「3.11ユースCafe 2022年度活動報告書」のご紹介

RSY事務局です。

東日本大震災から12年が経過しましたが、東海3県(愛知県・岐阜県・三重県)には、現在でも約1,050名の方々が避難登録をされています。原発事故の影響も大きかったため、避難世帯は子育て世帯が多く、愛知県の場合、震災当初小学生以下だった年代が避難者全体の30%を占めています。
月日が経過し、高校生や大学生の年代に成長した若者の声から今後の支援を考えるため、RSYでは2021年に東海3県の若者当事者対象のアンケート調査を実施しました。回答結果では、「震災前にいた地域の現状を知りたい」が9割、「自分の経験を伝えていく必要がある」が8割強あり、震災を忘れて欲しくない・知って欲しいという想いや、自分のいた町や被災地の復興への関心が高いことが明らかとなりました。

このことから、RSYでは、令和4年度社会福祉振興助成事業の助成を受けて、若者当事者と一緒に以下の3つの活動を2022年度に行いました。
➀震災について気軽に話し合える「語り合いの場」
➁東北の被災地の現状を知る「東北交流ツアー」
➂若者当事者の体験談を伝える「伝える集い」

2022年度の活動をまとめた報告書は、以下よりダウンロードいただけます。支援の輪を広げていくことに役立てていただけますと幸いです。

3.11ユースCafe 2022年度活動報告書

※本事業は「令和4年度社会福祉振興助成事業」の助成を受けて実施しました。

【報告】災害ボランティア活動資機材ネットワーク助成事業を進めました

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。

2022年度、名古屋市社会福祉協議会が、赤い羽根「災害時のボランティア活動資機材ネットワーク」助成を受け、資機材の追加、名東倉庫コンテナの新設、ブロック内連携強化を目的とした交流会の実施、災害VC三者合同研修での連携訓練を実施。RSYも「なごや災害ボランティア連絡会」の所属団体として協同で事業を進めて参りました。

本助成金は、赤い羽根「災害ボランティア・NPO 活動サポート募金」へのご寄付を財源として、災害時のボランティア活動にかかる資機材等の整備やそれを活用するためのネットワーク構築を行うことにより、各都道府県・指定都市域における効果的かつ持続可能な支援活動を面的に広げること、都道府県・指定都市域ごとに保有している資機材の情報を全国的に共有する仕組みをつくり、効果的に資機材提供を行うためのネットワーク構築を目指し、今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震のような大地震、複数の都道府県にまたがる広範囲の風水害等の大規模災害が発生した際には、被災者支援を行うボランティア活動の連携を促進する事を目的としています。

名古屋市では、「なごや災害ボランティア連絡会」、「名古屋市」、「なごや建設業協会」で三者協定が結ばれており、災害発生時に使用する資機材を名東倉庫と、市内を4つのブロックに分け、北西・北東・南西・南東のそれぞれに倉庫を設置し、計5つに分けて分散管理を実施しています。
名東倉庫は名古屋市に、4つのブロックの資機材倉庫は名古屋建設業協会(名建協)様及び協力企業の皆様のご厚意により、無償でご提供いただいています。

資機材は「高圧洗浄機」、「送風機」、「乾湿両用掃除機」等、近年の水害で活用が多くなってきているモノを中心に追加しました。また、名東倉庫にあるコンテナ一基が劣化していたため、新たなコンテナを新設しました。
これらの資機材は、名古屋市内で発生した災害だけではなく、例年通り被災地から依頼が入った段階で迅速に貸し出しをするものとなっています。

 

 

交流会は、資機材の管理に協力いただいている「中部土木株式会社様」にて開催されました。当日は16区の災害ボランティアコーディネーター、あいち防災リーダー会名古屋ブロック、名古屋市、市社協、担当ブロック区役所職員、区社協職員、名建協会員企業職員の方総勢61名が参加され、中部土木株式会社グループ企業の被災地支援報告等が行われ、支援内容の理解と、参加者同士お互いの顔を知るきっかけとなりました。

 

災害VC三者合同研修は、コロナ禍ということもあり、オンライン形式で開催いたしました。17回目となったこの研修は行政、社協、NPO、ボランティア、企業の方総勢150名近くが参加され、災害VC運営時に起きる課題についてどう対応するかのグループワーク等を行いました。

昨年度のこの取り組みによって、資機材が充足しただけではなく、連絡会、名古屋市、名古屋建設業協会三者の関係もより深めることが出来ました。

助成いただいた中央共同募金会様、財源となりました「災害ボランティア・NPO 活動サポート募金」にご寄付いただいた皆さまにお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 

 

【募集】大人用おむつ&不織布マスク等配布会のお知らせ(拡散歓迎)

