RSY石川県珠洲市への支援について(第9-2報)

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。
今回は、第9-1報の続編として、被災された方々の声と現在の課題感についてRSY浦野・稲垣がご報告します。

★RSY今を伝えるブログ(第9-1報はこちら)

RSY石川県珠洲市への支援について(第9-1報)

尚、7月・9月の活動では、RSY会員で震災がつなぐ全国ネットワークの仲間でもある「被災地NGO恊働センター」のMさんYさんと現地で合流、10月の活動では、地元出身で現在立命館大学に勤務されている臨床心理士のMさんにご同行頂きました。

 ※私たちの活動は、
日本財団「令和5年能登地方地震および6・7月の大雨被害に関わる支援活動」助成からのご協力を頂き実施しています。

 


【被災された方々の声】※写真は必ずしもご本人を映したものではありません

●「もうしばらく仮設住宅を離れたくない」
(80代女性・ひとり暮らし/大規模半壊/応急仮設住宅)
応急仮設住宅に入って数か月経つけど、できるだけご近所の方に声をかけるようにしているの。この間は家の前の草取りをやったりしてね。お隣さんも一人暮らしの女性なので、仲良くさせてもらっています。もう大きな家はいらないわね。仮設へ来て一層それを感じました。手の届くところに全て必要なものが揃っているから。だから新しい家も小さな平屋にした。年内には完成すると思う。ただね、親族に大工がいるから他の方より早くお家が建てられた。それに引け目を感じるの。だから地鎮祭もせずお酒もなしで、とにかく目立たないようにひっそり進めてます。本来ならばお祝いすべきところだけど、とてもそんな気になれない。

でも今の仮設での生活も結構気に入ってるの。時折隣から足音やテレビの音が聞こえて、「あ~今日も頑張って生活してみえるんだな」って励まされたり安心できるの。人の気配が感じれらることが生きる力になっている気がします。だからもうしばらくここに居られたらなぁ、なんて贅沢なことを思ってしまいます。

●「狭い部屋で要介護の親との2世帯同居はもう限界!」
(50代女性/応急仮設住宅)
震災後、両親は親族の家に預けていました。家の修繕が終わるまでは落ち着く場所にいてもらった方がいいと思って。私も仕事があるし、何より仮設住宅が狭いから、介護用ベッドを置いたら移動もままならない状況なんです。でも、どうしても珠洲に帰りたいということで先日仮設に迎い入れました。結果は予測していた通り、生活時間の違いからお互い気を使いすぎて精神的に参ってしまいつつあります。物が多いし躓いたりしたら危ない。このままだと、どんどん体調が悪化しそうで限界です。

⇒深刻な健康被害のリスクが高いと判断し、市は退去予定者の空き室を2世帯でシェアできるようを検討中。

●「この家を息子に残すために1円でも無駄に使いたくない」
(足の悪い80代女性・一人暮らし/一部損壊)
うちは明治時代からの旧家で、もう築100年以上経ちます。今回の地震でも、増築したところばかり壊れて、伝統工法で木と木を組んで建てた部分はほとんど無傷。私は嫁に来てこの家で苦労しながら子どもを育てたの。姑さんが本当に厳しい人で、毎日畳を上げて床板を磨けって。妊娠してても休めなかった。だから今でもピカピカでしょ?(とても広いお部屋ですねというと)そうでしょ?でも私は足が悪くて今はつかまるものがないと立ち上がれないから、畳の部屋ではお尻でいざって移動しているの。

給湯器が壊れて台所とお風呂が水漏れしてる。お水がもったいない。無駄にしたくないから使うたびに玄関にある止水栓を開け閉めしてる。(玄関までの距離や段差による転倒、冬場の雪の心配などをお伝えすると)私は大丈夫。何とか我慢できる。だって業者に聞いたら10万円もかかるっていうの。それならこの家を息子に残すための修理代に充てたい。そのために1円だって無駄にしたくない。

⇒市「生活サポート部会」にて、ご家族に冬場の転倒の危険性をお伝えしたところ理解を得られ、水漏れの修繕・給湯器の設置につながった。

●「早く奥さんの元に行きたい」
(70代男性・ひとり暮らし/一部損壊)
地震の前に奥さん亡くして、それから毎日酒を飲んでる。今日も朝からずっと。俺達には子どもがいなかったから出かけるにもいつも奥さんと一緒だったんだよ。今度1周忌やるんだけど、親戚20人ぐらいよんで盛大にやろうと思ってね。その後この家も甥に託そうって考えてる。そこいら中ひび割れとか壁が落ちている場所もあるけど、もうどうでもいい。今はさびしくてさびしくて仕方ないんだよ(泣きながら)。早く奥さんのところに行きたい。毎日そればっかり考えてる。

