RSY・令和3年8月豪雨水害への対応について(第14報)

みなさま
お世話になります。
RSY事務局です。

RSYは昨年8月より、令和3年8月豪雨で被災した佐賀県武雄市を中心に支援活動を継続しています。

地元カウンターパートとしてご協力頂いている、一般社団法人おもやい、NPO法人みつわ(武雄市久津具地区)、被災地支援チーム「OKBASE(オカベース)」の皆さんには、心から感謝申し上げます。
5月は、NPO法人みつわが開催する「地域共生カフェ(久津具地区)」の運営サポートを行いました。3月に開催した「くつく・ながの交流会」での出会いを経て、地区の皆さんの新しい取り組みが始まりつつあります。また、RSY看護ボランティアの同行のもと、おもやいやオカベースが見守りを継続している世帯の個別訪問も行いました。

これから梅雨や台風シーズンを迎えるにあたり、住民の不安は大きくなっていますが、「被災を前提とした防災の備えと工夫」を念頭に入れた取り組みが、市内各地で展開されています。

以下、報告です。
#おもやいボランティアセンター#NPO法人みつわ#オカベース
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NPO法人みつわ「地域共生カフェ」
武雄市・久津具地区との交流
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3月20日に開催した「くつく・ながの交流会」を経て、5月15日(日)13:00~16:00に開催された「地域共生カフェ」の運営サポートを行いました。今回のテーマは、『モノづくり×防災対策』。14名の住民が参加し、裁縫の手習いのある方は、長野のボランティアさんから提供頂いた「ねこ半纏」と「猫ピンチ」の制作に、時を忘れるほど没頭されていました。材料やレシピは、長野市災害ボランティア委員会から提供して頂きました。

また、「ものづくりをきっかけに、ボランティア活動や防災対策などに対する住民の主体性を引き出したい」というみつわ・荒川代表の言葉を受け、RSYボランティアが、別コーナーでバスタオルなどで作る「手作り防災頭巾名古屋バージョン」を解説。既に武雄でも取り組まれている活動ですが、ご当地ならではの特徴もあり、知恵や工夫の交換の場にもなりました。
★名古屋バージョンの詳しいレシピ
地域の方の体験談やアイデアは以下の通りです。
<名古屋バージョンに新たに加える、とよいと思ったもの>
持病の薬、衛生用品(マスク・バンドエイド・手指消毒)、家の鍵、靴下、飴やチョコ、ウェットシート、ペット用シート(濡れた場所を拭く、簡易トイレ)など
<その他の意見>
・避難のタイミングは家に水が入ってきてから(基本的に2階以外に逃げることが避難という認識)
・前回水害時はひざまで水が入ってきてから2階へ移動。携帯電話を忘れ腰まで水に浸かりながら1階に戻り、水浸しで床が見えないため、脚で探って見つけた。水没した時間が短かったからか故障はしていなかった。
・履物は水に流されてしまったので、靴下を2枚履いてしのいだ。