RSY会員・関係者の皆様
お世話になります。RSY事務局です。
RSYは、日ごろから多くの企業様より、災害後の生活支援や日常の防災対策、福祉ニーズ等に役立てることをお約束し、数々の支援物資をご提供頂いています。
現在、下記の物資に余剰があるため、所定の倉庫に直接取りにおいで頂けることを条件に配布会を行います。皆様の日ごろの防災・福祉活動や業務にご活用頂ければ幸いです。
<提供物品>
1)大人用はかせるおむつ「まるで下着」(3枚1パック)
・1箱⇒16パック入り
・サイズバリエーション:M、L、LL
2)不織布マスク
・1箱⇒1パック(50枚)×48パック入り
3)ラップ(食器用)
・1箱⇒60本入り
<配布予定日・場所>
・5月8日(月)10:00~16:00
・5月9日(火)14:00~17:00
・5月10日(水)13:00~17:00
上記のうち、希望のお時間をお知らせください。
★配布場所
RSY大口町倉庫
住所:〒 480-0132愛知県丹羽郡大口町秋田3-106
※倉庫前に広めの駐車場があります。
<申し込み方法>
下記のGoogleフォームにご入力下さい。
※ご希望の数から全体配布数を算出するため、必ずしもご希望に沿えない場合
もありますことをご了承下さい。
<問い合わせ>
認定NPO法人レスキューストックヤード
担当:林
電話番号:052-253-7550
携帯電話:090-5000-8386

【ご案内】トルコ・シリア地震 被災地の現状を知る学習会

みなさま
いつもお世話になっております。RSY事務局です。
RSY主催学習会のご案内です。
お時間・ご興味のある方はぜひご参加ください。
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トルコ・シリア地震  被災地の現状を知る学習会
=CODE事務局長・吉椿雅道氏に聞く=
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【目的】
トルコ・シリアを襲った未曾有の地震から2か月あまりが経ちました。RSYは街頭募金や寄付金の呼びかけを行い、以前から海外の災害支援において信頼のある「CODE海外災害援助市民センター(CODE)」を通じて、被災者の生活再建に役立てて頂きました。昨今、現地の様子を日本の報道で取り上げることはほとんどなくなりましたが、CODEは2度のスタッフ派遣を経て、地元のカウンターパートやボランティアと共に丁寧な関わりを重ね、状況の把握や今後の長期的な支援について検討を続けています。そこで今回は、CODE事務局長の吉椿氏と、共に現地入りされたインターンの学生さんを名古屋にお招きし、被災者の心情や課題、文化的背景等を学ぶと共に、日本からできる支援について改めて考える機会を設けます。

多くのみなさんのご参加をお待ちしております。

【日時/場所】
5月12日(金)18:30~20:00
・リアル参加の方:名古屋建設業協会1階会議室

(RSY事務所のある建物の1階/名古屋市東区泉1-13-34)

・オンラインの方:前日までにZoomアドレスを送付致します。

【参加対象/申し込み】
・無料・どなたでも参加可
・下記GoogleフォームよりRSY事務局へお申込み下さい

(締め切り:5月11日(木)正午)
https://forms.gle/Vjm85z7nZ16LX2B49
【内容・スケジュール】
・18:30~18:35
RSY代表挨拶
・18:35~19:35
講演「被災者の現状と課題、地元支援者の動き」
CODE海外災害援助市民センター
事務局長・吉椿雅道氏、学生インターン
・19:35~19:40
バズセッション
2~3人の少人数で講演内容について感想や疑問点を共有します。・19:40~20:00
質疑応答、インフォメーション、終了
【主催】認定NPO法人レスキューストックヤード
【共催】災害ボランティアコーディネーターなごや
(お問い合わせ)
認定NPO法人レスキューストックヤード(RSY)
〒461-0001 名古屋市東区泉1-13-34 名建協2F
 TEL:052-253-7550   FAX:052-253-7552

【報告】2022年度RSY被災者支援活動報告会が終了しました!

みなさま

RSY事務局です。

3月8日(水)に開催した、2022年度の被災地支援に関する報告会が無事に終了しました。当日は、リアル&オンライン合わせて約40名の方が参加。2022年度にRSYが関わらせて頂いた、石川県小松市(9月~3月派遣)、静岡市清水区(10月~3月派遣)、佐賀県武雄市(年間5回派遣)の3か所での活動をリレートーク形式で繋ぎ、それぞれ参加したボランティアの方々から、活動の様子をお話頂きました。報告の中で見えてきた新たな課題もふまえ、RSYは今後も被災者支援を継続していきます。

以下、概要です。

1.RSY代表理事・栗田暢之挨拶

相次ぐ災害で本法人が現場に赴き、被災者の現状をお届けすることができているのは、日ごろ応援して下さる皆様のご支援の賜物であると深く感謝申し上げたい。

RSYは被災者支援において、「すぐにいく」「傍にいて丁寧に関わる」「ながく関わる」をモットーとしてきた。コロナ禍で「すぐにいく」ことは厳しくなったが、「丁寧に関わる」という点については従来の姿勢を継承してきた。しかし同時に、長い復興の中では、一部しか関われていないというジレンマも抱えている。

このような状況の中、阪神・淡路大震災からの支援仲間で、武雄市の(一社)おもやい代表・鈴木氏からは、「RSYから派遣されるボランティアの女性たちは、到着早々カバンを置いて「様子を見に行ってくる!」と被災者のもとに出かけていく。その姿はとてもパワフル。たまに来てくれる人だからこそ気づける変化があり、助かっている」という言葉も頂いている。皆様との協働のおかげでより「丁寧な関わり」が実現できているのではないかと思う。(武雄市は令和元年と3年に被災)

