能登半島地震【第32報】

浦野です。お疲れ様です。本日よりRSY松田と交代し、浦野は6日間の活動を終
え、夕方には名古屋に着く予定です。松田は明日まで活動します。遅くなりました
が、5月4日の報告を致します。少し長いですが、よろしくお願いいたします。
○活動内容
■引越し
・本日は引越しニーズ無し。
■仮設住宅応援パックの配布
・仮設住宅45所帯のうち、本日までに未入居の方7件、留守の方8件を除く30世帯へ配
布することができた。
・配布作業を行った際、家の様子を見てきた地元ボランティアの方々によれば、みな
さん荷物は運びいれたものの、全て片付け終えるにはまだ時間がかかるのではない
か、とのこと。「お手伝いしましょうか?」と声かけをするも、「ぼちぼちやります
から大丈夫」との返答が多かった。自分のペースで少しずつ片付けたいという思いが
見られるので、無理にボランティアが入るのはかえって本人を疲れさせるだけなので
はないかとのこと。1日1度は訪問するなりして、様子を見守っていくことを申し合わ
せた。
■談話室の様子
・今や穴水町のボランティアのトレードマークとなったオレンジのウィンドブレー
カーが仮設の住民の方々にとっての信頼のシンボルとなりつつある。仮設の中をボラ
ンティアさんが歩いていると「いつもご苦労様縲怐vと声をかけてくれる人が多くなっ
てきた。また、ボランティアが談話室に出入りしている様子を見て、今まで訪問して
も「一人でやれるから大丈夫だわ」といっていたお年寄りが、「布団を取り込みたい
ので手伝って欲しい」と自分から談話室に出向き、声をかけてくださるようになっ
た。少しずつ、仮設にいても頼れる人がいるということや、談話室の存在が認知され
てきたようで、とてもいい傾向になってきた。
・5日のお茶会&足湯に向けて、談話室の環境整備も進めた。社協からテーブルを借
りて設置したり、お茶道具や手洗いセット、台所用品やトイレ用具なども少しずつ
整ってきた。これにより、ボランティアもお茶を飲みながらのんびりした雰囲気で仮
設での活動ができるようになった。
・普段から喫茶ボランティアをしている団体の方々が活動に参加しており、翌日の足
湯の打ち合わせに来ていた足湯ボランティアの第一人者である吉椿氏に、談話室の存
在の重要性や足湯、茶話会などの継続的な支援の意義についてお話して頂いた。専門
的な知識や技術がなくても十分にできる支援だということや、足湯や喫茶そのものよ
りも、そこでの関わりを通じて入居者の生の声を拾うことが一番の目的であるという
ことをお話してくださった。「やり方を教えてもらえれば、私たちでもできるのかし
ら?」という意見もあり、吉椿氏による足湯講習の要望なども出された。
■表札について
・先日穴水高校と金沢市伏見高校の学生が作成・配布してくれた表札が、多くの家の
玄関に飾られていた。受け取っては頂けたものの、表札を出すことに抵抗を感じる方
も多いのではないかと心配していたが嬉しい誤算であった。黄色や白、緑などカラフ
ルな表札が風に揺らめいて、殺風景な玄関が少し明るくなった気がした。
■今後の活動について
本日仮設住宅でボランティア活動を行ったメンバー(社協職員、地元ボランティア)
が今後の支援として具体的に必要だと思われるものについて意見出しを行い、下記の
ようにまとまった。
〔環境整備〕
○各棟の看板設置
・穴水の仮設住宅はA縲怩g棟に分かれており、談話室を囲むような作りになってい
る。お互いの顔が見えやすく雰囲気としてはいいが、正面から各棟を示すプレート
(A棟・B棟などと書いてあるもの)が見えにくい棟がいくつかある。居住者のみな
らず、ボランティアや訪問者も迷ってしまう。仮設入り口に見取り図も設置されてい
るが、サイズは大きいが非常に目に付きにくい位置にある。
・そこで、各等の壁かフェンスに花や動物などのイラストのついた大きな看板を目立
