【第10報】平成28年熊本地震に関わるRSYの支​援活動について(5月1日-5月4日)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
「平成28年熊本地震」において、RSYでは御船町を中心に活動を行っております。
以下、現地からの報告です。

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▼派遣スタッフ(今後の予定も含む)
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・4月20日~/浦野(御船町支援・県内避難所改善チーム)・松永(JVOAD事務局支援)・中西(御舟町支援)
・4月26日~/岡田雅美さん(御船町災害VC支援:なごや防災ボラネット)
・4月26日~/加藤都さん(御船町避難所支援:なごや防災ボラネット)
・5月3日~/佐々木裕子さん(県内避難所改善チーム・愛知医科大准教授)・阪本真理子さん(県内避難所改善チーム・愛知医科大学教授)
・5月5日~/森田貞子さん(県内避難所改善チーム・すみれ訪問看護ステーション)
・5月14日~/神田夏美さん(県内避難所改善チーム・看護師)

※5月1日より松山(震つな)、5月3日より栗田が現地入りしており、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が開催する「熊本地震・支援団体火の国会議(略:火の国会議)」の運営、熊本県内の避難所調査・改善の体勢づくりなどを行っています。

※尚、現地入り以降、長期ボランティアとして関わって頂いている中西朝子さんを「RSY御船町現地コーディネーター」(非常勤スタッフ)として迎え、ボランティアの受け入れ・ニーズの掘り起こし、支援プログラムの企画・運営等のサポート体勢を強化しました。
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▼松山(震つな)より⇒熊本県全体の避難者の状況について
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熊本地震の被害状況が日々明らかになっている中、被災地では学校の再開に向けて避難所の統廃合が進み始めていることから、避難生活が長期化する方と、不安から家でねられない(本来は帰れる)方の差が出てきている。

具体的には、家に帰れる方が多い地域では、避難所での食事の支給がなく、住民も、夕食と入浴を済ませて避難所に寝に来るという自主避難に近い感じの避難所が多い。この場合は余震の減少に合わせて避難者が減っていくと予想されるが、いつまで続くかは自然相手だけに未定。

一方、自宅が倒壊や全壊など、自宅に戻って生活ができない方々は、仮設住宅やみなし仮設など、次の生活基盤が確定するまでの間は避難所での生活が続くため、長期化対策が課題となっている。

また先に述べた、帰れるが不安な方と家が被害を受け、帰れない方が混在している避難所が多くあることで、いわゆる「追い出し」ともとれるような食事支給が改善しないことが、本当に家に帰れない方々への支援の質を下げている現状もある。

避難所を出る見通しについての意向調査も進んでいるようですが、行政目線ではない、被災者(避難者)目線で必要な所に支援が届くような働きかけは続けていかなくてはならないと思う。
阿蘇などの観光地では、GWという書き入れ時の前に大きな地震があったことから、観光シーズンには3時間待ちもする有名レストランが、10分待ち。しかも客のほとんどがボランティア活動で訪れた方々。という状況もあり、産業復興についても今後大きな課題となりそう。

4/14の地震発生から今日で3週間。長期化する避難者の環境改善や福祉的な支援が必要な方への配慮は今後一層重要になってくると思われる。

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▼松永(JVOAD事務局)より
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全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が開催する「熊本地震・支援団体火の国会議(略:火の国会議)」の事務局として活動。毎日19時より県青年会館にて火の国会議を実施し、毎日20~30団体50名の県内外のNPO・NGOが集まり情報共有・調整を行っている。現在の状況は以下の通り。

・JVOADは、県や内閣府、また地元の支援団体と連携し、県内の避難所環境の調査を実施。内容として、トイレ環境や衛生面のチェック、要支援者に配慮された環境となっているかなどを確認。熊本市、また県の保健師も避難所を巡回し環境調査を行っているため、約120箇所の避難所で実施しました。今後、環境改善等も行っていく。

・行政から避難所運営の一部をNPO(JVOAD)にお願いしたいとの依頼があり、現在調整中。

・熊本市では約180箇所ある避難所を、5月8日に18ヵ所に統廃合するなど、県内の他市町村でも避難所の統廃合が進める動きが出ている。統廃合に伴い、避難所環境の整備やレイアウト変更が必要とされている。