・電話のバッテリーは絶対必要だと思う。安否確認の連絡をもらうのは嬉しいが、充電が無くなることが怖くて「もうかけてこないで!」と思ったほど。

・2階の屋根裏に上がって、そこからボートで救助された。ボートは狭いので「身一つで乗って」と言われた。公民館についても着替えがなく濡れたままでしばらく過ごさなければならなかったのが本当につらかった。
・公民館ではクーラーをつけてくれていたが、寒くて仕方なかった。皆さん暑さの感じ方は様々なので、温度を上げて欲しいとも言えず遠慮していた。保温のブランケットやコンパクトな寝袋があるといい。
・ウェットシートは、汚れた手、身体、箸や器など、何をするにも清潔を保つために便利。この話題に刺激を受け、ねこ半纏制作チームからは、これをアレンジして、くつくバージョンの防災グッズを作れないかという話が盛り上がっています。
また、手作り防災頭巾の講師をしていたという女性会の方は、「名古屋バージョンの中身を見せてもらい、縫い方、中に入れるものの工夫など今までなかった視点が得られてとても参考になった。この地区は、浸水が深いお宅もあるので、公民館やお寺へ早めに避難をする気持ちをもっと後押ししなければと思う。とにかく直後は着替えの確保が大変だった。また、土砂降りの時には何ももって逃げられない。どうしたらよいか?」などの相談もありました。
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要配慮者宅への個別訪問
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おもやいや、「あったかごはんプロジェクト」を通じてオカベースが見守りを続けている世帯を、RSY看護ボランティアと訪問しました。昨年の水害から9カ月が経った住民の方々の様子です。・3月の訪問時よりもますます顔色良く、食事量も増え、体格もしっかりしてきたように感じた。口数も多く、表情も明るかった。最近、週2回リハビリにも通い始めた。おもやいスタッフが「防災安心セット」を紹介すると購入即決。「出水期前に大切なものを2階に上げておいた方がよいので必要なら手伝いに来る」という申し出も好意的に受け入れていた。また、1月の「あったかごはんプロジェクト」の記憶も鮮明で、「次はいつやるのか?」という言葉や、メニューの相談をすると「俺は好き嫌いがないから何でもいいよ。うちなら広いし、いつでもみんなで来てくれていいよ」と、楽しみにしてくださっている様子だった。(ボランティアの聞き取り/80代・男性/高齢者世帯)
★1月の「あったかごはんプロジェクト」の様子はこちら
https://rsy-nagoya.com/rsy/blog/2022/01/010311.html
★おもやい「防災あんしんセット」の関連記事はこちら
「水害は水が引いた後も大変」 知っておきたい被災者の経験
元RSYスタッフで、フリージャーナリストの関口さんの記事です。
・おもやいスタッフから、最近元気がないと聞いていたため、心配していた。しかし、ボランティアの顔を見た瞬間に満面の笑顔が見られた。また、3月の「あったかごはんプロジェクトはすごく楽しかった~!」という言葉と共に、当時の記憶がよみがえってきた様子。オカベースメンバー作のメッセージアルバムを見せながら、「若い人たちと一緒にやることが楽しかった」と話も弾んだ。また、「こんなにしてもらって嬉しかった」と涙。途中「でも私はなんのお返しもできない」と涙。何度か涙を見せる場面はありながらも、合間に冗談も飛び交い、笑顔も見せて下さった。「次に水害にあった時のために畳は折り畳み式で軽いものに変えたの。壁もプラダンで養生して、なるべくお金をかけない修繕にしてもらった」と話されていた。(ボランティアの聞き取り/70代・女性/一人暮らし)
★3月の「あったかごはんプロジェクト」の様子はこちら
https://rsy-nagoya.com/rsy/blog/2022/04/0406.html
・今年もまた雨がふるかも知れないから、1階には重い物、大事なものは置かないようにしている。食器類や収納棚はプラスチック製のものにして、水が来そうになったらそのまま担いで2階に上げられるよう工夫している。おもやいさんの「防災安心セット」も、水が来ても濡れない高さの場所に置くようにしている。昨年の水害では、1階部分が水に浸かって、2階にはトイレが無かったので、中に入っていた簡易トイレがすごく役立った。(70代・女性)
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長野市災害ボランティア委員会発
「ぬくぬく珈琲」を飲んで
久津具地区を応援しよう!
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長野市災害ボランティア委員会が、「地域共生カフェ」の活動を応援するべく、NPO法人みつわへの寄付付き商品の販売を開始しました。
パッケージは武雄市北方中学校の生徒さんのデザイン。武雄の特産物がキャラクターとなってデザインされています。珈琲豆は東ティモール産のフェアトレードのドリップタイプ。1パック(10g)150円。ご希望の方はRSY事務局、または長野市災害ボランティア委員会までお問い合わせください。
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2021年度
ハーゲンダッツ&ユニー共同社会貢献活動
被災地の子どもたちにおもちゃをプレゼントしよう!
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この取り組みは、2011年東日本大震災から継続されているもので、ハーゲンダッツのアイスクリーム1個につき、1円が寄付されます。RSYはそのコーディネート役を担っており、今回は、おもやいと児童支援事業所ガラパゴスに仲介頂き、
武雄市の被災した沢山の子どもたちへ、おもちゃを届けることができました。ご協力頂いた皆様、ありがとうございました。
★2021年度報告書はこちら
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今後の取り組みについて
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RSYは引き続き
①気になる方への個別訪問継続
②久津具地区「地域共生カフェ」の企画・運営サポート
長野・愛知との交流の継続
③オカベース「あったかごはんプロジェクト」の企画・運営サポート
④武雄の現状を伝える情報発信の4つを柱に据え、武雄市への支援を継続していきます。

