RSY・令和3年8月豪雨水害への対応について(第13報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
RSYは昨年8月27日より、8月11日からの大雨で被災した佐賀県武雄市を中心に支援活動を継続しています。

1月~2月は、佐賀県内にも新型コロナウイルスの蔓延防止措置が発令され、現地の活動も縮小・中止が相次ぎました。しかし3月になって活動が再開したため、RSY浦野とボランティア3名で再び武雄市を訪問することができました。
今回は、長野市の皆さん(令和元年台風19号水害被災地)にも同行して頂き、ようやく久津具地区の皆さんとのリアル交流会も実現しました!
私たちは、これまでの活動を通じて、地元とよそ者が一緒に時間を紡ぎ出す「場」を積み重ねることの意義を改めて感じています。たまに行き来する立場だからこそ気づく小さな変化や、普段と違う顔ぶれが加わることで、日々の営みに、ちょっとした特別感を演出できる場面もあります。
地元カウンターパートとしてご協力頂いている、一般社団法人おもやい、NPO法人みつわ(武雄市久津具地区)、被災地支援チーム「OKBASE(オカベース)」の皆さんには、心から感謝申し上げます。このような地元の皆さんとの取り組みが、連続性を損なわない生活のサポートを可能にしてくれているのだと感じました。RSYは4月以降も引き続き、細く長く、この関係性を継続していければと思います。
以下報告です。
※この取り組みは、赤い羽根共同募金「ボラサポ・令和3年8月豪雨」、日本財団「令和3年8月豪雨」の助成金を頂いて実施しています。
—————————————————–
武雄市・久津具地区の皆さんとの交流
—————————————————–
★お弁当配布サポート
NPO法人みつわさんは、1月に続き3月10日も久津具地区64世帯へのお弁当の配布を行いました。RSYはこれに合わせて、桜茶と名古屋名物ういろうセットを春のお楽しみとしてお贈りしました。
セットには、手作りういろうのレシピや、ういろうこぼれ話、お家でできる健康体操など添えて、くすっと笑えるネタや、季節を感じてホッと一息ついて頂ける内容を心掛けました。地元区長さんや民生委員さんをはじめ、地区のボランティアさんの手によって、お弁当と一緒に各戸に届けて頂きました。
★地域共生カフェ運営サポート
1月22日に開催した「くつく・ながのオンライン交流会」を経て、3月20日(日)のカフェで、待ち焦がれていた直接交流を果たすことができました。
当日は、長野市災害ボランティア委員会のWさん、豊野区まちの縁側ぬくぬく亭のSさんをお招きし、これまでの久津具地区との関わりや、2019年水害の様子、現在取り組んでいる集いの場「まちの縁側ぬくぬく亭」の成り立ちや活動の様子を紹介。
「思いついた人が思いついたことをやれるごった煮のような場所」というSさんの言葉の通り、人がつながり、一人ひとりの存在が際立つ工夫が至るところに散りばめられていました。また、ぬくぬく亭で作られた手作り品を参考に、住民の方からは「くつくでも作ってみよう」という提案も。長野名物手作りおやき(野沢菜・あんこ)に舌鼓を打ちながら、お互いの近況を語り合う姿が印象的でした。
交流会の後、区長さんと地区を見下ろせる高台に移動。区長さんは、「この地区は水に浸かると孤立する。64世帯・189人中、高台の公民館やお寺に避難したのは50人だけ。これまで2階にいれば何とかなったからと家にとどまる人が多い。今後の災害の甚大化と高齢化が重なれば、2階にまで水がくる心配や、2階まで上がることができない高齢者も出てくるだろう。とにかく早めの避難行動をどう促すか。これが大きな課題」と切実な想いを話されました。
交流の様子は、地元のケーブルテレビのサイトからご覧いただけます。ぜひ!
★Cable One
久津具区地域共生カフェ 水害被災地を縁に交流
放送日 : 2022/03/23
<ながの・Sさん、Wさんの感想>
◆Sさんより
六角川の内水氾濫で2回被災した久津具地区を訪ねた。ネギ焼き交流した高齢女性の「2回も被災し何もする気が起きなくても、お腹は減る。食べて寝れば朝になる。人と話して、泣いて、笑っていれば明日に、明後日になる。そうして過ぎればいい。」と語る姿が印象に残っている。

自分が被災した時、泥片付け、情報把握、各種申請など、毎日を追われるように過ごした。間に合わない、取り残されると感じ、そうしなければ落ち着いていられなかった。無理に自分をあきらめさせて処分したものも多く、今になって少しの痛みがある。ゆっくり決めてもいいものは処分を急がず、話す、食べる、寝る、泣く、愚痴を言う等の時間をもっと取れば良かったと思う。

彼女が「でも私は元気だよ。」と言えるのは、自分のペースを知り、自分で考えて、自分で決めてきたからかもしれない。地域でも後悔の言葉を今になって耳にする。今更ではなく、今こそじっくり耳を傾けたいと思った。
◆Wさんより
令和元年台風19号で長野市は60年に1度と言われるほど、記録的な大雨で甚大な被害を受けました。千曲川の堤防が決壊し、6地区が被害を受けました。今回、佐賀県武雄市の2年続けて被害を受けたことをNPO法人レスキューストックヤードの浦野さんを通して知りました。今回の笑びすさんでの交流会の場で、2年続けて被害を受けて復興状況等をお聞きしました。
「2年続けて被害は受けないだろう」
「きれいになったばかりなのに」
「またか」
「また、被害を受けるかも」

長野でも、「長野は山があるから台風なんて来ないだろう」とみんながおもっていました。「これからは、何が起こるかわからない。被害を受けるかもしれないと思って準備はしたい」と高齢の方が最後に話してくれました。交流会に来てくださった皆さん、とても明るく優しかったです。長野のことも心配してくださいました。交流の場を作っていただき、ありがとうございました。

—————————————————–
あったかごはんプロジェクト
—————————————————–
あったかごはんプロジェクトは、おもやいとオカベースさんとの協働プロジェクトとして、昨年12月からスタートしました。
水害によって心身の健康状態や生活機能、活力の低下がみられている世帯の方々と、一緒に食事を作り、一緒に食べることを通じて、その方が本来持つ持つ暮らしへの意欲や、人と関わる場を通じた楽しみや喜びを創出し、活力回復の機会につなげることを目的としています。
今回は、自宅が被災しながらも、水害直後から、地域の世話役的存在として頑張り続けてきたひとり暮らしのEさんと、ねぎ焼き・たこ焼きを作りました。「家に人が来たら、100%の力でおもてなししたいの。でもまだ修繕は全部終わっていないし、沢山の人が来たら恥ずかしいから」ということで、おもやいさんの拠点の台所をお借りしました。
メニューを相談して買い物に行くと、「みんなで買い物するのがこんなに楽しいなんて。調味料や材料のことを、あーでもない、こーでもないって言いながら会話するのがすごく楽しい。」と一言。その後も、オカベースの学生さんたちに、ねぎ焼きの作り方を伝授したり、常に目配り・気配りを働かせていました。「昔うちは人が大勢集まる家だった。お客さん用のお膳なんかもあって。亡くなった主人も気が利くところが好きと言ってくれてたの。」と思い出話に花が咲きました。
水害で一時元気をなくしていたEさんも、周囲の継続的な関わりによって、体調や表情の回復が見られています。水害当初、Eさん宅に毎日通い、信頼関係を築いてきたRSY看護ボラは、「随分顔色や体格がよくなって安心した。周囲のために頑張る自分が、きっと自分自身を支えてきたのだと思う」と話しました。
つかの間の交流でしたが、別れ際に、「本当に楽しかった。ありがとう。」と、Eさんの心からの笑顔を見ることができました。水害の辛い記憶が、様々な人達との関わりの中で、少しでも楽しい記憶に置き換えられたらと願っています。
—————————————
RSYボランティアの感想
—————————————
◆Kさん
3ケ月ぶりにカフェにいらした方のお顔の表情が明るくなんかが吹っ切れた様に思いました。長野の方との交流会も皆さん和気あいあいと熱心に話しを聴いていらした様に思いました。おやきも美味しい、隣の人にも、持ち帰りの人が何人かいらっしゃいました。これからは、カフェが久津具地区だけではなく地域の拠り所になって行くと良いなと思いました。気になっていた方の訪問も皆さんの顔がふっくら、顔色もよくお元気そうでしたので少しずつ被災前に戻って落ち着かれた感じがしました。
◆Tさん
今回、時間を作って何件か心配なお宅を看護ボラのFさんと一緒に回りました。被災直後は、畳も上げたままでの生活でしたのでそれから思うと室内も落ち着いた様子でした。被災の困難というよりは、高齢者の日常の生活の中での困難を感じるものでした。おもやいさんからも心配なお宅には足を運んでいただいているので、皆さんの様子は把握されているようですが、久しぶりにお会いすると顔色だとか、前よりはふっくらしたなど小さな変化に気がつくところがあり、人が変わり、様子を見るというのは大切だなと思いました。
今回の支援で看護師チームの関りは、本当に勉強になりました。看護師さんのような目線はなくてもたまにお邪魔して様子を見せていただくことや日常のつぶやきなどを伺うことならできるので、看護師さんと一緒に二人組で回るシフトも考えてもいいと思いました。多くのボランティアが被災後の生活を垣間見ることは、自分の地域でのものの見方が変わるし、いざ被災した時にこの経験が生かせると思います。また、訪問した時に記入している訪問シート(?)などは、地元で高齢者の訪問時などに応用できるものだと思いました。今回も学びの多い支援でした。
————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————

