能登半島地震【第30報】

皆様
浦野です。お疲れ様です。穴水町災害対策ボランティア現地本部より現地報告をいたします。(2007.5.2現在)
○本日の活動
■引越し作業
・本日の引越しボランティアのニーズ件数は4件。昨日に引き続き、特にトラブルもなく終了した。
■穴水高校約60名による仮設住宅の表札づくり
・地元高校の1年生を中心に約60名が参加。滋賀県高島市社会福祉協議会より派遣された井岡氏が、写真を交えての仮設の現状や過去の被災地での問題点などを1時間ほど説明。目印となる表札の必要性を理解してもらい、作業に取りかかった。地元の製材所から無償提供して頂いた端材を使い、仮設に入居された方々の名字をペンキと筆で書き込み、45所帯分の表札が出来上がった。5月3日に金沢市伏見高校の生徒18名が活動する予定のため、「思いやりのリレー」と題して伏見高校の生徒が応援メッセージカードを作成し、表札と共に配布する予定。
■仮設住宅での問題点
・本日、阪神高齢者・障害者支援ネットワーク黒田裕子さんが穴水町を訪問され、今後仮設住宅で必要となる支援についてご説明頂いた。
○談話室のハード対策について
・仮設住宅はバリアフリー構造になっており、入り口と玄関の段差がほとんどない。また、玄関と廊下の境界線もないため、下駄箱などの設置をし、間口が不衛生にならない配慮が必要。
・スリッパは衛生管理がしにくい面があり、廊下もほとんどないため、かえって置かない方がよい。
○IH電気コンロについて
※昨日の報告で、IHの電気コンロでは、アルミ製のなべなどは使用できないとしたが、確認したところ2口のうち、片方は土鍋以外のなべは何でも使えるという仕様となっていた。
・しかし、これらの違いは高齢者には理解しにくいということと、電源やスイッチの位置が分かりにくいため、テープなどで目印をつける工夫が必要である。
○浴室について
・浴室の床が滑りやすいため、滑り止めシート(薄手のもの)の設置が必要である。
・シャワー下あたりに手すりは1個ついているが、浴槽のふちの部分にも設置が必要と考えられる。2箇所の手すりが設置され、両手でつかむ場所できれば、踏み台がなくても安全に浴槽に入ることができる。
○今後仮設住宅で必要な支援について
?買い物
・地元スーパーなどまで距離があるということで、特に高齢の一人暮らしの方々は、醤油や油など重いものやトイレットペーパーやBOXティッシュなどかさのあるものは運びにくいと考えられる。送迎ボランティアや移動販売車などの必要性を感じる。また、これらの生活用品については談話室などでの企画の際に参加賞としてお配りすることも喜ばれる。


?お茶会などのイベント
・今後お茶会や食事会などを実施する際には、常に「自立と共生」という視点で関わり方を考えていくことが大事である。全てをボランティアがお膳立てするのではなく、準備や片付けなどを一緒に実施することで、人に頼りすぎずに主体性を取り戻して生活していくきっかけをつくる。
・出席者には毎回必ず名簿記入をしてもらう。これにより、いつもきている人、来ない人が把握できる。中には「みんなで一緒に」というスタイルがイヤな方も当然いるため、ご近所の家同士で集まれるきっかけを作るなど、お互いの関係性を仲立ちする・つなげる役割をボランティアができるとよい。
?仮設住宅での戸別訪問
・仮設への訪問はなるべく同じ人が継続的に行っていくことが望ましい。仮設をブロックごとに分け、担当者を決めるなどの体制づくりが必要である。その際には必ず記録をとること。これにより入居された方の小さな変化に気づくことができる。(例えばいつも同じ服を着ている→お風呂に入っていない、調理場を全く使っていない→食事が取れていないなど)
・変化に気づくことで早期対応が可能となり、孤独死や体調不良者を防ぐことができる。
?まとめ
・ボランティアだからこそ、行政では行き届かない部分の早期発見が可能となる。ニーズを見つけ出した上で、医療や福祉、生活保護などの公的なサービスにつなげるべきことと、ボランティアベースで解決できることを見極めて、適切な対応を行っていくことが大切。
■浦野感想
・引越しを終え、仮設住宅に入所された方は約20件であった。地元ボランティアが知っている方の姿が見えるとすぐに声をかけ、立ち話をしている様子が見られ、笑顔になったり、疲れた表情を見せたり、ほっとした顔をされる。仮設の支援体制が整うまで、地元ボランティアが1日何回か仮設内を巡回し、声をかけたりちょっとした困りごとにすぐに対応できる人材の配置が必要と思われる。
・食事や入浴など上げ膳据え膳で仲間もいた避難所生活から、仮設入居を経て、いきなり全てを自分でやらなくてはならない状況にあるので、特に一人暮らしの方は、疲れの増徴や気力の低下などが人も見られる方もいる。引越し作業も何を運んでもらえばいいのか判断が出来ずに、結局少ししか作業が進んでいない方もいる。6日で大体的な引越しボランティアの作業は終了するが、今後は、一人ひとりが現在どのような状況なのかをある程度整理したマップやリストづくりなどが必要と思われる。一人ひ
とりのペースに合わせながら、声かけや見守りなどができると、より効果的な支援に結び付くのではないかと思う。
・80代の男性で、なかなか家の中に人を入れたがらない傾向があり、それでも家の中を覗くと片付けられていない生活用品が散乱していたり、味噌や包丁などが間口の床において無造作に置かれていた。本人にも体調や手伝いの要望などを聞くも「大丈夫やさかい」とおっしゃられる。今後生活のお手伝いとして福祉の公的サービスが必要ではないかということで、地元ボランティアが福祉課に報告したが、今後は公的なサービス機関とボランティアがこれらの情報を定期的に共有する機会が必要なのではないかと井岡氏からも指摘があった。今後の休明けに予定している第2回ボラ連の会議では、社協とボラ連だけではなく、保健師・福祉課・ケアマネなどにも連参加してもらい、連携の方法を模索することを地元社協と話した。