●「風呂が壊れて入れない」
(70代男性・一人暮らし/準半壊)
※吃音による言葉の不鮮明さで周囲とのコミュニケーションに苦労されている様子。

この間市役所に行ったけど、「風呂まで直せない」と言われた。無料入浴券をもらったけどあまり使ってない。だから風呂にも入ってない(おそらく準半壊に適用される応急修理制度の金額内では難しいからではないかと推測)。母屋の被害がひどいから解体して欲しいって言ったけどやっぱり「あなたは適用外だ」の一点ばり(公費解体は半壊以上が対象のため)。だんだん腹が立ってきた。(被災者生活再建支援金の手続きは済みましたか?と尋ねると)「そんなの全然分からん」。(市に連絡し既に申請済みであったことを確認。ご本に伝えると)「何が何だか全くわからん」。家の床が傷んでたから自力で板を張り直してる。(キッチンから腐敗臭、地震当時のままと思われる部屋あり)

●「裏の畑の雑草が気になって近所に迷惑かけないか不安」
(70代男性・母親と二人暮らし/罹災証明書未申請)
※若いころに精神疾患があると診断。言語障害あり。障害者手帳申請なし、母親の介護保険利用なし、近所との交流はほとんどなし。

地震の後から母親の具合が悪い。買い物や食事の世話は自分がやってる。若いころに精神の病気と言われて、今も病院に通ってる。風呂と廊下は業者に頼んで直した。でも裏の畑の雑草が気になる。あれが伸びてきてから運が悪くなった。(何度もつぶやく)土蔵も壊れてるので解体したい。でもきっと大工さんも忙しくてできないだろう。シルバーさんに頼みたいけどみんな忙しいだろうから無理だと思う。(罹災証明書の申請について訊ねると)知らん、そんなのやっとらん。(支援内容を説明すると)申請したい。

⇒市「生活サポート部会」で、シルバー人材派遣センターに問い合わせ草刈りの段取り・作業実施。母親の対応は後日地域包括支援センターが訪問。罹災証明書の申請の伴走支援を行い手続きが完了した。(現在母親は入院中、障害者手帳申請はご本人拒否)

 


★9月の派遣を終えて(RSYスタッフ・稲垣感想)


一ヶ月ぶりの珠洲市は稲穂がたわわに実り、震災を忘れさせそうなのどかな空気だった。黒瓦に似合わない青いビニールシートは探さないと見つからず前回まで多くの職人さんが屋根に登ったり足場を組んだりしていた街は静かで落ち着きを取り戻していた。

被災したお宅を訪問すると震災直後の悲壮感は薄れ今の状態を受け入れ不自由ながら、「これが普段の生活」と自分に言い聞かせ納得しながら懸命に暮らす姿が印象的だった。

風呂ができた、新しい家の建設が始まった、親戚を一同呼んで法事をすることになった、といった明るい話題もあれば救急搬送され入院した、水道が漏れる、ボイラーが壊れっぱなし、敷地の草が刈れない、足が悪くなり移動ができないなど今も続く不自由な生活も見えた。

その中で他人に感謝しながら迷惑をかけまいと懸命に暮らしている姿を見て力強さを感じたが、蓄積された疲労も感じとれた。

迷惑をかけたくないとの思いから埋もれている生活の不自由を厳しい冬が来る前に炙り出し一つでも多く改善することが急ぎの課題だと感じた。多くの方とお話しして、あっという間に終わった派遣だった。

★震災から半年を迎えて(RSY常務理事・浦野感想)

震災から半年が経ち、生活再建の見通しに早くも格差が生じつつあります。

8050ならぬ9070世帯、高齢者または精神・知的障がい者世帯等は、生活課題の中でもご本人の考える優先順位と、心身の健康を守るために早期対応しなければならない事柄が必ずしも一致しておらず、状況の進展がなかなか見られないケースもありました。

その背景には、
・「家族に迷惑はかけられない」という遠慮や気兼ね
・必要な情報がご本人が理解できる形で届いていない(もらえるお金、必要な手続き、申請期限などがあることすら知らない)
・決断しなければならないことが多すぎて頭も身体もついていかない
・震災後の心身の健康状態の悪化
・公的支援制度の適用以上にかかる費用の捻出ができない
・決断に至るまでの複数の選択肢を、自らうまく見いだせていない

