RSY令和6年能登半島地震への対応(第3報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
RSYは、1月3日より震度6強の被害を受けた石川県穴水町で支援活動を開始しています。

1月3日に第1陣、翌日に第2陣を派遣し、現在はスタッフ浦野・稲垣他、ボランティア4名の計6名で300人程の避難所となっている「さわやか交流館プルート」の運営支援を行っています。

震災からまもなく1週間。これまでの災害では10日~2週間で著しい体調悪化が増加する傾向がありますが、この避難所でも既に便秘や低血糖、嘔吐などが徐々に増えている印象です。外部から応援が入る間、特に心配な方については、RSY看護・福祉チームが必要に応じて24時間体制で見守りを行い急場をしのいでいます。昨日は穴水を震源とする震度5強の地震が発生し、「おそろしい」「通電したからせっかく家に帰ろうと思ったけどこれで避難所に逆戻りだ」など落胆の声が多く聞かれています。

ネット環境が非常に不安定であったこと、体調不良者や福祉ニーズへの対応を優先しているため情報の発信がままならない状態でした。ご心配頂いていた皆様に情報をお届けするのが遅くなり大変申し訳ありません。

名古屋では多くの皆様に街頭募金のボランティアや寄付のご協力を頂いています。食材・物品提供なども含め、私たちの活動への応援を頂きありがとうございます。引き続き、何卒よろしくお願い致します。

1.穴水町の被害概要
・人口は7000人強で高齢化率50%以上、10人前後から300人以上まで、40カ所以上の避難所が開設されている。
・町内山間部の道路は複数個所で地割れや陥没、隆起などによる被害を受けており、かなり危険な状態の中での移動を強いられている。相次ぐ余震や雨雪などの悪天候による状況の悪化に不安を感じている。
・町の半分が半壊以上の家屋被害という印象。
・電気は避難所を優先に、おとといから一部の地域で通電が始まっている。
・地域はLPガスが多く使用できている地域もある。
・水道は全面不通。ゴミ袋を簡易トイレや便器にかぶせ、新聞紙や凝固剤で処理し袋が一杯になったら縛って捨てるという手順。生活用水はペットボトルの水か給水車で賄っている。
・福祉避難所は断水や施設被害、悪路、マンパワーの確保が難しいなどの状況。通常の在宅福祉サービスも停止中が多い。90代や認知症高齢者、車椅子利用者、知的・精神障がい、小さなお子さん連れ世帯などが避難所・在宅に散見される。
・本日からNTT非常電話(無料)3台が設置(使用時間は10:00~15:00ごろまで、その他ドコモは携帯電話の充電ステーション、softbankはWi-Fi、充電ステーションの設置を順次行っています。

2.RSYの活動
(1)炊き出しの提供
3日より、温かい汁ものやごはん食を中心に、毎日昼・夕食の提供をしています。当日から地元の食生活改善委員さんや避難された方がお手伝いを申し出て下さっています。夕食は車中泊や周辺地域在宅避難をされている方々も含め昼食200食、夕食350食を提供。4日頃より町から菓子パン類が届くようになりましたが、ドーナツやジャムパン、メロンパンなど甘いものが多く、高齢者の食があまり進んでいません。

そんな中、昨日より地元住民やRSYと繋がりのある団体の皆さんから野等菜や豆腐、肉などの提供を頂いています。最初に名古屋から持ってきた食材が底をつきそうだったのでありがたいタイミングのお届けにとても助かりました!
(これまでに食材等を提供頂いた皆様/敬称略)
・つなぐこども未来
・カネハツ食品
・チーム中越
・真如苑救援ボランティアSaRV中京

・天白でぃぷり

(2)避難所の環境整備
現在も断水が継続しているため、トイレが通常通り使えません。最初は便器からし尿が溢れ非常に不衛生な状態に。それを施設管理者や社協職員が手でかきだし、ゴミ袋を便座にかぶせ新聞に吸わせたのち袋を縛って捨てるという流れで対処されていました。(実際のトイレ状況を掲載するため閲覧注意)

箱詰めして積みあがるし尿

しかし高齢者が多いこともありトイレの失敗や、閉じた袋からの漏れなどで環境悪化は継続。RSYスタッフで昼夜清掃を行い、昨日の朝ようやく、各部屋の代表者に向けて「トイレの使い方講習」を実施。15名程集まり皆さん真剣な面持ちで処理方法を学んでおられました。徹底とまではいかずとも現在は下記のような状態にまで回復しました。とにかく1日も早い水道の復旧を願わずにはいられません。

仮設トイレは4日から6台設置されていましたが、車中泊や在宅で避難されている方も利用されるため定期的な給水や清掃、バキュームによるし尿処理が必要となっています。
★避難所お助けボランティア活動開始!
おとといより、避難所内でお掃除やゴミの回収、水汲みなどをお手伝い頂けるボランティアさんを募集しています。一昨日は5~6人だったのが、今日は15名も集まって下さいました。「何かしていた方が気がまぎれる」「できることがあればいつでも声をかけて」などの声多数。疲れや不安が溜まっている時期にも関わらず「やり方さえ分かれば動くよ!」と意思表示下さり、「こんな時だけど頑張りましょうね」と互いに声をかけながら作業にあたりました。人の強さと頼もしさを強く感じた瞬間でした。

・新聞折りたたみチーム(トイレの汚物処理用)

一人ひとりができることをできる範囲で。みんなで雑談しながら作業もわきあいあい。

・ゴミ回収チーム

子どもたちもお手伝い。ペットボトルを足でおもいっきりつぶしてストレス発散!

・共用スペース清掃チーム

共用スペースの掃き掃除とモップがけ。床はみるみるピカピカに。石油の補充もかって出てくれています。

(3)要配慮者への対応
この避難所には「福祉避難スペース」が設置されており、現在9世帯・17名が生活しています。当初は資材もなく土足で雑魚寝の状態でしたが、部屋を清掃し、名古屋から持ち込んだ段ボールベッドや福祉用具を配置することができ、随分衛生的にすっきりした空間になりました。避難所全体として、トイレ介助が必要な高齢者も少なくなく高齢の家族による介助にはまもなく限界がきそうです。そのため、トイレ介助やおむつ交換などの対応ができる福祉専門職の投入が切に求められています。

また、徘徊のある認知症の妻や要介護5の夫を預かってもらえないかなどの問い合わせも相次いでいますが、すでに満床のため、同施設内にある町社協がかろうじて運営できている福祉施設につなぐなど対応に追われています。

