みなさま
お世話になります。RSY事務局松永です。
京都府宇治市炭山区で10月19日(土)に開催された「炭山窯元まつり2013」に行ってきました。今回は、「炭山窯元まつり2013」のイベント運営のお手伝いの他、スタディーツアーとして炭山町内会役員の方から現在の状況やその後の活動等をお聞きしてきました。
2012年8月中旬、京都南部豪雨水害によって宇治市炭山地区は家屋・陶芸工房の浸水被害や主要道路が土砂崩れによって通行止めになる等の被害にあいました。発災後、炭山町内会では災害対策本部を立ち上げ、被災家屋のニーズ調査やボランティア受け入れ、また行政からの支援情報やボランティアの活動報告等を掲載した「炭山通信」を住民に配布する等の活動を行いました。RSYでは、なごや防災ボラネット・震災がつなぐ全国ネットワークとの連携のもと、災害ボランティア活動資器材の提供、ボランティアバスの運行による人的派遣等を行い活動しました。また、復旧・復興応援として「炭山窯元まつり2012」に参加、イベントのお手伝いや足湯を行いました。去年の活動の様子はコチラ→【宇治市・京都南部豪雨水害報告・第1報】
さて、以下今回のスタディツアーの報告です。
10月19日【土】、炭山では明け方に雨が降り、炭山窯元まつり2013は屋外での開催だったため、お客さんが少なくなることが懸念されていましたが、無事雨も上がり、多くの来客がありました。陶器の激安市や陶芸の無料教室、うどん等の販売も行っていました。
昨年同様、RSYはイベント運営のお手伝いで、駐車場整理等を行ってきました。
そして、スタディーツアーの目玉である、「勉強会」を炭山町内会ご協力のもと開催致しました。勉強会の内容は、2012年京都府南部水害の被害状況や発災直後の町民内での対応、町内会で災害対策本部を立ち上げた経緯やその後の対応、炭山の地域性などをお話頂きました。
以下、炭山町内会防災担当K氏のお話です。
宇治市炭山区は、山間の集落で、南北に細長く集落の中心を志津川が通り、160世帯(300名以上)が生活をしている。醍醐寺の炭を焼いていたため「炭山」という地名が付けられた。40年前、廃村寸前まで追い込まれたが、清水焼の陶芸家が炭山に移住し立て直した経緯もあり、炭山では外部の人を受け入れやすい文化がある。
2012年8月14日未明の記録的な大雨により、炭山では府道など市内へ続く3本すべての道路が土砂崩れ等で通行止めとなり数日の間孤立した。大量の雨水が川を流れ、護岸が削られるなどし、また山からの泥水が家屋に流れ込み床上・床下浸水被害が多数発生した。炭山区の北(上炭山)と南(下炭山)の境目の山で土砂崩れが発生し、その下を流れる志津川に土砂が流れ川を塞ぎ、行き場をなくした川水で周辺一帯が深さ1m程の池となった。そのため、北と南と行き来ができなくなり、また被災により携帯・PC等の通信手段が一切絶たれてしまったため双方の状況がわからなかった。
被災初日・翌日は、住民総出で道路の片付けを行った。三日目からは、区長を中心に災害対策本部を立ち上げ、以降は被災状況の把握・行政との調整・ボランティア受け入れなどの活動を行った。毎朝、上炭山7組、下炭山7組の組長が集まり被害状況把握や住民の要望等を共有した。夜の本部会議では情報の共有や行政へ住民からの要望を伝えた。「炭山通信」という災害支援情報誌(道路復旧状況や要望への回答等)を作成し翌日の朝に各戸へ配布し、住民に周知した。
元々、行事など「地域でなにかをする」ことが多かった。行事として、秋・夏祭り、小学校の運動会は全校生徒が30名程しかいないため、住民の多くが一緒に参加して競技を行う。そういった取組が重なり地域の団結力を生むきっかけになったのではないか。
炭山にある、山の構造は下から岩盤・土・木となる。山の所有者はすべて外部の人間で、木々の間伐等の手入れはされていなく、伸び放題となっていた。生え過ぎた木々の重みと豪雨の雨が重なったことにより、岩盤の上を滑って土砂崩れが多発したことがわかった。このことから里山の会(住民14名で構成)を作り、木の間伐を行うなど、山の手入れを行っている。
その他、教訓を活かした炭山の減災・防災への取り組みは、
①炭山MLリストの作成
災害情報(道路通行止め等)を住民に周知する。また、高齢者でメールが使えない人については各組長さんに共有し個別訪問等で対応する予定。
※大雨で道路が通行止め(80㎜規制)になり孤立状態になるなど、インフラについては依然として不安定な状況が続いている。
②ハザードマップ作り
2日間ワークショップを行い住民30名が参加した。炭山の地図に、2012年の被害状況や60年前の災害時の情報を記し危険個所を考え、その他、次の災害に備え、重機を所有している人(オペレーターを含む)、チェーンソーを持っている人、井戸がある場所、災害時に電波が入る場所、電気工事者等も地図に落とし込んだ。来春には防災マップが完成する見込み。
③要援護者リストの作成
④炊き出し資器材の確保・予行練習
2012年の水害で行政からの弁当に依存してしまったため、今後災害があった場合は町内会で炊き出しを行えるように、資器材の確保、その後炊き出し練習を行う予定。
2012年の水害の教訓から、次の災害の減災・防災へ炭山町内会はいろいろなことに取り組んでいました。前区長Wさんが「災害に向き合っていかなければいけない」と話していたように、災害大国日本では、災害(水害・地震等)を止めることはできませんが、被害を少なくすること、起きる前、起きた後の減災・防災への活動が一番重要なんだと再認識させられました。
■ツアー参加者の声
・講演を聞き、被害状況や水害後の対応等の話が住民から直接聞けてたことが貴重だった。また、昨年のボランティア活動後に陶器を頂いた。どの陶芸家の作品かわからなかったが、今回のスタディーツアーで作者とお会いすることができてよかった。
・自由散策で窯元を回った際に、「去年、お手伝いしてくれたボランティアさんじゃない?」と覚えていてくれたことが嬉しかった。
■住民の声
・2013年8月に砂防壁が出来た。40㎝程の配管を取り付けているため、多少の雨水や土砂は大丈夫だと思う。今後の水害への心配が和らぎ、ホッとしている。市の予算が付き、来年には炭山林道の整備が完了する予定。去年の泥だし後、床下に消毒液をまいたが、時間の経過とともに今まで見たことない虫が出てきたことがあった。
・住民だけじゃなにもできなかった。ボランティアに助けられたありがとう。
・去年土砂崩れのあった箇所が台風18号の影響で、上方が崩れ出した。