一方で、私達は、名古屋で災害が起こったらどうなるか?どうするか?という命題を突き付けられている。今回の報告会は、この点についても考えを深める機会にしたい。

今回の取り組みは、

RSY会員・関係団体・個人の皆様からのご寄付と共に、
日本財団「令和4年8月大雨被害に関わる支援活動」助成
日本財団「令和4年台風第15号被害に関わる支援活動」助成


生活協同組合連合会アイチョイス様
藤田医科大学様など

からの多大なるご協力のもと、実施することができた。深くお礼を申し上げたい。

2.2023年度・RSY被災者支援の概要(RSY常務理事・浦野)

今年度支援に関わった、石川県小松市・静岡県清水区・佐賀県武雄市では、特に情報が入りにくく、支援が届きにくい山間地や小地域において、避難生活で優先順位の高い「食の確保」と、災害関連死のリスクにさらされやすい「要配慮者ニーズの早期把握」、地元支援団体との「情報共有」、公的支援や水害後の家屋保全に関する分かりやすい「情報提供」、「孤立防止」、被災者の「エンパワーメント」の6つを活動の軸に据え、のべ約120名のボランティアを派遣することができた。また、2015年関東・東北豪雨水害以来、活躍中の「RSY看護チーム」も奮闘し、全ての被災地に1~3名の看護専門職に同行頂くことで、きめの細かいニーズ把握に繋がった。

RSYの生活支援プログラムで定番になりつつある、「あったかごはん食堂」(炊き出し支援の名称)には、碧南防災ボランティア連絡会と連携し、小松市で1,460食(12回)、清水区で260食(全4回)を提供することができた。これらをニーズキャッチのきっかけとしながら、要配慮者世帯の絞り込みと、地元の専門機関につなぐ役割を果たすことができたと思う。また、新たな顔ぶれとして、株式会社デンソー社員の皆様がボランティア休暇を使って参加して下さり大変助かった。

今回は、震つな加盟団体や、建築の専門的な知識のあるRSY団体会員の方々と連携し、微力ながら水害後の家屋保全作業のお手伝いもした。災害頻発と甚大化を前に、RSYもこれらの知識や技術を持つ人材の確保が新たな課題であると認識した。

いずれにしても、早期に様々な切り口を通じて、支援が必要な方を明確に特定することが、あらゆる支援を確実にひとりに繋げる突破口になることをひしひしと感じている。

3.リレートーク

①稲垣早海律さん(RSYボランティア)(小松市)

山間地域で、特に孤立が心配だった中ノ峠町の十数世帯の方々に、「あったかごはん食堂」の炊き出しをお届けする役割を担った。最初は警戒気味だった住民の方々も、足しげく通うにつれて次第に信頼関係を作ることができた。留守宅には手紙を入れて訪問したことを伝えると、手書きのお返事が置いてあったり、様々な形でコミュニケーションが深まることを実感した。この繋がりを通じて、世帯の生活状況が把握できたので、世帯構成&再建進捗リストにまとめ、RSYスタッフを通じ、社会福祉協議会等に報告してもらうことができた。できるだけ同じ人が通えるとよいが、それぞれの都合でボランティア側の顔ぶれが変わることも多いので、引継ぎ方の工夫は今後検討していきたい。

②藤井文香さん(RSY看護ボラ)(小松市)

看護師ボランティアとして、中海町を担当した。当初から住民の方々が主体的に公民館を「救護所」として機能させていたため、人・物・情報の提供が届きやすい環境があり関心した。公民館の一角に健康相談コーナーを設けたり、地域の方から心配な世帯をお聞きして個別訪問する中で、一人暮らしの高齢者や障がいのある方がいる世帯が、周囲に遠慮や気兼ねをして、支援が求められにくい状況があることを知った。その中で特に印象的だったのが、「私の被災は軽かったから公民館に物をもらいに行くのは申し訳ない」という言葉。我慢に我慢を重ね健康状態の悪化が心配されるケースもあった。看護ボラ同士でゆっくりお話を聞きながら、早めの受診や介護保険利用への仲介ができたことに、専門職としての役割を実感した。

③岡田雅美さん(名古屋みどり災害ボランティアネットワーク)(静岡市清水区)

今回お手伝いをした家屋は平屋で、床上20~30㎝の浸水被害があった。母子家庭で寝る場所がないので娘さんとネットカフェを転々とされていた。訪問すると、流し台の下やサッシは泥だらけ。母親は「3日間食欲がわかず食べ物が喉を通らない」と漏らしていたので、一緒にきれいにしようと励ました。「窓ガラスの泥の汚れがなかなか落ちない」という相談については、食器用洗剤を水で薄めた液を作るとよいこと、サッシのレールの細かい汚れは、歯ブラシできれいに取れるなどを伝えた。お隣さんからも「うちも見て欲しい」と声がかかり、近くでちょっとした質問に答えてくれる人がもっと必要だと感じた。また、「ミニ相談会(※)」では、最初雨が降っていて不機嫌そうに会場に来られた方が、帰り際はホットした表情を見せていた。相談会場での食事提供や足湯を通じて、「どうしてよいか分からない時に、分かりやすい説明をしてもらって本当に助かった」という声を多く聞かせて頂いた。