各部屋でベッドや福祉用具使用の必要性がある方についても順次対応し、今ある資源で少しでも体の負担が少なくなるよう対応をしています。

(4)今後の派遣予定(被災地の状況により変更になることもあります)
※ドライバー募集:ハイエース、雪道、多少の悪路でも運転ができる方

・第1陣:1月3日(水)~12日(金)RSY浦野・稲垣、ボランティア2名
・第2陣:1月4日(木)~10日(水)ボランティア2名が1陣と合流)
・第3陣:1月11日(木)~15日(月)RSY浜田・松井、ボランティア2名
・第4陣:1月15日(月)~19日(金)RSY浦野・稲垣、ボランティア調整中
・第5陣:1月18日(木)~23日(月)RSY森本、ボランティア調整中
・第6陣:1月22日(月)~27日(土)RSY浦野・稲垣、ボランティア調整中
・第7陣:1月27日(金)~31日(水)RSY浦野(継続)、ボランティア調整中
3.被災者の声
●70代・女性
自宅は壁や瓦が落ちて雨漏りもしているかも知れないんだけど、見に行くのがいやでねぇ。5月の珠洲の地震を見て、もう一回大きいのがくるかなと思っていたけど、まさかこんなに早く来るとは思いもしませんでした。震度6強の揺れがまた来たら間違いなく全壊すると思います。家の壁を塗り直したばかりだったのに全部がダメになっちゃった。町に若い人がいて活性化すればもう少しここに住んで頑張ろうと思えるけど、こんな高齢者ばかりの町でそれが本当にできるのか相当気合がいるなと思っています。

●30代・男性(ベトナム人)
電気がつかないので携帯を充電にきています。私は穴水で働いていますが、地震のあと課長と連絡が取れて一緒に会社に行ったら中はぐちゃぐちゃ。でも困ったら課長に相談できるので大丈夫です。地震直後はこの避難所に来ましたが、2日目からアパートに戻りました。家が壊れたベトナム人の友人たちのうち数人で一緒に住んでいます。それぞれ会社が違うので中には連絡が取れてない人もいます。インターネットが使えないので情報が取れない。でも本国の家族とは電話で喋れて安心しました。今は食料と水にお金がかかることが困っています。近くのスーパーで何とか買っているけど、少しずつお金がかかるのでこの先心配です。→避難所では無料で食料水の提供があるので毎日取りに来てよいこと、石川県による多言語の相談窓口、NTTの緊急電話等を紹介。

●30代・女性
生まれて数か月の子どもが一人います。プルートの2階に子ども専用スペースを作ってもらえてたのでありがたかったんだけど、下が絨毯だけで身体が痛くて眠れませんでした。でも、マットをもらって敷いたら久しぶりにとてもゆっくり寝られてすごくよかった!

●70代・男性
今日トイレの使い方を教えてもらったんだけど、他の人にちゃんと教えられるか心配だよ(ということで、スタッフから個別レクチャー)。皆さんがこんなにきれいにしてくれたんだから、みんなルールを守ってきれいにつかって行かなきゃ申し訳ねぇからな。(と何度も手順を確認される)

●80代・女性
夫が腎臓を悪くして何度もトイレに行きたがるから介護が大変で。寝床から車椅子に移動する時に段差もあるしトイレの度に起こされてほとんど寝られていません。トイレの近くの部屋に移動できればもう少し楽になるのだけれど…→妻のトイレ介護の負担が大きく心身の疲労が心配されたため福祉避難スペースに移動。

●60代・女性(精神障がい)
(3日から3回嘔吐、受診するも避難所にもどされ、感染症の疑いも心配されたためRSYスタッフが24時間体制で対応。昨日から少しずつ安定)普段はひとりぐらしをしています。こともが東京と金沢にいますが疎遠です。食事は朝夕パン、昼はお弁当を食べていました。施設ではトイレ掃除をしたり、モノづくりをしたり色々しています。迷惑かけてすいません、すいません…→隔離部屋に一人でいることで日常動作の低下が見られ始めたため、感染症の疑いのないことを確認し今日から福祉避難スペースへ移動。

●70代・男性
これまでRSYさんと一緒に何度か被災地に活かせてもらったけど、自分がまたこんな目に会うなんて思わなかった。とにかく気が滅入るね。今は椅子を3つ繋げて寝ている。(簡易ベッド等を進めるも)大丈夫、みんなこんな環境の中で暮らしているんだから俺もこのままでいい。

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

【クレジットカード決済】

【郵便振替でも寄付を募集しております】
ゆうちょ銀行
ゼロハチキュー支店 089
当座 0126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※通信欄に「活動寄付」とご記入ください。

RSY石川県珠洲市への支援について(第9-2報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
今回は、第9-1報の続編として、被災された方々の声と現在の課題感についてRSY浦野・稲垣がご報告します。

★RSY今を伝えるブログ(第9-1報はこちら)

RSY石川県珠洲市への支援について(第9-1報)

尚、7月・9月の活動では、RSY会員で震災がつなぐ全国ネットワークの仲間でもある「被災地NGO恊働センター」のMさんYさんと現地で合流、10月の活動では、地元出身で現在立命館大学に勤務されている臨床心理士のMさんにご同行頂きました。

 ※私たちの活動は、
日本財団「令和5年能登地方地震および6・7月の大雨被害に関わる支援活動」助成からのご協力を頂き実施しています。

 


【被災された方々の声】※写真は必ずしもご本人を映したものではありません

●「もうしばらく仮設住宅を離れたくない」
(80代女性・ひとり暮らし/大規模半壊/応急仮設住宅)
応急仮設住宅に入って数か月経つけど、できるだけご近所の方に声をかけるようにしているの。この間は家の前の草取りをやったりしてね。お隣さんも一人暮らしの女性なので、仲良くさせてもらっています。もう大きな家はいらないわね。仮設へ来て一層それを感じました。手の届くところに全て必要なものが揃っているから。だから新しい家も小さな平屋にした。年内には完成すると思う。ただね、親族に大工がいるから他の方より早くお家が建てられた。それに引け目を感じるの。だから地鎮祭もせずお酒もなしで、とにかく目立たないようにひっそり進めてます。本来ならばお祝いすべきところだけど、とてもそんな気になれない。

でも今の仮設での生活も結構気に入ってるの。時折隣から足音やテレビの音が聞こえて、「あ~今日も頑張って生活してみえるんだな」って励まされたり安心できるの。人の気配が感じれらることが生きる力になっている気がします。だからもうしばらくここに居られたらなぁ、なんて贅沢なことを思ってしまいます。