この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラムのために活用致します。<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード

【追記】宮城・福島県沖で発生した地震について

みなさま
お世話になります。RSY事務局です。
昨夜発生した地震について、RSYは直後からつながりのある方々への安否・状況確認に努めています。現在も断続的な揺れに見舞われており、住民の方々の恐怖感は計り知れません。幸いなことに、RSYが10年間拠点を置き、復興のまちづくりに関わってきた宮城県・七ヶ浜町は、現在までに家屋倒壊や火災、怪我等の情報はなく、皆さん「大丈夫」とのこと。ただ、海に近い災害公営住宅は、一部の場所で、ガスや水道が漏れたり、地盤沈下や建物への亀裂が見られているそうです。
また、愛知県の県外避難者のサポートをしている、愛知県被災者支援センターより、南相馬市に帰還された方へ連絡を取ったところ、「大きな揺れが2回あった。けがはなく無事だが、家の中はぐちゃぐちゃ」とおっしゃっていたそうです。
一夜明け改めて皆さんの様子をお聞きすると、余震への恐怖を抱えながらも、迷わず高台の避難所へ向かった子どもたちや、ご近所同士で声をかけあいながら支え合っている姿が見えてきました。
「3.11と同じぐらいの揺れだった」「とにかく長かった」と、口々に直後の様子をお話下さいます。私たちの他にも、それぞれにこの11年、被災地を気にかけ、つながり続けて下さった皆様が、メールや電話で声掛けをしてくださっていたようで、「ホッとできた」「元気が戻った」という住民の方も沢山いらっしゃいました。しかし、一方で気持ちの揺れ戻しが起こり、不安で一睡もできなかった方や、体調を崩した方もおられます。
以下は、RSYが聞き取りをした七ヶ浜町の住民の声です。
今後も引き続き、揺れへの警戒は続きますが、今一度、生の声から、自身の防災対策を見直す機会にして頂けたらと思います。
RSYは引き続き全国の仲間と情報交換をしながら、必要に応じて対応を検討していきます。
★とにかく頻繁に余震があり、怖くてたまりません。揺れ始めるとどんどん大きくなるイメージがあり、脚が震えます。落ちた物はたいしてありませんが、片づける気も起きず、早く夜が明けて欲しいです。揺れが少しおさまった後、家の中にいるのが怖くて、パジャマに半纏を羽織って外に出ました。パチッと電気が切れる音や、家がきしむ音が怖くて、ずっとしゃがんでうずくまっていました。町内には12カ所の地区避難所が開設され、避難している方もいたようです。(現在は津波注意報が解除されたため閉所)孫が仕事に行こうとする娘に泣きながら「いかないで」と訴えていたそうです。感受性の強い子どもは、こういう記憶が残りやすいので、後から私も様子を見にいくことにしました。これから連絡が取れず、気になる人の様子を見に行ってこようと思います。(60代・女性)
★ものすごく怖かった。なんで3月はいつもこんな風になるのか。家にあるものが少し落ちた程度だったので怪我はない。揺れてから玄関の扉を開けて出口を確保し、しばらく立っていた。津波は1m程度ということなので、高台にある自宅にいた方がよいと考え待機中。状況に応じて、より高台の親戚宅へ避難することも検討する。これから震度4ぐらいの余震がきっと続くと思う。朝まで寝られない。(60代・女性)
★棚に置いてあった電気釜が落下して破損。家の中のものがいくつか落ちた。災害公営住宅にいるため安否確認に回っていたところ、男性陣も出てきて協力してくれた。区長が避難所を開設。一部の住民が避難している。長く揺れていた。海が近いので、真っ暗な中の避難はかえって危険と判断し、しばらく自宅待機している。この住宅は海に近い場所にあるが、高齢化率が9割を超えるため、「どこにも行きたくない」とお年寄りたちが避難所になかなか行こうとしない。もしもの際は上階へ避難を促すなどの対策を取らなければと思う。(60代・女性)
★久しぶりに大きい地震が来てしまい、過呼吸が止まらず母に病院に電話をかけてもらった。海が近い災害公営住宅にいるので、高台にある地区の避難所に家族で行き、その後親戚の家に身を寄せさせてもらった。11年前の震災並みに揺れた。電話が繋がらず仲間の安否が分からなかったけど、RSYからの情報で無事が分かって安心できた。(10代・女性)
★大丈夫。かなりの揺れだった。津波の危険が高まったら、みんなで逃げるつもり。本当に怖かった。油断しないで気持ちを引き締めたい。(50代・男性)
★とにかく怖かった。長い揺れで、必要なものをかき集めようとしたけれど、パニックになって何もできなかった。外に出ようと思ったが、11年前の地震の時に、外に出た瞬間、瓦が落ちてきて地面に刺さったのを目撃し、その光景がフラッシュバックして動けなくなってしまった。でも、以前にRSYのプログラムをきっかけに親しくさせてもらっている能登半島地震の穴水町の方からも連絡をもらって、すごく安心できたし嬉しかった。(70代・女性)

【再送】東日本大震災メモリアル企画・七ヶ浜・RSYオンライン交流会

皆様

お世話になります。RSY事務局です。
RSYはおかげ様をもちまして、本日で設立20年を迎えました。これまで私たちの活動を、長きにわたり応援し、支えて頂いた皆様に、心から感謝申し上げます。本来ならばお一人おひとりとお顔を合わせながら、想いをお伝えすべきところですが、コロナ禍も相まってそれが叶いません。
25周年には、ぜひとも皆様と直接お会いできるよう、私たちももうひと踏ん張りしたいと思いますので、スタッフ一同、引き続き、ご理解・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
さて、掲題の3.11東日本大震災メモリアル企画ついて、現在までに44名のお申込みを頂いておりますが、まだ残席がありますので、お時間の許す方はぜひご参加ください。ご案内は文末に添付致します。
また、本日の朝日新聞の朝刊にRSYの取り組みが紹介されました。
七ヶ浜町で運営サポートを行っていた「七ヶ浜みんなの家きずなハウス」で、スタッフとして活躍してくれた、地元の若者のコメントや、常務理事・浦野の取材記事が掲載されています。こちらもぜひご覧下さい。
 皆様のご参加をお待ちしております。
———————————————————————
RSY主催事業 東日本大震災企画
七ヶ浜・RSYオンライン交流会
~震災の記憶を次の世代に引き継ぐために~
———————————————————————○目的
宮城県七ヶ浜町で、東日本大震災を経験した住民の生の声を手掛かりに、震災の記憶を辿りながら、地震の揺れ、津波避難、避難生活の3つのフェーズで「いのちを守る」ためのキーワードを確認します。また、震災から11年を迎えた町の現状と住民の心情、地域づくりに向けた住民による新たな取り組みの様子を教えて頂きます。同時に、長い生活再建の過程を下支えしてきた「人との出会い・触れ合いがもたらしたもの」にも触れながら、これからの未来を担う若者とともに、この地域で切迫する南海トラフ地震等への備えを学び、先災地の想いを受け止める機会としてこの交流会を開催致します。※七ヶ浜町の被害概要とRSYとの関わり
七ヶ浜町は仙台市から15㎞ほど北東に位置し、東北いち小さい海沿いの町。人口は約1.8万人。東日本大震災で12.1mの津波被害を受け、町の3分の1が流出。
死者108名、行方不明者2名。全壊674世帯、大規模半壊236世帯、半壊413世帯、一部損壊2,600世帯の家屋被害。
町内36カ所にピーク時で6,143名の町民が避難。その後町内6カ所421戸の建設型仮設住宅が建ち、2017年3月閉所後は、高台住宅団地(5カ所194戸)、災害公営住宅(5カ所212戸)に転居し、現在に至る。

RSYは2011年3月24日よりスタッフ・ボランティアを派遣し、2021年3月末までの10年間拠点を置き、復興のまちづくり、人づくり、つながりづくりに関わり、現在も交流を続けています。