など様々あるように思いました。
もともと抱えていた生活課題や孤独感が、再建の歩みを一層鈍らせ、深刻化しているにも関わらず、周囲やご本人が気づききれていないという状況もあるのかも知れません。

これらは、珠洲だけの話でなく、どこの被災地でも共通して起こっている課題であると感じました。珠洲市はもともとNPOが少なく、限られた地域資源の中で一つひとつの深刻な課題に誰がどう向き合えばよいのか、私達も含めそれぞれの立場から思考錯誤が続いています。

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RSY石川県珠洲市への支援について(第9-1報)

みなさま

RSY事務局です。
5月5日に能登半島地方で発生した石川県珠洲市の地震から半年が経ちました。
市は災害発生当初から「生活サポートチーム」を立ち上げ、個別ケースへの対応や罹災証明書の伴走支援、仮設住宅の入居サポートなどにあたっています。また、災害ボランティアセンターは7月15日で閉所となりましたが、以降は珠洲市社会福祉協議会の通常のボランティアセンターに業務を移行しながら、引き続き被災された方の相談に応じており、10月より市から委託を受け、「地域ささえ愛センター(仮称)」の立ち上げ準備に入りました。
RSYは7月~10月にかけても、市健康増進センターや市社会福祉協議会と連携しスタッフ・ボランティア派遣を継続しています。
以下、RSY浦野・稲垣からの報告です。
尚、今回の9-1報の続編9-2報は下記よりご覧下さい。
★RSY今を伝えるブログ
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1.現在の珠洲市の状況

★家屋被害(8月31日現在)

全壊39、大規模半壊18、中規模半壊79、半壊169、準半壊580、一部損壊1,939

計2,851(5,848世帯中48.7%)

★仮設住宅

応急仮設住宅16世帯(3か所)、借上げ型仮設住宅8世帯、合計51名が入居

2.各種支援制度について

国が定める従来の支援制度では、半壊以下世帯への「被災者生活再建支援給付金」の配布は適用外とされていますが、珠洲市の独自政策によって、被災した全ての世帯へ基礎支援金が支給されています。全壊世帯の場合、最大で600万円が支給されることになります。これに県と市から分配される義援金が加わる見込みです。

しかし一方で、超高齢化地域の被災による弊害も散見されています。珠洲市の高齢化率は約52%。各種申請手続きの煩雑さや身近に頼れる家族や知り合いがいないなどの理由で、申請に遅れが見られています。現在給付金の申請率は70%程度にとどまり、応急修理制度の申請率も対象世帯(解体世帯含む)に対し約50%程度となっています。制度ごとに申請期限も定められていることから、申請までの連続性のある丁寧な伴走支援が求められています。

公費解体「半壊」家屋等は国の支援対象外のため、珠洲市が独自に支援

応急修理制度:【費用の限度額】(日常生活に最低限必要な部分に対して)
・ 全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊の場合 : 706,000円以内
準半壊の場合 : 343,000円以内(準半壊以下は国の支援対象外のため、珠洲市が独自に支援)
※費用は市から修理業者に直接支払います。
※限度額を超える部分は、自己負担となります。

3.RSYの活動

(1)今後の生活再建を考える無料ミニ相談会の運営サポート

被害が最も集中した正院区長会が主催で、7月17日(月・祝)に『珠洲市復興応援企画いっぷくせん会(かい)ね!』が開催されました。企画では、地区の食生活改善委員による食事の提供や、地元企業・ライオンズクラブなどによるお楽しみ縁日、災害看護研究所によるカフェ(RSYもサポート)、足湯ボランティアや親子向けの手作りワークショップも併設され、100名を超す方々が久しぶりに集い、情報交換や近況報告に花を咲かせていました。

RSYは同企画に併設された相談会の企画・運営をサポート。地域住民約50名が参加され、徳島県弁護士会の堀井先生による公的支援制度の分かりやすい解説に加え、建物修復支援ネットワークの長谷川さんより家屋保全の方法に関する情報提供を頂きました。その後、引き続き行われた行政の各種申請手続きや自宅の修繕、ボランティア依頼、公的支援制度や被災者向け有志などの個別相談ブースでは、約20名の方が利用され、行政や専門家に日ごろの悩みをゆっくりと相談されていました。

