不定期連載「研修生にっき」始めます。

 レスキューストックヤードでは、年間を通して5名縲鰀10名ほどの研修生を受け入れています。期間は1日体験のような形もあれば、長い方で半年縲鰀1年におよぶ人もいます。研修生の所属も様々で、大学の研究室だったり、中間支援NPOが実施するプログラムの参加者、また行政職員など多岐にわたっています。
 せっかくRSYに関わってくださった皆さんなので、その人となりや、RSYで研修して感じたことなどを紹介したいなーと思いました。
 今、研修に来てくれている一人が、岩瀬めぐみさん。彼女は現在大学4年生で、名古屋NGOセンターが主催する「NGOスタッフになりたい人のためのコミュニティカレッジ」という講座の受講者です。(実は、私、清野もその講座を受講してRSYとのご縁があった一人なのですが。)
 岩瀬さんは、大学で福祉を学び、そのまま就職してしまうことに疑問を感じ、NGOまたはNPOで活かす道はないかと探して、この講座を受講することにしたそうです。一見、おとなしそうな感じですが、話してみると意志が強く、いろんな思いを持っているということが分かりました。
そんな彼女に、研修で感じたことなどを日記風にまとめてもらうことにしました。これから他の研修生にも書いてもらう予定です。
題して「研修生にっき」
今後、不定期で掲載していきたいと思いますので、皆様お楽しみに!

中越地震から2年

 お世話になっております。RSY事務局・清野です。
 今日で、あの地震からちょうど2年です。新潟では、追悼記念行事なども各地で行われているようです。中越地震の際に建設された仮設住宅は被災8市町村あわせて3460戸、9/30現在で仮設住宅に住んでおられるのが、1672世帯です(一時入居を含む)。新居の完成を待っている方々もおられるのでしょうが、それでも半数近くの方々が仮設住宅に住み、入居の延長を申し出ている世帯も少なからずあるとの事です。
 今年度末までに終えなければならない復旧工事は急ピッチで進められていますが、雪が降ることを考慮すれば、年末までには終えなければとの話も聞きました。また、急ピッチで進められるハードの復旧に、追いつかない住民の生活や心の復興も一方で心配されるところです。

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一人ひとりを見つめ、寄り添うことの大切さ

これが私が震災から2年を迎えた被災地の方々と、復興を支えるボランティアの皆さんからひしひしと感じていることです。
長い年月をかけながら一人ひとりが大切にしている時間、暮らし、人間関係。その土地にしかなく、その土地の人たちにしか作れない尊いものに目を凝らしながら、必要な手伝いを見極めていく。これは、復興支援に限らず、私たちがずっとやってきた地域防災でも同じことが言えると思います。
「少しでも早く多くの人を」と思うがあまり、私たちはこちらの考えを押し付けてしまいがちですが、最終的にはその人たちの時間やペースに寄り添い、時を共にしていこうという姿勢や事実の積み重ねがなければ、本当に必要な支援は見極められないし、相手もそれを受け入れないのではないかと思います。
このような大切なことを事実をもって気づかせて下さった田麦山の皆さん、中越復興市民会議の皆さん、あいち中越支援ネットワークの皆さん、その他多くの皆さんに心から感謝します。
レスキューストックヤード事務局長 浦野愛

