【第130報】足湯報告~補い合う手と手~

みなさんこんにちは。RSY浦野です。

毎月七ヶ浜の第一スポーツ広場、野外活動センター、謡、湊浜、七ヶ浜中学校グラウンドの5か所の仮設住宅集会場で実施している足湯ボランティア。

足湯は私たちが七ヶ浜に支援に入った頃から継続されていることもあり、住民の方々の認知度も高い人気のボランティアプログラムです。

これまでは、RSYスタッフの地元っ子、清水玲奈さんのコーディネートのもとに活動を進めていましたが清水さんが就職活動の時期に入り、学業に専念するため5月で退職されたので、東北学院大学やボランティアセンターさんにご協力を頂き、継続しています。

東北学院大のみなさんは世代交代も含めて、2011年から足湯に参加し、現在は第一スポーツ広場の専属足湯隊になって下さっています。リーダーのN君(2年生)やH君(3年生)は今の心境を「最初はとても緊張したけど、何度も通って顔を覚えてもらえると、だんだん深い会話もできるようになって、会いに行くのが楽しみになってくる。卒業するまで続けたい」と語ってくれました。

毎回10名程の学生さんが参加して下さり、リピーターもだんだん増えています。学生の活動を応援しようと、I先生S先生も駅からの送迎や裏方仕事を率先してサポートして下さっています。震災から3年目に入り、少しずつ地元の方々に活動を繋ぐことができつつあります。

 

 

 

 

 

 

そしてこれは先日の足湯の後のある風景。

人の顔の輪郭しか分からないほと目が見えなくなってしまったというお年寄りの手を、仮設入居後にご主人を亡くし、日々認知症が進行しているお年寄りがしっかりとつかんで歩いて行きます。

「私たちは二人で一人分。一緒にかえっぺ。」

震災がなければ変わらなかったであろうそれぞれの暮らし。どんなに想い願っても同じものを取り戻すことはできません。それならば、今あるものでお互いに補い合っていこう。お二人の後ろ姿からそんな想いが伝わってくるようでした。

七ヶ浜では来年4月以降に災害公営住宅の入居が始まります。現在までに入居申請をしている方は222世帯。その6割が一人暮らし又は、高齢者世帯です。

足湯に来られたある女性がこんな言葉をつぶやきました。

「前も後ろも隣も、毎日話さなくっても知っている顔があるからいつでも安心していられるの。公営住宅に移って、この関係が崩れてしまうのが一番不安。それを考えると、明け方まで寝付けなくなってしまう」

こんな風に、まだ1年近くもある先の暮らしに、今から不安を抱えている方もいらっしゃいます。行政は、できる限り震災前の地区住民でご近所になれるように、また、長屋風の暖かい雰囲気が作れるようにと入居先や建築構造などの配慮をしています。なるべく住む人の意向をくみ取った環境を整えようと、住民ワークショップなども開催されました。

与えられた現実を受け入れなければならない、多くの方々が配慮をしてくれているのも分かる、贅沢と言われるかもしれないけれど、それでも湧き上がる不安や憤りを時には吐き出したくなることがあります。また、一時でもそれを忘れて、大声で笑い合ったり、楽しい時間を過ごしたいと望むこともあります。

そんなささやかな気持ちを、簡単に「贅沢」と呼べるのでしょうか?

足湯ボランティアは、このような気兼ねさえもそっと受け止める大切な場所の一つとして機能しているように感じます。

ずっと変わらないスタイルで約1500人以上のボランティアさんの関わりによって3000人の住民の方の足を温めてきました。

この「時」と「人」の積み重ねが、安心感や信頼感を深めているからなのだと思います。