RSY石川県珠洲市への支援について(第4報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。

RSYは5月15日(月)より、珠洲市に常務理事・浦野を含むスタッフ2名を再び派遣し活動に当たっています。16日は代表理事・栗田も現地入りし、市社協や地元のキーパーソンの方々と現状や地域の復興に関する想いなどをお聞きしました。以下、浦野からの報告です。

※私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成のご協力を頂いています。


<珠洲市の被害の概要>(石川県18日発表資料)
死者1名、負傷者42名、全壊18、半壊27、一部損壊704

※罹災証明書申し込み数:約360件(5月15日現在・福祉課確認)

11日より能登北部(能登町・輪島市・穴水町)を中心に、災害ボランティアセンター一般ボランティアの受け入れ実施中。現在約340件のニーズが上がっており順次対応中。ニーズ受付の窓口は市で、その後災害VCに情報が提供される仕組み。ボランティア派遣前の実態調査要員の不足が課題。

<5月19日朝、珠洲市保健医療福祉調整本部報告より>

・避難所1か所(合計6名滞在)。福祉課の調整のもと県営住宅等の住まい提供を行いほぼ今後の住居先が確定。必要に応じて避難所で使用した段ボールベッドや寝具等は提供可能だが、家電等生活必需品は自己調達のためサポートが必要。

・正院小学校に設置された避難所は20日午前8時をもって閉所。入浴支援や、市栄養士と食生活改善委員による炊き出しも終了。19日をもって「保健医療福祉調整本部・生活サポート部会」も縮小。

・保健・看護・医療の専門チームが、75歳以上の独居高齢者・高齢者世帯、障がい者世帯(聴覚・単身者)、応急危険度判定で「赤:危険」のうち在宅避難継続中の約10件を個別訪問。17日までに1,218世帯の巡回完了(不在517世帯)。うち、継続的な支援が必要な要支援世帯は66件(メンタル面と体調不良に問題を抱える世帯は半々)。県から心のケアチームを派遣中。

県外からの専門職派遣は一旦終了し、今後は地元保健師による要支援者への訪問、電話での状況確認を継続。また、独居・高齢者世帯以外でも、体調不良に関する相談が増加。家族が緊急入院となり、96歳の高齢者が一人で生活しているケースが近所からの通報で発見されるなど、被災による家族機能の低下で、生活支援が必要なケースが増えてきている。

<RSYの活動>
1.民生委員・児童委員による個別訪問のサポート
16日に開催された、珠洲市民生委員児童委員協議会(以下、民児協)理事会(事務局・珠洲市社協)に、市社協の呼びかけのもと栗田・浦野も参加。来週から「うるうるパック」を活用した高齢者世帯への再訪問を行うことが決まりました。保健師等による市の訪問調査で不在だった方のフォローや、時間が経って状況変化がみられる方の早期発見のきっかけ、顔見知りが顔を見せることの安心感の創出などに役立てられます。

児協会長からは、「皆さん余震も多くとても不安な上、疲れ切っている。これから先も心配。実際の被害の大小はあるが、市民全員が怖い思いをしている。何度でも訪問すればいいのではないか」という言葉もあり、全地区の民生委員による高齢者宅の再訪問が決まりました。
ある民生委員からは、「奥さんが震災後の疲れで体調を崩し、ご主人が奥さんの看病に当たっているケースもあった。また、移動手段がなく避難所で炊き出しをやっていても取りに来られない方もいる。足の無い人は私が車に乗せて連れていったり、取りに来られない人には届けたりした。田んぼの時期とも重なっていて、家の片づけや日常的な家事などとの同時進行は大変。食事提供もとても喜ばれると思う」というコメントもありました。
RSYは「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)」の活動の一環として、来週までに900セットの「うるうるパック」をお届けし、滞りなく民児協の活動につなげられるよう準備を進めています。
2.地元企業やボランティア団体の訪問
珠洲市に家族や知り合いのあるRSYの関係者からの紹介を受け、平時から地域の文化保全や活性化に熱心に取り組まれている地元の企業やボランティア団体を訪問しました。中には被災により大きなダメージを受けながらも、必死に今後の対応策を模索しているケースもあり、今後どのように応援できるか私たちも検討を重ねています。
<みなさんの声>
・三崎町で親子2代で製材所を運営しています。2007年の能登半島地震ではとても揺れましたが、今回製材所のある周辺地域は幸いにも大きな被害はありませんでした。海岸から続く岩場を見てもわかる通り、岩盤が陸地にも続いて地盤が強いのだと思います。しかし、他の地域の方に目を向けると、皆さんの笑顔が圧倒的に少なくなっていることが気になります。心が疲れ、気持ちが落ち込む今だからこそ、自然に沸き起こる「笑い」が必要だと感じるのです。小さくとも、珠洲でもそんな場を作る企画が考えられないかと模索中です。また、家屋修繕等で木材が必要な時があれば可能な限り提供するので、お声がけ下さい。(現在、屋根のブルーシート張りを行っている技術系NPOらに繋ぎ、修繕時に使用する木材提供について快諾を頂きました)
★新出製材所
https://www.shindesawmill.com/