★詳しくは、
『レスキューストックヤード・We Love七ヶ浜~東日本大震災被災者支援10年

の軌跡~』をご参照ください。
https://drive.google.com/file/d/1VO–7_RKeFwHmvj_–nzfDXowI6aH8wB/view?usp=sharing
○日時
2022年3月11日(金)16:00~18:00○実施形態・申し込み方法
Zoomによるオンライン
★ご希望の方は下記フォームよりお申込みください。
後日Zoomアドレスを発行致します。
https://forms.gle/kYap7nz8zG1oA562A
○ゲストスピーカー/内容
●渡辺洋子さん、功さん
自らの被災体験から、揺れ・津波避難・避難生活における教訓、地域の支え合い、ボランティアとの出会いがもたらしたものなどについてお話頂きます。
●きずなFプロジェクトの皆さん
七ヶ浜町出身の高校・大学生・社会人を中心としたグループ。当時幼児・小学生だった子どもたちが、断片的な自らの震災の記憶を、町民の体験を聞き、補いながら伝承活動を行っています。活動への想いと、災害を経験していない同世代の若者に伝えたいことをお話頂きます。
●石木田裕子さん(七ヶ浜町住民/元RSY七ヶ浜スタッフ)

震災から11年を迎えた七ヶ浜の現状と、地域での新しい取り組みの様子をお話頂きます。

●参加者交流タイム、質疑応答

※この事業は、Give One、デンソーハートフル基金様からのご寄付により開催致します。

【問い合わせ】(担当:浦野・横田)
認定NPO法人レスキューストックヤード(RSY)
〒461-0001 名古屋市東区泉1-13-34 名建協2F
TEL:052-253-7550   FAX:052-253-7552
Mail info@rsy-nagoya.com

【ご案内】東日本大震災メモリアル企画・七ヶ浜・RSYオンライン交流会

皆様
お世話になります。RSY事務局です。
来月の3月11日で東日本大震災から11年を迎えます。
RSYは、震災当初から生活再建に向けて、まちづくり、ひとづくり、つながりづくりに関わらせて頂いた、宮城県の七ヶ浜町の皆さんと、今も様々な形で交流を続けています。この度、下記のメモリアル企画を開催することとなりました。お時間のある方は、ぜひご参加ください。
———————————————————————
RSY主催事業 東日本大震災企画
七ヶ浜・RSYオンライン交流会
~震災の記憶を次の世代に引き継ぐために~

———————————————————————

○目的
宮城県七ヶ浜町で、東日本大震災を経験した住民の生の声を手掛かりに、震災の記憶を辿りながら、地震の揺れ、津波避難、避難生活の3つのフェーズで「いのちを守る」ためのキーワードを確認します。また、震災から11年を迎えた町の現状と住民の心情、地域づくりに向けた住民による新たな取り組みの様子を教えて頂きます。同時に、長い生活再建の過程を下支えしてきた「人との出会い・触れ合いがもたらしたもの」にも触れながら、これからの未来を担う若者とともに、この地域で切迫する南海トラフ地震等への備えを学び、先災地の想いを受け止める機会としてこの交流会を開催致します。

※七ヶ浜町の被害概要とRSYとの関わり
七ヶ浜町は仙台市から15㎞ほど北東に位置し、東北いち小さい海沿いの町。人口は約1.8万人。
東日本大震災で12.1mの津波被害を受け、町の3分の1が流出。死者108名、行方不明者2名。
全壊674世帯、大規模半壊236世帯、半壊413世帯、一部損壊2,600世帯の家屋被害。
町内36カ所にピーク時で6,143名の町民が避難。その後町内6カ所421戸の建設型仮設住宅が建ち、2017年3月閉所後は、高台住宅団地(5カ所194戸)、災害公営住宅(5カ所212戸)に転居し、現在に至る。RSYは2011年3月24日よりスタッフ・ボランティアを派遣し、2021年3月末までの10年間拠点を置き、復興のまちづくり、人づくり、つながりづくりに関わり、現在も交流を続けています。

★詳しくは、
『レスキューストックヤード・We Love七ヶ浜~東日本大震災被災者支援10年の軌跡~』
をご参照ください。
https://drive.google.com/file/d/1VO–7_RKeFwHmvj_–nzfDXowI6aH8wB/view?usp=sharing

○日時
2022年3月11日(金)16:00~18:00

○実施形態・申し込み方法

Zoomによるオンライン
★ご希望の方は下記フォームよりお申込みください
後日Zoomアドレスを発行致します。
https://forms.gle/kYap7nz8zG1oA562A○ゲストスピーカー
・石木田裕子さん(七ヶ浜町住民/元RSY七ヶ浜スタッフ)
・渡辺洋子さん、功さん(七ヶ浜町住民)
・きずなFプロの皆さん(七ヶ浜町出身の高校・大学生・社会人を中心としたグループ。七ヶ浜町の震災の記憶を残し、伝承していく活動を行っている。)

○内容
・七ヶ浜とRSYとのこれまでのつながり
・「震災を経験し、今伝えたいこと」
①石木田裕子さん
震災から11年を迎えた七ヶ浜の現状と、地域での新しい取り組みの様子をお話頂きます。
②渡辺洋子さん、功さん
自らの被災体験から、揺れ・津波避難・避難生活における教訓、地域の支え合い、ボランティアとの出会いがもたらしたものなどについてお話頂きます。
③きずなFプロジェクトの皆さん
自らの断片的な被災体験を、住民の体験と照らし合わせ、補いながら伝承活動に関わる想いと、災害を経験していない同世代の若者に伝えたいことをお話頂きます
・参加者交流タイム、質疑応答
※この事業は、Give One、デンソーハートフル基金様からのご寄付により開催致します。

 
【問い合わせ】(担当:浦野・横田)
認定NPO法人レスキューストックヤード(RSY)
〒461-0001 名古屋市東区泉1-13-34 名建協2F
 TEL:052-253-7550   FAX:052-253-7552

RSY・令和3年8月豪雨水害への対応について(第12報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
RSYは8月27日より、8月11日からの大雨で被災した佐賀県武雄市を中心に支援活動を継続しています。

私たちは、毎月武雄市の久津具地区で開催されている、地域共生カフェ(NPO法人みつわ主催)と、あったかごはんプロジェクト(一般社団法人「おもやい」と連携)を通じて、住民の皆さんとの交流の機会を持たせて頂いています。しかし、残念ながら1月はコロナ蔓延に伴い、両方開催中止となりました。

このような状況下でも、お互いのつながりを感じられる方法はないかと考え、久津具と長野と名古屋の3拠点をつなぐ、オンライン企画を行いました。

また、カフェのお手伝いができない代わりに、みつわさんが地区の方へ行う配食支援のタイミングに合わせて、名古屋から「節分セット」をお届けしました。

以下、RSYの1月の活動報告です。

※この度の取り組みは、赤い羽根共同募金「ボラサポ・令和3年8月豪雨」の助成金を頂いて実施しています。

—————————–
地域共生カフェ支援
—————————–
1月21日(金)に、NPO法人みつわさんが、久津具地区64世帯にお弁当の配食支援を行いました。翌日に予定していた地域共生カフェが、コロナのため中止となり、RSYから毎月送っていたボランティア派遣も見送りとなりました。しかし、転んでもただでは起きないのがRSYボランティア。6人が知恵を絞り「コロナ・災害退散」を願って、節分セットをお贈りすることにしました。

久津具の皆さんの健康を願ったメッセージに、節分豆が栄養価の高い防災食になることや、節分の歌、名古屋の節分文化などを添えて、少しでもホッと季節を感じて頂ければと考えました。当日は、区長さんや民生委員さんをはじめ、地区のボランティアさんの手によって、各戸に届けて頂きました。

————————————————–
長野市ボランティア委員会との交流
————————————————–
2019年、武雄市で水害があったすぐ後に、台風19号の襲来で千曲川が決壊し、

長野県も大きな被害に遭いました。RSYは長野市豊野区の自主避難所のサポー
トや「およりなしてあったか食堂(炊き出し支援)」などを通じて、長野市ボ
ランティア委員会や豊野区の皆さんとの交流が深まりました。今回、武雄市が
2度目の被害に遭ったことを受け、長野の皆さんから支援のお申し出を頂き、
RSYがおもやいや、NPO法人みつわさんへの、仲介役を担わせて頂いていま
す。

★ねこ半纏プロジェクト
「少しでも温かい冬を迎えて欲しい」と、長野の11人のボランティアさんが、ひと針ひと針想いを込めて制作して下さいました。久津具地区全64世帯に、2着ずつ贈りたいということで、寝る間も惜しんで作業に当たって下さっています。そこで1月19日(水)、オンラインにて、おもやいの鈴木代表と、みつわの荒川代表から、長野の作り手さんたちへ、武雄の被害状況や、ねこ半纏を受け取った住民の方の様子をご報告頂きました。

