能登半島地震【第16報】

みなさま
事務局の松田です。おつかれさまです。
4月9日より栗田と吉田護さん(京都大学防災研究所)が再び穴水町に入り活動を開始しました。吉田さんより昨日の活動状況について報告が届きましたのでお知らせいたします。(2007.4.9現在)
■ボランティアセンター内の動き
・100名以上の外部ボランティア(穴水町外からのボランティア)が土曜日まで入っていたが、日、月曜日共に外部ボランティアの数は激減。ニーズもそれほど多くなく、ボランティアの需給は安定している様子。(正確な数字は明日報告する予定です)
・町内廻り活動から出てきた住宅に関する質問、不安を解決するための茶話会が開かれた。題目は「家のことについて専門家に聞きませんか?」。来た人数は17名。
・明日、民生委員を通じて、町民に「うるうるパック」を各家庭へ配る予定。その中で、各家庭の要望を聞く予定(e.g.、 毎日家に訪問してほしい)
■相談会「家のことについて専門家に聞きませんか?」に関する概要 そこでの質問・要望
穴水町災害対策ボランティア現地本部では、 4月3日から4月6日にかけて被災した町民の要望を汲み取るため、個別訪問による要望・質問等の聞き取り調査を実施した。その中で、被災家屋に関わる質問・要望が多数寄せられたため、それに応えるため、4月9日(月)に穴水町保険センター・健診ホールにて、「家のことについて専門家に聞きませんか?」と題し、茶話会を兼ねた住宅の説明会を実施した。ボランティアの講師として、木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)の安斎正弘様、日本民家再生リサイクル協会の長谷川順一様、阪神・淡路まちづくり支援機構の安崎義清様を講師としてお招きし、住民の方に気軽に家や制度のことに関する質問をして頂く機会を設けた。結果、17名の町民の方にお集まり頂き、家屋とそれに関わる制度に関して質問をして頂いた。以下、主な要望・質問をとりまとめたものである。


1. 被災度判定について
竏註ウ確に家の状態を見てないのではないのか
竏註ナ務課が外見だけで判断しているのではないか
竏窒「つ住宅の調査に来たのか分からない
竏凋・ミ証明の認定(一部損壊)に不満がある
2. 応急危険度判定と被災度判定の相違、応急被災度判定(赤紙・黄紙)と補助金の助成額に関連性について
→ 助成金については、罹災証明に完全に依存するという点を伝達済み。
3. 敷地の石積みが河川(2級河川)の中にくずれ込んだ場合の損害責任について(河川課の責任か自己責任か)。
→ 河川課と要相談と伝えた。
4. リフォームすべきか新築すべきかに関して
竏瀦ヌの亀裂、地盤の傾き、擁壁の崩壊、内部の柱の腐敗等が耐震性に及ぼす影響に関する質問
竏樗・pに関する質問
5. 敷地の境界について
竏鋳n図上の赤線に関する質問。里道か公道であるため、筆界確認協定を市町と協定する。敷地界を確定させる。
竏瀦~地の境界証明書に関する質問。隣地所有者と立会の上、合意すれば印鑑証明書を添付の上、両者で保管しておく。
→ 土地家屋調査士と要相談という旨を伝えた。
6. 精査な家の診断を依頼するために来たという方もいらっしゃった。
7. 来るべき人が来ていないとの意見も出た。
吉田の所感
安崎さん(阪神・淡路町づくり支援機構)がお話しをされたとき、住宅復興の重要な点として1.意欲、2.智恵、3.お金、の三つが非常に重要となるとおっしゃった。また、いくらの家を建て直す(修復)するのかではなく、いくら今後支払っていけるのかを見積もるかだとおっしゃっていた。この感覚は私には無く、現場で多くの被災者の問題を見てこられた方ならではのコメントであると思った。
また、説明会として、5分前まで2名のみと不安な面もあったが、最終的には17名の方が集まっていただき、時間がたつにつれて、住民の方が抱える疑問・要望も明らかになってきたと思われる。中でも、1.の被災度判定の問題に関して、どのような手順で被災度判定が行われたかについて不明な点も多く、仮に精査な診断で行われていれば、在宅の方々の家に関する不安も多少は取り除かれるのではないかと思われる。
□「家のことについて専門家に聞きませんか」について、栗田の感想
「家のことについて専門家に聞きませんか」が、4月9日に開催された。真剣に家のことを訪ねる被災者に、情熱を持って答える専門家、そしてこの会を主催した地元社協(災害ボラセン)。「家のことはわからない。役場で聞いて。」ではなく、全戸訪問で被災者の声に耳を傾け、あまりにもその不安が大きいと知ったことから生まれた今回の小さな相談会に大きな意義を感じた。地震災害時のボランティアというと、ひとまず家財の片付けや瓦礫の撤去、避難所でのケアといった緊急対応も必要、そのためのボランティアセンターも必要だが、その一方で専門家と連携した「ちょっとした相談窓口」があればなおいいと感じた。もちろん役場も必死で対応されていて、今回の開催も役場の了解を得ているが、昨日の相談会では「蔵に隙間ができた」「柱が傾いているように見える」といった素朴な不安であり、それを誰に聞けばいいのか、聞く人が見当たらないといった参加の動機であった。また、「我が家は近隣に比べると被害が少ないので、聞くことを遠慮していた」という方もいた。一方で、罹災証明や境界線のことなど、制度に対する疑問には、司法書士の方が見事にアドバイスされていた。みんな「うーん、うーん」とうなずきながら、用意されたお茶とお菓子を食べながら、少しずつその不安が解消されていくのを目の当たりにしたのだった。
今日は、昨日の相談会で、実際に家を見てほしいといわれたお宅を、専門家が手分けして回っていただいている。僕もあるお宅に同行させていただいたが、やはり「どんな改修が必要なのか」「費用はだいたいいくら位かかるのか」が心配の種のようだった。「簡単な補修で大丈夫ですよ」との専門家のアドバイスでまずは一安心、「100万くらいかかるやろか」との最大の関心事に「そんなにはかからないはずでよ。半分以下だと思いますよ。」と聞いて、また安心。そこへ隣の奥さんとその隣の奥さんが、「家も見てよ」と駆け寄られてきて、丁寧に対応されていた。
こうして「被災者本位」に少しずつ触れながら、一方で今日は「うるうるパック」をお土産に民生さんが一人暮らしの高齢者を中心に訪問活動されます。まだまだ課題も山積ですが、穴水の「丁寧な」取り組みが形になりつつあります。