●「狭い部屋で要介護の親との2世帯同居はもう限界!」
(50代女性/応急仮設住宅)
震災後、両親は親族の家に預けていました。家の修繕が終わるまでは落ち着く場所にいてもらった方がいいと思って。私も仕事があるし、何より仮設住宅が狭いから、介護用ベッドを置いたら移動もままならない状況なんです。でも、どうしても珠洲に帰りたいということで先日仮設に迎い入れました。結果は予測していた通り、生活時間の違いからお互い気を使いすぎて精神的に参ってしまいつつあります。物が多いし躓いたりしたら危ない。このままだと、どんどん体調が悪化しそうで限界です。

⇒深刻な健康被害のリスクが高いと判断し、市は退去予定者の空き室を2世帯でシェアできるようを検討中。

●「この家を息子に残すために1円でも無駄に使いたくない」
(足の悪い80代女性・一人暮らし/一部損壊)
うちは明治時代からの旧家で、もう築100年以上経ちます。今回の地震でも、増築したところばかり壊れて、伝統工法で木と木を組んで建てた部分はほとんど無傷。私は嫁に来てこの家で苦労しながら子どもを育てたの。姑さんが本当に厳しい人で、毎日畳を上げて床板を磨けって。妊娠してても休めなかった。だから今でもピカピカでしょ?(とても広いお部屋ですねというと)そうでしょ?でも私は足が悪くて今はつかまるものがないと立ち上がれないから、畳の部屋ではお尻でいざって移動しているの。

給湯器が壊れて台所とお風呂が水漏れしてる。お水がもったいない。無駄にしたくないから使うたびに玄関にある止水栓を開け閉めしてる。(玄関までの距離や段差による転倒、冬場の雪の心配などをお伝えすると)私は大丈夫。何とか我慢できる。だって業者に聞いたら10万円もかかるっていうの。それならこの家を息子に残すための修理代に充てたい。そのために1円だって無駄にしたくない。

⇒市「生活サポート部会」にて、ご家族に冬場の転倒の危険性をお伝えしたところ理解を得られ、水漏れの修繕・給湯器の設置につながった。

●「早く奥さんの元に行きたい」
(70代男性・ひとり暮らし/一部損壊)
地震の前に奥さん亡くして、それから毎日酒を飲んでる。今日も朝からずっと。俺達には子どもがいなかったから出かけるにもいつも奥さんと一緒だったんだよ。今度1周忌やるんだけど、親戚20人ぐらいよんで盛大にやろうと思ってね。その後この家も甥に託そうって考えてる。そこいら中ひび割れとか壁が落ちている場所もあるけど、もうどうでもいい。今はさびしくてさびしくて仕方ないんだよ(泣きながら)。早く奥さんのところに行きたい。毎日そればっかり考えてる。

●「風呂が壊れて入れない」
(70代男性・一人暮らし/準半壊)
※吃音による言葉の不鮮明さで周囲とのコミュニケーションに苦労されている様子。

この間市役所に行ったけど、「風呂まで直せない」と言われた。無料入浴券をもらったけどあまり使ってない。だから風呂にも入ってない(おそらく準半壊に適用される応急修理制度の金額内では難しいからではないかと推測)。母屋の被害がひどいから解体して欲しいって言ったけどやっぱり「あなたは適用外だ」の一点ばり(公費解体は半壊以上が対象のため)。だんだん腹が立ってきた。(被災者生活再建支援金の手続きは済みましたか?と尋ねると)「そんなの全然分からん」。(市に連絡し既に申請済みであったことを確認。ご本に伝えると)「何が何だか全くわからん」。家の床が傷んでたから自力で板を張り直してる。(キッチンから腐敗臭、地震当時のままと思われる部屋あり)

●「裏の畑の雑草が気になって近所に迷惑かけないか不安」
(70代男性・母親と二人暮らし/罹災証明書未申請)
※若いころに精神疾患があると診断。言語障害あり。障害者手帳申請なし、母親の介護保険利用なし、近所との交流はほとんどなし。

地震の後から母親の具合が悪い。買い物や食事の世話は自分がやってる。若いころに精神の病気と言われて、今も病院に通ってる。風呂と廊下は業者に頼んで直した。でも裏の畑の雑草が気になる。あれが伸びてきてから運が悪くなった。(何度もつぶやく)土蔵も壊れてるので解体したい。でもきっと大工さんも忙しくてできないだろう。シルバーさんに頼みたいけどみんな忙しいだろうから無理だと思う。(罹災証明書の申請について訊ねると)知らん、そんなのやっとらん。(支援内容を説明すると)申請したい。

⇒市「生活サポート部会」で、シルバー人材派遣センターに問い合わせ草刈りの段取り・作業実施。母親の対応は後日地域包括支援センターが訪問。罹災証明書の申請の伴走支援を行い手続きが完了した。(現在母親は入院中、障害者手帳申請はご本人拒否)

 


★9月の派遣を終えて(RSYスタッフ・稲垣感想)


一ヶ月ぶりの珠洲市は稲穂がたわわに実り、震災を忘れさせそうなのどかな空気だった。黒瓦に似合わない青いビニールシートは探さないと見つからず前回まで多くの職人さんが屋根に登ったり足場を組んだりしていた街は静かで落ち着きを取り戻していた。

被災したお宅を訪問すると震災直後の悲壮感は薄れ今の状態を受け入れ不自由ながら、「これが普段の生活」と自分に言い聞かせ納得しながら懸命に暮らす姿が印象的だった。

風呂ができた、新しい家の建設が始まった、親戚を一同呼んで法事をすることになった、といった明るい話題もあれば救急搬送され入院した、水道が漏れる、ボイラーが壊れっぱなし、敷地の草が刈れない、足が悪くなり移動ができないなど今も続く不自由な生活も見えた。

その中で他人に感謝しながら迷惑をかけまいと懸命に暮らしている姿を見て力強さを感じたが、蓄積された疲労も感じとれた。

迷惑をかけたくないとの思いから埋もれている生活の不自由を厳しい冬が来る前に炙り出し一つでも多く改善することが急ぎの課題だと感じた。多くの方とお話しして、あっという間に終わった派遣だった。

★震災から半年を迎えて(RSY常務理事・浦野感想)

震災から半年が経ち、生活再建の見通しに早くも格差が生じつつあります。

8050ならぬ9070世帯、高齢者または精神・知的障がい者世帯等は、生活課題の中でもご本人の考える優先順位と、心身の健康を守るために早期対応しなければならない事柄が必ずしも一致しておらず、状況の進展がなかなか見られないケースもありました。