久津具の皆さんからは「とても暖かい」「毎日着てる」「本当に嬉しい!」と大好評だったようで、長野の作り手さんたちも喜びの声を直接聞き、ホッとされた様子です。代表のKさんからは、「現地には行けない私たちにもできることを考え、やらせてもらえたことが嬉しかった。みんな自分の好きなことを通じて、人の役にも立てるということを実感でき、モチベーションもアップしたと思う」とコメントを頂きました。ねこ半纏が、今後も久津具と長野をつなぐ架け橋となってくれれればと思います。

★くつく・ながのオンライン交流会
1月22日(土)、今抱える地域の「気になること」を共有し、次の災害への備えと地域の居場所づくりに向けて、できることを考える場として、久津具・長野・名古屋をつなぐオンライン交流会を開催しました。

当日は、武雄から、荒川さん、鈴木さんをはじめ、久津具地区自治会役員の皆さん総勢7名、長野からは豊野区の「まちの縁側ぬくぬく亭」から2名(他、オブザーバー参加多数)、RSYより浦野が参加しました。

久津具の役員の皆さんは、2年前に続きほとんどの方が被災されています。しかし直後は、自宅の被災や家族の安全の心配があるにも関わらず、ポンプ場の対応など地区のために奔走し続けました。「今地域の中で気になることは?」という質問に対しては、

「高齢化が進み、若い力が確保できず地区の文化行事や(災害対応を含めた)様々な役割の担い手がいない」
「一人暮らしや寝たきりの方々をどう避難させればいいのか」

「2年立て続けの被災で大きなリフォームを強いられた。建物は修復しても、メンタルがやられたのが一番大変だった。ボランティアさんが大きな支えとなった」

「一昨年の水害ではポンプがあるからと安心していたが被災した。わずか1年半で同じ地域の同じ人たちがまた被災。直後は人と話すことも辛かったが、同じ思いの人がいるはずと気づき、動かなきゃ!と思った。こういう時、普段からお互いのコミュニケーションが取れる場があることが大事だと思うが、そのような場をどうやって作ったらよいか分からない。でもこれがいざという時に、相談したり、声を掛け合ったり、頼れる先にきっとなるはず。でもサロンは敷居が高いと思っている人もいるから工夫が必要かも知れない」

など、様々な意見が出ました。
これを受けて、鈴木さんからは、おもやいで取り組んでいるサロンの防災研修や、簡易トイレや食料などを箱に詰めた防災グッズなどをご紹介頂きました。

また、長野の皆さんからは、水害後にできた地区の寄合所「まちの縁側ぬくぬく亭」の成り立ちや、活動の様子などをご紹介頂きました。特に、Sさんの「ぬくぬく亭はあらゆる垣根を越えて、みんなが自由に集まれる場所。そこから繰り広げられる雑談の中から、自然とやりたいことが生まれ、それを実現している感じ。地域はごった煮がいい。煮込めばその人の味が出る。そんな地域活動を目指したい」という言葉が印象的でした。また、支援が必要な人を把握するための防災マップづくりなどにも取り組んでいるという一方で、防災リュックなどは個々で揃えるに止まっているので、おもやいの防災グッズを参考にしたいとおっしゃられていました。

いずれもすぐに答えの出るものではないですが、こんな風に、お互いに思っていることを言い合って、たまに外の風も取り入れることが、次のアイデアや行動への糸口をつかむきっかけになるかも知れません。そのためにも、このような「場」を、今後も継続的に作っていくことの意義を感じました。

また、避難行動要支援者の避難誘導や、地域の担い手不足など、久津具の課題は、私たちの地域の課題でもあります。悩みや混沌とした思いも含め、被災地からの発信が、「自分の地域はどうするのか?」という問いを考え、分かち合うきっかけを作ってくれるようにも思います。

久津具地区はこれだけの被害に遭いながらも、地区を出ようという方は1世帯もありませんでした。それほどの愛着と共に、ある種の覚悟も感じます。「みんなで助かる地域づくり」への一歩を、どうすれば踏み出せるのか。
荒川代表は、「今後もこんな風に雑談を通じてみんなができることを考えていければ。ぬくぬく亭を参考にして、地域共生カフェがそんな場づくりの役割を担っていきたい。また、団体としても地区の方にも使って頂けるよう、拠点に備蓄品を用意したいと思っている。」とお話されました。
鈴木代表は、「2度も大きな被災に遭われた人たちが、久津具をはじめ、こうやって今でも踏ん張っている姿は大きな希望なのではなかろうかと思う。今後、どこかで同じような被害が起こるか分からないが、武雄や大町の人たちがここまで頑張ってきたんだよ、という姿をこれからどうやって見せられるのかを、地区の皆さんと一緒に考えていきたい。その中で、少しでも安心できる地域づくりに一緒に取り組めればと思う」とお話されました。
RSYも地元の皆さんと共に悩み、チャレンジしていければと思います。
●おもやいでは、「おもやい協働基金」への協力を募っています。
https://omoyai.org/shien/
これは、遠くからでもできる支援。ぜひともご協力お願いします。
——————————————————-
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
——————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード

【第2報】津波注意報・七ヶ浜の状況について

みなさま

RSY事務局です。
昨夜南太平洋のトンガ沖で発生した海底火山噴火について、東日本
大震災以降、RSYも支援に関わっている、宮城県七ヶ浜町の津波の
影響、住民の皆様からの声について、続報です。

今回の影響で、仙台港で70㎝の津波到達が予測されていたことから、
七ヶ浜町にも津波注意報が発令されています。RSYにより、住民の
皆様から、今回の津波注意報による影響について聞き取りをしたと
ころ、以下のような声をお聞きしました。

「注意報の発生を受けて、避難所を開設することになった。けれど
も、避難しにくる人が誰もいなかったため、朝8時には閉所した。
花渕の港には東日本大震災後、しっかりとしたゲートが作られたの
で、あまり心配がいらなかった。町の中央にある国際村と中央公民
館は、今現在も避難所を開設している。」
(花渕浜M・Sさん 男性)

「今日はちょうど、新しく町に整備された『ながすか多目的広場』
で、七ヶ浜の新海苔のフェアを行う日だった。夫が観光協会の役員
をしていて昨日から準備でばたばたとしていたが、安全確保のため
イベントは中止となった。海の様子は、高台から眺めてみたところ、
いつもどおりの穏やかな松島湾といった感じ。愛知県も海に面して
いるので心配していました。」
(吉田浜店舗Kさん 女性)

「私は仙台港近くのホームセンターでパートをしているんだけど、
津波注意報の影響で今日は臨時休業になってしまった。
夫が消防団員なので何度か見回りに出たが、特に被害の情報は入っ
ていないみたいです。」
(菖蒲田浜K・Sさん 女性)

「今夜、漁に出る予定だったが待機中になった。漁港に行って、防
潮堤から海を見たら、湾のところどころで渦が巻いていて、潮も速
い感じだった。漁船の移動まではしていないけど、ヘリコプターも
たくさん飛んでいて、消防も厳重体勢になっている。津波に関して
は、舐めてかかってはいけないという教訓があるので、慎重に行動
していこうと思う。」
(菖蒲田浜漁師N・Sさん 男性)

今回の津波注意報については、七ヶ浜町では今のところ大きな影響
は見受けられないようですが、2011年の東日本大震災での教訓を受
け、迅速な避難所の開設や安全確認のための、イベント・漁業関係
の判断がされているようでした。

愛知県沿岸部でも、引き続き津波注意報が発令されております。
津波警報・注意報が出ている間は海に近づかず、引き続き、安全な
場所で避難を続けて下さい。

津波注意報・七ヶ浜の状況について

RSY事務局です。
昨夜南太平洋のトンガ沖で発生した海底火山噴火の影響を受け、2011年東日本大震災で12.1mの津波被害を受け、RSYも支援に関わっている、宮城県七ヶ浜にも津波注意報が発令されています。
今回の影響で、仙台港で70㎝の津波到達が予測されていたことから、東日本大震災で大きな被害を受けた菖蒲田浜地区の災害公営住宅に住むWさんと連絡を取ったところ、「今のところ大きな変化はないが、七ヶ浜では避難所が開設され、災害公営住宅の自治会長が詰めている。私は、住宅で独りで心配な方に電話をかけたり、個別訪問をして、避難所が開設されたことを知らせ、何かあればすぐに避難するよう声がけをした。」ということです。
七ヶ浜の皆さんはじめ、沿岸部の多くの地域の方々は、夜中で周囲も真っ暗中、突然の津波警報・注意報発令に、震災当時の記憶が揺れ戻されて、眠れぬ夜を過されたことと思います。しかし、各地ではWさんの事例のように、地域で助け合いのもと、素早い避難や声かけが行われており、10年前の教訓を活かそうという地域の方々の姿勢に、改めて私たちが学ぶべきことも多く見られました。
津波警報・注意報が出ている間は海に近づかず、引き続き、安全な場所で避難を続けて下さい。これ以上被害が拡大しないことを祈りつつ、RSYは引き続き、状況把握に努めていきます。