・現在も車中泊で生活する避難者が多く、車中泊を続ける主な理由は、片付けが進まない、「余震が怖くて家に帰れない」や「家にいると子どもが思い出して泣いてしまう」など、心的理由を話す方、またペットがいて避難所に入れないなど。

・ゴールデンウィーク中の各地の災害ボランティアセンターでは、アクセスのしやすい熊本市に集中しボランティアが溢れている。また、他市町村では、GW中の現地の渋滞や混乱を防ぐために、ボランティア受け入れ範囲を県内募集や市町村内に限定する動きがあったが、逆に御船町等ではボランティアが少なくなっているなど、各地で過不足が出ている。

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▼浦野・中西より⇒御船町での活動状況
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★御船町災害VC支援
岡田さん(なごや防災ボラネット)が救護班兼ニーズ対応係として常駐。ボランティアのマッチング、環境整備、救護対応などの行っている。

★避難所の環境改善
町の地域包括支援センターと連携し、県内避難所改善チームと共に、観光交流センター内に設置されている「福祉避難スペース」にて環境改善を実施。物資整理・ゴミ環境の改善・介護用品(介護用ベッド・マット・杖など)の導入を支援。現在は14人の要配慮者(足腰の悪い高齢者、ぜんそく等の持病がある方、重症心身の障がいのある方、在宅酸素を使っている方、弱視の方など)と家族を受け入れている。本日より介護福祉士の日中支援が決定し、安定的な福祉サポートの体制が整いつつある。また、『熊本県福祉介護用品協会』会長の帆鷲さんのご協力により介護用ベッド・マット5台、歩行用の杖1本を無償で貸与して頂くこととなった。また、他避難所についても、加藤さん(なごや防災ボラネット)がトイレ清掃、玄関掃除、マット掃除、体育館内のモップがけ、避難者への声がけを実施。

★炊き出し支援(断水集落・玉虫南公民館)
●5月2日
なごや防災ボラネット、SVCみやざき、組長の奥さんや近所の方々3名らと一緒に活動。47名に炊き出しを提供。
●5月3日
加藤さん(なごや防災ボラネット)、笑顔の熊本会ら7名で活動。前日に引き続き、玉虫地区の主婦6名参加、地域への声がけは地域住民・南組組長夫妻が行ってくださった。39人54食を提供。材料は、日本生活協同組合連合会様からご提供頂いた。

カレーライス、レタスきゅうりコーンのサラダ、なすときゅうりの塩揉み、ピーマンとじゃこの炒め煮、地域住民からの差し入れのたけのこの煮物。

(住民の声)
・毎日給水車の所まで水汲みにいくんだけど軽自動車なんだけど二三回いく。ちょっと疲れてきている(60代・男性)
・町まで一時間かからないし、いい場所だと思って家を建てた。もう住めないんだって。どうすればいいのかわからない。(60代・男性)
・パンとカップラーメンばかりでしょ?野菜がたべたくて。今日はたくさんありがとうございます。(40代・女性)
・サッシが地震でしまらなくて(あけっぱなし)。夜は息子が帰るけど昼間はうちにわたし独り。犬がいるけどね。地震後初めて普通のごはんを食べました。嬉しい(80代・女性)
・コンビニやスーパーが開いたけど、足がないので買いにいけないの(60代・女性)
・パンとかおにぎりとかカップラーメンじゃなくて、おかずが食べたかった。今日はおかずが多くて嬉しかった(50代・女性)
・車がないので買い物に行けない。野菜が食べたい(80代・女性)

★足湯ボランティア
●5月3日:御船中学校・玉虫南公民館
●5月4日:御船中学校
大分大学学生、笑顔の熊本会、どこでも足湯隊メンバーら7名が活動。参加者12名。前日に足湯をやって「よく眠れた」「気持ちよかった」という声も少なくなく、昨日今日連日来てくださる方もいらした。
(住民の声:玉虫南公民館)
・家はもう住めない状態。公民館で寝ている。御船のアパートは埋まっており仮設住宅の予定がないため見放されている感じがする(20代・男性)
・早く学校のグラウンドで友達と遊びたい(8歳・男児)
・昨日は朝パン一つ、夕はおにぎり一個だけ。パンやカップ麺は飽きた(50代・女性)
・足がむくんでいる。地震のあと2、3日は水も出らんし、物資もなかったけんね。家にあるとばみんなで持ち寄って食べたよ。しばらくはおしっこも出らんやったよ。やっと出てもこゆかおしっこやったもんね。マッサージとかせんけん、(足湯は)気持ちよかった(50代・女性)
・ひびは入ってるけど住めるけん、今は家におる。夜は眠れんねー。2時間ごとに目の覚めるとたい。(60代・女性)