家屋保全に関する相談ブースには、RSY会員の(株)FPコーポレーション様からWさんを派遣頂き、被災家屋の修繕に関する個別対応に当たって頂きました。

(2)応急仮設住宅の個別訪問と生活環境改善

珠洲市には16戸の応急仮設住宅が建設されました。仮設住宅は3か所に分散し、1か所が小規模のため、集会場や談話室の設置はありません。初めての仮設暮らしを迎え、家電や家具の調達、収納スペースの確保、福祉ニーズ世帯の段差解消・手すり設置などの住宅改修、仮設住宅が建設された地域と入居された方、入居された方々同士の新たなつながり作りも課題となっています。

RSYはこれまでの被災地でも好評だった収納棚の無料取り付けを通じて、入居された方の生活課題の把握や、ご近所同士の顔合わせのきっかけづくりをお手伝いしました。棚の設置や材料提供は、地元の三崎地区にある新出製材所さんにご協力頂きました。これを機につながった方々との個別訪問を今も継続しています。

(3)地域ささえ愛センター(仮称)の立ち上げ・運営サポート

珠洲市社会福祉協議会は、10月1日より市から「地域ささえ愛センター(仮称)」を受託し、石川県精神保健福祉協会と相談支援専門員協会らと共に、仮設住宅や在宅避難者の見守りや個別支援、サロン活動等の地域支援を行うことが決まりました。RSY浦野は、以前から気になる世帯を対象にした「個別ケース会議」の運営サポートにも関わっていたことから、市社協からご依頼頂き、今後はアドバイザーとして継続的にセンター立ち上げや運営サポートに関わらせて頂くことになりました。

現在は、「生活サポート部会」や災害ボランティアセンター、技術系NPOから寄せられたのべ1,638件の個別訪問記録をもとに、継続的な支援が必要となる方々の絞り込みを行っており、11月より支援員による対象者への再訪問をスタートさせるべく準備を進めています。

(4)個別困難事例へのアプローチ

「地域ささえ愛センター(仮称)」立ち上げまでのフォローとして、市の「生活サポート部会」で把握する要継続見守り世帯および、対応の判断が難しいケースへの個別訪問、伴走支援をお手伝いしています。主には、行政や社協も普段からコンタクトが取りずらく福祉サービスも利用していない精神障がい者世帯、水漏れや給湯器の破損等の修繕が進まない、気持ちの落ち込みや心身の機能の低下、寂しさからアルコール依存が心配される、生活再建支援金や義援金の手続きがスムーズに進んでいないと思われるひとり暮らし高齢者または高齢者世帯など。その時々の困りごとを自ら判断・発信しにくく、こちらから訪ねて行かなければ対応が滞りがちな世帯に対し、きめ細かくサポートできるよう市の関係部局や市社協らと協議を重ねています。

4.これまでの派遣実績

・第1陣:5月7日(日)~5月11日(木)/浦野・松井(RSY)

・第2陣:5月15日(月)~5月19日(金)/浦野・栗田(16日のみ)・稲垣(RSY)

・第3陣:5月23日(月)~26日(金)/浦野・林・松井・稲垣(RSY)、椿・山口(なごや防災ボラネット)

・第4陣:5月29日(月)~6月1日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿・岡田(なごや防災ボラネット)

・第5陣:6月5日(月)~8日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿・伊東(なごや防災ボラネット)

・第6陣:6月18日(日)~20日(火)/浦野・稲垣(RSY)、種村(震つな)

・第7陣:6月27日(火)~29日(木)/浦野・松井(RSY)

・第8陣:7月10日(月)~12日(水)/浦野・稲垣(RSY)

・第9陣:7月16日(日)~18日(水)/栗田・浦野・稲垣(RSY)、椿・伊藤(なごや防災ボラネット)

・第10陣:7月25日(火)~27日(木)/浦野・稲垣(RSY)、椿(なごや防災ボラネット)

・第11陣:9月19日(火)~22日(金)/浦野・稲垣(RSY)

・第12陣:10月23日(月)~25日(水)/浦野・稲垣(RSY)

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【報告】NPO法人みつわ「地域共生カフェ笑美屋」防災企画をお手伝いしました!

