか考えなきゃいけない事は多くて大変だったけど、たいやき屋をやってる間は気が紛れて、色んな出会いに恵まれた。店をやってて良かったと思う。地震以降、最近になって体の節々が痛むようになった、高齢だからってものあるかな。元気な内は店を続けたい。自分はまだ恵まれてるけど、仮設に入らなかった人で、住宅の一部が地震当時のままになっている人も結構多いんだ。(60代・男性・仮設)
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道内支援者の動き
「北海道足湯隊」
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○これまでの活動
被災した3町の避難所から始まった活動は、被災者の生活環境とともに変化し、最近は仮設住宅・お寺・地域の集会場の7か所にて、足湯+α(お茶会・全身マッサージ・パステルアートなど)で取り組み、これまで延べ847名の被災された方々の心と足を温めてきました。今年は新型コロナウィルス感染症の影響が大きく、2月末から活動自粛をせざるを得ない状況です。
○リラックスセットのお届け
月に1度の定期ミーティングで、メンバーから現地に行けない中でも「せめてお家でリラックスしてもらいたい」との声があり、個包装の入浴剤&メッセージを添えたセットを作りました。企画の取りまとめ・お届け先の調整を北海道足湯隊事務局が行い、地元保健師が個別訪問を行う際にお渡ししてもらうことができました。
○オンライン勉強会の開催
RSYでは、活動休止期間の長期化による、メンバーのモチベーション低下が気がかりだったため、震災がつなぐ全国ネットワークの復興基金を活用し、オンライン勉強会を開催しました。
もともとは、活動開始から1年以上が経つ中で、「これまでの活動を『つぶやき(被災者の生の声)』見つめ直すことで振り返りたい」というメンバーから希望があり、北海道足湯隊とともに企画化しました。
ゲストには、足湯ボランティアの元祖である、CODE海外災害援助市民センターの吉椿さんをお招きし、「足湯ボランティアとつぶやき」というテーマで、北海道や他の被災地のつぶやきから見る被災者の変化や、読む時のポイントを解説いただきました。
改めて、足湯を通じてもたらされる「心身への効果」や「場づくり」、「『聴く(被災者自身が語りだすのを待つ)』ことの大切さ」を学ぶことができ、メンバー各々がこれまで出会ってきた被災地の方々に思いを馳せる機会にもなりました。
その後、一部のメンバーでは、現地での活動再開を見据え、感染症対策を強化した活動方法の模索や、規模を縮小したお話会を企画する等、徐々に動き始めています。
○メンバーの声
・直接会って集まるという、以前だったら当たり前に出来ていた活動が出来ない状況が続いている。先日、久しぶりに現地に行き、住民さんと再会した時には、「周囲は生活再建に向けて進んでいるものの、自分はまだ気持ちが向かない。この時期は取材も多く、記者がコロナ対策で気を遣ってくれるのは良いが、逆に自分も身構えてしまって、なんだが疲れてしまった。コロナも気になるけど、今日みたいに、声をかけてくれて嬉しかった」と話され、ボランティアのことを、はっきりと覚えていなくても、心のどこかでは何となく待っていてくれてるのだと感じた。時間の経過や相次ぐ災害により、これまでの被災地への関心も薄れつつある。これは今回の地震で活躍した道内ボランティアも例外ではない。被災地と細々とでも「繋がり続けること」を意識しなければ、活動しただけになってしまい、せっかく出来た繋がりも途絶えてしまう。そして、これから被災するかもしれない自分たちの深い学び(対策)にも繋がっていかないのではないかとも感じている。繋がりのある住民さんには、電話1本でも、声をかけ続けたいと思う。(災害支援ネットワークじゃがネット・岸田氏)
・昨日(9/6)、数か月ぶりにお話会をさせていただいた。参加者の中には、「9月が近づくと当時の記憶が蘇る。さらに台風や強風があると、翌日には地震が起こるんじゃないかと怖くなってしまう(※)」方や、「あの日が近づくと辛くて苦しい。思い出したくもないが、この地震とは一生付き合っていかないといけない」と話す方もおられた。また、以前マッサージを楽しみにしてくれていた高齢の住民さんはコロナの影響で閉じこもりがちになっている方も少なくなく、早く活動を再開してほしいという声も聞かれた。この状況で開催できたのは、発災当初から積み重ねてきた地元住民との関係性と、出来る限りの感染症対策、関わるボランティアの意識(少しでも体調不良と感じたら休む)のおかげだと思う。マッサージ自体は、感染症対策を徹底していても、世間的には中々受け入れにくい部分もあるため、地元の状況に応じて、お話会を主に今後も継続していきたい。(支え愛ボランティア団体いっぽん・佐久間氏)
※胆振東部地震発生の前日は台風が上陸し、その翌日に地震が発生している。
コロナの影響で気づかないうちに、人との繋がりも絶たれてしまっているのだと痛感します。直接会えなくとも繋がりを感じられる方法を探し続けたいと思います。
RSYでは、今後もこれまで繋がりを持たせていただいた被災者の方々の声を聴き、北海道足湯隊をはじめとする道内で粘り強く活動している支援者と今出来ることに取り組んでいきます。