※ミニ相談会:「今後の生活再建に関する無料ミニ相談会」の略。法律や災害後の家屋保全の専門家をお迎えし、公的支援制度やカビ、寒さ対策等についてレクチャー頂いている。また、災害VCや市の担当者も同席し、ボランティアや応急修理制度、生活必需品等の申し込みをその場で出来るワンストップ型支援の場を提供した。会場には、足湯やお食事&カフェコーナーも設置して、心に溜めていた不安や疲れを吐き出し、リラックスして頂けるよう配慮した。RSYは企画・運営を担当。

④伊東ゆかりさん(なごや防災ボラネット)(静岡市清水区)

「ミニ相談会」の会場の一つとなった、清水区の柏尾自治会は、自治会独自で床上・床下浸水を色分けし情報整理をしていた。中には1m以上浸水していた箇所もあり、大変な状況だった。相談会のチラシをお届けしに個別訪問を行ったところ、3人暮らしの世帯と遭遇。水害当時、娘と自分は2階に避難するも妻は介護が必要だったため今は施設に預けているという。相談会にお誘いするも強く遠慮されたが、気になったので翌日再訪問した。すると、庭の泥を娘さんが一人で片づけていたので手伝わせて頂いた。娘さんは「これでとても気が楽になった」と明るい笑顔を見せてくれたので、再度相談会へお誘いした。別の方からは「過去の水害経験からかさ上げしたところに浸水。なかなか買い物にも行けないので缶詰で食べしのいでいた」というお話も聞いた。相談会場での食事提供の際、「私たちなんかもらっていいの?」などの声もあったが、「家族分どうぞ」というと「久しぶりにおいしいものが食べられる」ととても喜んで下さった。今回の活動で個別訪問の重要性が理解できた。最初は、「うちは大丈夫です」とおっしゃっていた方も、翌日再び訪れると大丈夫ではないことが多くあった。一人ひとりのペースに合わせて関わることがいかに大切かを実感した。

⑤加藤都さん(名古屋みなみ災害ボランティアネットワーク)(武雄市)

令和元年・3年と続けて通い続けている。私達の活動窓口としてお世話になっているのが、おもやいさん。武雄に到着するとまずはここに顔をだしてから、住民の方のお宅に伺う。住民の中には、連日の片づけで急に体調を崩す方もいらっしゃったので、看護チームとして対処させて頂いた。毎日顔を出すことで信頼関係ができ、その方の人となりも良く分かってきた。自らも被災しているのに、周囲に気を配りすぎるがあまり気持ちの浮き沈みに悩むEさん、水害後の苛立ちから、他者からの支援をなかなか受け入れられないKさんなどには、「この方が本当に望んでいることは何か」を常に考え、心の内を安心して吐き出せるような関わり方を心掛けた。西九州大学の学生チームとRSYが、復興期の孤立防止と食を通じた健康維持と活力向上を目的に、ご自宅訪問型の「あったかごはん食堂」を開催した。我が家という安心できる場所で調理をしながら学生と楽しく交流したり、写真係や調理係など、それぞれが役割を持ち、ご本人と一緒に場を作ることで、みるみる元気になっていく様子がうかがえた。年に何度か行き来する関係にも、長い生活再建の一部を支える意味があることを実感した。

⑥椿佳代さん(RSYボランティア)(武雄市)

「NPO法人みつわ」のある久津具地区は、水害時に地区の9割が被災。みつわは、在宅避難者の支援拠点として活動していた。RSYは、令和3年から拠点運営を手伝うと共に、2019年台風19号水害で被災した長野市豊野区との交流企画に関わるなどしていた。令和4年2月~3月はコロナ蔓延期で直接現地入りできなかったので、節分や花見の季節にちなんだご当地名古屋のプレゼントお届けして交流を続けた。次の災害に向けた防災プログラムを実施したいという代表の希望を受け、コロナが下火になったと同時に、5月には手作り防災頭巾、7月・10月にはポリ袋で作る非常食「パッククッキング」のワークショップを開催。地区のオリジナルメニューも誕生した。参加者からは「パッククッキングは知っていたけど、いざという時うまく調理できなかった。今回練習できてよかった!」と嬉しいコメントも頂いた。また、みつわと地元の民生委員のコラボで誕生したのが「個人ボックス」。避難後にあったらよかったものを厳選してBOXに入れ、避難先の公民館やみつわに常時置けるよう準備を進めている。地元NPOと一緒に取り組む、考えることで、住民のエンパワーメントを支援していくことがとても重要だと感じた。

4.問題提起(RSY代表理事・栗田暢之)

台風15号で被災した静岡市のケースは、超高齢化社会、地域の希薄化、格差社会などを背景に、自ら助けを求められない、誰に相談すればよいかわからないという現代社会の病に、さらに災害が拍車をかけていく状況が見えた。清水区ではスタッフが、多頭飼育、障がい高齢者の兄弟、母子家庭の深刻なニーズを見つけた。この事例については、緊急性が高かったこともあり、静岡県の危機情報課課長へ報告、その後市の危機管理課に伝達され、保健師を中心に後追い訪問を行ったという報告を受けた。しかし、この事例は氷山の一角とも考えられ、12000世帯の被災に対し、同様に取り残されている方がいないかを早急に確認すべきと伝えた。