(住民の声:御船中学校)
・怖かった~、地震だけじゃないからね。余震も続いとって怖い。一人では家におれんね(70代・女性)
・家はガラスも割れて、畳もビショビショやけんね。帰りたか。(足湯について)こんなことしたことないわ。気持ちよか~。(60代・女性)
・おじいちゃんはね、短気なんよ。だから、自衛隊の人もお風呂も、そんな高いとこ上がれんって怒って行かんのよね(70代・女性)
・足湯は初めて。こうやって、人と交流して、大切なことだよね。ここに来るまで4箇所(避難所)に回ったよ。2~3日ごとに場所が変わって疲れた。血圧も高くなったよ。震災前は平常だったのに(90代・男性)
・前はゆかにふとんを敷いていたので立つのがしんどかったです。ベッドになってからは楽(60代・男性)
・もともと手足のしびれが少しあったが、震災後さらに痛くなった。どうしてだろうかねえ(70代・女性)
・ひまご(小6)は体育館にいるとうるさいから車で寝かせている(80代・女性)
・この前マッサージしてもらったけん、それからぐっすり眠れるようになった。(足湯で)今日もぐっすり眠れそう(70代・女性)
・今後の生活がなあ・・・どこに住むかが不安やわ(60代・男性)

★子どもの遊び場
●5月2日:御船町中学校
●5月3日:御船小学校
●5月4日:御船小学校

笑顔の熊本会、大分大学学生らによる子ども支援として、看板づくりやお絵かき、外遊びなどを実施。終始楽しく参加してもらいながらも、スキンシップを求めてくる子どもが多いという印象を受けた。

(子ども達の声)
・地震が怖いので夜になると窓を開けて寝ている
・地震ごっこをしている
・最近よる泣いてる赤ちゃんが多い(乳児世帯用避難所が閉鎖されたため)
・ヒマ。はやく学校始まってほしい
・わたし受験生なんだよ(勉強ができないことが不安)
・学校は三日行ってこのありさま!(中一・女子)
・外で遊びたいな(5歳・女児)

★田代東部公民館・近隣集落への支援(5月5日)
・地元の方から「自宅が断水中のため、夜中に公民館まで行って用を足している住民(女性)がいる。暗いし危険なため何とかならないか」という相談を受け、中部土木株式会社様から無償貸し出し頂いた「トイレカー」を設置。(トイレカー:車とトイレが一体化しており、どこにでも洋式トイレを運ぶことができる車)ご本人は、「これでトイレの心配がなくなって安心した」と、心底ホッされた表情でお話くださった。

・公民館に併設された屋外シャワーを少しでも快適に使用できるよう風雨除けのためのブルーシートを設置。震災後2回しか風呂に入っていないという状況が少しでも改善できれば。

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熊本県西区『光楽寺』さんにて炊き出し支援
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RSY会員でもあり、代表・栗田と同じ浄土真宗大谷派のご住職・大津山さんのご好意で、20日過ぎよりスタッフの宿泊施設としてお寺を開放頂いておりました。お寺も、ご自宅や本堂、納骨堂のご本尊や仏具類が落下するなどし、片付けが必要な状況でしたが、私たちの活動への後方支援拠点として、大変お世話になっております。

4日夕方、『光楽寺』主催でたき出しが開催されました。岡田さん・加藤さん(なごや防災ボラネット)をはじめ、RSYボランティア3名が、奥様やご近所の皆さんと共に、食材の提供・調理のお手伝いをさせて頂きました。サラダとカレーを作り、周辺地域の約130名の皆さんにお配りし、ご住職の奥様にも大変喜んで頂けました。

RSYでは4日以降、宿泊拠点を移し活動を継続していますが、今後も光楽寺さんとの繋がりを持ちつつ、復興のお手伝いをさせて頂きたいと思います。