皆様
お疲れ様です。RSY浦野です。以下現地報告です。
6月15日13時付で、下記の市町に災害救助法が適用されたようです。(*印が今回の適用市町)。いずれの市町も適用は14日から。
◆岩手県
一関市、*奥州市、*北上市、*胆沢郡金ヶ崎町、*西磐井郡平泉町
◆宮城県
栗原市、*大崎市
■現地の様子(6月15日・21:00現在)
○山形のボランティアCさんから情報提供
[被害状況について]
宮城県社協、栗原市社協、栗原市役所を訪問し、現在、一迫、花山、鳴子を回っている途中、避難所から自宅に戻る地元の皆さんを見かけましたが、思いのほか、被害が大きい箇所は人里から少し離れた地域が主なので、路面のうねりや亀裂、余震が時折あるものの、家屋等の損壊が中越や能登と比べて少ない印象があります。別途、栗駒を回った山形のメンバーの感想も同様でした。宮城の今日は、天気が良好ですが、明日は崩れる予報です。
[ボラセンについて]
ボランティア関係については、地元社協の話を聞いた感じによると、行政と地元住民との間で初動対応は何とかなりそうだというニュアンスでした。ただし、「今日いっぱい被害地域を巡回して、ボラセンの設置の有無を正式に決定したい(栗原市社協)」という話しです。
[文化財について]
山形の文化財保護ネットワークからの連絡によると、文化財が随分(どの程度か不明ですが)損壊した、と、宮城の文化財保護ネットワークから報告が入ったそうです。また、栗駒を回った山形のメンバーも、登り窯を失った陶芸家宅の手伝いをした、という話もあり、今後は、こういった面を含めた復興支援の必要性を感じました。
○NPO法人レスキューストックヤード/浦野、NPO法人愛知ネット/南里さん
[本日の動き]
・11時ごろ浦野、南里さん「みやぎ災害ボランティアセンター」到着。後方支援としてセンターにて対応されていたSさんに現状についてお話を伺う。(山形のCさんとは入れ違いになりました)
・大妻女子大学教授/Hさんと合流。明日、一緒に現地に向かうことを申し合わせる。
・現地にいる宮城県社協/Kさんと電話連絡。本日愛知組は仙台に待機、明日午前より一緒に栗原市社協入りすることを確認。
[被災地の現状について](みやぎ災害ボランティアセンターより情報提供)
・外部ボランティアが被災地に多く入ってきている。土砂災害等の2次災害が懸念されるので、ボランティアは、事前に栗原市社協に連絡を入れてから、現地に入るか否かを決めて頂きたい。
・現在、栗原市社協を中心にニーズの把握を行っている状態。そこへ外部ボランティアが沢山入ってきているため、対応が間に合わずに苦慮している。
・ボランティアセンターを立ち上げる予定は現時点ではないため、ボランティア対応の受け皿が整っていない。しかし、被災された方のニーズ状況に合わせて、その必要性を検討していきたいと考えている。
[被害がひどいところ]
栗原市=人口:79,301人(男性:38,230人、女性:41,071人)
・鴬沢地区(約3050人)/映画東京タワーの撮影も行われたところ。炭鉱の町。
・栗駒地区(約13,340人)/ちょうど栗駒山のふもとにある地域。
・花山地区(約1533人)/ダムが建設されている。
※現在のライフラインの様子(栗原市HPより)*
[停電情報】*6月15日(土曜日)12:00現在
花山(本沢地区) 196戸、栗駒(沼倉耕英地区) 115戸 … *合計 311戸
【断水情報】*6月15日(日曜日)6:00現在
鶯沢地区 1,041戸、花山地区 125戸、栗駒地区 1,614戸 … *合計 2,780戸*
[南里さん所感]
社会福祉協議会さんを中心に先遣隊が現地入りしている状況で、今後も社協さんが主体となって活動が展開されると思う。被害の多かった栗原市は、「昔から住んでいる」方が多く、県社協のSさんによると、見ず知らずの人には「構えてしまう」特徴があるそう。その地域性を念頭に、社協さんや地域の方々、またボランティア活動される方と一緒にどう支援活動をすすめていくのかが至急の課題だと思う。
[浦野所感]
ボランティアセンターが設置されていない中でも、外部ボランティアが、個別に地域の中に入って活動しているようです。中には、被災された方からのニーズを自らつかみ、対応しておられる方もいるとは思いますが、「災害ボランティア=作業ボランティア」をイメージしている方も多い様子。また、地域の中には、初めて顔を合わすボランティアに、戸惑う方もおられるようです。
道路の寸断や余震の心配がある程度おさまるまでは、外部ボランティアはむやみに入るのは避ける必要があると思います。また、人によっては、気軽に頼める方もいるとは思いますが、知らない人との関わりは、基本的に誰でも警戒心が働いたり、戸惑ったりするものだと思います。そのため、今の時期は、作業そのものよりも、丁寧に信頼関係を作ったり、相手の方の気持ちのペースに合わせた働きかけがとても大切だと感じます。
特に今の時期、被災された方の気持ちとしては、余震の心配があったり、ライフラインが寸断されていたり、「いつまでこの状態が続くのか」という先の見通しが持ちにくい状態が続いていると思われます。その状態で、「何でも手伝います!」といっても、「じゃ、○○をお願いします」とすぐに答えられる方は、なかなかいらっしゃらないのではないかと思います。
また、地震には比較的慣れている地域とは言え、震度6強の揺れを経験していた方々です。大きな揺れを体験された驚き、恐怖、不安、戸惑いなどの思いを、少なからず持たれている方もいらっしゃるのではないかと想像します。大きな力にはなれないかも知れませんが、おせっかいかも知れませんが、そういう話にひたすら耳を傾け、気持ちに共感することで、被災された方の不安な気持ちを一瞬でも紛らわせたり、話を聞いてくれる人がいるという存在が、遠くから来たという事実が、心強さや安心感につながったりするかも知れません。
四川省大地震で、毎日現地報告をして下さったYさんの手記を思い出しました。特別な支援をしたわけでなく、ただ話を聞くことしかできなかったが、「私たちに関心を向けてくれてうれしかった。」と被災された方がポツリとこぼされたことがあったそうです。
このようなことにしっかりと視点を合わせ、宮城県社会福祉協議会や栗原市社会福祉協議会の皆さん、被災地域の皆さんは、地元主体で1日も早い復興に向けた動きを作ろうとされています。
私たち外部のボランティアは、地元のこのような動きを尊重しながら、そして、一人ひとりがいつでも被災者の方に「寄り添う」視点を持ち、そこに価値を見出すことができたなら、もっと早い段階から、被災地が必要とする丁寧な支援活動が展開できるのではないかと思っています。
地元でなければできないこと、外部のボランティアだからできること、きっとそれぞれの役割があると思います。互いの違いを認め合いながら、すべては「目の前にいる一人ひとりの被災者の方のために」力になれることを明日以降、皆さんと一緒に見出していければと思います。