その後も県は、市町村に災害ケースマネジメントや、アセスメント調査実施について通知をだしたが、財源、対象者、支援内容を丁寧に説明し伴走する人がいなければ、市単独での対応が難しいようだった。一方で、静岡県弁護士会には、被災者の多くが車中泊やネットカフェで過ごしており、「今日ねる場所」がなく途方に暮れているという切実な相談が寄せられていた。避難所が早々に閉所したことにより、寝床や食事の提供ルートが絶たれたことも原因となっている。

市には、静岡の災害は内水氾濫で「状況が見えにくい被害」ではあるが、個人情報を持っているのは行政。これらの名簿をもとに被災地域を突合し、統一の調査票で個別訪問し、統括する部局が情報をまとめることができるとよいと提案した。その後ほどなくして、市内一斉の個別訪問調査が実施された。しかし、市の関係課が集まる場で、NPOや災害VC等が持っている情報を共有する場の必要性を打診するも統括課が決まらず、実現には至らなかった。

これらの結果から、日常から行政、社協、NPO等と3者連携体制の構築が必須であり、まさに、愛知・名古屋は大丈夫か?と問われていると感じた。RSYとしてもこの課題と真剣に向き合い、皆様と共に取り組みを進めていきたい。

5.バズセッション

皆さんの発表をふまえ、参加者同士で活発な意見交換を行いました。

6.被災地からのメッセージ

★本清美さん(小松市中海町住民)
昨年8月の豪雨以来レスキューストックヤードの皆さんをはじめ、たくさんのボランティアの方々にご尽力頂き、感謝しかありません。なんとか元の生活に戻りつつあります。町内に留まる方、また、去る方と色々な方がいます。今は、少し寂しいです。まだまだ、市、県、国の対応も色々ですが、もっとこれからも住みやすい町内に整備してほしいです。私も、全力でお手伝いさせていただきます。皆さんには、お願いしか出来ません。これからもよろしくお願いします。

★森川昇御さん(清水区天王町自治会会長)
水害が起こった時に、自家用車が全て被災したため、地域の安否確認や関係機関への連絡などが滞り、本当に苦労しました。私の他にも、罹災証明書や各種手続、区役所で弁護士さんの相談会などがあっても、行けずに途方に暮れていた地域の方々も多かったと思います。特に賃貸住宅の人達が、家の修繕や応急修理制度の活用をどのように行ったらよいか分からず困っているのではないかと感じていたため、私たちの地域で「今後の生活再建に関する無料ミニ相談会」を開催して頂きました。相談会というと敷居が高くなるところを、お弁当やおいしい珈琲の提供、足湯などで場を和ませてもらい、久しぶりにゆっくりお話ができた方もいたと思います。地域は大分落ち着きましたが、次の災害に備えて防災対策にはしっかりと取り組んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。

★荒川千代美さん(NPO法人みつわ代表)

私は、介護施設の運営をしながらNPOの活動もさせて頂いています。令和元年、令和3年と相次ぐ水害の被害を目の当たりにした時、こんなに大変な地域だったという驚きと、何をしてあげれば良いのか途方に暮れている時に、いち早く駆けつけてくださったのがRSYの方々でした。あらゆる所に、心と物資を運んでくださり、テレビでしか見たことのなかった、災害ボランティアの方々の無償の愛を沢山頂きました。この事で、地域の方々との繋がりを強くして頂いたのも皆さんのお陰です。「悲しみは共有して小さく。逆に喜びは共有して大きく。手を携えて前に進む」という教訓を、RSY の方々から教えて頂きました。お陰様で、災害は不幸な事でしたかも知れませんが、より地域との心の結びつきを強くするためのきっかけになったと思います。ありがとうございました。これからも、アドバイスをよろしくお願い申し上げます。

★鈴木隆太さん(一般社団法人おもやい代表)

令和元年、3年と2度にわたる豪雨災害により被災をした佐賀県武雄市へ、たくさんのご支援をくださり本当にありがとうございました。RSYのスタッフの皆様、また看護専門の方や、さらにはこれまでRSYの活動を共にされて来られたボランティアの方々のパワーとお心遣いにはスタッフ一同、本当に感謝しております。被災された方々と向き合われる姿勢は、RSYがこれまで関わってこられた被災地での取り組みから積み重ねてこられたものであると同時に、またRSYの信念を強く感じます。そうした信念のもと、愛知県内の多くの方々と連携をしっかりと作られているその姿は私たちも学ばなければいけない、多くのことを教えてくださっております。短い期間に二度被災をしたことから、毎年春が来ると「今年の雨は大丈夫か」と、会う人会う人異口同音に言葉にされております。これからのこの地域における安心を作り上げていく仲間として、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

RSY・8月3日からの大雨への対応について<石川県小松市>(第9報)

みなさま

RSY事務局です。

RSYは、8月3日からの大雨で被災した石川県小松市中海町・中ノ峠町にて、「あったかごはん食堂」を通じて、避難生活の長期化による心身の健康被害防止と、要配慮者ニーズの早期発見、住民の方々がホッと一息つける場づくりを目的に、活動を継続してきました。

これまで現地には、のべ90名のボランティアを派遣し、食堂を通じて1,460食を提供することができました。また、ここで把握した要配慮者ニーズや住民の声は、小松市社協を通じて地域包括支援センターや地元大学の方々と共有し、継続的な支援につながっています。