震災から12年目の復興住宅

4月1日、以前のブログでもご紹介した西田公夫さん・敏子さんご夫妻のお宅を久しぶりに訪ねました。
4月に名古屋にご招待し、こちらでゆかりのある方々に再会したり、名城公園でのお花見の企画を立てていましたが、ここ最近急に冷え込んでいたこともあり、体調を少し崩されて、今回は大事をとって延期ということにして、こちらから遊びに行くことにしました。
神戸市北区にある「しあわせの村」の片隅に、お二人が住んでみえるシルバーハイツがあります。
ちょうど山の上に位置しているために、静かなのはいいのですが、ひんやりと静まり返って、風が強く、体の薄いお年寄りはそのまま遠くに吹き飛ばされてしまいそうです。
また、その名の通り、65歳以上の高齢者を対象としていて、高齢者世帯や単身者がほとんどで、シルバーハイツに到着してから公夫さんの家の玄関にたどり着くまでに、出会ったのはたった数人でした。
要援護者養成講座
シルバーハイツの様子
バリアフリーの引き戸を空けて、開口一番「こんにちは縲怐vと大声を張り上げると、「おぉ、よくきた、よくきた」とリビングのいすに腰掛けていた公夫さんの顔が飛び込んできました。
(おっ、思ったより元気かな)と感じつつ、お話を聞いていくと2月から少し調子を崩し、4月上旬に検査をするのでそれまで落ち着かないという胸の内を話されました。
公夫さんの楽しみはもっぱら、絵手紙を書くこと。この楽しみを続けていけるだけの体の状態を少しでも長く維持していきたいというお気持ちが伝わってきました。またその気持ちを一番良く理解され、支えていこうとされている敏子さんの気丈さにも尊敬の念を抱かずにはいられません。しかし、この役割をお一人で担っていくことの不安感は、はかりしれないものであるとも思います。「あんたらが、もっと近くにおってくれたらええんやけど」という言葉を聞くといつも胸が痛みます。
私たちは、「何かしたい」と思うがあまり、「普段二人ではできないことをしよう」などと考えてしまいがちですが、お二人にとっては、いつもと同じ、日々の営みの延長線上にあるちょっとした出来事の積み重ねが、とても価値あるものと捉えているように見えます。
私も最近、お二人にお会いする度に、テーブルを囲んでお茶を飲んだり、お台所を手伝ったりという何気ない瞬間が、とても尊いものと感じます。こういう瞬間の記憶の方が、ひょっとしたらいつまでもお互いの心の中に強く残り、日々を支える原動力になっていくのではないかと思います。
要援護者養成講座
団らんのひととき
兵庫県内では震災以降、25,421戸の災害復興公営住宅が整備されました。(※1)しかし、震災から11年をむかえ、復興住宅の高齢化が一層進み、住民同士の支え合いも難しくなってきているようです。また、住宅によっても、自治会活動が上手くいくとろとそうでないところに差が生じ、その溝を修復することが出来ずに自治会が解散してしまったところもあるそうです。
自治会を通じて、餅ちつき大会や喫茶店などのふれ合い活動が行われ、住民が顔を合わせる機会が作られ、日々の楽しみや生きる意欲につながっている人々は数多くいらっしゃると思います。しかし、この部分が様々な問題で機能しなくなると、さらに閉じこもりや孤独死が増えてしまうことが懸念されます。
復興住宅では、孤独死が一向に減らず、昨年一年で69名、累計で396人にも上っています。(※2)
行政も、各住宅に「生活援助員(LSA)」や「見守り推進員」などを置き、安否確認や生活相談などを行っていますが、それでも尚この問題は解決していません。
このような実態から、公平・平等・一斉・画一がベースになっている行政支援にはどうしても限界があり、個別化していく問題に対して、そのひとつひとつに丁寧に答えられる受け皿が11年経った今も尚、十分に出来ていない、そしてこれらを実際に整えていくことの難しさが見て取れます。
しかし、やはり支援の隙間から漏れていく人たちの声を拾い、時間をかけながら問題に丁寧に向き合っていくしかこれらの解決の道はないとも感じます。私たちは、西田さんとのつながりの中から、このような出来事が繰り返されないために、多くの方々にこの現状を伝え、学ぶべきことを見出していきたいと思っています。
※1・2)神戸新聞掲載記事より抜粋
要援護者養成講座 005

バリアとバリアフリー

災害時要援護者支援ボランティア養成講座に参加して、当事者の方と一緒にワークショップをすすめていく中で車椅子で外に出かけその先でどんな問題があるか、改めて配慮がなされていないことを感じました。新しめの交番を見つけて中に入ろうと思ったけど玄関前の階段に驚いたこと、インターホンがあるかと探したけどなかった。ホテルでは、コーヒーショップの入り口に階段が…。銀行のATMでは、いかに配慮がなされていないか。ATMにたどり着くまでの段差、液晶画面の高さの問題で車椅子からは見えづらいこと、「いらっしゃいませ、ありがとうございました」は自動音声が流れるが、実際に自分がどのボタンを押したのかわからない、カードを入れる場所は高くて遠い…。

RSYが5年目に突入しました!

先日3月8日は、RSYがNPOの認定を受けてからちょうど4年の記念日でした。
思い起こせば4年前、栗田が同朋大学をやめ、一念発起してNPOの専従スタッフになるという決意をしてから、立ち止まる間もなく走り続けてきた4年間でした。
この4年間で、災害ボランティアに対する社会的な認知や役割の重要性、災害時要援護者対策、地域防災活動の活性化など、大きな動きが「防災」の分野で見られてきました。各地で災害が相次ぎ、「自分たちで何とかしなければ」と本気で取り組もうとする方々が着実に増えてきているのだと感じます。
栗田も、内閣府・文部科学省などから検討委員会のメンバーにお声がけを頂くようになり、皆さんと共に歩んできたネットワークの中で、整理された課題や提言を少しでも民間の声として、制度やしくみに反映すべく、切磋琢磨しながら立ち向かっております。
清野は、事務所の守衛役として来訪者やボランティアさんへの対応、事務作業全般、栗田や私への笑いの提供(重要!)など、持ち前の気配りと心配りで全体の活動のサポート役となっています。
今年度から新たなスタッフとして迎えた椿(通称:マダム)は、被災地への派遣スタッフとして全国を飛び歩いたり、震災がつなぐ全国ネットワークの事務局として、その他RSY事務局のサポート役として、本当に大きな力を発揮してくれました。とても尊敬できるスタッフにめぐまれたことをありがたく思います。
アルバイトで大学生の松元くんは、主にHPや事務所パソコンの管理など、ITに弱い事務局スタッフにとっては、今やなくてはならない人となっております。最近は、うっすらひげなんか生やしてくる日もあったりで、「大人になったのね・・・」と一抹の寂しさも感じております。
また、RSY理事・評議員の皆様、「震災から学ぶボランティアネットの会」の時代から、いつも活動を見守り、支えてくださっているボランティアスタッフの皆様、本法人の活動趣旨にご賛同頂いた新会員の皆様にも、心から感謝申し上げます。
今年度は、HPの充実化をはかったり、RSY主催講座の実施など、まだまだ不十分ではありますが、ボランティア・会員の皆様にも活動に参加していただけるような環境の整備を進めてまいりました。
また、機関紙「あるある」は、編集リーダーの山田光さんをはじめ、編集委員会のボランティアスタッフの皆さんのご尽力により、相変わらず好評のご感想を頂いております。現在は新しいメンバーも加わり、さらなる充実が期待できることと思います。(でも編集委員は随時募集。ぜひご参加下さいね)
来年度は5周年ということで、一発パァ縲怩チと派手にパーティーでも打とうかな、と思案中です。浦野と清野は今から「てじな縲怩ノゃ!」を特訓中ですのでお楽しみにしていてください。(見たくない人はあしからず)
そんなわけで、今回は浦野ひとり感慨にふけってしまいましたが、周りはそんな暇も無く今日も各地を飛んでいます。でもきっと、それぞれの節目を感じていることでしょう。5年目も、「ひとりひとりの暮らしと命」を大切に、スタッフ一同前進してまいりますので、皆様のご指導・見守り・ご協力のほどをよろしくお願い致します。

