台風19号の対応【長野市】について(1月25日)

みなさま

RSYは台風19号で甚大な被害を受けた長野市豊野区を中心に支援活動にあたっています。10月14日から活動を開始し以来、3カ月が経ちました。現在は2週間に1回のペースで現地に通い、活動を継続しています。

以下、RSYスタッフ・浦野からの報告です。

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被災された方々の生活状況
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避難所は12月で全て解消されましたが、被災された方々は市営住宅や、親せき宅、自宅などで避難生活を継続しています。日中地域には、大工道具の音が鳴り響き、修繕作業が進んでいる家屋も見られます。

しかし一方で、「家が直るのは次の正月ぐらいかな」「まだ解体するかどうか迷っている」という声も。業者の確保やお金の問題は個人差が大きいので、再建の流れに乗れていない方々は、今も先の見えない不安な生活を送っています。
また、今年は暖冬と言えども、市内は霜が降りたり、水たまりに氷が張る日もあります。災害支援の仲間によると、壁や床が無くなった1階部分から、階段をつたって2階に冷気が上がり、冷蔵庫のように部屋を冷やしてしまうそう。
そのため、2階で在宅避難をされている方々を対象に、コンパネや毛布などすぐに手に入る資材を使った対処方法を教える講習会なども催されています。また、「台所の修繕が終わっていない」という世帯も多く、カセットコンロ等の簡易調理具で食事をまかなっているため、心身共に充実した食事環境が整っていないという世帯も少なくありません。
住み慣れた地域を離れて、市営住宅や仮設住宅、親せき宅で生活されている方もいます。市内には、木造・プレハブ・トレーラーハウスと3種類・4か所・115戸の仮設住宅が建設されましたが、部屋の狭さや立地が問題となり、実際入居しているのは72戸にとどまっています。
市営住宅は4か所・123戸、みなし仮設は537世帯が利用しており、居住地がバラバラになったことで、個別の生活状況がより掴みにくくなっています。
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市や社協の動き
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★長野市災害復興計画検討委員会の立ち上げ
市は、「長野市災害復興計画検討委員会」を立ち上げ、1月に第1回会議が開かれました。これに先立ち、各地で住民懇談会が開催れ、RSYが支援に入っている豊野地区は約400名が参加しました。区長によれば、「みんなの想いを語って、これからどんな地域にしていくかを考えて行こうという気持ちが共有化できた」ということで、次の災害に向けた防災対策や、コミュニティ再生について、住民の声を反映させた計画になるよう働き続けていきたいと話していました。
★「地域支えあいセンター」の設置
市社協は「地域支えあいセンター」を設置。市営・仮設住宅への個別訪問の体制を整えつつあります。しかし、在宅避難者の情報は、誰も十分な把握ができていないということもあり、豊野区では、社協ボラセンや地元内外の支援者らが把握している「気になる人」を共有する、個別ケア会議を週1回開催することになりました。情報は地域支えあいセンターに集約され、今後の継続的な支援に繋げていきます。
★「災害ボランティアセンター」の再開
ボランティアの登録制度を導入し、約1,000人が登録。現在も土日を中心に活動中です。
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まちの縁側ぬくぬく亭
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11月12日に、豊野区にオープンした「まちの縁側ぬくぬく亭」。地元の福祉施設やボランティア団体、住民自治協議会、社協、外部支援者などで協働運営しています。在宅避難者をはじめとした地域住民の支援拠点として機能しており、週1~2回の「ぬくぬく食堂」や、足湯、モノづくり、子どもの学習支援、各種相談会、落語、コンサートなど、様々なプログラムが実施されています。

RSYは2週間に1回開催される「とよのぬくぬく隊ミーティング」に参加。必要に応じて議事録のとりまとめや、過去の被災地の事例提供などを行い、住民の生の声の把握や後方支援に努めています。
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個別訪問の実施
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RSYは、これまで、RSYが関わってきた自主避難所の運営支援や、あったか食堂の取り組みを通じてつながりのできた方々の個別訪問を重ねています。これらの取り組みを継続して、みなし仮設や在宅で分散している方々の見守りや集いの場づくり、地域支えあいセンターとの情報共有に取り組みます。

★住民の声
「とにかく家族が眠るこの土地を離れたくない。泥かきやこまごまとした掃除をあきらめずにやり続けた結果、とてもよい大工さんと出会い、修繕が進んでいる。来月部屋が完成する予定なので、大きめのこたつを置いて、サイフォンでおいしいコーヒーいれるからみんなで来てね。修繕が完成するまでは親族の家でお世話になる。お互い気の使い合いでもう限界。泣いてばっかりだけど、悲しい時は、ボランティアさんが置いていった名刺を眺めたり、一人ひとりの顔を思い浮かべて元気をだそうとしてる。今日話せてスッキリした。(80代・女性)
「ここんとこ、体調を崩しちゃって体がいてぇんだ。なんだかここ(仮設住宅)へ入ったら、水害前まで自分でやってた家事もやる気になれなくてさ。気持ちが前にむかねぇんだよ。痛みで夜は寝られないし、食欲もない。(病院に連れていくと申し出るも「迷惑をかけたくない。もっとひどくなれば必ず行く」とかたくなに遠慮されたため、関係者と状況を共有)」(70代・男性/建設型仮設)
「夕飯食べてって。ここに来て、足が前より全然動かなくなった。週1回のデイサービス以外はほとんど家にいて、新聞読んだり、テレビみたり、横になってるだけだからね。暇なら売るほどある。私もこれまで、てっぺんから底辺まで色々経験してきた。最後がこの水害。今までもなるべく人に頼らずやってきたからね。頑張ってるよ。避難所の時はみんなのために味噌汁や煮物を作ったね。しかたないなぁって思って。みんなおいしいって食べてたよ。でもここはゴミ出しに行っても誰にも会わない。ほとんど一人で家にいるよ」(80代・女性/みなし仮設)
「自宅を解体する予定なんだけど、土地や家の所有権の問題があったり、何より手続きがややこしくて。何度も市役所に通ってくたびれちゃったよ。法律で決められているからっていう説明なんだけど、心情的には何で自分のものなのにこんなに苦労しなくちゃなんねぇんだって腹が立っちゃって。最近めまいや足の痛みがひどくなってきた。病院に行っても「どこもなんともない」っていうんだ。ストレスなのかねぇ。専門家にも相談した方がいいかな?そうだようね。気分転換に一杯やりたいねぇ」
(70代・男性/みなし仮設)
水害から3カ月が経った今、被災された方々の置かれた状況は個別化して、ずいぶん見えにくくなっています。だからこそ、災害をきっかけに生まれた出会いを大事に、ボランティアと住民の間でできるだけ息長く行き来を重ねて、互いに気にかけ合える関係を育ていくことが大切だと感じます。
RSYはそのためのプログラムづくりも行う予定です。
一人の被災者につながる『人のパイプ』をなるべく増やしていきたい。
そんな思いで、2月にはボランティアカーの運行も検討中。
詳細がきまりましたら、改めてご案内します。

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