・第1陣:8月29日(月)~31日(水)/派遣人数:5名(看護師1名)
・第2陣:9月5日(月)~7日(水)/派遣人数:10名(看護師1名)
・第3陣:9月12日(月)~14日(水)/派遣人数:11名(看護師1名)
※炊き出し連携団体:炭火焼肉ジンギスカンもんも(長野市)5名
・第4陣:9月20日(火)~22日(木)/台風のため中止
・第5陣:9月26日(月)~28日(水)/派遣人数:16名(看護師2名)
※以降は、北陸学院大学よりそいの花プロジェクトの皆さんと合同開催
・第6陣:10月20日(木)~21日(金)/派遣人数8名
・第7陣:11月3日(祝・木)~4日(金)/派遣人数13名(看護師2名)
・第8陣:11月17日(木)~18日(金)/派遣人数9名(看護師2名)
・第9陣:3月30日(木)~31日(金)/派遣人数18名(看護師3名)

私たちの活動は、日本財団「令和4年8月大雨被害に関わる支援活動」助成、生活協同組合連合会アイチョイス様をはじめ、RSY会員・個人の皆様からのご寄付により実施することができました。また、第9陣では、藤田医科大学様より、移動車両の貸出しを頂きました。活動にご協力頂いた皆様に心から感謝申し上げます。

さて、3月30日~31日かけて行った第9陣派遣では、修繕の終わった中海公民館にて「北陸学院大学よりそいの花プロジェクト」が開催するサロン活動との抱き合わせ企画として「あったかごはん食堂」を開催しました。以下、報告です。

①「あったかごはん食堂」チラシ配布(個別訪問によるポスティング、手渡し)

食堂開催前日、自宅の再建状況や住民の方々の様子の確認も兼ねて、個別訪問にてチラシを配布しました。「楽しみにしてるよ!」という声も頂戴し、ボランティアさんたちのモチベーションもアップ。しかしところどころに空き地が目立ち、また、床板を上げたままの世帯もあり、水害の傷跡を実感しました。

②あったかごはん食堂準備

今回のメニューは、親子丼とわかめの味噌汁。おなじみの「碧南防災ボランティア連絡会」メンバーが指揮を執り、住民の方々と力を合わせて110食作りました。お漬物も全て手作り!沢山の方々がお越し下さり、賑わいました。

<レクレーション>

食事会場では様々なプログラムを準備しました。

まずは身体機能の低下防止をかねたお楽しみ企画

・足を使って新聞広げゲーム
・リアルあみだくじ
・名古屋弁講座&クロスワード

北陸学院大の学生たちと練習。意外に手こずる人も。。

その後、住民の皆さんと。

おつぎは、斬新なリアルあみだくじ。

豪華(?)賞品がかかっているだけに真剣な面持ちでしたが、ゴールでは満面のピースサイン。

最後は、名古屋弁講座。「ちゃっとまわしして待っとるでね」ってどんな意味?

<ミニ屋台>

棒おこのみやき、わたがし、たませんなどを楽しみました。皆さん作り方にも興味津々。中には自分でチャレンジされる方も。人気ダントツ1位は、名古屋が誇るB級グルメ「たません」でした!

<足湯>

サロンでおなじみの足湯。沢山の方に利用頂きました。

<水害時の写真展示>

中海町在住のMさんが、災害直後から撮影した町の写真を展示して下さいました。水害を思い出してして辛くなる方が多いか心配しましたが、「直後こんな風になってたなんて知らなかった」「この写真欲しい」などの声も。改めて当時を振り返るよい機会になったようです。

★住民の声
・(写真展示を見て)直後はすぐに避難したから、町の中がどうなってるのか全然分からなかったので、知れたことが嬉しい。思い出すと今でも胸が痛くなるけど、この状況から、よくここまでみんな頑張ってきたとも思う。(80代・女性)
・自分の家は被災しなかったけど、前の道が川のようになったので閉じ込められた。その時記録に残すことを考え写真を撮り始めた。町内の人にも協力してもらい集めた写真を展示できるよう整理してもらった。もうすぐ雨の季節になる。区長に相談してこの写真や動画を見ながら、公民館で防災勉強会を開けるように働きかけたいと思う。(写真提供者・60代・男性)
・前の水害で避難所生活を体験した。数時間の滞在だったけれど、体育館は満杯で人に溢れていて、とても落ち着けなかった。次に災害にあっても絶対行きたくないと思い、だから今回は早めに避難行動を取ったので、高台にある子どもの家に無事に逃げることができた。(70代・女性)
・水害後から全く手つかずの家がある。泥が入ったままで匂いや害虫の問題が心配だし、あまりよい風景ではないのでご近所からも気になるという声が多い。持ち主がなかなか動かないのが原因のようなので、区長に頼んで対処してもらうようお願いしようと思う。(80代・女性)
・あれから8カ月が経ち、もともと130世帯あまりの地区から、10世帯以上が解体や、別の地区に転居した。町の風景も随分寂しくなったと思う。中には経済的な理由や自分の年齢、次の災害への不安など個別の事情により、解体をするか否かの決心がつかず、いまだ床板を上げたままの状態で過ごしている世帯もあり格差を感じる。そういう中で、被災した人もそうでない人も心置きなく集まれるサロンのような場は、地区内のギクシャクした人間関係を解消し、ちょっとした気分転換や孤独感の軽減につながっていると思う。北陸学院大の学生さんが来て、話を聞いてくれたり交流することが、住民の元気に確実につながっている。サロンは大体20人ぐらいが来所され定着しつつあるが、今回のあったかごはん食堂では、これまで足を運ばなかった方や、男性も多く来てくれた。行政の施策や説明は通り一辺倒なものばかりで、個別に抱える事情への考慮はほとんどない。様々な人たちとの関わりを続ける中で、自分たちの手で、みんなが安心できる拠り所が作れればと思う。(50代・女性)