・日置町で炭焼きをやってます。炭は海外でも、生物多様性やCO2削減に向けた価値を認められていますが、職人の確保が難しく、原材料の木が育つまでに8年かかるので大量生産はできません。現在は、茶道で使う炭を扱うことが多くなっています。しかし今回の地震で、3基の炭焼き窯に亀裂が入り、焼くことができなくなってしまいました。また、工場には多数の地割れがあり、もともと地すべり地帯のため、さらに危険リスクが高まっています。いずれにしても、事業再開には多額の費用が必要になるため、このまま経営を続けられるか分かりません。

菊の文様のように美しい木炭。作業場被災のため、今は新規の受注・製造ができなくなってしまった。

私は生まれも育ちもこの土地で、父と共に、炭焼きの存在意義を問い続けてきました。この集落は21世帯あり、うち11世帯が一人暮らしの高齢者です。新聞配達や簡易水道の管理をする中で、高齢者の安否確認や見守りも行っています。いわば、ここが集落の中心的な存在なので、何があってもこの土地を離れるわけにはいかないと思っています。でもこういう時だからこそ「助けて」と言える社会でなければ。自分だけで生きているのではないという自覚があれば、助けてともいえるし、困っている人にも手を差し伸べられると思う。循環や持続可能という言葉の核は「命をつなぐ」こと。七尾市炭工房から300年前の炭火を譲り受け、震災後も絶やさず守り続けています。今回の震災は、人と人とのつながりや、社会と個人との関係性について改めて考えさせられるものでした。

★大野製炭工場

https://www.city.suzu.lg.jp/site/kankou/1833.html
(公式HPは一時停止中)

作業場や敷地内のあちこちで見られる地割れ。大雨や余震などで地滑りが起きれば倒壊の危険もある。

全て手作りの炭焼き窯だが、修繕費の捻出や職人不足に頭を悩ます。

七尾市から受け継いだ炭火を、震災後も朝夕と欠かさず継ぎ足し灯し続けている。

 

・飯田町在住で、毎月1回、市役所前のわくわく広場でうたごえ喫茶をしています。もう10年続いています。いつも20名ほどが参加し、クリスマス会などは40名ほどいらっしゃるときもあります。私の家も、土壁や天井が落ちたりして大変でした。これまではコロナの影響で中断していて、ようやく再開できると思ったらこの地震。みんな大変だから今月も見送ろうかという声もありましたが、小数人でもよいからやろう!ということで、5月18日の開催が決まりました。いつもは、近くの喫茶店からコーヒーを注文して、歌が終わった後30分程雑談して帰るのが皆さんの楽しみ。でも今回は地震の影響で喫茶店がお休みなのでそれができないんです。それでも震災でたまった疲れやストレスが少しでも癒されて、久しぶりの仲間と顔を合わせられる機会になればと思います。(エレクトーン奏者・Tさん)

※第5報は、昨日実施された「うたごえ喫茶」の様子や住民の方々の声を中心にお届けします。
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