つところへ設置したいという提案が出された。行政にどこまでの加工が許されるのか
を確認した上で、具体的な方法を今後検討する。
○ゴミステーションの移動
・仮設住宅内にゴミステーションが2箇所設置されているが、1箇所が敷地の端のほ
うにあり非常に目に付きにくく使い勝手の悪さが予測できる。行政に確認し、移動が
可能かを検討する。
○玄関の雨対策
・先日の報告にも書いたが、玄関の日さしが短いために雨のしずくがアスファルトに
跳ね返って玄関付近に飛び散ることが問題となっていた。既に波板をつけるなど自分
で工夫している方もいるが、大工経験のある入居者の方とたまたま話していたところ
「ひさしをもう少し長くすれば随分改善できる。もし希望する人がいればそれくらい
の作業は自分も手伝えるよ」と前向きでやる気を感じる意見をおっしゃられたとのこ
と。これから梅雨にかけて不便を感じる人が多くなってくると考えられるため、愛知
からも中越支援のときと同様、大工ボランティアを派遣するなどもふまえて、梅雨に
入る前に取り掛かれるように調整したい。
○駐車場の整備
・現在仮設住居者の駐車スペースは砂利が敷かれているが、既にところどころで砂利
が削れてわだちができるなどして使いにくい様子がみられる。また、部屋番号などの
立て札もないため、ボランティアや訪問者にとっても区別がしにくく、トラブルのも
とになるとも考えられる。今後行政に報告し、地盤固めやプレートの設置などを要望
していきたい。
○ベンチの設置
・外出したり、お互いに話せる環境づくりの一つとして、屋外にベンチを設置したい
という提案があった。備品については、ロータリークラブやライオンズクラブなどに
提供協力が得られるか今後調整したいとのこと。
〔自治会活動〕
・今後仮設住宅内での自治会設置については、各棟で組長(リーダー)などをきめ、
ゴミだし当番や広報伝達などのルールを決めていく予定。役場の産業建設課がコー
ディネートし、これらの働きかけを実施していくとのこと。(時期は未定)
〔談話室の活用〕
・ハード面では、靴箱・本棚・食器棚・整理整頓するためのカラーボックス・テレビ
やビデオ・時計の整備。
・ソフト面については、喫茶や足湯の定期的な開催。
〔イベント的な活動〕
・既に門前で行われている「花いっぱい運動」に続き、プランターに花を植えて仮設
に設置する活動をってはどうか。5月12日(土)に実施する方向で検討予定。
〔中途入所者への対応〕
・家の再建により仮設対処者がいた場合、そのつど入所希望者の抽選を行うとのこ
と。その際、応援パックや表札などを同じように配布するのかを統一する必要があ
る。
〔継続的な支援活動〕
○見守り・巡回活動と談話室への常駐ボランティア
・仮設内定期的に巡回して、声をかけたり、その場で対応が必要な方にたいしてはす
ぐに対処できるような体制をつくる。
〔個別ケースへの対応〕
・医療や福祉の公的サービスが必要な方がいた場合に、社協が中心となり、保健師や
ケアマネ、福祉課と連携し、すぐに対処できるような関係性を作っておく。定期的な
ケア会議のようなものも必要となってくるだろう。
〔在宅の方への対応〕
・今回の被害は穴水町の駅周辺(大町・川島地区)に集中していたが、上中、河内、
宇留地・桂谷など市街地から距離のある地域への支援が行き届いていないことが気が
かりである。
・仮設入居者へのケアは手厚くなりつつあるが、仮設に入りたくても入れなかった一
部損壊の方々も苦労されていると聞く。災害対策本部にある被害マップやボラセンで
独自で調査した被害リストなどをもとに再度訪問し、元気付けたり応援しているとい
う気持ちを伝えていきたい。また、町営住宅へ移住された方や親戚の家などにいに行
き、町を出ざるを得なかった方へも働きかけができればと思う。