RSY・令和3年8月豪雨水害への対応について(第11報)

みなさま
さて、RSYは8月27日より、8月11日からの大雨で被災した佐賀県武雄市を中心
に支援活動を継続しています。いまだ収束の兆しが見えない感染症や、気候変
動への拍車は、私たちの支援の在り方にも大きく影響を及ぼしています。
しかし、どんなに社会情勢が変わろうとも、公的制度が適切かつ効果的に運用
されると共に、そこからこぼれ落ちる方々への民間セクターの多様なサポート
や、先災地からの恩送り・恩交わしの活動が継続されることが、被災された
方々の生きる力の下支えとなることに変わりはありません。
RSYは、被災された一人ひとりに対し、できるだけ複数の選択肢を見出し、そ
の方自身の選択が尊重される環境づくりのために、必要なお手伝いを積み重ね
ていきたいと思います。RSYがこれまでご縁を頂いた、先災地の皆様、会員・
ボランティアの皆様、各分野のスペシャリスト、各種ネットワークの皆様に
は、引き続きのご指導、ご協力を頂ければ幸いです。
また、震がつなぐ全国ネットワークや、全国災害ボランティア支援団体ネット
ワーク(JVOAD)、各地で実直に被災された方々と向き合う仲間たちと共に、
新たな局面を迎えるこれからの時代に沿った連携と協働の在り方を模索してま
いりたいと思います。
以下、RSYの12月の活動報告です。
==================================
【12月の活動】
報告者:RSYボランティア/加藤さん・宮島さん・RSY浦野
—————————————————–
あったかごはんプロジェクト
—————————————————–
●日時:12月18日(土)10:00~14:00
●場所:武雄市北方町Kさん宅
●ボランティア
Tさん・Kさん(西九州大学3年生/オカベース)
Rさん(おもやいボランティア/管理栄養士)
RSYボランティア(加藤さん・宮島さん)、RSY浦野
(取り組みまでの経緯)
オカベースのTさん、Kさんたちは、2年前の水害から、足湯やサロンなどを
通じて、被災された方々の一番近くで生の声を聞き続けていらっしゃいます
RSYもオカベースの皆さんとの活動を通じて、その眼差しや向き合う姿勢に、
沢山の住民が励まされ、日々の大きな支えとなっていらっしゃることを目の当
たりにしてきました。
その学生さんたちが、ふと「被災された方の中には、いつもしてもらうばかり
では申し訳ない、という気持ちを持たれている方がいる」とお話されました。
生きるための最低限の生活環境を整えことすら、自力では進められないという
現実の中で、多くのボランティアの支援を受けて生活が整っていくことがあり
がたいと思う反面、「してもらう側ばかりに立つ辛さ」もあることを知った、
ということでした。
私たちも同じように、過去の災害で何度も直面してきたこの課題に対し、熊本
地震の御船町の仮設住宅や、台風19号災害の長野市豊野区の自主避難所で行っ
た「あったか味噌汁プロジェクト」の事例を共有させて頂きました。味噌汁を
一緒に作って、一緒に食べるというだけのシンプルな取り組みですが、武雄で
もやってみたいというお申し出を頂き、「あったかごはんプロジェクト」の立
ち上げに繋がりました。
(取り組みの様子)
この活動には、おもやいボランティアのRさんも参加して下さいました。Rさ
んは管理栄養士でもあるため、非常に心強い助っ人です。メンバーで相談し、
今回は次の目的でプロジェクトを進めて行こうということになりました。
——————————————————————————————————-
水害によって心身の健康状態や生活機能、活力の低下がみられている世帯の
方々と、一緒に食事を作り、一緒に食べることを通じて、その方が本来持つ持
つ暮らしへの意欲や、人と関わる場を通じた楽しみや喜びを創出し、活力回復
の機会につなげる。
——————————————————————————————————–
今回お邪魔したのは80代のKさん夫妻宅。ご主人は体調を大きく崩し、食も細
く、ベッドからほぼ動かない毎日を送っていらっしゃいます。また奥様はご主
人の対応に疲れ、家の修繕も重なり落ち着かないご様子でした。おもやいでも
生活サポートを継続されていたため、RSY看護師チームも毎日通っていまし
た。
ボランティアがカレンダーに事前に丸印をつけていたのえで、数日前からこの
日を楽しみにしてくれていたようです。
当日のメニューは、九州地方の家庭料理「だご汁」。
事前の申し合わせとして、調理や食事の場づくりにおいては、ボランティアが
一方的に動くのではなく、Kさん夫妻と一緒に取り組むことを共通認識しまし
た。具体的には奥さんと料理を一緒に作る、もともとカメラ好きなご主人に活
動記録用の写真撮影を担って頂くことを目標しました。
奥様は野菜の切り方、だんごのちぎり方、味のつけ方などをボランティアに教
え、意欲的に一緒に取り組む姿が見られました。「こんなに大人数の料理は本
当に久しぶり」とお話されました。
ご主人は、「写真なんかとらんでええ」と、最初は怪訝そうな表情でしたが、
台所で人が動く姿を見たり、ボランティアから声をかけたりすることで、手持
ちのデジカメを取り出し、真剣な面持ちで調理の様子を撮影して下さるように
なりました。「カメラを持ったのは2年ぶりだなぁ」と一言。水害が影響して
止まっていた時が、再び流れ出したかのようでした。
この様子から、これまでの『してもらうことへの感謝』という一方向の関係
性が、『みんなと共に在る』という双方向へ関係性に大きく変化したようで
した。さらに、ご近所のMさんも遊びに来てくれ、一緒に調理し、食卓を囲
んだことで、『人への配慮やもてなしの気持ち』をご本人たちなりに表現す
る機会にもなったのではないかと思います。
今回の活動はとても小さく、ささやかなものでした。しかし、ボランティア
や近所の人たちと共に創り出す場こそが、無理のない形で「自分でもできる」
という自信と気づき、そして「やっぱりこの地域に住んでいてよかった」と
いう思いを生み出していくのかも知れません。
このような安心感や信頼感が、もともとご本人の中に潜在的にあった暮らし
の感覚を呼び起こし、結果的に活力向上と自尊心の回復に向けた可能性を広
げてくれるのではないかと感じました。
(ボランティアの感想)
★RSYボランティア(加藤さん)
・ご主人は、いつもとあきらかに顔つきが違った。「今日は顔色いいね」と声
をかけると、「みんなが来てくれてすごく嬉しい。いいなぁ。みんながいるの
は。こんな風に、『たまに』を、『時々』にしてくれるといいなぁ。普段はば
あさんと二人。だから今日は沢山人が来てくれてすごくうれしい」とのこと。
・普段はかなり食が細く積極的に食べようとしない方だが、だご汁に口をつ
け、「おいしかー!」と言ってくれた姿が印象的だった。帰りも「また来てく
れよな!」と言ってくれた。
・記録の写真撮る時の姿は、とても楽しそうだった。★RSYボランティア(宮島さん)
・ご主人は「写真はとても好きだったけど、2年間とってないなかった。前は

飼っている猫や花などよく撮影した。家の2階に現像する機械もある。これま
でもいろんな人が来て、写真とらせて!と言ってくるが、撮った写真を見せて
くれたためしがない。」とのこと。オカベースの二人が記念のアルバムボード
を作成予定だそうで、それを伝えると「楽しみだなぁ~」と言っていた。
・夏よりも奥さんの動きがとてもよくなっていた。人がいることが張り合いに
なっているのか、ちゃっちゃと動いている姿が印象的だった。水害当初の様子

から比較すると「あんなに動けるんだ!」と驚くほどだった。

★Rさん(おもやいボランティア/管理栄養士)
・ご主人の食の細さが気になり、どうにかして食べて頂ける方法はないかと思

った。
・奥さんと話す限り、甘いものがお好きな様子。今朝のごはんはクリームパン
と牛乳だったそう。今後またこのような機会があったら、甘いものもご用意で
きるとよいかも。
・奥様には、「作り方を教えてください」とお願いしたところ、沢山お話しし
ながら、料理にも積極的に参加して下さった。だご汁は楽しそうに作り方を教
えてくれた。「野菜は煮すぎ!」などの辛口コメントもあってボランティアと

の関わりがよい刺激になっている様子だった。

★Kさん(オカベース)
・最初にKさん夫妻と会った時、ご主人が「もう死んでもいい。足も動かない

から何しても無駄」という言葉を吐露された。しかし、ボランティアの介入
で、自らカメラを持ち出し、当初お願いしようとしていた「記録係」の役割を
見事に果たしてくれた。働きかけ方次第でこんなに気持ちや行動がかわるんだ
ということを知った。外の人が関わることで、自分の本音を言えるところがあ
るかも知れないと思った。
・近所の人、地域の人とのつながりがあり続けるということ、その人が家に来
て一緒にご飯を囲むということが、今後のKさん夫妻の安心感につながるとよ
いなと思った。
・学校で習う配慮の考え方と、今回自分が体験した配慮の考え方には違いがあ
った。よく、施設内の利用者さんと関わる時には、職員の方に利用者さんとあ
まり親しくしすぎると(呼び方、言葉遣いなど)「そのやり方はダメ」と注意
されるが、ここの現場では必ずしもそれがいけないことではないということが
分かった。親しく話しかけたら、沢山しゃべってくれるようになった。(「孫

