能登半島地震【第5報】

栗田です。お疲れ様です。
現地(穴水町)に派遣しています浦野からの現地報告が届きましたのでお知らせいたします。(2007.3.27 15:00現在)
○穴水町災害対策ボランティア現地本部での現在までの活動
・本日、ボラ連会長とともに、町内3箇所の避難所を巡回。
・穴水町老人保健施設(43名)、情報センター(12人)、林業センター(64名)に入られている。
・うち中学生以下の子どもが各避難所5名程度。全体の人数の8割が高齢者。
・高齢者の中でも一人暮らしのケースが多く、日中は高齢者と春休みの子どもが避難所にいる状態。
・老人保健施設については、認知症で避難所生活を送っている方も1人いた。
・ボラ連会長、社協職員がセットになり、被害がひどかった地区の川島地区と大町地区の町内会長にセンター開設のチラシを配布。全戸配布してもらうよう要請。その結果、他地区の町内会長さんら5名がチラシをみてボランティアしますと申し出て下さった。また、ニーズとして5件がすでに上がっている。
・ただ、ニーズ受付の電話の開設がチラシ配布に間に合わずまだ設置されていない。しかし、社協が行っている活動ということで、直接社協の代表電話に問い合わせてくださる人もいる。信頼問題のため、早急に設置をするために調整中。
・本日夕方より、社協内で全体ミーティングを行い明日以降の活動メニューを決定する予定。
以下、ボラ連の会長さんと一緒に避難所を回った時に拾った声です。
【避難所での被災者声】
・一人暮らし。家が傾いていて、家の中もぐちゃぐちゃだが、余震が落ち着いつかないことには何もできない。手伝ってくれる人もいないので、どうしたらよいかと悩んでいる。日中は3名ほどの高齢者しかいなかった。(85歳女性/老人保健施設)
※ボラ連会長さんと知り合いであり、会長さんの話しでは、多趣味でいつもきれいにしているような方とのこと。今は避難所でやることがなく、張り合いをなくしてさびしい思いをしているのではないかと懸念していた。
・おじさんの家に泊めてもらっていたが、昨日から避難所に移ってきた。3階建ての家なのでただでさえ揺れやすい。災害が起こった直後はいろんなものが倒れてきて、階段も壊れて降りるのに大変だった。恐怖のあまり当日は余震がくると泣いてしまっていた。今も震度2の余震でも精神的に落ち着かない。ゆれていないのに、揺れを感じる時もある。実際にゆれている時は、「もうやめてよ!」と泣きたくなる。家のことも心配だ。両親は仕事や家の片付けに行っている。
日中は弟とその友達(小学生3名)の面倒をみながら、宿題をやったり、携帯電話で遊んだり、テレビをみてすごしている。弟が余震があっても外に買い物に出て行こうとする姿をみて、危ないのではないかと気がきではない。今は余震が続いているので、片付けをしてもまた被害を受ける可能性があると考えると、あと1週間程度待って、余震がおさまってから家の片づけをしようと家族で話している。夜は眠れている。お風呂も避難所になっている施設のデイサービスのお風呂が今日から開放されているので入れる。(中学生女子/情報センター)
※弟の面倒を見たり両親が仕事に行っているという環境が「自分がしっかりしないと」とプレッシャーになっているのではないかと感じた。少し話しかけると堰を切ったように沢山話し出した。また、避難所生活が長期化するとやることや気分転換を図れずにストレスがたまっていくことが心配される。
・一人暮らし。避難所に来て今日は3日目。家の片付けは何にもできていない。夜はあまり寝付けない。睡眠薬ももらっているがなれない場所なので落ち着かない。(84歳女性/林業センター)
・一人暮らし。避難所に来て3日目。食事はおにぎりとカップスープばかり。野菜が取れていない。でも暖かい場所がもらえる、食事ももらえる、ということで「おひたしがたべたい」と思っても贅沢はいえない。しかしお通じはない。1週間程度の便秘は仕方がないと思っている。
※全般的に高齢者は少し声をかけるとよくお話して下さった。また認知症の方は徘徊が多く「家に帰る」と玄関に向かって歩く姿も見られる。生活環境の変化により、落ち着かないということも影響していると思う。食事への配慮も十分では無い様子。
○今後予測される問題
・本日は夜から雨が降るということで、屋根が壊れている家については雨漏りの心配がある。これに伴い、避難所生活を送る人の増加と長期化が予測される。
・特に一人暮らしの高齢者については、まったく手付かずの状態。足がないので家にもいけないという方もいた。
・ボラ連の会長さんは自身も被災されているが、「今地域のために動かなくてどうする!」という強い気持ちのもと、精力的にセンターのサポート活動をしている。ただ、「落ち着くまで1週間ぐらいたたなければ何か手伝ってもらいたい、という気にもなれんよな・・」とこぼしていた。家族もなく自力で何とかするしか仕方のない方や被災がひどかったお宅については、?今何をどう頼んでいいのかも分からない状態
?余震があるので危ないから作業ができない?人手がないので作業が進まないという理由が主だと感じる。これらのニーズについては、来週ぐらいからようやく出始めるのではないかと思われる。
・ボラ連の会長さんが老人会の会長も兼務しているなど、かなり顔の広い方なので、会長さんを介しての訪問は信頼を得られやすいため、最初に避難所に入る時は、地元の方とセットで動くのが望ましいと思われる。できれば長期で関わりながら、信頼関係を作れる働きかけや人員体制が取れると望ましい。
・日中残っている高齢者への語りかけ、高齢者自身がちょっとした料理を作ったりできる環境づくり、足湯やマッサージ、子どもの話し相手、子どもが楽しめるゲームなどの企画などが活動メニューとしては必要ではないかと感じている。