■第2回ボランティア連絡協議会 能登半島地震緊急会議の実施
上記の意見を共有し、社協やボラ連を中心に、公的サービス機関や地元の社会資源な
どと連携をとりながら継続性の高い支援体制を作っていくために、今後のスケジュー
ルや具体的な役割分担などを決めていく場として第2回会議の開催が提案された。実
施予定日は9日(水)2時間程度。社協内での決済が取れ次第、実施に向けて準備を進
めていく予定。
○会議プログラム(案)
1.これまでのボラセンでの活動報告
・避難所でのイベントの開催
・仮設住宅応援パックの配布
・仮設住宅の引越しの実施
・表札づくりと配布
・談話室でのお茶会&足湯開催
2.現在の被災者の状況
・仮設の方の声
・在宅の方の声
3.今後必要と思われる支援活動(前述の意見をもとに説明)
・仮設住宅での見守り・巡回
・在宅の方への見守り・巡回
・談話室での定期的な催しの実施
・仮設でのイベントの実施
・その他(環境整備・自治会活動・個別ケースへの対応)
4.これからボラ連として実施したい具体的な取り組み
※下記の提案のもと、協力団体を募り役割分担を決める。
○仮設の見守り・巡回
・5月一杯はボラ連38団体で担当制にし、午前と午後に2人ずつ仮設に常駐する。
・巡回と談話室への常駐が主な活動内容。個別訪問はしない。
○訪問活動
・避難所での訪問活動を中心に行っていたグループ325が中心となり、引き続き月・
水・金のペースを守りながら、個別訪問を行う。この活動に協力してもらえるグルー
プを募る。
○談話室でのお茶会
・週1回からでも、定期的な喫茶の実施を行う。
○活動シートの記入
・1日の活動を終え、ボランティアには気になったことや人、対応が困難だったこ
と、要望などについて記入してもらい、先の見通しを持った支援活動につなげるため
の重要な情報源としてまとめていけるようにする。
※ただし、上記はあくまでも一部のボランティアの間で話し合ったことのため、会議
の展開によっては、内容が変更になることも十分に考えられます。現時点での決定で
はないことをご了承下さい。
■浦野感想
・総合的な反省や感想については、また改めて書き込みたいと思うが、穴水に関して
は、引越し作業の件数も少なく、大方落ち着いてきた状況。そんな中、今まで活動を
中心に行ってきたボランティアさんと上記のような話し合いができたことは、とても
意義深かった。意見だしをすることで、今後の課題が整理でき、行政や専門機関につ
なぐべきことと、ボランティアベースで今後も行っていったほうがよい活動が大分見
えてきたのではないかと感じた。
・また、在宅にいる方への配慮や町を出ざるを得なかった方への精神的なサポートの
必要性などにまで踏み込んだ意見が出されてたことにも驚いた。
・今回意見出しに参加してくださったボランティアさんは継続的な支援の必要性を十
分に理解されている方々であり、「あんたの向かいの○○さんは耳が遠いので、
ちょっと気にかけてやって欲しい」など、入居者同士の関係性をつなぐ働きかけも早
い段階から自然に行える素晴らしいセンスを持っていらっしゃる。この地元の力があ
る限りは、活動自体は細々とでも継続していけるだろうと感じた。ただ、そのために
も応援団や仲間作りは重要な要素になるため、社協のコーディネート力が求められる
と感じる。
・また、私たち外部支援者の今後の関わり方についても、見通しが持てたような気が
する。具体的には、時間の経過を追うごとに心配される被災者の変化などの情報提
供、大工ボランティアの派遣などポイント的な人材や物の派遣、年数回のイベントの
持ち込み(栗田提案の穴水・愛知のうまいもん祭りの開催など)、経済復興支援(田
麦山のお米販売のような)である。地元の力に学びつつ、今後も能登をいろんな切り
口から応援していけたらと思います。皆さんのご協力を引き続きよろしくお願いいた
します。