やでね」と言ってもらえた)

★Tさん(オカベース)

・ご主人は、最初人が沢山きたので、「騒がしい!」という反応だった。で
も、最後には、「もう帰ると?」名残惜し気な感じだったので、楽しんで頂け
たのかな?と思った。このお宅にお邪魔するのは、今回で3回目。ご主人は
は、いつもよりおしゃべりも多かったように思う。
・夫婦間については、お互い結局いろいろ言い合っているものの、お互いのこ
とがよくわかっていて、支え合えている様子が見て取れた。
・ご近所のMさん(一人暮らし・床上浸水世帯)を食事にお誘いしたところ、
立ち寄って下さったので、一緒に団子をちぎって手伝って頂き、一緒に昼食も
食べた。プロジェクトの目標の一つにあった、『ご近所が集ってみんなで食べ
る』という場づくりが実現でき、その効果を感じることができた。二人の話も
盛り上がり、地域のつながりを確認したり、深めたりできる機会になったので
はないかと思う。
・このプログラムは、家でやるからいいのだと感じた。あまり人と関わること
に積極的に見えなかったご主人が、「こたつを動かせば居間に集まってみんな
で(顔を合わせて)食べられる」と言って下さった。普段は言いたくても言え
ない言葉が、外から人が来たから言えるということもあるのかな、と思った。
また、家で一緒に時を過ごすことで、生活の様子を垣間見れるのが一番よかっ
た。
——————————————–
後日談・・・・・・
———————————————
翌日、RSYボランティアがアフターフォローの訪問に伺いました。
★加藤さんからの報告
お二人ともお元気な様子で、「楽しかったなぁ」という言葉を何度もおっしゃ
っていました。また、普段食の細いご主人は、夕食時におはぎ2個とだご汁の
残りを食べ「うまかった」と言っていたということで、一つのきっかけがもた
らす生活の変化に驚きました。
また、1週間後には、オカベースTさんが、再訪問して下さいました。
★Tさんからの報告
ご主人が玄関まで歩いて出迎えて下さいました!すごくお元気そうで表情もと
ても明るかったです。写真を見て、「おいしかったもんね!」とおっしゃって
いました。ご主人がカメラを指さして「こればっかりしよったもんね」と言わ
れていました。ご主人にとって、カメラは本当に生きる楽しみなのだと実感す
ることができました。
—————————————————–
サロンサポート
—————————————————–
●日時:12月19日(日)/13:00~16:00
●場所:久津具公民館
当日は、26人(幼児4名)が参加しました。たません作りが間に合わない位に次か
ら次へと住民の方がお見えになり、お友達も連れて来られた方も見えました。
【住民の声】
・やっと明日で工事が終わる。皆に助けてもらって有難たかった。ここに来る
と皆が明るく笑っているから沈んでいられないって思うの。でも1メートル位
浸かったのよ。支援金は少なかったからお金がかかる。だから家具は一切買
わないことにしたの。衣装ケースくらいで服もいらない。(60代女性)
・名古屋から美味しい物が来ていると聞いたので来てみた。暖かくて美味しい
ね、わざわざ名古屋から有難い。鍋も捨ててしまったので、幅広い料理が作れ
ないのよね。(70代女性)
●おもやいでは、スマートサプライを通じて募金をまだまだ
受け付けています。
https://smart-supply.org/projects/omoyai-202108
これは、遠くからでもできる支援です。ぜひともご協力お願いします。
————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ
ムのために活用致します。<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード

RSY・令和3年8月豪雨水害への対応について(第10報)

みなさま
新年あけましておめでとうございます。RSY事務局です。
本年もよろしくお願い致します。

さて、RSYは8月27日より、8月11日からの大雨で被災した佐賀県武雄市を中心に支援活動を継続しています。

水害発生から約4か月半。季節は夏から秋、そして冬へと移り変わりました。被災された方々は、経済的不安や次の災害を懸念しながらも、毎日の生活の営みは続いていくため、立ち止まることなく家屋修繕や寒さ対策などに追われています。

短期間での2度の水害は、人口流出や、これに伴う高齢化や地域の担い手の減少、生活困窮世帯の増加など、従来課題の進行に大きく拍車をかけたとも言われています。

私たちはこれまでの活動を通じて、住民の方々が、あまりにも過酷な現実を前に、諦めたりくじけそうになったりする心と必死で闘いながらも、日々をひたむきに生きる姿を目の当たりにしてきました。

そんな中、「一般社団法人おもやい」や「佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)」などの地元団体は、今後の生活設計において、自ら選択肢を見出し、選ぶことが難しい方々に対して、「それでもこのまちで生涯を終えたい」という願いを尊重し、一緒に悩み、不安や辛さを分かち合いながら、解決のための方法を懸命に模索し続けています。

また、県外団体受け入れのガイドラインを作成し、家屋保全のみならず、最後の砦ともいえるボランティアとの出会いや、励まし、気遣い合える「ひとの関係性」が絶たれない方法を、最善を尽くして考えて下さいました。

このような幾重にも連なる地元の勇気あるチャレンジや配慮と、全国各地の人々の関わりが、住民の方々の日々の生活を支えています。以下、RSYの10月~11月の活動報告です。

★この取り組みは、日本財団助成金「令和3年8月豪雨」からのご支援を頂き実施しています。

12月の活動も追って配信致します。

==================================
64世帯中、54世帯が被災し、9割が床上浸水の被害を受けた武雄市久津具(くつく)地区。RSYはおもやいを通じて、10月から月1回、この地域に拠点を置く福祉系NPO法人「みつわ」が主催する、『地域共生カフェ・駄菓子屋笑美屋』のサロン活動をお手伝いしています。
みつわは、災害後から、おもやいや県外団体らと連携して、生活物品や炊き出しの提供を継続しており、住民が集い、情報交換やボランティアとの交流の場として、10月からサロン活動を開始。代表のAさんは、このサロンを助走に、来年度以降、災害復興と福祉のまちづくりの地域拠点に発展させていければと前向きな想いを語られています。RSYはこれに共感し、今後も、活動をサポートしていきます。

【10月の活動】
報告者:RSYボランティア/加藤さん・藤井さん
—————————————————–
1.個別訪問
—————————————————–
8月よりおもやいを通じて個別訪問をさせて頂いた要配慮者世帯を再訪問。健康チェックと生活環境の改善を行い、気になることはおもやいスタッフへ報告しました。

また、駄菓子は「レジで半額」に。大人も子ども、じっくり品定めしながら買い物を楽しみ、懐かしのお菓子を手に、笑顔も見られました。他にも、おもやいのコーディネートのもと、引き立てコーヒーの提供や看護チームによる健康チェック、物資配布提供、マッサージコーナーもあり、一つひとつの丁寧な関わりが住民の皆さんの癒しや安心感につながっていると感じました
★住民の声
・畳屋さん、大工さん、電気屋さん、仏具店さん等々、来客が途絶えず、水害から家を空ける事が出来なかった。今日もこれから人が来るからゆっくりはできない。料理は何とかやっている。でも、みつわのお弁当配布はありがたかった~。(60代・女性)
・土日の休みに人が沢山来るね~。何でかな、熟睡が出来ない、途中で目が覚める。料理もまだする気にはなれない。(60代・女性)=========================================【11月の活動】
報告者:RSYボランティア/加藤さん・菊池さん・RSY浦野
—————————————————–
1.サロンサポート
—————————————————–
●日時:11月28日(日)/12:00~15:00
●場所:久津具公民館
当日は、大人25名、子ども3名が参加しました。恒例の駄菓子屋コーナーは、西九州大学の学生サークル「オカベース」から2名の学生さんがサポート下さいました。
今回、RSYは、水害から3か月が経過してもなお、なかなか解決の目途が立たない食と健康の課題について頭を悩ませていたところ、熊本県御船町の「みふねしあわせ日和~ごはん日和~」の皆さんから、炊き出しのお申し出を頂きました。
御船町はRSYが地域拠点「かたらんな交流館」を通じて、避難所や仮設住宅、子どもの交流、分散した集落のサポートなどに関わらせて頂いた地域です。
温かく、栄養いっぱいのおかずやスープと、御船町が誇る吉無田高原の湧き水から作られたおいしいお米をおにぎりにして、100人分の昼食を提供を頂きました。この活動には、浄土宗テラネット、DRT JAPAN NAGASAKIにもご協力頂きました。また、フードバンク熊本様より、健康茶やみかん、ラーメンやレトルトカレーなどの食品や生活物品の提供も頂きました。
「私たちが受けた恩を少しでも皆さんにお返しできれば」というリーダーのMさんの想いに答えるように、地域の方からは「ボリューム満点でおいしい!」「遠くからわざわざ来てもらってありがとう」「御船町の恐竜博物館に行ったばっかりだよ!」などのコメントがきかれ、つかの間の交流を楽しまれました。沢山の人の手を介して作られた、真心一杯の手の食事は、住民の方々の心と身体を温めてくれたようでした。災害の種類は違えど、被災することの辛さや、これまでの苦労にお互い想いを寄せながら、ねぎらいの言葉をかけ合う姿に、被災地と被災地がつながる意義を改めて感じました。当日会場に来られなかった方には、個別訪問にてお届けすることができまし
た。
—————————————————–
2.あったかごはんプロジェクト準備会
—————————————————–
サロンや個別訪問を通じて住民の皆さんとお話する中で、食環境がなかなか整わない課題の背景が垣間見えてきました。
キッチンの修繕が進まず物理的な調理環境が整っていない、料理を作るという気力が沸かない、食事を作ったりみんなで食卓を囲んで楽しむ機会や余裕を自ら作れない、経済面の負担により食事にお金がかけられない、もともと孤食・・など、事情は様々なようです。
RSYも皆様からのご協力で食料品の提供をさせて頂いておりますが、単なるものの提供だけでなく、食事の場を介して、作る・食べる楽しみを思い起こし、人との関わりを感じながら、暮らしの感覚を取り戻すお手伝いができないかと、「あったかごはんプロジェクト」を実施することになりました。オカベースのKさん、Tさん、おもやいボランティアのRさんたちとの共同企画として、12月に実施することとなりました。
★住民の声

