先日、かねてから皆様にもご案内しておりました養成講座が無事終了しました。
この講座には、約45名の方が参加し、名古屋市より修了証書を授与されました。
今回の取り組みは、運営スタッフとして、視覚・聴覚・精神・身体障害のある当事者の方々にもグループワークを担当していただきました。
このような講座は名古屋市でも前例が無く、私自身もどうなるか、正直なところ不安で一杯でした。でも短い準備期間だったにも関わらず、こちらの意図するところを一生懸命に理解して下さろうとした、事者スタッフのみなさん、ファシリテーター(健常者)の皆さんにめぐまれて、何とか3日間を終了することができたと感謝の気持ちで一杯です。
そもそも、今回の参加者の皆さんは、障害のある方々と接する機会のほとんどない、地域の民生委員さんや自治会関係の方々が多かったため、どのように状況を受け止めるのか予測ができないところでした。現に講座1日目には、当事者の方に対して、「あなたの意見は聞いてないんだよ」と発言された参加者の方もいたようです。多かれ少なかれ、グループワークを進めるにあたり、このようなズレは出てくるであろうと考えていました。
また、その状況を当事者スタッフの方がどのように受け止めようとされるのか、そして両者の考えをどのようにすり合わせて、お互いが歩み寄っていくのか、本当に歩みよれるのか?これに関してはやってみなければ分からないところでした。
以前、避難所での食事の話をしていた際に、アレルギーのある人への対応の話題になりました。その人が出した結論は、「アレルギーは一人ひとり違うものなので、自分で備えてもらうしかない。地域でサポートするなんて、絶対無理だ!」というものでした。
「絶対無理」という言葉。なんでそんな言葉でそんなに簡単にこの課題を放棄できるのか。何を根拠に「絶対」なんていえるのか?どれだけ時間を割いて、当事者も含めて、どれだけの人たちに意見を聞きながら、その問題に向かいあっていったのか?簡単にはいかないことは最初から分かっているのです。だからこそ、誰もが手をつけずに今までおざなりになってきたのだから。
この現状を変えなければならいと本気で思うならば、人任せではなく、自分にできることは何かを一人ひとりが真剣に考える必要があると思います。私はその人に、『「絶対」なんて事柄はありえない」と言いました。そんな簡単に、そんな言葉出すもんじゃないよ、と。でもこれは、少し前の自分自身にも向けた言葉だったと思います。「絶対無理」といった時点で、もうその課題は自分の手を離れてしまうのです。
しかし、そうは言いつつも、本当にそんな歩み寄りができるものなのか・・・というとことは、講座を始める前までは非常に不安でした。もしさらにお互いの距離が遠くなってしまったらどうしよう、と。
しかし、ある当事者スタッフの方から頂いた感想のメールを拝見し、時間を共にするなかで、参加者の方々もスタッフの皆さんも、お互いに気付くことがあり、少しずつそのズレが解消されて距離が縮まっていったのだという過程が分かり、地域の皆さんの持っている力ってやっぱりすごい!と驚きました。
この力を信じて、私たちはこれからもこの課題にきちんと向かい合っていきたいと思っています。今回はようやくスタートラインに立ったというところですから、これからは、きちんとした形(実践に)になるように、今回得ることのできた、心強い仲間と一緒に、取り組んでいけたらと思います。
今回は私自身、この講座を通じて、素晴らしい方々との出会いを頂きました。
当事者の方がそこにいなければ伝えられないこと、周りが気付けないことが沢山あります。とっても難しい課題ですが、お互いに足りない部分を補いあいながら、できるところから地道にやっていきたいです。とにかく考えているだけじゃなく、失敗を怖がらずに、今は実践を重ねるのみ、その時期だと思っています。