その背景には、
・「家族に迷惑はかけられない」という遠慮や気兼ね
・必要な情報がご本人が理解できる形で届いていない(もらえるお金、必要な手続き、申請期限などがあることすら知らない)
・決断しなければならないことが多すぎて頭も身体もついていかない
・震災後の心身の健康状態の悪化
・公的支援制度の適用以上にかかる費用の捻出ができない
・決断に至るまでの複数の選択肢を、自らうまく見いだせていない

など様々あるように思いました。
もともと抱えていた生活課題や孤独感が、再建の歩みを一層鈍らせ、深刻化しているにも関わらず、周囲やご本人が気づききれていないという状況もあるのかも知れません。

これらは、珠洲だけの話でなく、どこの被災地でも共通して起こっている課題であると感じました。珠洲市はもともとNPOが少なく、限られた地域資源の中で一つひとつの深刻な課題に誰がどう向き合えばよいのか、私達も含めそれぞれの立場から思考錯誤が続いています。

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>

RSY石川県珠洲市への支援について(第9-1報)

みなさま

RSY事務局です。
5月5日に能登半島地方で発生した石川県珠洲市の地震から半年が経ちました。
市は災害発生当初から「生活サポートチーム」を立ち上げ、個別ケースへの対応や罹災証明書の伴走支援、仮設住宅の入居サポートなどにあたっています。また、災害ボランティアセンターは7月15日で閉所となりましたが、以降は珠洲市社会福祉協議会の通常のボランティアセンターに業務を移行しながら、引き続き被災された方の相談に応じており、10月より市から委託を受け、「地域ささえ愛センター(仮称)」の立ち上げ準備に入りました。
RSYは7月~10月にかけても、市健康増進センターや市社会福祉協議会と連携しスタッフ・ボランティア派遣を継続しています。
以下、RSY浦野・稲垣からの報告です。
尚、今回の9-1報の続編9-2報は下記よりご覧下さい。
★RSY今を伝えるブログ
 ※私たちの活動は、
日本財団「令和5年能登地方地震および6・7月の大雨被害に関わる支援活動」助成からのご協力を頂き実施しています。

1.現在の珠洲市の状況

★家屋被害(8月31日現在)

全壊39、大規模半壊18、中規模半壊79、半壊169、準半壊580、一部損壊1,939

計2,851(5,848世帯中48.7%)

★仮設住宅

応急仮設住宅16世帯(3か所)、借上げ型仮設住宅8世帯、合計51名が入居

2.各種支援制度について

国が定める従来の支援制度では、半壊以下世帯への「被災者生活再建支援給付金」の配布は適用外とされていますが、珠洲市の独自政策によって、被災した全ての世帯へ基礎支援金が支給されています。全壊世帯の場合、最大で600万円が支給されることになります。これに県と市から分配される義援金が加わる見込みです。

しかし一方で、超高齢化地域の被災による弊害も散見されています。珠洲市の高齢化率は約52%。各種申請手続きの煩雑さや身近に頼れる家族や知り合いがいないなどの理由で、申請に遅れが見られています。現在給付金の申請率は70%程度にとどまり、応急修理制度の申請率も対象世帯(解体世帯含む)に対し約50%程度となっています。制度ごとに申請期限も定められていることから、申請までの連続性のある丁寧な伴走支援が求められています。

公費解体「半壊」家屋等は国の支援対象外のため、珠洲市が独自に支援

応急修理制度:【費用の限度額】(日常生活に最低限必要な部分に対して)
・ 全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊の場合 : 706,000円以内
準半壊の場合 : 343,000円以内(準半壊以下は国の支援対象外のため、珠洲市が独自に支援)
※費用は市から修理業者に直接支払います。
※限度額を超える部分は、自己負担となります。

3.RSYの活動

(1)今後の生活再建を考える無料ミニ相談会の運営サポート

被害が最も集中した正院区長会が主催で、7月17日(月・祝)に『珠洲市復興応援企画いっぷくせん会(かい)ね!』が開催されました。企画では、地区の食生活改善委員による食事の提供や、地元企業・ライオンズクラブなどによるお楽しみ縁日、災害看護研究所によるカフェ(RSYもサポート)、足湯ボランティアや親子向けの手作りワークショップも併設され、100名を超す方々が久しぶりに集い、情報交換や近況報告に花を咲かせていました。

RSYは同企画に併設された相談会の企画・運営をサポート。地域住民約50名が参加され、徳島県弁護士会の堀井先生による公的支援制度の分かりやすい解説に加え、建物修復支援ネットワークの長谷川さんより家屋保全の方法に関する情報提供を頂きました。その後、引き続き行われた行政の各種申請手続きや自宅の修繕、ボランティア依頼、公的支援制度や被災者向け有志などの個別相談ブースでは、約20名の方が利用され、行政や専門家に日ごろの悩みをゆっくりと相談されていました。

家屋保全に関する相談ブースには、RSY会員の(株)FPコーポレーション様からWさんを派遣頂き、被災家屋の修繕に関する個別対応に当たって頂きました。

(2)応急仮設住宅の個別訪問と生活環境改善

珠洲市には16戸の応急仮設住宅が建設されました。仮設住宅は3か所に分散し、1か所が小規模のため、集会場や談話室の設置はありません。初めての仮設暮らしを迎え、家電や家具の調達、収納スペースの確保、福祉ニーズ世帯の段差解消・手すり設置などの住宅改修、仮設住宅が建設された地域と入居された方、入居された方々同士の新たなつながり作りも課題となっています。

RSYはこれまでの被災地でも好評だった収納棚の無料取り付けを通じて、入居された方の生活課題の把握や、ご近所同士の顔合わせのきっかけづくりをお手伝いしました。棚の設置や材料提供は、地元の三崎地区にある新出製材所さんにご協力頂きました。これを機につながった方々との個別訪問を今も継続しています。

(3)地域ささえ愛センター(仮称)の立ち上げ・運営サポート

珠洲市社会福祉協議会は、10月1日より市から「地域ささえ愛センター(仮称)」を受託し、石川県精神保健福祉協会と相談支援専門員協会らと共に、仮設住宅や在宅避難者の見守りや個別支援、サロン活動等の地域支援を行うことが決まりました。RSY浦野は、以前から気になる世帯を対象にした「個別ケース会議」の運営サポートにも関わっていたことから、市社協からご依頼頂き、今後はアドバイザーとして継続的にセンター立ち上げや運営サポートに関わらせて頂くことになりました。