・棚も来て、布団もきて、徐々にやっと落ち着いてきました。建具も入って、扉も閉まるようになったので、久しぶりに1階の畳の部屋に寝られてよかった。これまで2階で娘とひとつの布団で二人で寝ていたのでようやくゆっくり寝られます。でもこれからどんどん寒くなるからね。暖房器具を買うのも大きな出費になるからどうしようかと思っていました。それに最近、食が細くなって、体重も45㎏を切ってしまったの。最初はやりたいこともあったけど、今回いろんなものが水害で流されたから、もう欲しいと思うものはなくなっちゃったな。前はお裁縫もやってたんだけど、ミシンもなくなっちゃったし、お正月用に新しく買ったもちつき機も。でもいつまでも後ろを向いちゃだめなんだ。前を向いて頑張るしかない。(80代・女性)

・大工さんに修繕に入ってもらっていますが、作業は部屋ごとに少しずつ進んでいくので、私たちは家の中を転々している状況です。1階は断熱性もまだ低いから寒くて。これから雪も降るし、暖房器具が無いと耐えられないだろうな。でもやっとキッチン回りが整理されて、料理が作れるようになりました。でも、夫と一緒に早寝早起きして、体調には気を付けていたのに、夫が病気が発覚して心配で夜眠れないの。私は前回の水害でも被災したの。家の修繕をしている間、私たちはアパートに一時滞在してたんだけど、狭くて閉鎖的な空間だし、知り合いも近くにいないから寂しくてね。今回はそれが嫌で、不便だけど自宅にとどまる選択をしました。やぱり地域のつながりって、何より大切だと思います。(70代・女性)

—————————————————–
3.くつく・ながのオンライン交流会
—————————————————–
2019年に千曲川の決壊で被災した長野市。この災害でご縁を頂いた『長野市災害ボランティア委員会』の皆さんに武雄市の状況を報告したところ、「とても他人事とは思えない。武雄の皆さんと恩交わしがしたい」と申し出て下さいました。当日は、みつわ代表Aさんと、委員会の9名、RSYより2名が参加し、現状報告と、長野での復興のまちづくりに関する取り組みについて意見交換しました。

その結果、被災した農地を再生した「ベジじばファーム」から新鮮野菜のお届け、寒い冬を温かく乗り越えるための「手作り猫はんてん」の制作、RSYも立ち上げのお手伝いをした長野市豊野区の地域拠点「まちの縁側ぬくぬく亭」との交流、1月のサロンへの参加が決まり、今後の継続的な関係づくりへの足掛かりとなりました。
—————————————————–
4.作業系活動のサポート
—————————————————–
おもやいには、現在も作業系ニーズが寄せられています。今回、RSYボランティアのKさんが、コミサポひろしまの皆さんと一緒に、壊れた石垣の積み直し作業を手伝わせて頂きました。いずれも行政の制度では対応しきれない案件ばかり。制度の隙間を埋める取り組みに果敢に挑む、地元団体の想いを垣間見たようでした。

●おもやいでは、スマートサプライを通じて募金をまだまだ
受け付けています。
https://smart-supply.org/projects/omoyai-202108
これは、遠くからでもできる支援です。ぜひともご協力お願いします。
————————————————————–
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラ

ムのために活用致します。<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード

RSY・令和3年8月豪雨水害への対応について(第9報)

みなさま
いつもお世話になっております。RSY事務局です。
RSYは8月27日より、8月11日からの大雨で被災した佐賀県武雄市を中心に支援活動を継続しています。RSYが当初から支援を受け入れて頂いている「一般社団法人おもやいボランティアセンター」は、カビや寒さ対策などの家屋保全に関する作業支援、修繕や支援制度、生活全般に関する相談窓口、お弁当や総菜、生活物資等の提供、地域巡回型サロンの企画・運営、子どもの遊び場を通じた親子支援など、多岐にわたる支援プログラムを展開し、日々、被災された方々の命と暮らしに向き合っています。

水害から2か月半が経ち、現地も朝晩すっかり冷え込むようになりました。季節が変わったことで、衣類や電化製品も冬支度が必要になります。おもやいでの活動を通じて、私たち出会った住民の皆さんからは、

「せっかく気にいったものを買っても、また次も被災するかも知れないかと思うと、もう間に合わせのものでいいやって思ってしまうの」

「うちの壁はベニヤのままでいい。高い金払ってせっかく直しても、結局は水に浸かる。周りからは『ベニヤの家は金がない』って思われるかも知れないけど、もういいんだ。次も被災するってことを前提に直していくしかない」

「私たちの家に大工さんが入って、住めるようになるのは多分春頃ね。2階はぐちゃぐちゃ。慌てて運んだから何がどこにあるかさえ分からない。もうその光景を見るのもいや」などの声が聞かれています。
本来、床や壁、家電や家具など、生活空間やインテリアを整えることは、健康を守り、暮らしに彩を添え、心を豊かにする作業。一日、一日の生活を丁寧に積み上げていく時間の中で、日々の暮らしに愛着が生まれ、心が落ち着き、沢山の想い出と共に、安心して過ごせる空間へと変化していく過程があります。
しかし、今回の2度目の水害は、そんな暮らしを取り戻そうと踏ん張る力を、あからさまに削ぎ落していく状況がありました。活動中何度もお聞きした『情けなか』という言葉からは、「今まで私は何のためにあんなに頑張ってきたんだろう」と、これまでの自分をも否定するような響きを感じました。

さらに、「もう期待しない」「あきらめる」「家が傷つくことを前提に考える」という言葉。それは、これ以上自分の心が折れないようにと、自分自身を守るための、精一杯の心の持ち方を表していたのかも知れません。一方で、支援の最中に畑で出会った女性が「水害にあってから初めてお味噌汁を自分でつくったの!まな板とか買ってきて。今日畳も入って、ようやくそんな気になれた。だからね、すごく嬉しい。」と声を弾ませてお話されました。

一杯の味噌汁を自分で作ったという事実が、こんなにも喜びや活力、充実感を生み出す力があるということを、改めて教えて頂いた出来事でした。

また、建築士さんへの相談やサロンでの様々な人の関わりを通じて、少しずつ不安や問題が解消され、ホッと一息ついたり、一歩進んだという実感を持たれる方も大勢います。

おもやいでの活動を通じて、改めて、ひとりにつながる人の関わりと支援のパイプを、どれだけ工夫して増やしていけるか。そのための選択肢をできるだけ用意し、ご本人の意思で選べるように整え、支えていくことが、本当の意味での自立支援なのではないかと考えました。

決して、「被災者なのだから」と、粗末な寝床や粗末な食事で我慢し続けることが自立なのではないということです。
RSYは、おもやいをはじめとした、佐賀の支援者の皆さんのこの実践を学び、応援し続けていきたいと思います。

★私たちは、佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)が提示している
県外支援者のガイドラインに従って現地入りしています。
佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)のHP
https://peraichi.com/landing_pages/view/spf20180901/