みなさま

RSY事務局です。

4月、6月に続き、10月15日(日)NPO法人みつわ「地域共生カフェ笑美屋」の防災企画をお手伝いしてきました。この団体は、令和元年・3年に佐賀県武雄市で発生した豪雨水害で、住民の9割が被災した久津具地区に拠点を構え、被災された方々への個別訪問や食事提供を行っていました。

今回も同地域で活動されている一般社団法人「おもやい」さんとのコラボ企画として、今年度の被災地の様子や、まだ気の抜けない秋雨前線・台風対策に役立つワークショップを行いました。

最初におもやい代表の鈴木さんから、唐津市の水害の様子を報告頂きました。土砂災害の対応の難しさや、家の保全・修繕の目途が立っていない方もおられるという話を聞き、「県内で起こった災害でもここまでひどい状況だとは思わなかった」と胸を痛める声も聞かれました。

次にRSY浦野より、5月5日に震度6強の被害にあった石川県珠洲市の様子を報告しました。地震被害の状況や、地域の助け合いの様子、生活課題などをお話しました。武雄市でも最大震度6強~7が予測されています。「今まで水害ばかりに目を向けていたけれど、地震の対策もしないといけないと思った」という声が聞かれました。

そこでRSYボランティアの椿さんからは、地震防災対策のポイントを詳しくお話頂きました。居住環境の安全対策、備蓄品、避難所の準備など名古屋での取り組みも織り交ぜながら楽しく学ぶことができました。

最後のワークショップでは、みつわ代表の荒川さんより、ペットボトルで手作りの雨水計の作り方を教えて頂き、「1時間に30㎜以上の雨が降ったら警戒し、避難等の準備の目安にすること」を確認しました。

同時に、みつわで推奨している災害時の備蓄品を詰めた「個人BOX」の中身について再度意見交換しました。久津具地区では、避難行動を早めるための工夫として、手ぶらで避難した時に困らないよう、あらかじめ地区の避難所となっている公民館に「個人BOX」を置ける仕組みを作っています。荒川さんは、来年度の水害シーズン前に、必要な方はこれを上手に活用できるよう、引き続きお手伝いさせて頂ければとお話されました。

RSYは今後もこれらの交流を通じて、災害時に役立つ地域づくりに向けた学び合いの場を継続していきたいと思います。

【報告】地域生協とNPOとの協働による災害時の食の支援(炊き出し)講習会

みなさま
RSY事務局です。
10月21日(土)RSY主催企画として、愛知県内5生協と共に「地域生協とNPOとの協働による災害時の食の支援(炊き出し)講習会」を開催しました。RSYはそれぞれの生協さんとは様々な場面で連携・協働させて頂いてきましたが、生協同士が横のつながりをもって一つのことに取り組むのはこれまでになく、とても画期的なことだそうです。
地域生協さんとRSYの間には、災害時も平常時も、必要な方々に安全な食を届けると共に、地域の中で誰もが安心して居られる拠点を整え、困りごとを抱える方々のため助け合い、支え合えるひとづくりを目指していきたいという共通の願いがありました。今回はこれを実現するための最初の一歩になったように思います。
講習に参加して下さったのは、
・生活協同組合連合会アイチョイス
・あいち生活協同組合
・一宮生活協同組合
・生活クラブ生活協同組合(愛知)
・生活協同組合コープあいち
の職員の皆さん。
講習会では、最初に、常務理事・浦野より、災害時の食の実態と食事の場がもたらす副次的効果、これらが被災された方々の生活再建や活力の回復に深く関係してきたことなどについてお伝えました。
また、どんな環境下でも安全な食事を提供するための知識として、名古屋文理食と栄養研究所客員研究員の日比野久美子先生をお迎えし、「炊き出し衛生の基礎・基本」についてお話頂きました。専門的な話は敷居が高いように感じますが、必要な知識を携え、とにかく練習を重ねることで誰でもできるようになるという先生の言葉がとても印象に残りました。
今回の講習の実践編として、1月28日(日)に生活クラブ生活協同組合(愛知)の野並配送センターにて、『生協&RSY「あったかごはん食堂」(仮)』を開催することが決まり、午後からはこれに向けた企画検討を行いました。
各生協の組合員さんにも一緒に運営できるよう声かけしようとか、来場者に防災知識を得て帰ってもらおうなど、活発な意見が出ました。アイデアが具体的な形になる過程を経て、「なんだかワクワクしてきた~」という声も。
私達も、これまで取り組んできた「あったかごはん食堂」の横展開として新たな可能性が広がりつつあることをとても嬉しく思います。このような取り組みを丁寧に積み重ねることで、生協の職員や組合員さんが、RSYと一緒に被災地に行こう!と、声を上げて下さったらどんなに心強いかと思います。
1月の取り組みが楽しみです!