現在は、「生活サポート部会」や災害ボランティアセンター、技術系NPOから寄せられたのべ1,638件の個別訪問記録をもとに、継続的な支援が必要となる方々の絞り込みを行っており、11月より支援員による対象者への再訪問をスタートさせるべく準備を進めています。

(4)個別困難事例へのアプローチ

「地域ささえ愛センター(仮称)」立ち上げまでのフォローとして、市の「生活サポート部会」で把握する要継続見守り世帯および、対応の判断が難しいケースへの個別訪問、伴走支援をお手伝いしています。主には、行政や社協も普段からコンタクトが取りずらく福祉サービスも利用していない精神障がい者世帯、水漏れや給湯器の破損等の修繕が進まない、気持ちの落ち込みや心身の機能の低下、寂しさからアルコール依存が心配される、生活再建支援金や義援金の手続きがスムーズに進んでいないと思われるひとり暮らし高齢者または高齢者世帯など。その時々の困りごとを自ら判断・発信しにくく、こちらから訪ねて行かなければ対応が滞りがちな世帯に対し、きめ細かくサポートできるよう市の関係部局や市社協らと協議を重ねています。

4.これまでの派遣実績

・第1陣:5月7日(日)~5月11日(木)/浦野・松井(RSY)

・第2陣:5月15日(月)~5月19日(金)/浦野・栗田(16日のみ)・稲垣(RSY)

・第3陣:5月23日(月)~26日(金)/浦野・林・松井・稲垣(RSY)、椿・山口(なごや防災ボラネット)

・第4陣:5月29日(月)~6月1日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿・岡田(なごや防災ボラネット)

・第5陣:6月5日(月)~8日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿・伊東(なごや防災ボラネット)

・第6陣:6月18日(日)~20日(火)/浦野・稲垣(RSY)、種村(震つな)

・第7陣:6月27日(火)~29日(木)/浦野・松井(RSY)

・第8陣:7月10日(月)~12日(水)/浦野・稲垣(RSY)

・第9陣:7月16日(日)~18日(水)/栗田・浦野・稲垣(RSY)、椿・伊藤(なごや防災ボラネット)

・第10陣:7月25日(火)~27日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿(なごや防災ボラネット)

・第11陣:9月19日(火)~22日(金)/浦野・稲垣(RSY)

・第12陣:10月23日(月)~25日(水)/浦野・稲垣(RSY)

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>

 

RSY・愛知県の大雨への対応(第11報)

みなさま
RSY事務局です。RSYは台風2号の影響で床上浸水の被害を受けた豊橋市在住Mさん宅への個別対応を継続してきました。以下、被災当初から支援に関わって頂いていた「おせっかい隊長」のRSYボランティア・Kさんと、代表理事・栗田と事務局長・浜田が8月2日に訪問した時の報告です。

※私たちの活動は、日本財団「令和5年能登地方地震および6・7月の大雨被害に関わる支援活動」助成のご協力を頂いています。

お宅に到着した時には、Mさんは私達を待ち構えていて下さり、おせっかい隊隊長のKさんから「だいぶ片付け進んだね」と声をかけられると、「あんたらが来るっていうから、やっとった」と即答されました。初めてお訪ねした時の硬い表情からは想像できないほど、軽妙なやりとりです。

その後は、日陰でゆっくりとお昼を食べながら雑談しました。「役場に被害の申請を出したら更に用紙が来て、細かい損害額を調べて書けと言われた」など、まだまだ生活再建に向けて、大変な作業が諸々続いているようです。

しかし、過去の災害で、家の片づけをしている最中に、家主も忘れかけていたへそくりや骨董品が出てきた話などをすると、声を出して笑われるなど、表情にハリがみられ、今回の訪問が、Mさんにとって気分転換の場になっていたのかなと感じました。

話の中で、Mさんから、一時的な住まいとして市から提供されていた市営住宅を引き払う時に、不要になる家財の一部を引き取りに来てほしいという要望がありました。しかし、引っ越し作業そのものは「手伝いは要らん」とのこと。

他人の手を借りずに、ご自分のペースで何とか頑張って進めて行かれようとする姿は一環していています。しかし、「そうは言っても、なにか手伝いが必要になったら声をかけてください。また、いつでも来ますから」という私たちの声掛けには、力強くとうなずいてくださいました。

Mさん宅の訪問を終えて帰る道中、「どうやってMさんの気持ちをほぐしつつ片づけを進めていくとよいかな、いつもと考える癖ができちゃって。。これで一区切りかと思うとなんだか気が抜けちゃった。」とKさん。

Kさんのつぶやきは、この2カ月間、お互いが被災者とボランティアという立場を超えて、とことん向き合ったからこそ生まれた感情や信頼関係を表しているように感じました。RSYは今回の事例からこのような新たな学びを得て、今後も互いに気に掛け合う「おせっかい」を継続していきます。

 

RSY・愛知県の大雨への対応(第10報)

みなさま
RSY事務局です。RSYは台風2号の影響で浸水被害を受けた豊橋市への個別支援を継続してきました。先の水害で、ささやかながら、生活再建に関する情報提供や物資支援を行った「ふすまに屋ベーカリー」さんより、お礼のお手紙を頂いたので皆様にご紹介します。

6月22日にお店を再開し、再建に向けて一歩ずつ歩みを進めていらっしゃるそうです。低糖質で、糖尿病など持病のある方も楽しめる、味わい深いこだわりのパン。ぜひ皆さんも一度足をお運びください。

※私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成のご協力を頂いています。

●6月4日直後の様子(第2報より)

1年程前にオープンしたばかりだったから本当にショック。義父から新築するならかさ上げした方がよいと言われ、道路から1m以上かさ上げしたのに、店の入り口から40㎝も水が上がってきました。母屋はギリギリ床下浸水。トータルで140㎝ぐらいの深さになってるかな。店舗の中にも水が入って、オーブンや室外機、家財道具も被災しました。オーブンは今のところ何とか動くようなのでよかった。でも飲食店だから、どの程度の消毒をすればよいか分からなくて、とりあえず次亜塩素酸ナトリウムで作った消毒液を床に流して乾かしています。前の道に水没した車が何台か放置されていてとても困っています。ここでは人も亡くなっているし、これが渋滞の原因になっていて危険なんです。でも持ち主の確認がないと勝手に動かせないみたいで、市に連絡しても「手順がある」と。1日も早く営業を再開させたくてどうしたらよいか市にも相談したいのだけど、こちらから連絡しなければ何も動いてもらえない。うちの近くの人の方がもっとひどく浸水しているようなので、見に行ってあげて欲しいです。