★ボランティアの感想

・現地では被災後から半年以上が経ったが、私は今回初めて石川県小松市での水害支援に入らせて頂いた。イベントのチラシ配りを兼ねて町の様子や現状の聞き取りを行い、被災した住宅の再建や生活の立て直しはまだ完全ではないと感じた。住居の改修の補助や川の護岸工事に関する行政からの支援及び連携、また、次の災害時への備えにも課題が残っていることも分かった。住民の方々の楽しみや交流の場として、外部からの炊き出しやイベントなどの継続した関わりが今後も必要であると思った。(A・O/学生)

・今回は約4か月ぶりの参加だった。被災してすでに半年以上が経っているが、生活再建に向けてまだ苦労をしている方がいらっしゃった。今後も継続的な支援をしながら、日常の生活を取り戻すことができれるよう願っている。また、今回の被害について発災時から記録に残している方がいた。小松での被災は知らない人も多いので、このような動きも大事だと思った。(K・M/学生)

・今回2度目の訪問で、前回から4ヶ月経っている。川の横のフェンス、ゴミはどうなったか、皆さん元気にされているのか気になっていた。30日に到着した中海町公民館は、畳もきれいになって、川のフェンスも直されゴミもなくなっていてほっとしたが、空き家や壊された家もあり、施設に入られた方もいらっしゃるということで複雑な気持ちだった。又初めて中ノ峠に行った。崩れた山肌にはブルーシートが張られ、工事中の所もたくさんあり、ここはまだまだ大変だなあと思った。「あったかごはん食堂」では、皆さん楽しそうに会話をされ、お元気そうで、また会いに行きたいと思思う。(M・Y)

・今回は3回目の参加だった。災害ボランティア初心者だが、毎回発見することが多く今回も参加させていただいた。拠点の中海町公民館、滓上橋の欄干や柵も修理が終わりきれいになっていた。初日のチラシ配りでも第5陣で渡せなかった方にお会いすることができ、家の修理が終えた方々に日常が戻って生活されていることが感じ取れた。しかしその一方で、手つかずの家がずっとそのまま残っていることも印象的だった。行政の説明が専門用語ばかりでさっぱりわからないとお聞きして、医療も全く同じで説明に専門用語を使わず、丁寧に納得していただく努力が必要だと感じました。中海の皆さんと再会を喜び、古くからの知り合いのようにお付き合いさせて頂き、大変うれしく感謝しかない。被害にはあったけど、こうしてボランティアに来てくれるのはとてもうれしいと仰るかたもいらっしゃった。次回は学生の参加者を募りたいと思っている。(T・W/藤田医科大学教員)

・見た感じ、被災地は少しづつ復旧している様に見えるが、空き家があったり、避難されたまま戻って来ない人達も見えると聞くと、まだまだと思った。炊き出しを公民館の中で食べて頂ける人達が多数見えた事が嬉しかったことです。たません、綿菓子、お好み焼きを面白がって頂け、準備して良かった。今後もお腹を満たす事とホッとして頂ける空間を提供させて頂きたい。(K・K/碧南防災ボランティア連絡会)

・雪深い小松と聞いていても、雪の時期に来ていないので想像もつかず、11月にきた時と変わりなくのどかな景色で、季節の移ろいの中、満開の桜を窓越しに見ながらゆったりとした時間を過ごすことができた。お馴染みのお顔とも沢山会え、中には病気で少し痩せた方もおられたが、今はお元気とのことで安心した。以前は公民館にほとんど足を運ばなかった方も、当時の厳しい表情とはうってかわり、ニッコニコでお孫さんとおいでになり、地域の方ともお話ししていらっしゃった。雪解けとともに、いろいろな問題や苦しみなど流れてくれるといいと思うが、災害で引き起こされたことはそう簡単には行かないだろう。同じようなことが起こらないことを願って過ごすしかないのかも知れないが、少しでも私たちのサロンで楽しんでいただけたらと思う。また小松の皆さんとお会いできますように。(K・T)

・中海公民館の近くの川沿にあった枯れ草がかかり折れ曲がったフェンスもすっきりとした金属棒の柵に変わっていて、あちこちでも河川の工事が進んでいた。また、空き家・更地になったお家が10軒ほど、町の方が作成された「浸水状況」を見ると2m浸水の場所に片寄っていた。「もうほぼ元の生活になった」という方がいらっしゃる中で、1階部分は畳がなく2階で生活が続くお宅もあり、「ここに住む人もいれば、出ていく人もいる」「子ども家族が出ていき、一人暮らしになった人もいる」「2m嵩上げして平屋を立てる」という話を聴き、生活再建にそれぞれの形、それぞれの時間の経過、そこに各々の思いがある事を改めて感じる機会になった。サロンはイベントも多く、住民さんが椅子に座り話こんでおられる姿や、食事を召し上がる方もいて、滞在される方も多く賑やかだと思った。(F・F)