臨時休業のお知らせ

みなさま
お世話になります。レスキューストックヤード事務局です。
スタッフ研修のため、下記のとおり臨時休業いたします。
ご不便おかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
           記
【事務局休業日】
10月2日(月) ~ 10月3日(火)終日
【通常稼働】
10月3日(水) 10:00~

風水害対策お役立ち情報

みなさま

RSY事務局です。台風の襲来や秋雨前線による風水害のリスクが高まっております。下記の情報をご覧頂き、ぜひお家での備えにお役立て下さい。

★2000年・東海豪雨水害体験談(内閣府「中部(地域)一日前プロジェクト」)

https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/ichinitimae/chk/cb.html?fbclid=IwAR1FzG3XW5iZKgXf7z7lPzcnryOFpoxX8jqzTQytqkVjaUNgwCXHNuFvDs4#H12-09

★RSY機関紙「あるある」105号:台風対策

https://drive.google.com/file/d/1WLvtkCuLdXJOQ6e2KazwU7zYkzgkgZPA/view?usp=drive_link

★RSY機関紙「あるある」114号:マイタイムライン(避難計画づくり)

https://drive.google.com/file/d/1dMconyLdX890S_mmUBxtIu0yBgHO1_f0/view?usp=drive_link

★防災アクションガイド:大雨&台風への備え

https://drive.google.com/file/d/1bL7xfdIldG-9Zp_iC0MEy0M9okMybmeg/view?usp=drive_link

★防災アクションガイド:被災後に受けられる生活支援

https://drive.google.com/file/d/1w8ZLWGDsf_62GGmmT7tH8NYL4U0_AyuV/view?usp=drive_link

★震災がつなぐ全国ネットワーク:水害にあったときに

https://drive.google.com/file/d/1TtR7SSFDrBEXypp7WZWVXPenEvfXT_B8/view?usp=drive_link

【報告】東海豪雨水害から23年「東海豪雨を語り継ぐ会」

みなさま

RSY事務局です。各地の災害で犠牲となられた方々に哀悼の意をささげると共に、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

愛知県に甚大な被害をもたらした東海豪雨水害から、9月11日で23年が経ちました。

RSYは今年も「東海豪雨を語り継ぐ会」のメンバーとして、スタッフやボランティアさんと一緒に追悼式に参列しました。

この水害では、100mに渡り新川の堤防が決壊し、6万世帯を超す家屋が浸水被害に遭いました。追悼式は、2m以上浸水した旧・西枇杷島町(現・清須市)の決壊場所のすぐそばにあるあしわら公園で行われました。当日の様子は、下記の動画でも紹介されています。

線状降水帯による水害の先駆け 「東海豪雨」から23周年で追悼の集い


<東海豪雨水害被害概要>

2000年9月11日未明~12日発生

台風14号からの温かい湿った空気により、秋雨前線の活動が活発化。名古屋雨量観測所では、年間総雨量の3分の1におよぶ534.5㎜を記録。(1時間の最大降雨量97㎜、24時間最大降雨量428㎜)庄内川支流・新川の左岸堤防が幅約100mに渡り破堤。死者10名、全壊・半壊・一部損壊508棟、床上・床下浸水69,837棟。都市型水害の特徴として各地で内水氾濫による浸水も数多く見られた。

西区の中小田井小学校には最大3,000人が避難。校舎の1階が浸水したため2階以上を避難所としたが、教室もすぐに一杯になり、廊下にも住民が溢れた。足腰の悪い高齢者や障がいのある方は利用できず、危険な中自宅に戻ったケースもあった。


RSYの前進団体「震災から学ぶボランティアネットの会」は、当時事務局長の栗田(現・RSY代表理事)があいち・なごや水害ボランティア本部の本部長を務め、地元のつながりや全国各地から駆け付けて下さった多くの仲間と共に、各地の支援に当たりました。その後、旧西枇杷島町のアパートの1室に拠点を構え、微力ながら、被災された方々の生活再建や復興のまちづくりに向けたお手伝いに関わらせて頂きました。

追悼式には、周辺住民など約20名が参列し、会のメンバーである「おとつむぎネット」の石田音人さんの胡弓の演奏と共に祈りを捧げました。

その後、水害当時、泥だらけになった公園に力強く咲いていた水仙の花の球根を今も大切に植え続け、命と記憶を紡ぎ続けている住民の方の呼びかけで、球根の移植を行いました。あしわら公園の水仙の花は、RSYを通じて東日本大震災や昨年の水害の被災地にも届けられ、被災された方々の心を元気づけてくれています。

「当時はこの公園も泥だらけだった。家の修繕に500万円以上もかかって….。ようやくまともに住めるようになった時にはもう春になっていた。だからテレビで水害の映像を見ると気の毒で。同じ体験をしたから大変さが分かってとても胸が痛むの。」