※RSYからは、店主のSさんへ災害後の対応の方法や、その他支援に関する情報提供、市や市社会福祉協議会との情報共有を行いました。その後、Sさんからご紹介頂いたMさん宅への個別支援につながりました。

●現在の様子

(お手紙より)

大雨の時はどうしようかと途方に暮れていたところに、お声がけ頂きありがとうございました。あのような経験はなく、耳にしていたくらいだったので、どのように片づけをし復旧していくのかというアドバイスはとても助かりました。そして、箱一杯の生活用品や飲み物、お弁当などすごく、すごく感謝しております。心ばかりではありますが、お店のパンを包ませて頂きました。家族もお店もいつもの生活を取り戻しつつあります。転校だけはどうしようもできませんが、強く生きて行こうと思います。

(その後の電話での聞き取りより)

あれからもうすぐ約2か月。床下はシロアリ対策の業者さん待ちでもう一歩というところです。オーブンなどの機材は、あと1㎝深く浸水していたら保険適用の対象外になっていたことが分かり、今後の水害を見据えて見直しを図るよい機会になりました。ただ、自転車やこまごまとした生活用品は全部買い替えなければならないので、やはり出費はかさみます。また、家人にも今になって疲れが見られています。物事を一気に進めてきたから無理もないかも知れません。でも営業は再開できたので、ぜひ多くの方々にご来店頂きたいです!

写真:店舗インスタグラムより

 

●おいしいパンを買って被災地を応援しよう!(店舗情報)

ふすまに屋ベーカリー(営業時間:11:00~18:00/定休日はインスタグラムで告知)

〒440-0001 豊橋市下条西町字杉本56-1

TEL.090-3534-7778

ウェブサイト https://fusumaniya.jimdofree.com/

インスタグラム https://www.instagram.com/fusumaniya/

RSY石川県珠洲市への支援について(第8報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。各地で災害が同時多発しています。

RSYはこれまで、台風2号水害による豊橋市への個別支援と並んで、5月5日に震度6強の揺れを観測した奥能登地震の被災地・石川県珠洲市に向けてスタッフ・ボランティアの派遣も継続しています。
今回は、仮設住宅を中心に、震災から2か月以上が経った住民の方々の心情や生活状況について、常務理事・浦野が報告します。
※私たちの活動は、
日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成、赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」助成からのご協力を頂き実施しています。

 


<RSYの活動>

1.活動内容

仮設住宅入所世帯の個別訪問・環境整備

珠洲市は6月15日より建設型仮設住宅の入居を開始しました。住宅は、一番被害の大きかった正院町に16戸建設され3か所に分散しています。小規模のため集会場や談話室の設置はありません。現在は13世帯が入居しており、中にはひとり暮らし高齢者、障がい者世帯、乳幼児世帯もあります。

珠洲市の仮設住宅は建設型仮設住宅のみですが、冬場の降雪を考慮し、風除室や2重サッシ、室外機や換気口の上部設置、アスファルトによる砂利道の改善、ベランダの軒の設置、浴室の追い炊き機能など、防音対策も含めこれまでの被災地では後付けで改善されてきたものがあらかじめ装備されていました。

しかし、部屋が狭く収納が少ない、玄関前の階段の段差が大きく一部手すりがない、トイレや浴室に行くまでの動線に段差があり危険、浴槽が深くまたげないなどの課題は変わっていませんでした。

一部の住宅では、最初から手すりがついているケースもあったが全てではない。

過去の被災地の事例を思い返すと、入居して間もない頃は「安心して眠れる」「ようやくホッと一息つけた」という声をよく耳にするものの、数週間も経つと、これらの様々な不具合に直面し戸惑われる方が少なくありませんでした。

また、仮設内や周辺地域との新しい人間関係の構築がうまくいかず寂しさや心の負担が増したり、生活環境の急激な変化によって外出や社会参加の機会が減り、これが引き金となって、心身機能の低下や引きこもり等の生活不活発病、アルコール依存症等が深刻な課題となっていました。

そこでRSYは、市や市社会福祉協議会らとこれらの事例を共有すると共に、地元三崎町にある『新出製材所』さんと協働して、生活状況の把握や改善、住民同士の交流のきっかけづくりを兼ねた収納棚の取り付けをお手伝いさせて頂くことにしました。製材所さんには、木材の提供と切り出し、棚の取り付けをサポート頂いています。

ボランティアスタッフの稲垣さんは新出さんを師匠と仰ぎ、棚の作り方をご教授頂きました。

製材所の2代目である新出さんは、生まれも育ちも珠洲。「こんな時だからこそ、地域の人たちの笑顔のためにできることがあれば何でもしたい」と協力を申し出て下さいました。一緒に訪問すると知り合いも多かったようで、住民の方の表情が和らぎ、場も和みます。こうしたリラックスムードの中で、ポツリとこぼれ出る心情や困りごとを記録し、従来の福祉サービスや今後の見守りにつなげられるよう関係者で協議を重ねています。

特に要望が多かったのが洗濯機上部の棚。なるべくものを床に置かず上の空間を有効活動したい。見た目もよく、落下しないようにという新出さんの細心の配慮で設置。

トイレにはツッパリ棚を。

鴨居には物掛けフックを設置して、カバンやハンガーがかけられるように。

訪問時には市社協職員にも同行頂き、サロン等を定期的に開催して集いの機会を増やしたり、個別訪問を重ねて日々の細かい状況の変化にいち早く気づけるよう、市と共に体制づくりに取り組んでいます。RSYもこれらの動きに参画し、どんな時でも人の関わりが絶たれないコミュニティづくりに向けてできることを考えています。

<住民の声>

★家は全壊。息子が「とにかく全部捨てろ」っていうから、今にして思えばまだ使えた大切な物も捨てざるを得なかった。一つひとつ泣きながら処分したの。ここに持ってきてるのは最小限。でもここでも新しいものを増やすなとも言われてて。どうやって家電を配置したらいいのか全然わからなくて困っていたの。私の家は正院町にあったんだけど、ここのお隣さんとは1回挨拶しただけでほとんど面識がないの。今はインターネットで好きな番組を見るのが唯一の楽しみ。でもネットのつなぎ方やパソコンを置く場所がなくて困ってて。立派な棚を設置してもらって嬉しい!(70代・女性)

※棚の取り付けと共に、社協さんがネット環境の整備、新出製材所さんがパソコンテーブルの寄付を下さいました。また、棚の取り付けが、お隣の家を行き来するきっかけにもなり、収納スペースについての悩みや工夫を共有する姿が印象的でした。