【本日開店】第1回あったかごはん食堂

RSY初めての試みとして「あったかごはん食堂」を開催しました!
この企画は、「炊き出し訓練」と「地域食堂」を掛け合わせて、災害時と平常時の両面から、食の改善と地域交流、一人ひとりの活力を守るための居場所づくりを目的にしています。
初回の今回の目標は「タイニーステップ」。
小さくとも丁寧な取り組みを重ねてくため、町内会長さんの承諾を得て、RSY事務所が入っている建物と、隣接するマンションの住民の方々にチラシをポスティングしてお知らせしました。
作り手は、なごや環境大学「地球エコ防衛隊」(生物多様性や防災などをテーマに持続可能な社会づくりに取り組む団体)の皆さん。もともとは、この団体さんが行う炊き出し研修(企画・運営をRSYが担当)の企画に、抱き合わせという形で開催させて頂きました。
RSYは3年ほど前からこの研修のお手伝いをしてきましたが、回数を重ねる度に、皆さんのスキルが向上していたので、「きっとおいしいごはんを作ってくれるはず!」と思い、協力頂きました。
第1部は、作り手に向けて、災害時の食の実情や、地域で炊き出しに取り組む意義、食事の場がもたらす相乗効果などについて講話。テキストは、数年前にRSYが作成した「炊き出し&場づくりの知恵袋」を使用。(この冊子をマスターすれば、間違いなく炊き出しのプロになれると自画自賛の1冊・笑)
第2部は、1階ピロティに移動し、①お米炊きチーム②みそポトフづくりチーム③お湯沸かし・煮炊きチーム④食事の場づくりチームに分かれ活動。

そして「あったかごはん食堂」オープンの時間を迎えました。
一人暮らしのマンションの住民や、ご近所さん、すぐ近くの美容院のスタッフの方など、6名がご来場。
味の評判も上々で、ポリ袋で調理したお米や、新聞紙で作ったお皿にも興味深々。担当者が、調理方法などを解説すると、熱心に耳を傾けていました。

「チラシを見て行ってみようと思った」
「ご近所さんに誘われて」
「身体が悪いし、ひとり暮らしだから何かあった時不安だと思っていた。ここに来れば誰かいるということが分かって安心した」
「もし次も食堂があるなら、その時は手伝わせて欲しい」
「ポトフも優しいお味で、お米もおいしく炊けていた。次も絶対食べに来たい!」
など、様々なお声も頂戴しました。次につながる確かな手ごたえを感じて、やってよかったなぁと、しみじみ。
開催にあたっては、久屋町自治会、オアシス21オーガーニックファーマーズ朝市村の皆さんにもご協力頂きました。ありがとうございました。
今後も、コロナや食中毒対策に細心の注意を払いながら、何とか定例化していけるよう、地域との信頼関係づくりや資金調達などの戦略を試案中です。都会の片隅でも、寂しい人や誰かの役に立ちたいと思う人が、食事の場を経由して、自然に交われる場所を作っていきたいな。それが災害時にも、一人ひとりの命と健康を守るための大切な場所になってくれるはず。