「この地域も人の流入出がひどく、あの水害のことを覚えている人は大分減ってしまった。船に乗って2階に取り残された人におにぎりを届けたり、地域でも助け合ったんだ。ボランティアさんも沢山来てくれて、本当にお世話になった。この体験を忘れずに、なんとか繋いでいかなければ。」

など、参加された方々からも当時や今の心情を語る声が聞かれました。この地域ではここ最近大きな水害はありませんが、このような機会を通じて、当時の体験や各地の災害の教訓を今の世代に伝え続けていきたいと思います。

それを願うように、新川の決壊場所にあるポンプ場の上に虹がかかりました。


最後に、石田音人さんが作詞・作曲した「水仙~風に光る花」をご紹介します。被災された方々の心情に深く触れた歌詞が、今も生活再建に向けて懸命に歩まれている各地の皆さんの姿に重なります。

『水仙~風に光る花~』(詞・曲 石田音人)

月日が過ぎて 取り壊される 流れに病んだ 懐かしい家が

ずぶぬれになった 闇夜 身体震わせて 命の無事を祈り続けていた

今 今 白く 花は咲く 水仙の花が ほら 風に光ってる

 

思い出流れ 竹組みの壁に 涙を噛んで 土を塗る

さよならも言えず店を閉じた人に

負けないで頑張ってと願い続けている

今 今 白く 花は咲く 水仙の花が ほら 風に光ってる

 

木々のこずえに ゆがんだフェンスに 枯れた川草が 今も残ってる

立ち止まることもできず 走り続けてる

季節が過ぎて早春を迎えてる

今 今 白く 花は咲く 水仙の花が ほら 風に光ってる

今 今 白く 花は咲く 水仙の花が ほら 風に光ってる

【報告】武雄市・NPO法人みつわ「地域共生カフェ・防災勉強会」

みなさま

お世話になります。RSY事務局です。

RSYは2022年度より、令和元年と3年の水害支援でつながりが深まった、佐賀県武雄市の「NPO法人みつわ」、「一般社団法人おもやい」さんと共に、久津具地区の地域防災の取り組みに関わらせて頂いています。

今年度に入ってからは、4月と6月に訪問し、昨年度に引き続き、みつわさんが毎月1回開催している「地域共生カフェ」の防災プログラムの企画・運営をお手伝いしました。

県外では既に、台風の襲来や梅雨前線による長雨の影響などで多くの被害が多発し、武雄の皆さんも強い雨が降る度に、気の抜けない状況が続いています。

RSYは、先災地と学び合いと交流を重ね、たった一つのかけがえのない命と暮らしを守るために、地域の皆さんと一緒にできることを考え続けていきたいと思います。

以下、常務理事・浦野からの報告です。


令和3年の水害で住民の約9割が被災した久津具地区。昨年度の防災勉強会では、住民の皆さんから災害時の不安として、下記の課題が挙げられました。

・すぐ隣に住んでいても、浸水がはじまると連絡が取れなくなり、様子も見にいけなくなった。
・垂直避難では、バラバラな場所に散乱する荷物をまとめて2階に上げるのに時間がかかり間に合わなかった。事前に準備しておけばよかった。
・着替えや靴、スリッパを持たないまま公民館へ避難したので寒さをしのぐのが大変だった。
・非常食が公民館に届くのが遅かった。

そこで、みつわさんと相談し、高知県黒潮町の取り組みを参考に、地元民生委員さんから提案された「個人BOX」の作成を、地区のひとり暮らし高齢者を優先にお手伝いすることにしました。また、水が早く到達する可能性があり、車もない方については、希望者に限り、避難所となる公民館にあらかじめ自分の「個人BOX」を保管できるよう、区長さんの了承を得ました。

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★個人BOXとは?

椅子やテーブルにもなる丈夫なBOXに、手ぶらで避難することになっても、避難先で困らないよう着替えや生活用品を備蓄したもの。自分の避難形態に合わせて、家の2階や車のトランクの中、避難先となる公民館へ保管することを推奨しています。

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6月25日(日)午前中、みつわ代表・荒川さん、西九州大学の学生とOB・OGが中心で活動する被災地支援チーム「OKBASE(オカベース)」のTさん、浦野でお一人暮らしのAさん宅を訪問。BOXづくりのお手伝いをしました。「その時あったらいいもの」を吟味しながら一緒に考え、1時間後に完成!