お互いのお部屋を行き来してレイアウトづくりの参考に。

★週末に、一時的に親族の家に避難していた義父と義母が戻ってくるの。義父は介護が必要で、普段は義母が入浴介助をしているけど、浴室が狭いからシャワーチェアの出し入れや管理ができるか心配。入口の階段に手すりがあると助かるんだけど…。ここは狭いから、家が建つまで親族のところにいた方がいいと思ってたけど、どうしても戻りたいって。やっぱり遠慮が強かったみたい。ここで4人で生活するなんていったいどうなるのかしら。今後のことは生活しながら考えていくしかない。何とかなると思うしかない。(60代・女性)

★罹災証明書は結果に納得がいかなかったから再申請中。自宅を解体したら、小ぶりの家を建てようと思っています。少しでも安く建てられる家がないかメーカーとも相談して探したい。これからを考えると不安は尽きないけれど、毎日「今日はこれができた!」と、今はとにかく1日ずつできることを考えながら、目の前にあることに集中しようと自分に言い聞かせてます。(50代・女性)

★数十年前に脳梗塞になってマヒがあるんだ。でも、震災前はよく外出していたんだよ。震災後に体調を崩しちゃって、今はほとんど外に出ていない。でもたまに友達が訪ねてきてくれるよ。風除室についている手すりが低くて使いずらい。トイレ・浴室に続く通路にある段差は、行くときは手すりで上がれるけど、戻る時はマヒ側に手すりがないから安定が悪いね。風呂は深くて入れないからシャワーだけ使ってるよ。夏場はいいけど冬場は辛いかもな。今はあんまり調子が良くないから、リハビリとかは無理かな。(80代・男性)

右側の手足にマヒがあるり、適切な位置に手すりが無いため段差を降りる時に後ろ向きにならざるを得ない。

★震災直後は生まれて間もない子どもを連れて近隣市町にある実家にしばらくいました。仮設ができてから戻ってきたけど、早々に子どもが熱をだしちゃって。感染症とかじゃなかったから本当によかったとホッとしました。子どもも慣れない環境でストレスがたまっていたのかも。車があるから、実家の行き来や買い物など自由にうごけるので今のところ不便はない。でも、物が多いので収納は困ってる。押入れは大きくて便利なように見えるけど、どうやって物を配置していいか悩む。(20代・女性)


2.これまでの派遣実績

・第1陣:5月7日(日)~5月11日(木)/浦野・松井(RSY)

・第2陣:5月15日(月)~5月19日(金)/浦野・栗田(16日のみ)・稲垣(RSY)

・第3陣:5月23日(月)~26日(金)/浦野・林・松井・稲垣(RSY)、椿・山口(なごや防災ボラネット)

・第4陣:5月29日(月)~6月1日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿・岡田(なごや防災ボラネット)

・第5陣:6月5日(月)~8日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿・伊東(なごや防災ボラネット)

・第6陣:6月18日(日)~20日(火)/浦野・稲垣(RSY)、種村(震つな)

・第7陣:6月27日(火)~29日(木)/浦野・松井(RSY)

・第8陣:7月10日(月)~12日(水)/浦野・稲垣(RSY)

・第9陣:7月16日(日)~18日(水)/栗田・浦野・稲垣(RSY)、椿・伊藤(なごや防災ボラネット)

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026

RSY・愛知県の大雨への対応(第9報)

みなさま
RSY事務局です。RSYは台風2号の影響で床上浸水の被害を受けた豊橋市在住Mさん宅への個別対応を継続してきました。以下、RSY宇野(コープあいちより出向中)より7月19日の活動報告です。

※私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成のご協力を頂いています。


■Mさん宅訪問
RSYボランティアの女性3人の他に、私(宇野)を含めた4人で活動しました。
先週のところで、大きな作業は概ね終了し、今回は、Mさんの希望で仏壇の清掃作業の他、これまでやれなかった、気になる部分の清掃を行う予定でした。
Mさん宅に到着後、さっそく当日の作業の流れをご相談したところ、仏壇の清掃の他に、洋間と台所の床下の清掃と消毒を頼みたいと申し出がありました。
この2か所は、元々板の間で、傷んだ床板をはがして、コンパネ(厚めの合板)を貼り、当面の対処をしていた部屋です。

Mさんにもご協力いただき、コンパネを一旦外して、床下の清掃と消毒を行いました。
また、当初予定していた仏壇の清掃の他、Mさんがずっと気にかけていた箪笥の清掃も行いました。

午後の作業も順調にすすみ、「おせっかい隊」としての一連の支援はこの日で終了となりました。ずっとほぼ同じメンバーで訪問してきたこともあり、別れ際には少し寂しそうな顔をされながらも「ありがとう」という言葉を頂き、この日は特に心にしみます。Mさんはずっと手を振って、私たちを見送って下さいました。

Mさん宅には後日改めて、代表理事・栗田とお手伝いに関わったボランティアリーダーさんが再訪問する予定です。


■Kさん宅訪問
先週に引き続き、「おせっかい隊」の1人が、地元の支援者Nさんと一緒に別の地域で床上浸水の被害にあったKさん宅を訪問しました。看護士資格を持ち、RSY看護チームのメンバーでもある彼女は、前日に体調を崩したKさんを気遣いながら、衣服とアルバムを中心に整理しました。後で困らないようにと、収納場所ひとつひとつを丁寧に確認しながらの作業でした。衣装ケースには付箋をつけて、何が入っているか一目瞭然です。Kさんには、今後も地元支援者のNさんがお手伝いを継続する予定です。


■報告者コメント(RSYスタッフ:コープあいちより出向中)
「おせっかい隊」に同行して・・・・
「おせっかい」という言葉は一般的には、「いらぬお世話」「ありがた迷惑」という意味で使われます。「相手の気持ちに寄り添う」ということでは、最初は、突然押しかけて、ちょっとご迷惑だったのかもしれません。でも、最後に笑顔で言って下さったMさんの「ありがとう」の言葉に「寄り添うこと」の本当の意味を考えさせられました。RSYのベテランボランティアの皆さんと共に支援に携わった、この数週間は、得難い経験の連続でした。

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026

 

富山県高岡市にボランティア活動資器材を搬出しました!

