みなさま
いつもお世話になっております。RSY事務局です。
9月4日に名古屋市で発生した水害被害に対し、なごや災害ボランティア連絡会がニーズ把握・対応に務めています。
名古屋市社会福祉協議会に連絡窓口を設置。連絡会加盟団体へ有志を募り、1日10名~15名体制で活動を展開。昨日は、行政が把握していた被害エリアを中心に、周辺地域への個別訪問と、2000年東海豪雨水害や2008年8月末豪雨水害などで被害のあった地域周辺の状況確認を行いました。
ニーズ把握は、名古屋市社会福祉協議会より、各地区の区政協力委員長や民生委員らを通じて情報提供を求める他、9月4日中日新聞朝刊にて、ボランティア相談窓口開設のお知らせを掲載するなど、複数の方法で対応しています。
とにかく「どこに助けを求めたらよいのかわからなかった」「助けて欲しくても自分から言えなかった」「町内会に加盟しておらず、地域と繋がっていなかったので取りこぼされていた」という方々のいないよう、最善を尽くすことを合言葉に知恵を持ち寄り、活動に望んでいます。
以下、ボランティアが現場から見てきた住民の方々の様子を報告します。
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【9月7日活動報告】
・活動時間:9:00~17:00
・集合場所:名古屋市社会福祉協議会
・活動内容:特に被害が集中しており、被害の詳細がつかめていない名古屋市西区、中村区のニーズ調査と対応
・活動人数:のべ18名
・活動件数:1件
・新規ニーズ2件
〇西区の様子(報告者:RSY松永)
本日30件のお宅を訪問。そもそも西区は「雨が多いと冠水や浸水被害はしょっちゅうある」と住民が言うように平時以上の雨が降るだけで冠水や浸水被害で出てしまう地域で、被害が出ると考えられる場所は浸水危険箇所として西区避難所マップに掲載されています。
今回浸水被害のあった場所は、その浸水危険箇所付近での被害がほとんどでした。浸水被害が多くあることは住民周知のため、新しいお宅は道路から2、3段高く玄関を作り床を高く上げる等の工夫をしていましたが、玄関の低いお宅は道路から流れこんだ雨水で浸水したようです。
本日は、30件程訪問しましたが、2件新規ニーズが挙がりました。1件は、高齢女性独居のお宅で床上浸水被害。発災後、雨水を取る為家の中の至るところに新聞紙を敷いたようです。訪問時、防犯のため窓も締め切り、濡れた新聞紙や家具等そのまま放置してある状態で、家の中でかなりの湿気を感じました。「濡れた物を置いておくとカビ等が発生して衛生的に悪い。お一人で掃除するのも大変だと思うので、ボランティアがお手伝いしますよ」と話すと、「ボランティアが来てくれると助かる」と言って下さいました。
8日は、新規2件の活動(家具等の運び出しや清掃作業等)とニー
ズ調査を引続き行う予定です。〇中村区の様子(報告者:RSY浦野)
本日7件のお宅を訪問。事前に把握されていた床上浸水対象地域を中心に、市社協・名古屋なかむら災害ボランティアネットワーク会員らと巡回。浸水箇所は一つのエリアに集中していることはなく、1エリアに1~2件と細かく点在しているのが特徴的で、周辺住民からの口コミ情報を頼りにしつつ、ニーズのありそうなお宅を探すという方法をとった。
(70代・女性・床下浸水)
「夫と二人暮らし。夫は人口透析を受けており虚弱。二人とも要介護2。大雨の時には、車いすで避難所まで移動しようとするも、あっという間に道路が冠水しタイミングを逸した。水没した中を家の横の道を車が通る度に波が上がり、壁にぶつかり、自分たちも波をかぶってびちょびちょになった。過去2回の水害でも被害を受けていたため、前の家の方へ普段から『何かあったら避難させて』と申し合わせており、この日もしばらくお世話になったので助かった。床上浸水は免れたが、漂流物が流れてきたりと掃除が大変。また、古い家で雨漏りもあり、激しい雨で受け皿にしていた衣装ケース一杯に雨がたまり、10回ほど水を捨てた。もともと足が悪いが、疲れて痛みが出てきたので手伝って欲しい。部屋も濡れているが、今は夫が体調不良で病院に連れて行かなくてはならず、後回しになっている。部屋の方はもう腐ってもそのままでいい。」
⇒すぐにできる周辺清掃は即時対応し、市社協より担当ケアマネ等に情報提供の上、時期を見てボランティアが入るなどの対応に繋げて頂くよう要請。
(50代・女性・床上浸水)
「東海豪雨の時にも床上浸水を受けた。その際フローリングにしたので畳出しの作業はない。(しかし家の中には細々とした家財道具が散乱。片づけに時間がかかると思われる)床下をはがして乾かさなくてはならないのも分かっているが、お金もかかるので今回はこのままにせざるを得ない。せっかく来てもらって申し訳ないが、自分にしか分からないものが多いので、それをまず片づけてからでないとお願いしようにもできない。だからとりあえずぼちぼちやっていく。でも、仕事も持っているし、疲れてしまうと家のことができなくなるのも心配。」
⇒個々に作業のペースがあるため尊重しつつも、床下の処理をしないことでその後に起こる様々な不具合は予想される。(悪臭・湿気の堆積・カビ・床板の変形など)日を置いて再訪問するなど継続的な訪問を重ねつつ、介入のタイミングを待つことで対応。
(70代・男性・床下浸水)
「床下に大量の水が入り、部屋のフローリングの隙間から水が噴出してきた。カーペットは全て濡れ、布団や衣類もダメになった。今はカーペットをはがしてブルーシートを敷いて生活している。大家に修理を依頼しているが、時期の目途が立っておらず、どれだけの補償をしてくれるかもはっきりしない。今修理してもらわないと、次の雨でも絶対同じことが起こる。弁護士を通じて相談している」
(60代・女性・床下浸水)
「ここは水害常習地域だからね。もう3回目ともなると慣れたものよ。火事場の馬鹿力って言うけど、水が上がってきそうになった時、大事なものを2階に運ぼうっていうんで、一人で畳やソファーを上げたの。今度はそれを下すのが大変よ。お父さんを二人で下したけど疲れちゃって。私んとこはもう大丈夫だから、近所の〇〇さんのとこいってあげて」
住民の方々の話をきくと、雨の降りはじめから冠水までの速さ、内水氾濫による被害の特徴がよくつかめます。また、この地域は昔ながらの古い木造家屋も多く、集中豪雨の際は浸水だけではなく、雨漏りによる被害も複数出ていることが分かりました。このような状況は現場を丁寧に回り、住民の方々との対話の中でしか見えてきません。行政や地域だけでは対応しきれない個別のペースや事情も多くあるため、ボランティアの存在の大きさを改めて感じます。
【今後の対応について】
・9月8日(日)までは、なごや災害ボランティア連絡会加盟団内有志で対応。
・9月9日(月)以降も引き続き、名古屋市社会福祉協議会内に連絡窓口を設置し、各区・社協・ボランティアとの連携しつつニーズ対応に当たります。
(連絡先)
名古屋市社会福祉協議会ボランティアセンター
電話:052-911-3180
設置時間:午前9時~午後5時