能登半島地震【第15報】

皆様
栗田です。お疲れ様です。
4月3縲鰀5日の日程で、吉田さんと合流し栗田も現地入りさせていただきました。二人とも現在は現地を離れましたが、9日から再度活動させていただくことになっております。吉田さんから昨日までの活動状況について報告が届きましたのでお知らせいたします。(2007.4.5現在)
■避難所廻り(4月4日,5日の9:30a.m.に実施)
避難所廻りに関して,避難所に指定されているグループホーム聖頌園(避難者は2名)の施設長よりお叱りを受ける(4/4).主な内容は,施設長に対して避難所廻りに関する情報を伝えていなかった点と避難者ではなく他の聖頌園の入所者に対する生活空間の侵食の2点について.
4月5日に,施設長と主な見廻りボランティア3名の間で,話し合いが行われ,決まった人が決まった時間に訪問するのであれば見廻りを許可してくれるとのこと.
今後は,聖頌園に関しては,避難者以外の入所者への生活侵食を考慮し,外部者の訪問を極力避ける方向で同意.また,訪問ボランティアが来た場合は,避難者を下のロビーに呼び出してもらうことで同意.基本的には,こうしたボランティアを歓迎してくれており,ボランティアの訪問を施設管理責任者に通達していなかった私たちのミスといえる.
必ずしも,避難者の全てがボランティアの訪問を望んでいるわけではなく,時と場合によっては訪問が裏目に出ることもあること,また,これまではボランティア3人の時間の合う時に訪問ボランティアを実施していたが,常に同じ時間に訪問したり,次に訪問ボラを実施する日時を伝えたりなど,ボランティアの予定ではなく,避難者の生活リズムを考慮したボランティアを行うべきではと,ご指摘を受ける.かなり勉強になった.
■避難者の声
・至れり尽くせりの生活を送っており,生活自体に特に問題はないが,避難所生活が余りに恵まれており,生活費を後で請求されるのではないかと不安がっていた.
→引継ぎ済み


・避難者の一人のお婆ちゃん(避難所:キャッスル真名位)の洋服が全く変わっていないことに訪問ボランティアが気づく.さらに,洗濯を行ってないのではとの声も上がる.
→引継ぎ済み(コインランドリー等の洗濯機がないようであれば,洗濯機の設置を検
討する予定)
・賞味期限切れの食べ物がいつまでも部屋に放置されている.
→保健婦さんに報告済み,対応してくれるとのこと.
同じ人が定期的に通うことでしかすくい上げることが出来ない問題点が上記の中に混ざっており,訪問ボランティアならではの成果ではないかと思う.また、これまで私が行っていた,避難者ニーズの記録,伝達のプロセスを引き継ぎ可能にするための記載フォームを作成(4/5). これにより,外部からの応援スタッフの方でもこの仕事の請負が可能になったはずである.
■町内廻り
4月6日に民生委員の代表者たちの間で,いかに町内廻りを実施していくかが話しあわれる予定.(民協役員会が6日開催され、一人暮らしの高齢者を中心に訪問活動を実施することが決定された)
■その他
・町内廻りによってあがってきたニーズの中で,住宅に関する質問,不安が多数あった.そのため,VC主催の相談茶話会を建築士等専門家の協力を得て実施予定(4/9).そのポスターは4月5日に,団体の高校生ボランティアらが配布してくれた.
・避難所や町内廻りを通じて獲得した被災者のニーズに対して,ボランティアセンターだけではすべての解決は不可能だが,役場を通して解決可能な問題も多数ある.この場合に,ボランティアセンターの行うことは,そうした被災者のニーズがあることを役所に伝えることであり,被災者ニーズをbottom-upする仕組みをいかに迅速に構築するかは重要な災害対応の一つ.私の中では,被災者ニーズに対して,どこまでを役場が行い,どこまでをボランティアが行うのかに関する明確な線引きが出来ていないが,この二つの連携をどのようにコーディネートするかは,大きな課題であるように思われます.
【栗田現地入りの感想(主観)】
・これまでの活動は大きく分けて4バターン。
?デイリーニーズ…室内の後片付け、家財の搬出など
?県バス…主にゴミの最終処分場で分別作業など
?避難所まわり…地元ボラ数名が毎日訪問。被災者との信頼関係は強い。
?訪問活動…地元の元中学校教諭が中心となって全世帯を訪問。今まで見えてこなかった被災者の実態が明らかになった。
?・?はやがて終息し、一般ボラも減少していくその時、災害ボラセンが何を地元に残したのかが問われる。「地震はやっぱり大変だった」とか「大勢来てくれた」だけではなく、地元自身が汗を流し、みんなで支えあったという実績が、「ここに住んでいてよかった」といえる地域づくりにつながることを考えた場合、?はその継続と仮設へのケアにつなげていく可能性が大きいこと。
そして?は上記報告の通り、民生さんらが主体となって行動することに大きな意義がある。またこれまでの訪問調査で明らかになったことは、「家」に関する心配だった。穴水は、数字上は全壊等の数は輪島の比ではないが、一人ひとりの被災者の心配は、全体の総数の問題ではない。
これまで穴水が大切にしてきた「丁寧に」のモットーを形にするための相談茶話会の実施も決まった。さらに、避難所の空気がやはり「どんより」しているので、ボラ連主催で、詩吟の発表、カラオケ、健康体操などのお楽しみ会を実施しようとのアイデアや、「この地震をきっかけとした町の活性化運動を行っていきたい」との声も出ている。
いよいよ地元が主体となって動こうとする萌芽が生まれてきた。頼もしいと思うと同時に、現在進行形の生きた学びの現場でもある。穴水は確実に第2段階に入った。こうした活動にいましばらく支援を継続していきたいと思っている。