災害時要援護者支援ボランティア養成講座が終了しました!

先日、かねてから皆様にもご案内しておりました養成講座が無事終了しました。
この講座には、約45名の方が参加し、名古屋市より修了証書を授与されました。
今回の取り組みは、運営スタッフとして、視覚・聴覚・精神・身体障害のある当事者の方々にもグループワークを担当していただきました。
このような講座は名古屋市でも前例が無く、私自身もどうなるか、正直なところ不安で一杯でした。でも短い準備期間だったにも関わらず、こちらの意図するところを一生懸命に理解して下さろうとした、事者スタッフのみなさん、ファシリテーター(健常者)の皆さんにめぐまれて、何とか3日間を終了することができたと感謝の気持ちで一杯です。
そもそも、今回の参加者の皆さんは、障害のある方々と接する機会のほとんどない、地域の民生委員さんや自治会関係の方々が多かったため、どのように状況を受け止めるのか予測ができないところでした。現に講座1日目には、当事者の方に対して、「あなたの意見は聞いてないんだよ」と発言された参加者の方もいたようです。多かれ少なかれ、グループワークを進めるにあたり、このようなズレは出てくるであろうと考えていました。
また、その状況を当事者スタッフの方がどのように受け止めようとされるのか、そして両者の考えをどのようにすり合わせて、お互いが歩み寄っていくのか、本当に歩みよれるのか?これに関してはやってみなければ分からないところでした。
以前、避難所での食事の話をしていた際に、アレルギーのある人への対応の話題になりました。その人が出した結論は、「アレルギーは一人ひとり違うものなので、自分で備えてもらうしかない。地域でサポートするなんて、絶対無理だ!」というものでした。
「絶対無理」という言葉。なんでそんな言葉でそんなに簡単にこの課題を放棄できるのか。何を根拠に「絶対」なんていえるのか?どれだけ時間を割いて、当事者も含めて、どれだけの人たちに意見を聞きながら、その問題に向かいあっていったのか?簡単にはいかないことは最初から分かっているのです。だからこそ、誰もが手をつけずに今までおざなりになってきたのだから。
この現状を変えなければならいと本気で思うならば、人任せではなく、自分にできることは何かを一人ひとりが真剣に考える必要があると思います。私はその人に、『「絶対」なんて事柄はありえない」と言いました。そんな簡単に、そんな言葉出すもんじゃないよ、と。でもこれは、少し前の自分自身にも向けた言葉だったと思います。「絶対無理」といった時点で、もうその課題は自分の手を離れてしまうのです。
しかし、そうは言いつつも、本当にそんな歩み寄りができるものなのか・・・というとことは、講座を始める前までは非常に不安でした。もしさらにお互いの距離が遠くなってしまったらどうしよう、と。
しかし、ある当事者スタッフの方から頂いた感想のメールを拝見し、時間を共にするなかで、参加者の方々もスタッフの皆さんも、お互いに気付くことがあり、少しずつそのズレが解消されて距離が縮まっていったのだという過程が分かり、地域の皆さんの持っている力ってやっぱりすごい!と驚きました。
この力を信じて、私たちはこれからもこの課題にきちんと向かい合っていきたいと思っています。今回はようやくスタートラインに立ったというところですから、これからは、きちんとした形(実践に)になるように、今回得ることのできた、心強い仲間と一緒に、取り組んでいけたらと思います。
今回は私自身、この講座を通じて、素晴らしい方々との出会いを頂きました。
当事者の方がそこにいなければ伝えられないこと、周りが気付けないことが沢山あります。とっても難しい課題ですが、お互いに足りない部分を補いあいながら、できるところから地道にやっていきたいです。とにかく考えているだけじゃなく、失敗を怖がらずに、今は実践を重ねるのみ、その時期だと思っています。