RSY令和6年能登半島地震への対応(第8報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
能登半島地震から2月が過ぎました。

RSYは1月3日から石川県穴水町へスタッフ・ボランティアを派遣し、これまで1~20陣が活動にあたっています。また、藤田医科大学も穴水町へ医療・事務系教員や学生を安定的に派遣し、RSY看護・福祉チームも連携しながら被災された方々の命と健康を守って下さっています。

他にも、認定NPO法人とちぎボランティアネットワーク、真如苑SaRV、一般社団法人男女共同参画地域みらいネットなども私たちの活動に参画下さり、毎日1日15~20名が活動を共にしています。1~2月の間にのべ905名(1月べ318名、2月のべ587名)もの方々がRSYを経由して穴水町に駆けつけて下さいました。

被災地では宿泊施設の被害も大きく、ボランティアの受け入れが進まない要因の一つになっていますが、私達は穴水町社会福祉協議会が運営する学童(現在は震災のためお休み中)の施設を開放頂けたことで、これだけのボランティアを受け入れることができました。しかし3月25日から春休みに入ることもあり、施設は子どもたちにお返しし、私達は別の拠点で活動を継続できるよう準備を進めています。

一方で、穴水町社協は1月10日から「穴水町災害ボランティアセンター(災害VC)」を立ち上げ、被災された方々の様々なニーズに対応されています。私たちもこの活動に加わり、町、社協らと三位一体となって被災者一人ひとりの困りごとや不安にあらゆる角度から関わっていけるよう情報共有や課題解決のための場づくりに努めています。

私たちが現地でこのような活動を継続できるのも、皆様からのご支援のがあってこそであり心から感謝申し上げます。

それでは2月の活動レポートです。尚、第9報では足湯や在宅避難者の個別訪問の際にお聞きした心情や生活の中でのお困りごとなどを「つぶやき」に集約してお届けします。どうぞご覧下さい。

#日本財団災害支援

1.穴水町の被災状況
・死者20名
・全壊494、半壊1,425、一部損壊2,094  計4,013
・避難所数:21か所・366名
・ライフライン:
電気:個別案件を除く停電は解消
水道:上水道は断水解消、下水道は引き続き復旧作業を実施
(ただし水道管やエコキュートの破損により今だ断水中、ボイラーの破損でお湯がでず入浴できない、浄化槽が破損・隆起しトイレが流せないなどの生活課題は多数継続中)
※ガスは町内ほぼプロパンのため特に問題なく使えている模様。

・仮設住宅:川島第1仮設/2月29日15世帯、川島第2仮設/3月6日18世帯、合計33世帯が入居済み。(町は500戸建設予定)

・穴水町災害ボランティアセンター:1月10日から開所し、3月8日までに3,154名のボランティアを受け入れ、1,020件のニーズに対応しています。家屋の清掃やがれき撤去、災害廃棄物の運搬のみならず、罹災証明書の申請に必要な被害写真の記録、小規模避難所への炊き出しのデリバリー、病院や買い物への送迎、生活再建に関する相談会の開催など、RSYをはじめ他団体と連携しながら、作業系・生活支援系メニューにバランスよく取り組んでいます。
2.RSYの活動
避難所の環境改善・運営、統合サポート
町は上下水道の復旧をきっかけに避難所の閉所や統合を進めています。統合した避難所の中には、震災直後からこれまで避難先を何度も転々とされた方もいて、度重なる環境の変化へに戸惑い疲労の色がにじみます。

転居先で少しでも安心して快適に暮らしが営めるよう、受け入れ時に寝床、トイレ、食事、衛生環境などを整え、入居者と施設管理者、行政職員らと共に運営の役割分担などを話し合い、入居者同士のコミュニケーションの機会を増やすと共に、運営が軌道に乗るまでお手伝いしています。

●避難所閉所周辺地域の個別訪問
避難所が閉所となり対処された方の中には、「漏水でいくら待っても工事業者が来ずまだ水が出ない」「みんなが帰るという中で、いつまでも甘えてちゃいけない」「一人で赤紙(応急危険度判定「危険」の表示)の家に戻るのは不安だけど他に行き場ない」などの声が聞かれています。自主避難所では運営リーダーの疲弊も重なり結果的に閉所に至るケースもありました。

そこでRSYは災害VCと連携し、2月6日より自主避難所周辺地域を中心に個別訪問を続けてきました。地域を巡回してみると食事や入浴、移動、心身の健康状態、制度の申請、家の片づけ・修繕などに課題を抱える方々も数多くありました。

3月8日、これらの活動を通じて把握した気になる方々について、子育て健康課、住民福祉課、災害VC、RSY・藤田医科大学が顔合わせをし、初めて個別ケース会議を開きました。従来の制度で対応できるものは確実につなぐとしても、福祉サービスの停止等も重なり制度ではまかないきれないお困りごとが山積しています。互いの役割を確認し補完し合いながら継続して一人のお困りごとに対応できるよう、今後も定期的にこのような場を開催することが合意されました。

また、穴水町は国から石川県が受託した「高齢者等把握事業」を活用し、3月5日からまだ実態が把握できていない在宅避難者の全戸訪問を行うことになりました。これまでの取り組みから、私達もこの動きを手伝うこととなり、今後は町社協や民生委員さんと共に個別訪問を継続していきます。

●仮設住宅の入居支援
町社協の声かけにより、民生委員やRSYボランティアが集会場等に常駐し、仮設住宅での新生活ができるだけスムーズに切れるようお手伝いをしています。住民からはこれまで下記のような相談が寄せられ、ボランティアが手伝ったり関係機関につなぐなどして丁寧に対応しています。