★この取り組みは、日本財団助成金「令和3年8月豪雨」からのご支援を頂き実施しています。

———————————–
RSYの活動
———————————–
★看護師・おもやい運営ボランティア派遣【終了】
8月27日~10月17日までに、17名(のべ約150日)のボランティアを派遣し、要配慮者世帯の個別訪問や、食料・物資、作業支援ボランティアのお手伝いをさせて頂きました。名古屋からの帯派遣は、10月17日をもって終了ました。

★食料支援【継続】
家の感想や、カビ対策、修繕の遅れにより、いまだに十分な調理環境が整わない方や、日々の疲れの蓄積で料理に気持ちがどうしても向かないという方が数多くいます。既に、ビタミン・ミネラル・食物繊維・タンパク質の接種につながるレトルト食品や長期保存の効く食材の提供は行ってきましたが、少しずつ自力調理に向けて支援内容を展開していけるよう、引き続きサポートしていきます。

★久津具地区でのサロン活動サポート【継続】
地区の9割が被災した久津具地区には、地域で小規模の宅幼宅老所、デイサービス、有料老人ホームを営んでいる「NPO法人みつわ」さんがあります。10月から来年3月まで、月1回この地域に通い、おもやいと共に、サロン活動をお手伝いすることになりました。RSYは、駄菓子屋コーナーや名古屋の風を感じるお楽しみブースを出展予定。また、2016年熊本地震で支援させて頂いた御船町からも「元気が出るあったかい汁もの」を作りに来てくださるというお声も頂いています。

10月24日(日)13:00~16:00に開催されたサロンには、RSYから2名のボランティアが参加しました。地域の方々約30名が参加。RSYは駄菓子コーナーと名古屋が誇るB級グルメ「たません」を提供し、「初めて食べた!」「おいしくてサイコー!」と大好評でした。ちなみに駄菓子はレジに行くと半額になるという特典付き。子どもたちも喜んでくれました。

★令和3年8月豪雨水害支援・RSY中間報告会【終了】
10月6日(水)19:00~20:30、RSYのこれまでの活動について、派遣されたボランティアさんによる報告会を開催し、約40名の方々がご参加くださいました。登壇者は、おもやいに派遣されたRSYボランティアさん3名。名古屋の防災ボランティアさん、看護師さん、学生さんそれぞれの視点から、武雄での経験を共有し、継続的な支援の必要性をお話下さいました。

【参加者の感想】
・SPFの仕組み、コロナ対策のいい見本になると思う。
・おもやいが2年前から継続して支援をしていたからこそできた、丁寧な取り組みだったということがよく分かった。
・レトルトやカップ麺など、送る側が送りやすいものになりがちなのは気をつけないといけないと思った。
・90代は、経済的にも気持ち的にも引っ越しできない。若い世代は、手放すことを考えている。それぞれサポートするべき内容が違うのだということが分かった。
・県外から来ているボランティアだと伝えお話すると「ご近所さんには話せいがもうここに住めないと感じている」といったこの地域の人じゃないから話せるといった話が聞かれた。子どもについても親の大変な様子を見ているせいか、中々言いたいことや気持ちを表現するのをためらわれている様子あった。自分らしさを発散できる場必要だと感じた。

—————————————-
RSYから派遣したボランティアさんの感想
—————————————-
★秋田有加里さん

(愛知淑徳大学コミュニティ・コラボレーションセンター(CCC))
2021年9月16日~20日の短い期間でしたが入らせていただきました。物資支援の受け取りでの受付やご自宅訪問の中で高齢のご夫婦に出会いました。90歳、89歳と長く連れ添われたご夫婦は2度の災害にあったとしてもこの地で過ごすしかありません。大切にしてきた我が家の床は剥がれ、多くのものは水に浸かっています。食事ものどを通らず、過ぎる日々を何とか送ってみえる状態でした。そんな中でも3日目に泥だらけの皿を洗わせていただいている際、近所の方が様子を見にみえていました。「どなんしちょっとよ~。」この、ご近所さんの声かけが、どれだけお2人の心の支えになっていることでしょう。愛知ではなくなってしまった‛つながり‘がここには存在している。災害が起こって、復興していくときに1番必要なものが身に染みて分かりました。★菊池遼(日本福祉大学教員)
私が武雄に入ったのは災害発生から3週間ほど経ってからでした。おもやいボランティアセンターで物資支援をしつつ、いらっしゃった方のお話を伺っていましたが、毎日来る人もいれば「初めて来ました」という方も毎日数名いらしていました。どこでおもやいボランティアセンターをご存知になったのかを聞くと、大概はお知り合い伝手に知ったという方がほとんどでした。もし、情報を伝えてくれる人が近くにいなければ、我慢した生活を続けている人が今もどこかにいるのではないかという気持ちにもなりました。そして、「初めて来ました」という方も、2年前の災害ではおもやいボランティアセンターに繋がっておらず、今回の災害でも3週間経ってようやく支援の手が繋がったということでもあります。「受援力」という言葉も東日本大震災以降によく耳にするようになりましたが、災害時には情報を手に入れることがいかに大切かを改めて感じた活動でした。★後藤凛(日本福祉大学学生)
今回、佐賀県武雄市で活動するにあたって、学生で今まで被災地でのボランティアを本格的にやったことない私が活動に参加していいのだろうか?役に立つことができるのだろうか?とすごい不安でした。実際4日間活動に参加して、確かに地域の方からと関わる中でどんなニーズがあり、どう対応していくべきかというのを自分自身で考えることは私にはまだ出来ませんでしたが、先輩方の動き方、地域の方との関わり方を学生の時に近くで見て学ぶことができたのはこれからに生きていくのではないかと思いました。今回活動をして、被災した地域について「知る」ということがとても大切だと感じました。まだ私には広い視野を持って行動をすることは未熟ですが、今回の貴重な経験を今後にも活かしていけたらと思います。★池口真美(RSY個人会員)
9月22〜25日、主におもやいの支援物資担当として活動。奥の保管庫がかなり雑然としていたためその整理と食料など取りにいらっしゃる方の対応。床下の泥出し経験はあったが、そもそもこういった内容のボランティアは初めて。被災者の方とどう接すればいいのかも分からず、最初にお邪魔した老夫婦の奥様が肩を落として泣かれる姿にただ背中をさすることしかできなかった無力さ。
物資支給でも消費期限が近いものが大量にあるのに、たくさん持っていかれる方の行動に目を光らせ数を制限する理不尽さ。きっと困っているから持っていくのだし、近所の方にお渡しするのかもしれない。お互い様精神で他の人の分も残しといてあげてというのもわからなくないが、正直もやもや感が残った。

引っ越して2ヶ月で浸水した若いお母さんの話。「以前もここは浸かったというのは百も承知。でも小学校に上がる子どものことを考えて、1年以上も悩んで移り住んだ。もしもに備えて2階に色々運んであったけどダメだった。どかーんと水が押し寄せるというよりじわじわだったので、幸いにも子どもの心的ストレスにはなっていない。一日中歌をうたったりしてなるべく楽しく過ごそうとしたけどもうダメだと思って救助してもらった」。老夫婦にしても移り住んだ若い家族にしてもそれぞれそこを離れられない理由があることを知りました。

★根岸恵子(こどもNPO)
この度、初めて災害後の現場に入りました。物資調達要員として派遣されましたが、直接、現場で生の声を聴かせていただく機会をいただきました。特に印象的なのは、被災者の方の落胆とあきらめの声です。地形も起因のひとつになる水害は、気候変動に伴い、同じ地に起こる頻度が高まることが予想されます。地元の方からは度重なる水害被害の経験から、「もうこの地に住むことはあきらめようと思っている」「がっかりしていたが、高校生の子たちが訪問してきてくれて、そういうつながりがあると、ここにとどまる気持ちもまた出てくるけど、、やっぱりきびしいなあ」「親族から移住を考えろと言われている」「前に家なおしたのに、またこれだよ。もうお金使い果たしたよ」など。

一方で気になっているのは、子どもたちの声が拾いづらいこと。お手伝いベースでお家の方と来ることが多いのですが、大人の大変さを目の当たりにして、自分の率直な思いを表現することに臆する様子や雰囲気を感じました。地元の支援者の取り組みや、しくみづくりについても、お話を聴かせていただく機会がありました。地元に根差して、継続的に関係づくりやつながりを生み出すキーパーソンの存在の重要さを改めて感じ、実践事例として、大変学びになりました。学んだ事例から自分の地元でも平時からできることからやっていきたいと思います。

————————————————————
RSY活動支援募金にご協力ください!
(随時受付中)
————————————————————
この支援金は、スタッフの現地派遣や情報発信、被災者への生活支援プログラムのために活用致します。<銀行振込>
三菱UFJ銀行 本山支店 普通3505681
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※「カツドウキフ 寄付者のお名前(カタカナ)」とご入力ください。
<郵便振替>
00800-3-126026
特定非営利活動法人レスキューストックヤード
※通信欄に「活動寄付」とご記入ください。