みなさま

RSY事務局です。

この度の水害で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

15日より災害ボランティアセンターを立ち上げた富山県高岡市社会福祉協議会からの要請を受け、昨日午後、ボランティア活動資器材を搬出しました。急な呼びかけにも関わらず、作業には7名のボランティアさんたちが駆け付けて下さり迅速な搬出に繋げることができました。本当にありがとうございました。資器材は本日午後現地に届く予定です。

また、代表理事・栗田と常務理事・浦野は、昨日先だって高岡市社協を訪問しました。飲料水や氷あめと共に、水害後の家屋対応の方法や、公的支援制度などを分かりやすくまとめた冊子「水害にあったときに」をお届けし、被災された方々へ活用して頂けるようお話しました。

市内では特に、成美(せいび)、福岡、守山地区で被災が見られ、災害ボランティアセンターがオープンしてから2日間で17件のニーズに対し、地元を中心に約90名のボランティアが活動されました。被害は小規模であるものの点在し局所的です。各地の事例を紹介しつつ、地縁組織や直接支援にあたるケアマネなどの福祉専門職などとも連携し、個別訪問を繰り返しながらニーズの取りこぼしの無いように取り組むことの必要性を確認しました。

尚、栗田・浦野は、5月に震度6強の地震のあった珠洲市での今後の生活再建に関する相談会運営サポートのため、その後珠洲市へ向かっています。

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026

 

RSY・愛知県の大雨への対応(第7報)

みなさま

RSY事務局です。RSYは台風2号の影響で床上浸水の被害を受けた豊橋市在住Mさん宅への個別対応を継続しています。以下、RSY宇野(コープあいちより出向中)より7月5日の活動報告です。

※私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成のご協力を頂いています。

Mさん宅訪問

もはや常連となった「おせっかい隊」こと、RSY女性ボランティア3人の他に、今回初参加の男性(藤田医科大学准教授)含めた5人で活動しました。

到着早々、Mさんから「今日の作業のための準備が大変だった」とお聞きし、一同どうしたんだろうと思いましたが、その意味は、すぐに解りました。

今回作業内容を事前に連絡しておいた奥の6畳間と8畳間の床板の上の荷物が綺麗に床の間内に整理されており、床板の上はスッキリ。すぐに作業ができる状態になっていました。

また、洗浄後、元通りにもどせるようにと床板に番号も書いてあります。さらに、床板洗浄・消毒と根太(床板を支える木材)の清掃・消毒作業のためにと、たわしとブラシが2個ずつ用意されていました。

 

全員で床板を外に出してから、床板洗浄の屋外作業と根太等の清掃・消毒の屋内作業の2班に別れて早速活動開始です。

■屋外作業(床板の洗浄・消毒)

床板は、これもMさん所有の高圧洗浄機で汚れを落とした後、もう一度丁寧にたわしで擦って、仕上げ洗い。その後消毒し、外に立てかけて乾燥させました。この日は、曇天で風もあり、絶好の条件だとMさんもうれしそうです。

 

■屋内作業(根太等のブラシ擦りと消毒)

根太等の汚れや埃をブラシで擦り取り、その後、根太、土台、床の消毒をしました。作業中、Mさんからは「消毒液はどうやってつくるの?」「濃度が大事なんだね」などと、声がかかります。とても熱心に消毒作業の様子を見守っていました。

Mさんの事前準備のおかげで、この日の作業はとてもスムーズにすすみました。

作業がはかどることで、話も弾み、いつもの「お弁当タイム」では、息子さんとのやり取りや、家の修繕のことなど、今後の暮らし再建の計画についても前向きな話が聞けました。

最後は、Mさんのご要望で、草取りと垣根の刈り枝の処理をして、この日の作業は終了です。次週も支援に入ることを確認して帰路につきました。

■報告者コメント(RSYスタッフ:コープあいちより出向中)

「おせっかい隊」のメンバーとしてMさん宅に伺うのは、3回目でした。家の状態が良くなることで、被災者さんの笑顔が少しずつ増える様子を目の当たりにし、レスキューストックヤードの「寄り添う支援」を肌で感じています。洗浄・消毒作業も、あと2部屋で完了です。来週も天気に恵まれるといいな。

 

RSY・愛知県の大雨への対応(第5報)

みなさま

RSY事務局です。RSYは台風2号の影響で床上浸水の被害を受けた豊橋市在住Mさん宅への個別対応を継続しています。以下、RSY事務局長・浜田より6月21日の活動報告です。

※私たちの活動は、日本財団「災害発生前後の初動期に関する支援活動」助成のご協力を頂いています。

Mさん宅訪問

着いてみたら、先週手つかずだった部屋の窓が開放されて、片づけが進んでいました。今回はタンス3棹と机1台が置かれたその部屋の片付けが中心でした。

下2段が水に浸かってしまったタンスや畳はとても重く、これを出す作業は、女性だけでは無理かと思っていたところへ、RSYと繋がりがあり、豊橋市在住の男性ボランティアさん2人が到着し、お昼前までに、すっかり運び出せました。

 

Mさんもカビや臭いが気になってきたせいでしょうか。これまで片づけることに躊躇されていた姿とはうって変わって、「畳と布団は、通りに近いところまで運んで」「これもほかって(=捨てて)」といった言葉が出てきました。片付けのスイッチが入った感じでした。

「今俺が見たからこの写真は、もういらん」「(亡くなった奥さんの服を見つけて)こんな所にあったのか」とひとつひとつ確かめ、思い出話をしながら、「何を捨てたか、知っておかんとなぁ」というMさんペースを尊重しながらの作業が続きます。

Mさんは翌日の雨を心配して、「外に出したものを室内へ戻して欲しい」と言われました。しかし、水害から既に2週間が経っていることもあり、畳をはがした床板がまだ濡れていて、カビや臭いも気になりました。本当は、一日も早く乾燥・消毒が必要な状況だったので、「ものはまだ戻さない方がいいですよ」と喉まで出かかったのですが、タンス下段の引き出しを自ら壊して、少しでも軽くして、運び易くしてくれた気持ちを想い、今回は何も言わずに運びました。

床下の対応については、随時お伝えはしているものの、ご自分の手順やペースがあり、一気には進みません。こちらも焦らず、しかし家の保全のためにできるだけ前に進めるよう一緒に思考錯誤しながら取り組んでいます。

 

息子さんのお部屋は随分片づけが進んでいました。夜勤明けの休みの日に片付けをしているとのことで、お二人の身体への負担が気がかりです。

帰りぎわに、「皆が帰ると寂しくなるな」とポツリと漏らされました。何よりの労いの言葉でした。

なお、岡崎市災害ボランティアセンターは、6月9日より、市社会福祉協議会の通常のボランティアセンターでの対応に切り替わったため、貸し出していた資機材もその役目を終え回収しました。

————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。

<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026