・家財道具の搬入を手伝ってほしい
・IHが上手く使えず調理ができない
・洗濯機の使い方やテレビの配線の仕方が分からない
・ゴミの出し方が分からない
・鍵が上手く開けられない(プレハブのため開閉がスムーズにいかない)
・壁に釘を打ち込んでもよいのか?
・結露がひどい
・車が2台あるが駐車場が1台しかもらえておらず困っている、バイク、自転車はどこに置けばよいか?
など

また、新生活応援グッズとして、県(冷蔵庫・洗濯機・テレビ)、町(布団や食器、調理用具などの日用品)、民間(電子レンジ、ホットカーペット、炊飯器などの小物家電)が支給され、手厚い支援が提供されています。いずれも申請が必要なため、滞りがある場合はサポートも行っています。

●避難所・仮設住宅での足湯ボランティア
足湯は震災当初から被災者とボランティアのコミュニケーションツールとして継続している大切な活動です。2月は16カ所の避難所・仮設住宅で活動し、のべ499名の方々の足を温めてきました。足湯の「つぶやき」には、長期化する避難所生活へのストレス、人間関係、今後の住まいやお金、心身の健康、介護・子育てに関する心配ごとなど、様々な心情や生活課題が現れています。一方で、ようやく生活に慣れ、親しい人も身近にできて安心して暮らせているという声も聞かれています。
(2月の活動先)
・向洋小学校(2月25日に住吉公民館に転居)
・プルート
・乙ヶ崎集会所(現在は閉所)
・光琳寺保育園(現在は閉所)
・のとふれあい文化センター
・旧兜小学校
・曽福集会所
・小又コミュニティセンター(現在は閉所)
・中居南集会所
・農林センター
・穴水中学校剣道場
・岩車集会所
・下唐川集会所
・朱鷺の苑地域交流センター(現在は閉所)
・河内集会所
・川島第一仮設住宅

●RSY看護・福祉チーム
避難所・個別訪問・仮設住宅で気になる方については、藤田医科大学の看護・理学療法士の先生方と共に個別のカルテを作成し、常時20~30名に対して継続的な訪問・見守り・健康チェック等を行っています。また先日は災害NGO結さんからの協力で訪問入浴カーを運行し、震災後思うように入浴できていない高齢者等のお手伝いもさせて頂きました。

●穴水町福祉関係者打合せ(三者定例協議)
毎週火曜日に、町・社協・RSY他外部支援団体が顔を合わせ、活動中に気になったことや課題について検討する場が設けられています。

特に、温かく栄養価の高い食事の提供については、災害救助法を活用して町が穴水町飲食店組合に委託。「セントラルキッチン」という名称のもと、管理栄養士が献立を作り質の高い食事が提供されています。またサブキッチンについてはこれまで穴水町の食を支えて下さっていたオーガニックコネクションズの関連企業が受託。いずれも食材は町のスーパーから調達、調理・配送は町に住む失業者の方々を中心に雇用し、町に全てのお金が落ちる仕組みになっています。両者合わせて600食~800食程度を目標に毎夕飯を提供しています。RSYボランティアも毎日サブキッチンのデリバリーのお手伝いをしています。

3.RSYを通じて穴水町にご支援を届けて下さった皆さん
●真如苑SaRV
これまでに沢山の寝具(布団・敷パット)、下着類、に使用雑貨などのご提供を頂いています。また足湯ボランティアや炊き出しなど、その時々に必要なものを私達に確認し人・物を中心に素早く確実に支援をつないで頂き、被災された方々の心身の健康が保たれる一助となっています。

●中部土木株式会社
被災地では仮置き場までの災害廃棄物の運搬や引っ越しの手伝いなどのために、頑丈で小回りの利く軽トラが大活躍します。災害VCで車両が足りずとても困っていたところ、中部土木株式会社より無償貸与頂きました。毎日現場で元気よく町中を走り回っています。

●ガッツレンタカー
令和3年8月豪雨の際にもRSYにレンタカーを無償貸与頂き、今回もご協力頂いています。足湯に個別訪問、お食事のデリバリーなど毎日休みなく運行しています。

●ラッシュジャパン
心がパッと明るくなる楽しい化粧品を展開されているラッシュさんより、石鹸やスキンケアセットなどをご提供頂きました。日ごろの家事や仕事を一生けん命頑張っておられる町や社協の職員さん、女性たちを中心にお届けしました。

●社会福祉法人てとろ「てとろ明倫保育園」
私たちが事務所を置く名古屋市東区の保育園。今回は子どもたちが沢山の募金と温かい応援メッセージのついたチョコレートを託してくださいました。「募金は家を失った方や食事に困っている方を支えている人達に届けて欲しい」という願いがあったので、穴水町社協とオーガニックコネクションズの皆さんにお届けしました。

●認定NPO法人セカンドハーベスト名古屋
仮設住宅の新生活応援やボランティアと入居された方々とのコミュニケーションツールとしてお米やレトルト食品などすぐに食べられる食材を提供下さいました。皆さんプレゼントを手に取ると「うわぁ!すごく助かる!」と笑顔。その後の会話も弾みました。

●株式会社カラフルコンテナ
電気ポットや掃除機などのご寄付を頂きました。RSY拠点の環境整備や仮設住宅集会所等で活動させて頂いています。

その他、北海道をはじめRSYとゆかりのある皆様が各地から手土産等を持って沢山来訪頂いています。皆さんの応援でスタッフ・ボランティアも支えられています。本当にありがとうございました。引き続きよろしくお願い致します!

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