6月29日(火)19時よりRSY不定期学習会を行いました。
今回はCODE海外災害援助市民センターの吉椿雅道氏を名古屋にお招きして、「中国青海省地震・四川省大地震 被災地からの報告」というテーマでご講演いただきました。
吉椿さんは2008年5月12日に発生した四川省大地震の発災直後から現地へ入りました。特に支援の手が届きにくい山間部の被災地域である光明村を活動拠点とし、現在も継続的な支援を展開しています。今月に入って4月14日に発生した青海省の被災地を訪問し、一時帰国されました。四川省から被災地である青海省玉樹チベット自治州までは、なんと車で2日半かかったそうです。その距離1200km、標高3700~4000mの高地で、最初の2日間は高山病でひどい頭痛に見舞われたそうです。立地条件の厳しさによる支援活動の困難さを肌で感じつつも、被災された方々へ支援物資やKOBEの被災者が作るハンディクラフト「まけないぞう」を手渡しし、現地調査にもあたられました。学習会では、なかなか日本では聞くことのできない現地からの報告を臨場感あふれる語りでお聞かせくださいました。
■四川省大地震(光明村)
四川省では復興の格差が依然として課題となっていました。これまで過去4度に渡りパンダタオルをお届けし、RSYとの交流のある光明村で唯一のお医者さんの診療拠点となっていた仮設住宅が撤去され、
移転先が見つからない状況が続いていましたが、ようやく決まりました。村に働ける場が無い上に、住宅再建のために抱えたローン返済を迫られ、村人の半数が出稼ぎに出てしまいました。現在村には女性、高齢者、子どもの姿が多く、中国全土においても高齢化はますます加速するだろうと見込まれています。しかし、CODEが村人と共にずっと構想を温めてきた地域の活動拠点「老年活動センター」の準備も進みつつあり、村の課題の解消に向けて確実な一歩を歩みつつあります。何度も村人たちと話し合いを重ねることで、「自分たちの手で作る自分たちの拠点」という意識が育まれ、それが村人たちの自信につながってくるそうです。被災者支援を行う上で大切なことは、最初から物やお金、アイデアを「与える」のではなく、必要なものを一緒に見出し、被災者が自らの手で選び、創っていくというプロセスをサポートすることであると吉椿さんは語りました。今後「老年活動センター」には、高齢者を中心とした村人たちが集える憩いのスペースを設け、伝統構法による木造建築の展示や防災教育等、防災・減災につながる震災活動記念館も設置するそうです。
■青海省地震
被害がひどかった地域のひとつである青海省玉樹チベット自治州は97%がチベット人です。今回吉椿さんのお話やご提供頂いた写真の数々を見ても、文化や言語が大きく異なる地域であり、支援の困難さが読み取れました。標高が高く、植物が育たない森林限界地帯であり、森林資源も乏しい地域です。そのため、家は耐震性の弱い土やブロック、レンガ、平石等が使われていることが多く、今回の地震による死因は、土埃による窒息死が多く見られました。また、800年の歴史ある寺や仏塔も倒壊しました。印象的だったのは、チベット仏教の存在でした。チベット人にとって、チベット仏教は心のよりどころであり、何よりも早くお寺の再建を行うことが被災者の心の癒しや気力の支えに直結していたそうです。発災直後から、テントの中にお坊さん達が修行する場所や読経する場所を確保し、親族を無くした被災者が安心して祈りを捧げ、慰められる場が作られました。心のケアを専門としたNGO団体も早々に現地入りしましたが、「チベット人には心のケアはいらない。チベットにはチベット仏教があるから」と言われたそうです。その土地の文化ややり方、気持ちを尊重しつつ、よそ者はよそ者の出せる力を持ち込みながらも、まずはその土地の人の声を聞くことが大事なのだと思いました。被災者にとって何が一番支えになっているのか、被災者のアイデンティティーを保つものは何かを常に考えながら支援活動を展開している吉椿さんのお話は、今後の国内外の被災者支援に携わる上で、大きなヒントを与えて下さいました。
参加者からも、「まずは知ることが大事だと思った」「今後、自分にできるボランティアがあったら参加したい」「マスコミでは流れない生の現地情報がわかった」「チベットの話は印象的だった」「人間はひとりでは生きられないから、周りの人と互いに助け合うことが大事だと思った」などの声が寄せられました。
最後に、5月の募金活動で集められた支援金をCODEに贈呈し、報告会は終了となりました。
RSYでは、今後も報告会や募金活動なと、できる限りで中国四川省・青海省を応援していきたいと思います。CODEでは引き続き救援募金の呼びかけを行っていますので、皆さんぜひともご協力下さい!
こちらをクリック
吉椿さん、参加者の皆様、ありがとうございました!
■報告書ができましたので、ダウンロードしてご覧ください。
こちらをダウンロード
(報告者:RSY浦野・加藤)