 

<中ノ峠町>

10世帯足らずの小さな集落ということもあり、毎回ボランティアのH・Iさんにお食事をデリバリーして頂きました。また、住民の方々の生活は落ち着きを取り戻しつつあるものの、重機の出入りはまだあります。

★住民の声

・今年の冬は雪が積もったが平年ほどではなかったの。集落に変化は特にない。最近、川の浚渫工事が始まり着々と復旧していると感じます。今日は久しぶりのお弁当の宅配で懐かしい。「こんにちは~」の声にびっくりしました。食堂のお弁当は子どもも大好き。こんな山奥に継続的に来てくれて感謝しています。(30代・女性)

・昨日帰宅したら玄関に見覚えのある「あったか食堂のチラシ」があって。もう終わったと思っていたので驚きと懐かしさがこみあげてきました。被災後、生活の拠点を他に移した方もいる。ただでさえ住民が少ない集落から更に人が減るのはさみしい。
だいぶ復旧が進み元の集落になり、知らない間に日常を取り戻している。被災後、娘が嫁いだこともありあっという間に年を越してしまったよ。(60代・男性)

・温かくなって日課の見回りを始めたよ。(昨年、火の用心の木槌をたたき集落を回る姿を何度も拝見した)。それぐらいしかできないからね。当番が決まっているけど、やれるときはやっている。この畑も世話をしないと何もできんからできることはやらんといかんでね。
※ 顔色がとてもよく、去年は遠慮や気兼ねからお弁当を遠慮され、表情も曇りがちだったが、今は元気な顔つきに変わっていた。 (80代・女性)

・懐かしい。(満面の笑みで出迎えてくれた)。遠くからまたきてくれたか。ありがとう。元気にやっとる。大丈夫や。心配いらん。(80代・男性)

★ボランティアの感想

・集落の入口付近で川の浚渫工事が行われていた。被災当時は枝道にあった倒壊家屋はほとんど片づけられ、道は綺麗になっていた。流された橋はそのままで復旧していない。中ノ峠集落の住民数は23人、うち17人が現住と把握していた。今回、中ノ峠入口(物産展の付近)国道沿いの世帯やそのほか2世帯ほどが中ノ峠の一員であるのことを地域包括支援センターのスタッフに現地で聞いた。結果的には被災していなかったが見落としていたことを反省。集落の中は変わりはなく静か。中ノ峠の一人住まいの高齢者は畑をしたりしてそれなりに体を動かしている。ディケアに行っている方がいるが夫婦で暮らし目は行き届いている。持病は大なり小なり持っているが皆さんそれなりに元気に過ごしている。 (H・I)

・中ノ峠に始めて行き、復興が進んではいるものの、本当に微々たる物だったように思う。このままの状態で梅雨に突入するのかなどの不安がともなう中、陽の光を浴びながら畑や他の作業をする為に身体を動かしている姿を見て安心した。
公民館では、本さん達が声を掛け、学生さんと話す住民の姿や炊き出しを食べる姿を見て少し元気になられた方も見え安心した。名古屋の駄菓子のたませんを珍しがりつつも喜んでもらえて、提供のしがいがあった。その一方で予定通りに自分が動けずもどかしさを感じた。(Y・I)

 

活動を終えて(常務理事・浦野)

8月から8回に渡り、愛知からのボランティアを受け入れ、また、快く連携頂いた小松市の関係者の皆様、連携団体の皆様に心から感謝申し上げます。

水害発生からほどなく避難所が閉鎖され、暑い中で延々と続く復旧作業は、心身共にとても過酷なものであったと思います。そんな中で、中海町内会はいち早く救護所を開設し、被災された方々の不安や疑問、憤り感を一つひとつ受け止める拠り所として重要な役割を果たしておられました。また、外部からの支援の受け入れも積極的であったことで、私達も微力ながら、「あったかごはん食堂」を通じて、中海・中ノ峠町内会の要配慮者世帯の状況把握や見守り、社協や地域包括支援センター等への情報のお届けなどのお手伝いをさせて頂くことができました。
今回の訪問では、水害から8カ月が経ち、「ほとんど以前と変わらない生活になった」という方がいる一方で、経済的事情や自身の高齢化、家族間の合意形成、健康問題、災害リスクへの恐怖など、個別で見えにくい課題を抱える方々が少なくなく、場づくりの継続の必要性を実感しました。
「北陸学院大学よりそいの花プロジェクト」の皆さんとは、10月から足湯やサロンを通じて一緒に活動させて頂いてきましたが、今後も被災地NGO恊働センターと連携し、ニーズキャッチや安心の場づくりを継続されると聞き、とても心強く思います。私たちの活動はこれで一区切りとなりますが、今後も名古屋から地元の力を応援しつつ、中海町・中ノ峠町の皆さんとの交流を続けていければと思います。

また、今回の取り組みは、なごや防災ボラネットとも連携し実施しております。名古屋のネットワークと共に、現場での支援経験を通じて、地元名古屋で災害が発生した際、特に在宅等避難者への支援における協働の在り方について改めて考える機会にもなりました。今後もこれらの学びを活かして、地元の基盤強化に努めます。