午後からはじまった防災勉強会で地区の皆さんに中身をご紹介頂きました。

 

その後、避難先となる久津具公民館へ歩いて移動。ちょっとした避難訓練。

区長さんがこの日のために用意して下さった個人BOXの収納棚や、市から提供された備蓄用食料などを見学しました。

今回の勉強会は、おもやいの鈴木代表による、「水害時の避難行動を考えるワークショップ」がメインの企画。久津具地区の住宅地区を拡大して、令和元年・3年の避難行動や、被災状況をみんなで思い出しながら地図に落とし込んでいきました。当時の切迫した様子も分かり、あらためて浸水の傾向や避難のタイミング、避難経路について振り返る機会となりました。

続けて、区長さんから地区として取り組んでいる防災対策をご紹介頂きました。危険が迫りポンプ場が動き始めたら、区長さんが個別受信機で皆さんにお知らせすることや、大雨・洪水警報が出た時には避難所を開所すること、避難所の備蓄品の使い方などについても詳しくお話し頂き、みんなで理解を深めました。

RSYボランティアの椿さんからは、停電時の灯りの確保について、防災マメ知識を伝授。オレンジとティッシュで作る「アロマランプ」の作り方を教えて頂きました。

みつわ代表・荒川さんからの後日談では、Aさんに続いて公民館への個人BOXの保管を希望する方も出てきたそうで、このような取り組みが少しずつでも地域に広がり、避難時の安心と、避難先での深刻な健康被害の予防につながっていけばと思います。

次回訪問は10月を予定しています。

 

 

 

 

 

 

 

【夏期休業のお知らせ】

レスキューストックヤード事務局です。

酷暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
台風7号の進路によっては、新たな災害が発生する可能性があり予断を許さず、
被災者の心労は、いかばかりかと思わずにはいられません。
みなさま、どうぞご自愛ください。
さて、下記の日程で通常業務は夏期休業させていただきます。
ご不便をおかけいたしますが、ご了承ください。
★★★災害が発生した場合は、この限りではありません★★★

名古屋事務所(ふくしま支援室共):

8月11日(金・祝) ~ 15日(火) 

★★★災害が発生した場合は、この限りではありません★★★

RSY・愛知県の大雨への対応(第11報)

みなさま
RSY事務局です。RSYは台風2号の影響で床上浸水の被害を受けた豊橋市在住Mさん宅への個別対応を継続してきました。以下、被災当初から支援に関わって頂いていた「おせっかい隊長」のRSYボランティア・Kさんと、代表理事・栗田と事務局長・浜田が8月2日に訪問した時の報告です。

※私たちの活動は、日本財団「令和5年能登地方地震および6・7月の大雨被害に関わる支援活動」助成のご協力を頂いています。

お宅に到着した時には、Mさんは私達を待ち構えていて下さり、おせっかい隊隊長のKさんから「だいぶ片付け進んだね」と声をかけられると、「あんたらが来るっていうから、やっとった」と即答されました。初めてお訪ねした時の硬い表情からは想像できないほど、軽妙なやりとりです。

その後は、日陰でゆっくりとお昼を食べながら雑談しました。「役場に被害の申請を出したら更に用紙が来て、細かい損害額を調べて書けと言われた」など、まだまだ生活再建に向けて、大変な作業が諸々続いているようです。

しかし、過去の災害で、家の片づけをしている最中に、家主も忘れかけていたへそくりや骨董品が出てきた話などをすると、声を出して笑われるなど、表情にハリがみられ、今回の訪問が、Mさんにとって気分転換の場になっていたのかなと感じました。

話の中で、Mさんから、一時的な住まいとして市から提供されていた市営住宅を引き払う時に、不要になる家財の一部を引き取りに来てほしいという要望がありました。しかし、引っ越し作業そのものは「手伝いは要らん」とのこと。

他人の手を借りずに、ご自分のペースで何とか頑張って進めて行かれようとする姿は一環していています。しかし、「そうは言っても、なにか手伝いが必要になったら声をかけてください。また、いつでも来ますから」という私たちの声掛けには、力強くとうなずいてくださいました。

Mさん宅の訪問を終えて帰る道中、「どうやってMさんの気持ちをほぐしつつ片づけを進めていくとよいかな、いつもと考える癖ができちゃって。。これで一区切りかと思うとなんだか気が抜けちゃった。」とKさん。

Kさんのつぶやきは、この2カ月間、お互いが被災者とボランティアという立場を超えて、とことん向き合ったからこそ生まれた感情や信頼関係を表しているように感じました。RSYは今回の事例からこのような新たな学びを得て、今後も互いに気に掛け合う「おせっかい」を継続していきます。